生命複雑システム基礎

1
第1章 講義の目標と概要
1.はじめに
非線形性に伴って生まれるリズムやパターン:
(これらは、化学、生物学、物理学、工学、経済学、社会学、
心理学のいたるところで普遍に見られる。)
一般に総称して自己組織化現象あるいは複雑系現
象と呼ばれる。
Self-organization : 自己組織化型
自己組織化
Self-assembly
: 自己集積型
一定の拘束条件を与えれば、外から構造を強制することなしに
自発的に組織化すること。この物理をいかに捉えるか。
生命複雑システム基礎
2
(独) H. Haken : Synagetics
(米) Santa Fe group : Complex systems
(ベルギー) I. Prigogine : Dissipative structures
pattern formation
非平衡散逸系の研究
i) 階層を生み出すメカニズム
特性スケール(時間や空間)の出現メカニズム
ii) 数理モデルの構築(普遍性の追求)
要素の個別性によらないメカニズムの追求
・対称性の議論
・縮約理論
iii)個別性の追求(個別現象の解明)
普遍性を知ることで物理は解明されるのか?
同じパターンを記述できる数理が必ずしもその現象を
記述しているものではない
“No” 個別性はもっと多様な現象を見せる
生命複雑システム基礎
1
3
形成機構の複雑性
→ 非線形、ポテンシャルがない
自由エネルギーが定義できない
時間的な構造の複雑性
→ 不規則な信号、カオス
空間的な構造の複雑性
→ 複雑なパターン、Fractal構造
(雪の結晶など)、乱流
複雑系のもつ特徴
1.創発的である
2.全体と要素が切り離せない → 階層が切り離せない
(全体の性質によって要素の性質が変わる)
3.関係論的システムである → 要素が可塑的である(関係が
生じることによって要素の性質が変わる-例えば、夫婦
(男と女の「結婚」)
生命複雑システム基礎
4
より複雑 → 非平衡散逸系(物質)から生命へ
これまでの物理法則は運動の法則を基本とする。
複雑システムのもつ関係学 → 物理法則の範疇にある
生命のもつ特殊な関係学 → 物理法則を越えるか
生命の記述には運動の法則以外の法則が必要である
複雑系に生まれる二つの不確定性(uncertainty)
(物質物理系)
Definite Uncertainty------定義された不確定性(シャノン型情報)
(状態量、エントロピー、運動量)
(生命複雑系)
Indefinite Uncertainty-----定義されない不確定性(意味型情報)
(例:天気では、晴れ、曇り、雨の定義、“晴れ”の定義が明確でない)
意味的な情報では未定義の不確定性に定義を与える
特に生命は自律分散系であるために情報の生成と伝達が必要
生命複雑システム基礎
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構造 → 形、階層性、多様性、複雑性
情報 → 相互作用、関係をもたせる(拘束条件) → 関係学
意味 → 未定義の不確定性に定義をつける
ここから機能が生まれる →
物理では“物性”と呼ぶ
(1)全体(ensumble)と要素(individual)論
実体論的システム-----規定した性質をもつ要素に関係をつける
(例:一般の物理系、柔軟さに欠ける)
関係論的システム-----関係をもつことによって要素の性質が変わる。
(例:男と女 → 夫婦 (結婚という関係の成立)
group dynamicsにおける緊急避難や横断歩道
のパターン形成)
関係論的システムでは情報を創成できる。したがって、全体の性質によって要素の性質が変わる
→ 関係をリアルタイムで変えながら、新しい要素を作り出している(映画ターミネータ2)
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(2)要素間の関係
関係によって意味や機能が変わる
表示: マスゲーム、応援ウェーブ(大自由度、多様、複雑、非画一的)
発光ダイオード、CRT掲示板(自由度、多様性、複雑性がない)
生命:例としてカルスを考える
カルスから植物への発展には、関係が必要。手のつなぎ方によって関係が
決まり、分化し正常個体になるか単なる細胞集合体になるかが決まる。
そのため要素の多様性が必要
例:引き込み
非線形振動子 → 情報を受け入れる性質をもつ;相互作用
メトロノーム:弾性による情報の伝搬
(我々の興味は実際にはもっと複雑な対象)
多様な引き込み現象 → 植物のサーカディアンリズム、脳神経系、
免疫系(薬物投与効果)
情報の創成
伝搬(媒介手段)
受け入れ(要素の内部状態の可塑性、柔軟性(自由度))
生命複雑システム基礎
3
7
(3)生命的な全体とその要素
生命的、創発的、複雑系的であるためには
要素の内部状態 (Internal dynamics) + 情報 (Interaction)
+Open Degrees of Freedom
これまでの平衡物理系は要素が不変
(多様性・可塑性がない)
散逸系は要素が可変(多様)
(4)物理系の情報伝搬(エネルギー・物質伝搬)
Local: Reaction, Diffusion
Global: Pressure field, Minimum entropy production
(5)生物(複雑系)における情報伝搬
ミクロな物質情報の伝搬 (細胞内、個体内)
受動的媒介 →
能動的媒介 →
拡散
イオンポンプ、サイトシス(高分子輸送)
マクロな物質情報の伝搬 (個体間)
受動的媒介 → 対流、風(風媒花)、動物・拡散(遅すぎる、不適)
能動的媒介 → 移動
生命複雑システム基礎
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ゴッホの絵:ひまわり
物理としての見方
工学としての見方
芸術としての見方
生命複雑システム基礎
4
9
前のゴッホの絵を考えよう
生命を理解する
絵の具の成分を研究 → 物理学
→
遺伝子配列の解読
絵の情報(色、形)を分析 → 工学・情報工学(パターン認識) → タンパク質
機能の解読
これでゴッホの絵を理解できるか----No
ゴッホの絵を感じる → 新しい情報(感性) →
全機能をシステムとして
知る
生命複雑システム基礎
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ミクロな高速情報の伝搬(神経)
相転移(脱分極) → 伝搬(拡散ではない)
酸素の供給
関係のサイクル
秩序状態・構造(樹木)
存立した状態
coherent state
新しい関係の発生
→
カオス化
引き込み(分化)
synchronic state
関係の複雑化
複雑な情報伝搬
関係の発生
情報の伝搬
indefinite state
存立前の状態
(カルス)
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11
パターン形成現象
何が重要か?
(1)形成の原理 ----- 熱力学的、力学的
(2)機能(物性)の発生と記述法
必要な武器
(1)非平衡散逸系 ----- 熱力学の概念・非線形力学
(2)構造形成
----- 分岐・不安定理論
縮約法・摂動法
(3)リズム形成 ----- 非線形波動・非線形力学
物理的根源を知る
(1)非可逆性 ----- なぜ「非可逆」は生まれるか
(2)階層の出現 ----- 「木(ミクロ)を見て森を見ず」
(3)機能の発生
いずれにしても、以下で具体的パターンを見てみよう
生命複雑システム基礎
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植物のリズム
生物に見られる時間的自己組織化構造:リズム
概日リズム(おじき草)
circadian rhythms
小豆の茎の首振り運動
(circummutation)
茎の側面の伸長がス
パイラル的に変動
(周期:20分~1H)
周期:約23時間
なぜ、このようなリズムが必要か?
生命複雑システム基礎
6
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BZ振動子
複雑な振動反応とパターンを呈する非平衡散逸構造
(振動する酸化-還元反応である。この反応の詳細は講義
にて述べる)
ルテニューム系
フェロイン系
(連続攪拌系(CSTR))
(シャーレへの展開系)
生命複雑システム基礎
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BZパターン2
攪拌系(CSTR)では赤・青に振動するBZ反応をシャーレに展開
すると下に示すようなターゲットやスパイラルの振動化学波が
観測される
スパイラル
ターゲット
生命複雑システム基礎
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BZパターン2
攪拌系(CSTR)では赤・青に振動するBZ反応をシャーレに展開
すると下に示すようなターゲットやスパイラルの振動化学波が
観測される
ターゲット
スパイラル
生命複雑システム基礎
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ホタルのスパイラル
南太平洋の島の木に集まる
ホタルの点滅(間欠発振型の
点滅)のスパイラル
BZ反応のスパイラル
スパイラル点滅への変化する
様子に注目(NHKーTV番組)
赤(還元)から青(白色:酸化)
への色変化に注目(スパイラル
に変わると振動数が高くなる)
生命複雑システム基礎
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イースト菌のスパイラル
イースト菌の解糖系に見られるスパイラル。対をなして
回転する高濃度のニコチン(酸)アミドアデニンジヌクレ
オチド(NADH)のスパイラル(NADH(還元型)→NAD
(酸化型):脱水素化反応:酸化-還元反応)
生命複雑システム基礎
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化学波ダイオード
散逸構造の一つの応用例
化学波が非可逆的に伝搬する。左(ON) 右(OFF)
(光感受性BZ反応を使用。開口角度に依存する)
(名古屋大学人間情報学研究科 一野天利(D3)君による)
この波の演算挙動は反応拡散方程式で記述される。
生命複雑システム基礎
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化学波論理回路
ダイオードの性質を利用した演算回路(一野天利(名大)君提供)
OR-NOT回路
OR-NOT回路
OR回路(時間マッチ)
OR回路(時間差あり)
生命複雑システム基礎
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Turingパターン
化学反応系にみられる反応パターン。アクリルアミドゲルの
両側にA,Bの反応溶液を流し、ゲル中で反応させる。
CIMA system(BZ反応類似系)
Q. Quyang & H. L. Swinney,
Nature, 352, 610(1991)
生命複雑システム基礎
