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e-ラーニングが変える学習環境と日本語教師の役割への考察: フランス

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第十回フランス日本語教育シンポジウム 2008 年 於リール(フランス)
10ème Colloque sur l’enseignement du japonais en France, Lille (France), 2008
e-ラーニングが変える学習環境と日本語教師の役割への考察:
フランス地方都市での日本語学習者の変化に答えて
内田陽子 (UCHIDA-CONSIGNY Yoko)
Annecy, L’Institut pour la Promotion des langues (IPL)
1.発表の動機
県庁所在地ではあるが近郊を含めて人口 20 万人程度の地方都市で、
日本語教育に携わっ
ている。インターネット、コンピューター環境が著しく発達し、誰にでも利用可能なもの
になった今、学習者のタイプと学習者が授業に期待しているものが変わってきているよう
に感じることが多くなり、その変化を捉えて、授業内容や学習目標に反映させる必要があ
ると考えている。また、アクセスしやすいインターネット上のサイトを使って、学習者の
自律性を高める授業の環境作りもしたいと思っている。言い換えると、積極的にインター
ネットを利用しながらの授業内容や教師の役割についての考察が発表の主旨である。授業
中に出会った経験、学習者と話し合った内容、観察の結果が考察の拠り所となっている。
また、後半では、「e-ラーニング」という言葉でひとつにまとめられているインターネッ
ト、コンピューター環境を通じて手に入れられる情報や機能を使って得られる可能性や学
習者の自律性を伸ばす方法などについても触れたい。
現在、私は一般語学学校に籍を置き、一般クラスを受け持ち、その学校からエンジニア・
グランゼコールや企業に派遣され授業を行っている。特に、一般語学学校での授業を通し
て得たこの考察を、同じような環境で教える方々と意見を交換しながら、より深め、授業
を見直し続ける作業を続けて行きたいと考えている。
1クラス年間 40~50 時間の授業しか
できないことから、その授業の中で学習者が自発性、自律性を育み、長い語学修得の道を
歩いて行ってもらうことが私の授業の目的でもある。
2.学習者の変化
2.1.日本語学習者の動機と学習者のタイプ
ここ数年、初回の授業で学習者に日本語を学習する動機を話してもらうのだが、顕著な
のは、日本のポップカルチャーの影響を受けて、興味を持ち始めたというものである。
現在 30 歳くらいまでの学習者のほとんどは、テレビアニメを見て育ってきており、マンガ
から日本語に興味を持ったと答える学習者が圧倒的に多い。一時的に中国語クラスが増え
たこともあったが、
日本語クラスには毎年平均的に学習者が集まるようになってきている。
このように初めて触れた日本語が楽しさと結びついていた学習者は、語学習得を目的と
するというより、日本語を通じて日本のポップカルチャーに触れたり、日本人と友達にな
り日本へ行ってみたいという希望をもっている。日本を、極東の異文化の国から、自分の
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好きなもの、心惹かれるものがあるアクセス可能な国として感じているというのが大きな
変化なのではないだろうか。
語学学校の一般クラスには、コレージュ、リセ、IUT の学生、成人では、勤労者、退職
者と様々な年齢と職業の人が集まってくる。学習者の大きな変化としては、コレージュの
生徒の参加である。つまり、県内で日本語を学べる中等教育機関がないために、一般語学
学校に登録するのである。また、成人学習者の中で増えているのは、DIF を利用して、自
分の興味の対象としてだけでなく、仕事の中でのスキルとキャリアアップにつなげようと
いう動機を持つ学習者である。過去には、専門職や管理職のために企業に派遣されること
が多かったのだが、その需要は減少し、代わりに DIF が増えているように思える。別の学
習者のタイプとしては、現在の職業に関係なく、30 歳未満の学習者ではワーキングホリデ
ーで日本へ行き、日本語を習得することで自分の経験を深める、日本語と日本ファンにな
ることで自分の余暇を充実させる、すでに学生として大学やグランゼコールで日本語を学
んだのち就職して、職務上日本語能力を必要とされていなくても、日本語のスキルアップ
を続けるために学ぶ等、日本語を学ぶことで自分の生活を豊かにしようとする生涯教育と
して日本語を選択する人が、クラスの大半を占めている。
エンジニア・グランゼコールでは、自由履修科目として日本語教育は位置づけられてい
て、学生たちは、数学と実験、研究の間の息抜きのような気分で授業にやってくる。
日本語に親しみ、在学中の海外研修先として、あるいはマスター取得論文研究に日本へ
