松尾幸先生:N Engl J Med 2012; 367:705-715 “切らずとも、刺せばわかる!” Preoperative Diagnosis of Benign Thyroid Nodules with Indeterminate Cytology 【背景】甲状腺結節の細胞診。15-30%は、Class III、悪性なのか良性なのかわからないということ で、多くの患者が良性の診断を得るためにも、手術を余儀なくされています。今回、167 個の遺伝子 発現を microarray で行う、新しい分子学的診断法が開発され、その臨床的意義が検討されました。 【方法】49 施設で甲状腺穿刺吸引細胞診を受けた 3789 名、4812 サンプルのうち、手術を行い診断 が確定した 265 サンプルについて、新しい分子診断法が施行され、その性能が評価されました。 【結果】診断未確定サンプル(n=265)での、分子診断の感度は、93%(78/85 悪性の診断で悪性 確定)であった。陰性的中率(NPV)は、93%(93/100 良性の診断で良性確定)で、細胞診断の段 階で臨床的意義不明の軽度異型の場合(n=129) NPV 95%、濾胞性腫瘍の場合(n=81)NPV 94%、悪性疑(n=55) NPV 85%であった。分子診断は、細胞診断の結果に関わらず 100 例中 7 例 の偽陰性を診断したが、6 例は乳頭癌で上昇する遺伝子CITED1だけでなく、正常濾胞細胞で上 昇する遺伝子発現(TTF-1、Cytokeratin19等)も低下していたことから、偽陰性の原因はサンプル の遺伝子の不足と証明された。 【結論】このように、分子診断を使えば、陰性的中率がほぼ 100%で、確実に良性を診断し、手術が いらなくなります。診断のためにわざわざ手術をする必要がなくなる時代がもうすぐ来るようです。あ とは、検査のお値段次第かな、、??(文責 阿比留)
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