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21
Formation of periodic structures
Periodic pattern are frequently formed in development. Examples
are bristles, feather buds, leaves, and within the latter, stomata
and trichoms. In the model, activator maxima are formed in a
more or less regular arrangement if the size of the field is larger
than the range of the inhibitor:
生命複雑システム基礎
22
キンチャクタイ
幼魚の模様はターゲットあるいはスパイラルであるが、成魚
の模様はストライプになっている。また欠陥が存在するが、
これも時間とともに解消したり発生したりする。(詳細は後述)
生命複雑システム基礎
11
23
b
c
d
e
f
g
a
h
l
m
i
j
k
n
o
p
q
Fig. 2. Rearrangement of the stripe
pattern of Pomacanthus imperator
(horizontal movement of branching
points) and its computer simulation. a,
An adult P. imperator (   months old ).
b, Close-up of region I in a. c, d,
Photographs of region I of the same fish
taken two (c) and three (d) months later. e,
Starting stripe conformation for the
simulation (region I). f, g, Results of the
calculation after 30,000 (f) and 50,000 (g)
iterations. h, Close-up of region II in a. il, Photographs of region II of the same
fish taken 30 (i), 50 (j), 75 (k) and 90 (l)
days later, respectively. m, Stating stripe
conformation for the simulation (region
II). n-q, Results of the calculation after
20,000 (n), 30,000 (o), 40,000 (p) and
50,000 (q) iterations, respectively. Fish
(Fish World Co. Ltd (Osaka)) were
maintained in artificial sea water (Martin
Art, Senju). Skin patterns were recorded
with a Canon video camera and printed
by a Polaroid Slide Printer. In the
simulated patterns, darker colour
represents higher concentrations of the
activator molecule. Equations and the
values of the constants used, as Fig. 1.
生命複雑システム基礎
24
リーゼガング(沈殿構造)
インドネシア・スラウェシ島の貫入岩体
(アルカリハンレイ岩質マグマが固化し
た岩石)に発達した層状構造.貫入面か
ら岩体内部120mに約200層が貫入
面から次第に数10cmから数mの幅で
スペース則を示す(熊大・西山教授提供)
沈殿:ヨウ化鉛PbI2
PbNO3+2KI→PbI2+K2NO3
この沈殿は寒天溶液で上記の反応
を起こさせると形成される。各種の
周期則(スペース則)を示す。
生命複雑システム基礎
12
25
リーゼガング・バンド
1次元的な沈殿が試験管中に形成される。左、周期的
(初期濃度勾配あり): 右、非周期的(勾配なし)
生命複雑システム基礎
26
ヘリカルフィラメント
39℃~ -0.01℃/min 上映時間:39s (2倍速)
スメクティック液晶のフィラメント(大阪府立大 轟氏:2002年)
生命複雑システム基礎
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27
バクテリア周期パターン
寒天培地中に、抗生物質など
の薬物を混入。その濃度や種
類に依存してコロニーパターン
の周期性が異なる。
Scientific American
279,No.4(1998)
生命複雑システム基礎
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枯草菌のDLA
DLAパターン
(Df=1.706)
寒天培地に含まれる栄養分の濃度と寒天の堅さによって
パターンが異なる(H.Fujikawa, Physica A189(1992)15)
左:養分豊富(20g/lのペプトン)、寒天濃度(7g/l)
右:養分貧(1g/l)、寒天濃度(15g/l:堅い)
同心円パターン
生命複雑システム基礎
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29
金属結晶沈殿がつくる拡散律速構造
DLAパターン
生命複雑システム基礎
30
ビスコスフィンガリング(フラクタルパターン)
高粘性流体中(グリセリンやゲル状物質)に低粘性流体(黒色)を中心から
吹き込むと観測される。右:高粘性(ゾル状態) 右:超高粘性(ゲル)
生命複雑システム基礎
15
31
Benard-Rayleigh (熱)対流
上面が自由境界のR-B対流は蜂の巣状の
対流パターンをつくる(上面が剛体境界であ
ればロール状対流パターン)。
熱分布(サーモグラフィー)
生命複雑システム基礎
32
対流パターン
熱対流や液晶対流に見られる自己組織化構造(散逸構造)
(GPの動画とGPの位相波のダイナミックスの動画あり)
Wiliams Pattern
Grid Pattern
Defect Lattice
Zig-Zag Pattern
16
生命複雑システム基礎
33
対流パターン(映画)
2次元ロール対流(WD)
GPに見られる配向位相波
3次元セル状パターン(GP)
乱流-乱流遷移(核生成型)
生命複雑システム基礎
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対流系の位相振動構造
前の映画でみた位相波がつくるターゲットやスパイラル
振動パターン。振動の位相波がつくる空間構造である。
試料が均一に作られていないと観測が難しい。
生命複雑システム基礎
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地球規模の対流
二つのKarman 渦に見られるReynolds 数Reの大きな差
済州島後方の渦
円柱後方の渦(伴流)
Re=140
Re=約109
流体力学的相似則の破れ? その起源は?
生命複雑システム基礎
36
複雑性と規則性
生物
Complexity
複雑性
ニューロン
植物
カオス
乱流
散逸構造
結晶
gas
Regularity
規則性
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非平衡物質
散逸系
平衡物質
生命複雑システム基礎
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複雑系の定義
複雑な振る舞いをする体系(システム)のことを言う
では複雑な振る舞いとは何か →
主観的な表現しかない
複雑系の物理的定義がない
「---が起これば複雑系」
「---の構造があれば複雑系」
「---の性質を示せば複雑系」
のように
何かが欲しい。
生命複雑システム基礎
38
1.2 パターンと機能
ところで、これらのパターンの発生は揺らぎの不安
定に伴う分岐現象による。
揺らぎの不安定
マクロ構造の発生
この結果
階層の発生
マクロ構造 と ミクロ揺らぎ
最初に述べた普遍性と個別性の解明、すなわちパターン形成の物
理が解明された後の次のステップは何か。それはパターンが
どのような役割を物質に対して持っているかを明
らかにすること。つまり
生命複雑システム基礎
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39
物理・物質系
構造
物性
構造の出現メカニズムと物性
出現メカニズムには相関があり
確立されている(平衡系)。
生物系(散逸系)
構造
機能
構造の出現メカニズムも機能の
出現メカニズムも不明。その間の
関係も不明。
その突破口は散逸系のパターン
形成の物理から・・・
生命複雑システム基礎
40
そこで、この講義では、パターンの発生機構の物理
学だけでなく、複雑な非線形現象を縮約という作業
によっていかに見通しよく現象をみることができる
か、それが具体的な現象でどのように適用できてい
るかを学ぶ。
これは、生命のようなさらに複雑な対象が呈する
機能(自己組織化、自律性、再生機能)を理解する
第一歩となると期待している。
生命複雑システム基礎
20
41
講義に出てくるキーワード
(1)平衡と非平衡
(2)散逸
(3)分岐
(4)自己組織化
(5)不安定性
(6)階層性
(7)複雑性
(8)多様性
(9)全体と要素
(10)対称性の破れ
(11)情報の縮約
(12)引き込み
(13)確率共鳴
これらを理解してもらう。
生命複雑システム基礎
42
その上で物理としての複雑系
を考えよう。
A.定義の明確化:
例えば:
a)構成要素の種類や数で定義できるか
b)相互作用とダイナミックスのタイプで定義できるか
B.派生する特徴の解明:
例えば:
a)予測不可能性(カオス)
d)再現性
b)自己複製・自己再生
e)情報の生成や伝達・記憶
c)リズム(時計)
f)階層性や多様性
などの性質の出現機構の解明
生命複雑システム基礎
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44
第2章 非平衡開放系の熱力学
非平衡開放系が熱力学的にどのようなものであるかを概観する。
2-1.平衡系と非平衡系
(1)熱力学の第一法則:エネルギー保存則
B
×
×
最終状態
初期状態
A
A→Bへのパスによらず
エネルギーの総和は一定
生命複雑システム基礎
45
(2)熱力学の第二法則:エントロピー最大の法則
dQ
 dS
T
(2.1.1)
dQ:外部からの微小熱量
(断熱系、孤立系ではゼロ)
dQ → 0
0  dS
(2.1.2)
エントロピーは常に増大する。
S1
S2
t
S2 > S1
無秩序性の増加
エントロピー生成
不可逆性
 dS