行くプログラムを利用して、結果的に日本企業や日本で就職、ヨーロッパ企業の日本駐在
ポストを得るような、日本語学習がキャリアと関わる例も増えてきている。
学習者の年令や学習歴の違いを超えて、日本語での「コミュニケーション能力」の獲得
が共通の目的である。別の言い方をすれば、日本語に触れることから、人生の中での楽し
みに広がりを与えるような経験をしたいという期待感があるのだと思う。また、生涯教育
として長く続ける日本語学習という観点から、学習プランを作る必要もあるのではないか
と考えている。
DIF :Droit individuel à la formation、就労者の研修権利、ある勤続年数をもつフルタ
イム勤労者は 1 年間に 20 時間、
会社の経費で自分の学びたい研修を受けることができる制
度、このほかにも勤労者の研修を奨励する制度がある。
生涯教育:Formation tout au long de la vie, 成人全てを対象にした個人の能力開発を
はかるための教育。Formation continue ともいう。
2.2.学習者の共通点
年令や学習歴に関係なく、学習者は授業で初めて日本語と出会うのではない、というこ
とである。日本語を選択する時点で、日本、日本語についての何らかの知識が既に学習者
の中にあり、初級クラスでも、ひとりで勉強した経験のあるものが多い。独学の方法とし
ては、市販の教材だけでなく、CNED で勉強してきた学習者も多く、その学習結果に驚かさ
れることも多い。このことから、きちんとフィードバックされる自律学習の効果に確信を
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もつようになったとも言える。学習者が獲得しているものは、マンガの言葉、ゲームで聞
き覚えた話し言葉や近い関係で使う言葉(あにき、おやじ、おふくろ)、歌詞、文字等で
ある。自分で興味を持っている分野がある場合は、スクラップ・ブックやマンガ作品など
を持参して発表する学習者もいる。今回の考察では、このような既得知識のある学習者の
いる授業運営について言及しないが、クラスのムードを高めるために活躍してくれること
が多い。
加えて、強調できるのが、全ての学習者がコンピューター環境を所有して、自由に使い
こなす能力をもっていることである。既にフランス語で日本語について検索した経験はほ
とんど全ての学習者にあると言ってもいいと思う。日常生活の中で自分のコンピューター
に向かう習慣の中に、日本語を入れたいという期待をもつようになったのはこの点からで
ある。
3.授業の学習目標設定
勤務校では日本語担当は私だけなので、教材、レベル設定など自由にできるのだが、毎
年、年間の授業が終わった時に到達する学習目標設定について、数年来、試行錯誤を繰り
返している。学内の別の外国語と共に、DIALANG シェーマをもとに日本語の授業内容を捉
えなおして、現在のクラスレベルの基準にしている。
過去の学習目標としては以下のようなものを使ってきた。
・ 教材を設定して、1 年間で終了する課を設定する。(終えることが目的)
・ 1 年間で終了する内容を、OPI の初級、中級をもとにシェーマ化して「できるこ
と」を設定し、それに学習結果を対応させる。
・ 日本語能力試験合格をめざす。
・ 「日本語で何をしたいか」という目標設定をクラスごとに話しあう。(予定)
目標に従って、授業内容も変化するのは当然だが、学習動機である「コミュニケーション
能力」を獲得するためには、語学学校の 1 年間の授業では不十分なので、学習者が将来的
にも勉強を続けていく習慣が身につく授業ができないかと、最近はよく考えている。語学
の授業でも、教師の説明を聞くことが学ぶことだと思われがちなのだが、自発的に、日本
語で生きている時間を、授業の中に生み出したいと考えている。
DIALANG: CEFR のレベルに合わせた外国語を学習者が自己能力判定できる運用能力シェ
ーマ http://www.dialang.org/french/index.htm
4.「e-ラーニング」をどう使うか
この報告の第 2 のテーマであるコンピューター、インターネット環境を利用して、学習
者の自律性を高めるような授業作りと、補完的な教師の役割について考察していきたいと
思う。インターネットを積極的に使うことで、どのように日本にいないことのマイナスを
埋められるかという点にとても興味をもっている。
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「e-ラーニング」の定義と、実際にアクセスできる参考サイトについて述べていく。そ
こでは、具体的なサイトを紹介して、学習者にどのように提示するか、教師がどのように
かかわるかについて述べる。
4.1.「e-ラーニング」この言葉に含まれるもの
教育の分野では:(IiLearning Forum 2008 / ElfEL の紹介サイトから引用)
・ 教材作成の道具として
・ 教材内容と学習状況管理(LMS)
・ バーチャルだが協力体制のある教室活動