 0

 dt

生命複雑システム基礎
22
46
例題. エントロピーの計算
N1
N = N1 + N2
N2
N 個の分子をN1とN2に分配する場合の数 W
N!
W 
N 1! N 2 !
エントロピー S は
S  k B log W  k B log
N!
N1 ! N 2 !
(ボルツマンの原理)
生命複雑システム基礎
47
スターリングの公式を使うと、
log N !  N log N  N
より、
S 
 k B  N 1 log N 1  N 2 log N 2   C
S
増大する (熱力学の法則)
生命複雑システム基礎
23
48
例2. 2種類の玉の配列
平均的長さ
a
2種の玉
と
玉の総数:N
白黒の境界の数:
N
a
1 
N
a
このとき、境界を新たに玉の一種と考えて、新しい総数は
NT  N 
N
a
となり、
N

 N  !

a 

W 
N
N !  !
 a
生命複雑システム基礎
49
S  log W


N 

N 
 log

a 

 
1
 N   1 
a
 

 log


1

1 

a


N
N
N 

N 
  N log N 
log


a
a
a 


1

 
a
log


a


1
1
a →  では log  1   
a
a

S 
N
a → 大なほど
a
log a
S は小さい。
すなわち、 a : order parameter
(秩序を持っていることに相当する)
24
生命複雑システム基礎
50
(3)平衡系
NE
系内の粒子数
: N0
系内のエネルギー : E0
系
外部とやりとりする率 : 

E
E0
0
or
N
N0
0
(平衡状態)
生命複雑システム基礎
51
2-2.閉鎖系と開放系
(1)閉鎖系
これは定常では平衡系になる。
系と熱沿との間のenergyや粒子の
やりとり   (詳細釣合の成立)
N
E
系
熱沿
系の持つenergy
系内の粒子数
E0
N0

N 0
0
N0
生命複雑システム基礎
25
52
T1 → T2 へ変化させた場合
には過渡的に非平衡
例. 相分離、核生成-成長、スピノダル
などの過渡的な不均一パターン
温度
過渡的に散逸系(閉鎖散逸系)
T2
T1
平衡2
平衡1
G : ギブスの自由エネルギー
t
平衡系では、自由エネルギー最小の
法則に従って最終構造が決まる。
「エネルギー最小の原理」
生命複雑システム基礎
53
(2)開放系
2つの熱浴の間に系は存在し、常にflowが存在する。
E1
熱浴I
E2
系
N1
N0 , E0
熱浴II
N2
定常
E1= E2 , N1 = 2
非定常
E1  E2 , N1  2
非平衡開放系
生命複雑システム基礎
26
54

E
N
,
E0
N0
無視できない
の大きさに応じて様々なflow形態、すなわち構造
が生まれる。
:非平衡度、散逸度

or
散逸量
エントロ
ピー生
成率
開放系
閉鎖系
t
↑
t = 0 で環境変化(外力印加)
生命複雑システム基礎
55
・熱平衡系のパターン形成
空間対称性の破れに伴う静的秩序・エネルギー最小の原理
・開放系のパターン形成
時間的(リズム)、空間的(空間構造)対称性の破れに伴う
動的秩序(詳細釣合の破れ)
①高い秩序を自ら発現し維持する。
②エネルギー、物質の恒常的な流れを必要とする。
このような秩序を維持するためには、内部で生成されたエント
ロピーを排出し、エントロピーを下げなければならない。
どのような原理で秩序形成されているか?
・エントロピー生成最小の原理(局所平衡:非平衡線形系)
||
(消費電力最小の原理)
・エントロピー排出最大の原理?
生命複雑システム基礎
27
56
自然法則
・エントロピー最大の法則(増大の法則)
秩序 → 無秩序へ進む
・負のエントロピー吸収(エントロピー減少則)
無秩序 → 秩序へ進む
非平衡開放系の秩序はどのような熱力学原理に従うのか
まだ分かっていない。
生命複雑システム基礎
57
2-3.非平衡熱力学とエントロピー生成
(1)エントロピー
状態数(W)を表す示量変数である:容量性の量
s1 ・・・ ・・・ ・・・
・
・
・
・
・
・
・
sn
・
・
・
・
S   si
(部分の和)
i
si  k B ln Wi
(2.3.1)
生命複雑システム基礎
28
58
エントロピー変化量 dS = 内部におけるエントロピー生成
+ 外部からのエントロピーの移動
(正、負いずれもある)
eS
iS
= iS + eS
P(s) (s) : エントロピーの流れ(エントロピー流束)
系の内部で生成されるエントロピーは決して負にならない。
iS  0
(エントロピーは増大する)
最大が安定
iS = 0
iS  0
eS = 0
(i) 可逆過程
(ii) 不可逆過程
(iii) 孤立系では
孤立系では、これによって
状態が一意的に決まる。
生命複雑システム基礎
.
59
(2)単位時間あたりのエントロピー生成 P = Si は、
dS
Si  i    s dV  0
dt
(2.3.2)
と表せる。(s)は単位体積時間あたりのエントロピーの生成で、
任意の(s)に対して(2.3.2)が成立するためには、
 (s)  0
(2.3.4)
である。一方、エントロピーの流れ Se より全生成は
S  Si  Se
で与えられる。
生命複雑システム基礎
29
60
(3)局所平衡
系
J
局所 i と j は無相関
局所 (i) はほぼ平衡.
すなわち、
i
J = LX
全系は非平衡
で、L と X は線形関係.
L=L0 + L1X のような非線形は、隣のセルとの相互作用を意味し、その
ときは局所平衡ではない.
最近接と互いに相互作用があると、
(2次)
L → L0Xi + L1XiXj
(この場合、相関があるので局所平衡ではない)
生命複雑システム基礎
61
エントロピー生成 (S) は、
(s) = (fluxの流れ) × (熱力学的力)
=
 J X   0

J : 成分の流れ(運動論的量)
X : 成分の熱力学的力
( J   D n : Fick’s law )

x
系全体のエントロピー生成
P( S )    J X  dV  0

である。平衡では J = 0, X = 0 かつ極小なので0次と1次微分は常にゼロ.
2次微分から始まる
 ( s )   ( s )  J  X   ( s )  J 2   ( s )  X 2  
J 0
X 0
J 0
X 0
生命複雑システム基礎
30
62
(4)線形熱力学
J と X の間の関係は線形
例:Fick’s law
(拡散
平衡近傍
n
J   D 
x
n

  J )
t
Fourier’s law
x
J T  
T
x

 1 
 T 
etc.  J T  L grad 

一般的に
J   L X 
, = 1,2,・・・・,n

L : 現象論的係数
(この行列の対角項:自己係数、非対角項:相互係数)
L:熱伝導係数、電気伝導係数、化学反応係数 etc.
生命複雑システム基礎
63
(5)Onsager の相反定理
L = L
()
・これを詳細釣合(detailed balance)といい
平衡近傍(線形領域)では成り立つ.
・非平衡のcyclic balance では成り立たない.
B
A
B
A
detailed balance
C
cyclic balance
生命複雑システム基礎
31
64
例
例2
X1=0 (濃度勾配なし)
X20 (温度勾配あり)
J1=L12X2 (温度勾配による濃度・物質の流れが生まれる)
その2成分系
Soret effects
熱電効果と類似→温度勾配と電位の発生
(ペルチェ効果:電位(電流)による温度差の発生)
Soret効果
→温度勾配と濃度差の発生
(Doufor効果:濃度勾配による温度差の発生)
生命複雑システム基礎
65
T + T
T = 一定
T
生命複雑システム基礎
32
66
Soret効果1
Soret効果
●=A, ●=B,
質量:MA>MB,
運動速度:VA<VB
物質流をJ1, J2 とし、熱流をJqとすると、
J1  L11 X1  L12 X 2  L1q X q
J 2  L21 X1  L22 X 2  L2q X q
(1)
J q  Lq1 X1  Lq 2 X 2  Lqq X q
生命複雑システム基礎
67
Soret効果2
Onsagerの関係より、
(2)
L12 = L21, L1q = Lq1 = -L2q = -Lq2
を使うと、
J1  L1q
 (  2 )
T
 L11 T 1
T
T2
(3)
J 2   J1
J q  Lqq
T
 (   2 )
 Lq1 T 1
T
T2
となり、ここでL1qが熱拡散(thermodiffusion:Soret効果)、Lq1がDufour効果(diffusion
thermoeffect)を表す。しかし、これらの現象論的係数は直接に計測される量とは結び
つかないので、結びつく表現かつ現実的な項(外力、圧力項)も考慮すると、J1につ
いて、