・ 学習した内容と評価の管理
・ マルティメディア教材、対話型ビデオ教材、仮想世界、能力開発ゲーム
・ 《オンライン》授業
・ インターネット内世界への参加(WEB2,0 を教育にいかす)
オンライン授業だけが e-ラーニングの意味することではないのは、この定義を見ると明
らかである。これだけでなく、インターネット経由でアクセスできる機能を使うことで、
できることが日進月歩で増え続けている。また、コンピューターとインターネットを結び
つけることで、多くの情報を簡単に手に入れたり、交換したりできることから、インター
ネット世界の中の距離感がどんどん縮んでいくようにも感じている。
IiLearning Forum 2008 / ElfEL
http://www.ilearningforum.eu/ilearn2008/
4.2.授業外で、学習者が自発的に参加しているインターネット、コンピューターでの
活動
前述の2.2.学習者の共通点で述べたように、日本語学習を始める前に、すでに学習
者が体験してきたものとして、例として以下のようなものが挙げられる:
・ コンピューターゲーム、ロールプレイングゲーム
・ インターネット世界への参加:WIKI 作成、Forum(掲示版)、SNS、ブログ
・ コミュニケーションツール:メール、チャット、スカイプ、ファイル共有
自宅でするこれらの活動は、日常の一部になっていることから、自律学習の援助に使う方
法を探すようになったとも言える。ゲームマーケットでは、学習ゲームが非常な勢いで世
界中に広がっていて、ここでは触れないし、授業内でも使用しないが、N 社 DS を所有して
漢字学習をする学習者が多く、結果を楽しんで練習している。
4.3.学習者がインターネットを使ってできること
2008 年 9 月現在、私ができると確認しているものは:
①無料で音声や映像のついた教科書が手に入る。
②日本語を学びながら、友達が作れる。
③日本人と交換授業ができる。(自分の母国語と日本語)
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④オンライン授業。
⑤日本語を使った活動のための情報が無料で手に入る。
⑥学習内容の共有と結果を簡単に発表できる。
⑦新しい教材と授業方法を見つけられる。
⑧日本語学習に効果的に使えそうな機能を手に入れる:覚えるため(文字学習、漢字
と意味、語彙)読むため(ふりがなをつける、辞書、翻訳など読解援助サイト、テ
キスト、そのテキストの音声)聞くため(ニュース、ラジオ、ポッドキャスト、聞
いたもののテキスト)見るため(テレビ、映画、映像)書くため(ブログ、文法チ
ェック、作文添削)話すため(無料電話、会議機能)など。
教師にとっても、活用することで例えば:
①教師も自律学習で能力開発ができる。
②教師のネットワークができる。
③オンライン授業の教師になれば、仕事が増える。
5.学習者に提案したインターネット・サイトの紹介と教師の役割
前述の4.3.学習者がインターネットでできることの以下の4項目を詳しく見て行き
たい。
①無料で音声や映像のついた教科書が手に入る。
②日本語を学びながら、友達が作れる。
③日本人と交換授業ができる。(自分の母国語と日本語)
④オンライン授業。
5.1.無料で音声や映像のついた教科書が手に入る。
《自律学習アプリケーション》をインターネットで見ながら勉強することである。
《自律学習アプリケーション》とはインターネット上の教科書で、自律的に学習するため
に作成されたコンテンツ(情報内容)を指している。インターネット上教科書(いつでも
アクセス可能なコンテンツ)を提案するサイトの数は無数にある。これらのサイトは、日
本語について、日本語でだけでなく、さまざまな言葉で、日本だけでなく、世界中から発
信されている。つまり、インターネット環境さえあれば、世界中どこからも、いつでもイ
ンターネット教科書にアクセスでき、その内容は、バージョン・アップされ、進化し続け
ている。
参考サイト:東京外国語大学開発の多言語「初級日本語」E ラーニングシステム JPLANG
http://www.turf.ac.jp/
教科書の役割だけでなく、LL 教室、仮想教室的役割を果たす内容も、装備されつつある
ことが、このシステムの特徴で、現在も進化中である。東京外国語大学で作られた教科書
「初級日本語」「中級日本語」を併用して使うことを念頭に開発されているが、教科書が
なくても、誰でも始められる。このサイトをすすめるのは、経済的な問題から学習機会を
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得ることができない人や、通学できない場所に住んでいたり、授業に規則的に出てくるこ
とのできない学習者である。このシステムは海外への普及を想定されていて、ログインす
るためには登録するだけで、無料である。音声課題、作文課題なども充実していて、ドリ
ル問題も聞きながらひとりでできる。他言語の e ラーニングシステムも充実しているので
ぜひ見てほしい。
教師ができることは?