J1   D C  CSoret  Cbarop  Cext

(4)
と書ける。(濃度、温度、圧力変化に伴う化学ポテンシャル変化に起因)
生命複雑システム基礎
33
68
Soret効果3
ここで、
CSoret 
Cbarop 
Cexp
T
T
T
P
P
P


U ext
kB
: 温度差濃度勾配
: 圧力誘起濃度勾配(重力下)
Uext : 外部ポテンシャル(電位or 磁場),  熱物質拡散比, P : 圧力物質拡散比,  外
力に感応する分子のモル分率であり、(4)の第2項は長波長の揺らぎを増幅し、第3項
は抑圧させる。また、第4項は磁気粒子やイオン性の粒子であれば、外力(磁場や電
場)が加わった場合にその効果で生まれる流束である。今、Uext= 0、g = 0(無重
力)とすると、



J1   D C  T T 
T


(5)
と書ける。ここでDは相互拡散係数D12である。
生命複雑システム基礎
69
Soret効果4
さらに簡単なため、1次元(Z)で書くと、
 w
 T
J 1    D12  1  ST w1 1  w1 
 Z
 Z
w1 

 
 
(6)
x1m1
x1m1  x2 m 2
ここで、xiはi成分のモル分率、miはi成分の質量である。定常状態(J1= 0)で、xi = 0.5とすると、
 x  T 
ST  4 1 

 Z  Z 
1
(7)
を得る。これがSoret係数である。また、定常状態でのエントロピー生成 (S)は、
 T 
2
(8)
 ( S )   

 T 
となり、定常でも常時エントロピー生成が行われている(しかも低温側で大きい)。
生命複雑システム基礎
34
70
複雑系を表す用語
例えば、フラクタルやカオス
フラクタル - 複雑なパターンが示す簡単な法則
時間的・空間的特性長を持たない体系、すなわち階層がない
例:ラプラス方程式に支配される体系 -DLA、雪の結晶、放電パターン
△X=0
カオス-簡単な非線形微分方程式が生み出す予測不可能な振る舞い
(二重振り子の振動や3体問題)
生命複雑システム基礎
71
補足
(1)電気回路で線形であれば次のような定理が成り立つ.
i)重ね合わせの理
ii)可逆定理
相反定理
iii)テブナン-ノートンの定理
iv)テレゲンの定理
(S) = J・X = 0
v)最大電力供給の原理
エントロピー生成最小の原理
生命複雑システム基礎
35
73
非平衡線形系ではエントロピー生成極小の原理が成り立つ
ことを見よう。今、簡単なため、2つのfluxflowを考える.
t<0
10
20
I
II
T1
T2
10
JT
I
t=0
JN
1
JT
(化学ポテンシャル)
の I と II の系を t = 0 で接触.
(2)温度差 T1, T2 は維持.
20
(3)化学ポテンシャル(物質濃度) 1<2
となって、I と II の間の物質流 JN は
t → 無限大で JN → 0 となる.
(ただし1>10 2<20 )
T2
2
I
II
T1
T2
JN:物質流
(1)初期温度T1>T2, 初期濃度10<20
II
T1
t=
JT:熱流,
XT : 温度差による力(~T)
XN 化学ポテンシャル差による力(~/T)
(濃度差)
生命複雑システム基礎
74
重要な点:T 0 (t )なので、JN=0と物質輸送が平衡に
達しても JT が存在し、エントロピー生成はゼロにならない。
(S) = JTXT + JNXN > 0
JT = L11XT + L12XN
JN = L21XT + L22XN
t → JN → 0
∴L21XT + L22XN = 0
Onsager の相反定理 L21 = L12 より、
(S) = L11XT2 + 2L21XTXN + L22XN2

 S 
 2 L21 X T  2 L22 X N
X N
X T const
 2L21 X T  L22 X N 
0
∴エントロピー生成最小である。
生命複雑システム基礎
36
75
①XT 0の拘束による非平衡状態に
ある。熱平衡ではエントロピー生成
は最小で、かつゼロ

非平衡
↑
②線形熱力学 ・・・ Onsagerの相反定
理が成立
熱平衡
X
③平衡から遠く離れても多くの場合、
局所平衡(線形)の性質を保っている。
生命複雑システム基礎
76
一般に、全エントロピー生成 P    ( S )dV    J X  dVの時間変化を、

dP d x P d J P


dt
dt
dt
dxP
   J  d t X  dV
dt

dJ P
   X  d t J  dV
dt

dX 
dt
dJ 
d t J 
dt
dt X  
とすると、力Xは前述したように、体系が不安
定にない限り、常にエントロピー生成を減少さ
せる方向に変化するので、
P
t
dxP
0
dt
である。
生命複雑システム基礎
37
77
一方、Onsager の相反定理に従えば、
dxP
   J d t X  dV    L X  d t X  dV
dt


   X  d t L X  dV


   X  d t J  dV 


dJ P
dt
故に、
dxP dJ P

dt
dt
より
d P
dP d x P d J P


 2 x  0 (最小になるまで)
dt
dt
dt
dt
となる。
すなわち、エントロピー生成最小の原理が、こうして保証される。
生命複雑システム基礎
78
非線形ではこの問題は複雑なので、そこで定性的に議論しよう。
平衡系では、図に示すようにエントロピー極大に向かって生成率は減少し、
最小値0を取る(平衡へ戻る)。
エントロピー
S
非平衡
平衡
t0
t1ではPは極小にあるが、
平衡では P = 0 ( (s) = 0)
非平衡では P 0 ( (s)  0)
t
非平衡系
t1
非平衡系
線形の場合の状態量X
の関係としてのPは左図
のようになる。
平衡系
平衡
t0
生成率
P
生成率
P
t1
しかしながら、外部からエネルギー拘束されてい
る非平衡系は一般に増加を続ける。
Se
t
X
X0
X0
生命複雑システム基礎
38
79
(
生成率)
ところが非線形の場合には、少なく
ともX1、X2とも静止状態が安定(準
P
安定)で定常であるならば、Pは常
に極小X1、 X2にあり、揺らぎによって、
例えば、
X1→X1+X1
と変化すると、それに伴うPは常に、
P 0
X1
X2
X
となる。
しかしながら、平衡から遠く離れ、limit cycle を持つ場合には、この議論は
正当でない。「原理」がない。
生命複雑システム基礎
80
2-5.輸送係数
X → X + X と変化した(揺らいだ)場合に、非線形の場合fluxはどの
ようになるかを定性的に考えよう。
(2.5.1)
J(t)=L0・X(t)
Lは現象論的係数で、ミクロな揺らぎの相関関数と関係づけられる。
これが、Onsager係数である。
一方、非線形マクロ運動になると、我々が観測する熱力学的fluxは、
J(t)=L・X(t) + R(t)
(2.5.2)
と書ける。ここでR(t)はミクロおよびマクロな揺動を含む非線形運動の
揺動力である。この中の線形部分は既に(2.5.1.)に取り出されている。
この表現では、Lはもはや前の式(2.5.1)のL0とは本質的に異なっている。
生命複雑システム基礎
39
81
このときのLは、フーリエ変換
L  
1
kB


0
ds Rs  R0  e is
(2.5.3)
で与えられる。Onsager係数と分離すると
L   L0 
1
kB

 qs  q0 e
0
is
( 2.5.4 )
ds
と表される(q(t):マクロ揺らぎ)。
この第1項はOnsagerの線形輸送係数で、発散や異常を示さない。一方、第2
項はマクロな非線形揺動による部分で発散や異常を示す。また非相反になり得
る。
この観点からのEHD発生点近傍の輸送係数の研究が最近行われているがま
だ結論は得られていない。
「非平衡散逸系の揺動定理」
・G.Gallavoti PRL, 77 (1996), pp.4334-7, “Extension of Onsager’s Reciprocity.”
・W. I. Goldburg et al. PRL, 87(2001), pp.245502-1-4, “Fluctuation and Dissipation in
Liquid Crystal Convection.”
生命複雑システム基礎
82
2-6.エネルギーの散逸と安定性
(1)閉鎖系の振り子(理想振り子)
“摩擦は空気との衝突のみ”とする。
x
減衰
l
x
t
生命複雑システム基礎
40
83
これを今断熱容器に入れる。
初期
T
T1 = T + T
(温度上昇)
t→
i)分子の平均運動エネルギー
~kB
ii)振り子 → マクロな
力学エネルギー
iii)自由度1の局在したエネルギー
(エネルギーの不均一化)
i)平均エネルギー
~ kB
ii)ミクロな力学エネルギー
(熱力学エネルギー)
iii)無限自由度への分配
生命複雑システム基礎
84
エネルギー
波数
q
q
振り子の全エネルギー(位置+運動エネルギー)がミクロな
大自由度に分配される。熱力学エネルギーへの散逸。もう
一度マクロなエネルギーに集中させることはできない。
(すなわち「覆水盆に返らず」)
→ 不可逆過程
生命複雑システム基礎
41
85
これを「散逸の不可逆性」と呼ぶ。
振り子で使えるエネルギー:F=U-TS は
・自由度を1とすると S=0
F=U :全エネルギーが使用可
・全自由度に分配すると S→大
F=U-TS → 0 程度にSはなる。
UとTSが釣り合って平衡に達する。
すなわち、
平衡系は できるだけ小さなU となる傾向を示す。
できるだけ大きなS
(エントロピー最大の法則)
生命複雑システム基礎
86
体系の進む方向
安定度の増大(力学的安定性の要求)
Uの減少
自由度の増大(熱力学的安定性の要求)
Sの増大
i)秩序を生む : (1),(2)が共に減少 (U→大、S→小)
例:積み木、ジグソーパズルを組み立てる。
・限られた組み合わせ
・難しい
ii)無秩序 : 無数の方法あり
S→小
U→大
S→大
組み立てるより壊す・・・はるかに容易
U→小
(1),(2)共に増大(U → 小、S → 大)
生命複雑システム基礎
42
87
(2)非平衡開放系
例:Rayleigh-Benard(熱)対流系
熱浴2
T
heat
flux
系
対流
T+T
熱浴1
制御パラメータ:T → 上昇させるとある波数qcを持った対流が生じる。
生命複雑システム基礎
88
増
力
q = qc → マクロの粘性
散逸の発生
力学的安定性
安定性の
交替
均一状態(q = 0)
→ 散逸はミクロ
不安定化力
減
エントロピー力
(散逸力:安定化力)
Tc
熱流
(熱力学的)
エネルギーが全
自由度へ分配
T
Tc
粒子流
T
力学的エネルギーが qc に集中した規則運動
→ 逆分布に伴う力学的力(浮力)が
熱力学的安定力(熱拡散)を上回る。
→ 構造の発生
生命複雑システム基礎
43
89
2-7.RB対流における熱力学的・力学的安定性
z
(1)熱力学的安定性
T
d
d
Td
_
T
z
y
d
x
0

_0
T0=T + T
T=T+
u = ( u, u, w )
(x, y

Td
_

 =  – zz (平均温度変化)
 = - dT
= - T > 0
dz
成分の区別はできな
い。)
d
P( S )    J X  dV  0
エントロピー生成
(2.7.1)