学習者と教師は、インターネット上で架空の教室を作って連絡を取り合いながら、教師は
学習状況把握や、学習者のアウトプット(話す、自発的に書く)を引き出す機会を作る。
また、はじめからこのサイトを学習教材として使うこと前提に、教案を作り、学習者と教
師がインターネットでコミュニケーションをとりながら、授業をしていくような利用方法
も考えられる。その場合は、掲示板を使って質疑応答をしたり、課題の提出やフィードバ
ックをメールで送ったり、スカイプで会話練習や会議の形で複数の人に説明をすることな
どが可能である。言い換えると、教えないが、学んだことを確認するのが教師の役割であ
るとも言える。
5.2.日本語を学びながら、友達が作れる。
インターネット上の《自律学習アプリケーション》を使って、ひとりで学ぶことのでき
るサイトの中に、学習者間で作るコミュニティ機能(SNS)を充実させたものが出始めて
いる。SNS とは、インターネット内の世界で、日記を書いて公開したり、同じテーマで集
まるコミュニティに参加して、新しい友人を作ることができるものである。昨年英語学習
のために、SNS でブログ(日記)が書ける「iKnow アイノウ」が公開された。日本語学習
環境も今年の夏から整備されたので、それを紹介したい。
ここでは、日本語を学習するだけでなく、日本語をテーマに、世界中の学習者との交流が
可能になるということに、特に注目したいと思う。
SNS: ソーシャル・ネットワーキング・サービス(Social Network Service)は、社会的
ネットワークをインターネット上で構築するサービスの事である。
参考サイト:
「iKnow アイノウ」
http://www.iknow.co.jp/
ラーニング・エンジンが学習者の能力と成果を読み取り、最適な学習プランを自動的に
提供することができるのが、このサイトの重要な特徴でもある。自律学習といっても、一
人で勉強することはつまらなくなりがちなので、それを克服するためのさまざまな工夫が
凝らされている。たとえば、ラーニング・エンジンが学習者の学習結果を評価することは、
学習者が見守られているような環境を生み出す。オンライン上で楽しめるような工夫もあ
り、サイトに入ると、レベル、内容別に学習コースが番組のように準備されている。文字、
画像、音声を同時に使うことが、学習効果があるという考えのもとに教材が作られ、クイ
ズ、ディクテーションがあり、その使い方もいろいろ提案されている。
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学習継続のために、目標終了日を設定したり、学習成果などのデータを保存でき、ラー
ニング・エンジンが、常に最適な学習スケジュールを自動的に設定する。
学習した内容をポッドキャスト(ファイルとしてダウンロードして、いつでも聞くことが
できる音声ファイル)や携帯電話からもアクセスできるようになっている。
現在公開中の内容は、一般の教科書的な文章や語彙の選択ではなく、日常出会う頻度の高
そうな例文が多く、語彙力アップに使うようにすすめている。学習者同士の話し合いや、
興味を共有することができることから、日本語を通じて世界が広がるような経験を持つに
違いないとも考えられる。
教師ができることは?
学習者のモティベーション維持が、ラーニング・エンジンとのやりとりだけで、できるの
かどうか疑問をもっているが、自分のペースで進みたい、語彙力不足を感じている学習者
には参加してみることを薦めている。特に繰り返して覚える語彙練習が有効だと思う。SNS
への参加をすすめて、日記を書いたり、コミュニティに参加して、積極的にほかの人の書
き込みを読んだり、
自分のコメントを書いたりするように助言していきたいと思っている。
成果評価やフィードバックの点で、ラーニング・エンジンができないことを考える必要が
教師にはあると思う。自律学習のために作られた教材なので、サイト内でできないこと、
たとえば、実際の会話や文章を声を出して読むような練習を提案して、学習者自身が、自
分の「能力」が高まっているのを自覚できるような機会を作るのが教師の役割になると考
えている。
5.3.日本人と交換授業ができる。(自分の母国語と日本語)
日本語を学ぶために話す交換授業をする機会をつくるためのサイトである。母国語では
教師の役割をしながら、習いたい言語では学習者になるというものである。交換授業がう
まくいくため、嫌な相手に出会った時のアドヴァイスも提案されている。登録すれば無料
で相手を探すことができる。世界中から登録者がいるので、日本語を日本人に教えてもら
うことだけでなく、母国語を教える経験をすることで、学習者が学んでいくものもあると
思う。どんな先生に出会うかわからないが、自己紹介を学んだら、利用して練習するよう
に提案するつもりである。
参考サイト:TT4YOU
http://www.tt4you.com/info/info.asp
教師ができることは?
ここで体験したことをもとに、会話の内容ではなく、出会った語句、わからなかった意味
などを抜き出して、質問してもらい、一緒に考えるような授業をしたいと思う。また話し
たいことを準備する作業は楽しい授業になるに違いない。ただし、先生の役割をする人の
日本語が、どんなものになるのか想像できないのだが、どんな場合でもおもしろい経験だ
からと、注意深く聞いてメモをしてもらって、次の授業で経験を話してもらうことで発展
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させていきたい。このサイトについては、授業の中で、学習したことを使う機会として、
また、授業外で日本語に出会うような経験の場として使っていけると思う。教師はこの場
を成果発揮の場として提案し、達成感を感じるようなフィードバックができるとよいので
はないかと思う。
5.4.オンライン授業
これは、現在の授業にはすぐ使えないのだが、教師として自分の授業を、オンラインで
できるようになるにはどうしたらよいのか、
という自問をしているので選んだものである。
24 時間体制でオンライン授業が受けられる E ラーニングスクールが、プライベートレッス
ンを提案している。時間と距離を越えて、インターネット経由で声が聞こえ、顔が見える
オンライン授業を提案するスクールが、どのように運営されているのか、日本のオンライ
ンスクールの方から受けた説明を簡単に紹介したい。
参考サイト;ジャパンオンラインスクール
http://www.j-os.com/indexJ.html
ジャパンオンラインスクールでは、インターネットテレビ電話によるオンラインレッス
ンを提案している。教室や講師の交通費などの経費がないことから、従来のプライベート
レッスンよりも安い料金を設定し、自分のペースで学びたい、特別な目的がある、定期的
に時間が取れないなどの理由から、
プライベートレッスンを望む学習者を対象にしている。
必要なものは、ウェブカメラとヘッドセット、MSN メッセンジャーか SKYPE をセッティン
グして利用する。また支払いはペイパルが可能で、インターネット上の便利な機能を十分
に利用している。
まず、学習を希望する人が、スクールの責任者とインターネットを使って、学習動機、
目標などについて話し合う。学習者は有料体験レッスンを受けて、教師がレベル評価をし
てから、本格的な授業が始まる。授業日程や使用する教科書は学習者の希望を聞きながら
決められる。学校側では、学習者専用ブログスペース、レベルチェック、レッスンプラン
シートをつくり、授業後は、レッスンレポートが出される。
学習者の自律性を育て、継続させることを考えてのコミュニケーション(連絡やフォロ
ーアップ)が行われる。この学校のホームページには教師が紹介され、経歴、提案する教
材、個人情報が掲載されている。
他の機関を見ると、成果重視のアプローチを使用して、現実場面で使える日本語コミュ
ニケーションに重点をおいた授業、多忙なビジネスマンのための、ビジネスカルチャーや
マナーまで含めた授業が提案され、授業の前に、学習者のレベルを知るために、聴解と読
解テスト、OPI に基づいたインタビューを行う機関もあり、授業結果としての成果重視が
共通しているように見えた。
オンライン授業での教師は
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オンラインの授業は、プライベートレッスンに慣れている教師の方が向いているかもしれ
ない。オンラインの映像上の教師として、姿勢、話し方、視線の向け方など、意識しなけ
ればならない点があるところから、対面型のプライベート・レッスンと違う部分もありそ
うに思える。学習者と教師は、オンライン上で出会えればいいことから、学習者は、世界
中から教師を探すことができる。もちろん、教師は、世界中の学習者に教えることができ
る。教師の能力、授業料比較などもインターネット上でされるようになることは、ある意