生命複雑システム基礎
90
P S  


T 1 
u  p
     w   
Cv 

X
-J
X
J X
 

   
2

:熱拡散率
 Cv

   w dV  0

 dV

J
ここで、
: 熱伝導率
Cv: 比熱
: 密度
(2.7.2)
水平面内で平均すると、 熱力学的に安定な条件は


d
0
  2    w  dz  0


diS
(エントロピー生成)
(2.7.3)
deS
(wによって輸送されるエントロピー)
となる。
生命複雑システム基礎
44
91
(2)流体力学的安定性(力学的要請)
(全運動エネルギー過剰生成)
単位時間あたりの生成(生成率)は
Ekinetic = (粘性散逸によって流体が失う運動エネルギー)
+(浮力によって流体に供給される運動エネルギー(z方向のみ)) < 0
となることが安定条件として要請される。
すなわち、条件は

d
0
 u
u i, j 
2
i, j
ui
x j

:動粘性係数
 g  w dz  0
g  w  g   w
( 
thermal expansion
< >:水平面内での平均操作
(重力による運動エネルギー)
生命複雑システム基礎
92
(3)RB対流セルのサイズの定性的議論
T
w
T + 
全てが均一に上昇することはできない
(連続の式からの要請:圧縮を要求する)
対称性の破れを伴う
u = ( u, v, w )のうちwの揺らぎが対流を作るので
wを中心に議論
( u, v, w
揺らぎ )
45
生命複雑システム基礎
93
shear dissipation に関与する shear rate は、
xw ,
z
w
z u
u
である。
x
しかし、
xw
qxwのオーダーでqxが小さいと寄与は小さい。
(qx→大では大きい)
z u
u
のオーダーで一定
d
z w
w
のオーダーで一定
d
生命複雑システム基礎
94
今、連続の式: xu + zw = 0より
 xu ~ zw
である。
w
w
 q xu ~
u ~
d
qx d
これより、shear dissipation に関する shear velocity は、
 zu ~
u
w
~
d
qx d 2
qxが小さいほど重要な寄与
そこで、この shear velocity による単位面積あたりのenergy
dissipation rate d は、
(すなわちエントロピー生成率)
 
qxが大きいほど小さい
d    z 2u u
~
w2
2
d 3q x
~12
(qx → 小で重要)
qx
生命複雑システム基礎
46
95
(補)
e 
 v 
1
de
 mv 
mv 2 
2
dt
 t 
v
  2 v
t
(NS equation)
v
 e  mv
t
~

v
v
t
~
 2 v  v
生命複雑システム基礎
96
一方、qx → 大のところの shear dissipation rate は、qxの大き
いところでは、  zu → 一定で、 xwが重要な寄与をする。
その shear velocity による単位散逸エネルギー(エントロピー)生成は、
d ~ ( x2w)w
d
連続の式より、(w = qx・d・u)
qx-2
~ (qx4 d2 u2 )
~ qx4
を得る。
すなわち、
Tc
qx → 小では  zu (水平流shear)
qx4
qc
qx → 大では  xw (垂直流shear)
qx
生命複雑システム基礎
47
97
また、粘性による散逸エネルギーdは低波数(qx→小)では、 qx-2に比例し、
高波数(qx→大)ではqx4に比例する。
これが、各波数における臨界Rayleigh数に反映される。すなわち
エントロピー生成最小となっている。
d
qx-2
Tc
qx4
qc
qx
生命複雑システム基礎
98
今、ここで、フーリエの式から、θとwの関係をみよう。

T
 v  T    2T
t
を線形化(に対し)すると、温度揺らぎによる heat flux は
d
   2   w
t
定常では

q ~ d 1
=0
よって、 
 2
q

w 
d2

w
この関係式は後で使用
生命複雑システム基礎
48
99
(4)Rayleigh 数 Ra と Prandle 数 Prの物理的意味
qx~dの近傍を考える。系内に温度、速度揺らぎが生じたとする。
安定性のところでも述べたように、浮力によって流体に供給される
energy rate b は、
b ~ gw = gw
である。熱力学的安定性の要請より、定常では、

  2   w  0
t
なので、前頁の関係
~
d2

w
の使用によって、
 b ~ g 
となる。
d2

w2
生命複雑システム基礎
100
一方、粘性によって散逸されるenergy rate は、
 
    z 2u u
 2
d2
u
これらの平均は、
 b  g
 

d2
d2

u2
 w2
w → z方向の流れのゆらぎ
(gが唯一効く)
u → 横方向の流れのゆらぎ
(熱がたまらないように解消)
である。
生命複雑システム基礎
49
101
今、この比を取ると、
b


連続の式より qx
gd 4 w2
 u 2
~ d -1 では w ~ u


gd 4

Rayleigh数は、
Ra 
gd 4

T
で定義される。すなわち、
=
浮力によって流体に与えられるエネルギー率
粘性散逸によって消耗されるエネルギー率
という物理的意味をもつ
102
一方、Prandle 数 Pr は、
Pr 
 

 
2
   d 2 :熱揺らぎの特性時間

 
Pr
d2
 2
大
小
:速度(粘性)揺らぎの特性時間
:熱(温度)揺らぎの成長
:速度揺らぎの成長
Prによって不安定モードが異なる。
50
103
以上のように、熱力学的要請、力学的要請の双方から
「熱拡散は大きなスケールの流れの揺らぎを安定化し、
粘性散逸は小さなスケールの流れの揺らぎを安定化させる」
と言える。すなわち、
「熱拡散は小さなスケールの流れを成長させ、粘性散逸は大
きなスケールの流れを成長させる」と言える。
両者の競合からパターンの波数が決まる。つまり、熱力学的
議論から熱対流の諸量(閾値etc)が決まる。
今、見てきたように熱力学的にはエントロピー生成最小の原
理から対流パターンが選ばれることがわかる。
生命複雑システム基礎
51
112
第3章 分岐と振動
3-1.はじめに
M
オイラーの柱
垂直に立てられたプラスチックの板に自由
にスライドできる重りがつけられている
d
d → 大とすると重りによって
板はだけ曲がる。
そのとき板に働くトルクは、
-  d 

とすると、ニュートンの方程式は、
Mgsin
Mg
Md 2       M gd sin 
(: 減衰係数)
である。
生命複雑システム基礎
113
慣性項 Md 2 を十分小さい
Md 2  
とすると、
M gd

    
sin 


定常(  0 )では
 
M g

d sin  
d
sin 
D


D   

M g 

で与えられる。
生命複雑システム基礎
52
114

d

D
sin 
 1 :解なし
 1 :解あり
sin    
1 3

6


d
1 2 
   0
1   
D  6 D 

1
より、
  0,    6d  D 
dc = D とすると、
d / dc
   6d  d c 
生命複雑システム基礎
115

すなわち、


-
d
dcのところでか –に
分かれる。
c
d
dc
-
完全分岐と呼ぶ
生命複雑システム基礎
53
116

もし、初期に傾いている場合


d

d
小さな初期対称性の破れ

 
-

d
不 完 全 分 岐
生命複雑システム基礎
117
3.2.分岐の種類と分類
(1)熊手分岐と特異性
今、一変数系を考える。
dx
 f  x,     x 3  x
dt
この系は、 によって、その状態を制御できる。定常解は、f (x, ) = 0 より、
-xs3 + xs = 0
xs0 = 0
← 自明解
xs± = ±√