味で教師にとって厳しい環境になるのかもしれない。プライベート・レッスンの教授法に
ついては、はっきりと書かれた文献を調べることができなかったのだが、ある学校では OPI
インタビュー技能を持つ教師を優遇しているところもあることから、運用能力という視点
からの教授法が要求されているのかもしれないと思う。
6.おわりに
授業中に教師が説明することよりも、学習者がどれだけ自発的に自律的に勉強するか、
ということの方が重要なのではないかと最近よく考えている。海外から、インターネット
環境を利用して、学習者のモチベーションを高める方法を模索している。そのためには、
サイトのアドレスを渡すだけでは不十分で、そこでは日本語を使って何をするのかを説明
し自宅で実行し、自律学習の習慣につながるような経験を重ねてもらうことが必要だと感
じている。
無数のサイトが、作成者によって、日々改良され、新しい情報、新しい機能が付け加え
られて変化していく中では、受け取る側もサイトを積極的に探し続けていかなければなら
ない。
「インターネットでできることは何か?」という質問への答えは、日々更新されてい
るといってもいいだろう。それよりも、インターネットを使って、
「人間である教師にしか
できないことは何か?」という質問を自分に投げかけると、別の答えが見つけられるよう
な気がしてきている。
授業の中で、インターネットを使って各自が獲得したそれぞれの知識を、授業の盛り上
げに利用したり、発表してもらうことで、共有の知識が増える機会を作るような授業活動
があまりにも楽しいので、今年はその活動を増やそうと思っている。
この考察は、国際交流基金の在外邦人研修の課題として「学生のモティベーションを生
み出し、継続力を育てる授業とは?」と自分に投げかけた問いに、授業を踏まえながらま
とめた答えである。教師と学習者、学習者と学習者との間で発見したり、覚えたことを交
換し合える時間の共有にその可能性があるような確信をもち始めたということで、私の報
告をまとめたい。
参考文献:E-learning in Tertiary Education : Where Do We Stand(OECD 2005,
経済協力開発機構、高等教育における e ラーニング:現状評価 日本語要約
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Nouvel apprentissage du japonais par E-learning
et réflexion sur le rôle d’enseignant
Yoko UCHIDA CONSIGNY (Annecy IPL)
[email protected]
L’évolution quotidienne de l'Internet ne cesse de s'accélérer. Je me suis mise à
la recherche des sites qui correspondent à nos besoins dans ma situation actuelle (dans
une petite ville, cours de japonais en option à l’école d’ingénieur Polytech de Savoie, formation DIF et continue), en considérant l'environnement informatique de mes
apprenants.
Il est évident que le E-learning est en train de changer l’idée de « la classe »
autant que le rôle de l'enseignant. En montrant des sites qui proposent des programmes
gratuits d’apprentissage du japonais, je vous présente un nouveau rôle de l’enseignant dans la classe actuelle et des sites dans lesquels des apprentissages peuvent se
confirmer.
Les résultats de l'enquête sur les sites :
1.
Le libre accès à des "programmes d’apprentissage autonome" dans lesquels on
peut trouver des documents écrits, des prononciations, des vidéos, des exercices et des
tests pour l’autoévaluation. Je suppose que l’apprentissage efficace doit être produit par l’enseignant qui prend le rôle d’animateur et de tuteur.
2.
Création d’un lien amical en japonais dans le monde avec SNS (Social
Network System) permet de pousser le plaisir d’apprendre jusqu’à la motivation.
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