また、ここで
dx
d
 f  x,     U ( x )
dx
dt
1
1
U ( x )   x 2  x 4
2
4
生命複雑システム基
礎
である。
54
118
xs± は、 = 0 の時に、 xs0 と一致する。
xs
特異点
xs+
 < 0 : globally stable
安定
xs0
安定
ε>0:locally stable
不安定

安定
xs- x0 xs+
xsこれを熊手分岐(pitch-fork bifurcation)という。
(あるいは正分岐:supercritical bifurcation)

> 0 : locally stable
(xs±は局所的に安
定な解)
生命複雑システム基礎
119
次の例を見てみよう。
dx
  2 x 2 
dt
0
 x2  
は別のコントロールパラメータである。この定常解は、
-x2 +  = 0, xs± = ±√

となる。同様にして、このときポテンシャルは
1
U ( x)   x  x 3
3
生命複雑システム基礎
55
120
1
U ( x)   x  x 3
3
(<0ではxsは存在しない)
虚数解(subcritical)
xs
U (x)
安定
xs+
> 0
xs+
虚数解
x
xs-

xs-
不安定
生命複雑システム基礎
121
(2)不完全分岐
dx
   x 
dt
2 x 2
 x3
とすると、
dx
  x 
dt
2 x 2
 x3  0
x1 
1
x2    2
2

2 2

 4 

(= 0, x2 = 2 , 0 )
x
2 2
2
2 2
4

生命複雑システム基礎
56
122
2 > 0 のとき transcritical pitchfork
2 < 0 のとき hysterisis pitchfork 分岐
x
x



2
23

x
27

x

生命複雑システム基礎
123
(3)分岐の種類とまとめ(より高次を考えた場合)
dx
  x   x 3  x 5  A0
dt
    i
xs
(a) > 0, > 0, A0 = 0
正分岐
(normal bifurcation)
(b)
(a)

c
(b) < 0, > 0, A0 = 0
逆分岐
(inverted bifurcation)
生命複雑システム基礎
57
124
xs
(c) > 0, > 0, A0  0
・トランスクリティカル分岐
( A0 < 0 )
・ヒステリシス分岐
( A0 > 0 )
(c)

A0
生命複雑システム基礎
125
(d) ソフトモード・ハードモード
 : 実数
0
静止解の発生
 : 複素数   0
振動解の発生
’ = ・ 
 ’ + i 

growth rate

分岐点

ハードモード
(ホップ(Hopf)分岐)

(a)ソフトモード
(b)ソフトモード
(セントラルモード型)
生命複雑システム基礎
58
126
(4)空間微分項のあるダイナミックスとパターン形成(まと
め)
a) Type I
.
x = x + 2x – bx3
(b|x|2x)
実空間 coupling
= ( + 2) x – bx3
実数:stationary solution
(静止空間パターン)
Im= =0
Re = 0  
qc = 0
複素数:oscillatory
0, qc = 0
Re ==( + 2) =( -q2)=0 (中立安定)
生命複雑システム基礎
127

xq
qc
q1
qc= 0
q2
q1
q2

q
 <0
 =0
-bx3の存在
(1)飽和効果(これのみではない)
(2)モード選択が働く → 新しい過渡的な不安定やパターン選択が生まれる
(Eckhausモードなど)
・弾性緩和
・欠陥
生命複雑システム基礎
59
128
例えば x → x0 + x
. .
緑は全て揺らぎのモード
.
x = x0 + x
x = x0 + x
2x = -q2x0 + 2x
|x|2x = |x0|2x0 + 2|x0|2x + x02x* + 0(x2, x3)
|x|2x = (x0 + x) (x0 + x)* (x0 + x)
 |x0|2x0 + 2|x0|2x + x02x*
.
x = ( +2) x – b|x|2x
生命複雑システム基礎
129
.
基本モード x0 = (  – q2 ) x0 – b|x0|2x0
定常: |x0|2 =
1
( – q2 )
b
緑の部分(揺らぎのモード)を足すと、
.
x = x + 2x – 2b|x0|2x + bx02x*
揺らぎモードxについては、そのgrowth rate(線形)が
.
x = (  2b|x0|2 + 2) x
|x0|2に依存する。
(基本モードqの成長に伴ってxの安定性が変わる) →
後に述べる、エクハスなどの二次分岐現象
x =  xneiqnr
n
x0 + x
基本モード
その他のモード(揺らぎ)
生命複雑システム基礎
60
130
(b)Type II
.
x = -2 {(  + 2 ) x – bx3} (スピノダル)
Re
= - q2(q2 – )
qm 
√
 xdr         xbx  dr
2
2
3
qm
0
すなわち、全空間ではxの変化の総量は
保存されねばならない。
 <0
+x
長距離相関が発生し、局所的な
独立変化はできない。
 >0
q
 =0
打ち消される
-x
生命複雑システム基礎
131
(c)Type III (Swift-Hohenberg eq. )
.
x = {  ( 1 + 2 )2 } x – bx3
 =Re
非常に複雑なダイナミックスを導く
(Busse diagram)
対流系などに相当
( x → 対流速度 )
i) Im =  = 0
qc 0
 >0
q
qc
ii)  0, qc 0
(Oscillatory)
 =0
 <0
生命複雑システム基礎
61
132
(d)Type IV
(Nikolaevskii eq.)
.
x = -2 {
( 1 + 2 )2 } x – b (x )2
Goldstone mode の存在
カオスの発生(具体例は後述)
Re
 >0
q
qc
 =0
 <0
生命複雑システム基礎
133
F=
U
Fixed Points
x
Fixed Points
U
x

1
安定性の交替
例:相転移
:化学ポテンシャル
2
C
62
生命複雑システム基礎
134
構造不安定
L.C.がF.P.に変わる
例えばl.c.に摂動
x
例えば の周りで軌道に摂動
x
生命複雑システム基礎
135
局所解析と大域的解析
局所的解析だけでは分からないことがある。
大域的に見ると実は
生命複雑システム基礎
63
136
3-3. 単振り子の振動と分岐
(1)線形振り子
線形

a
線形システム
A = a
l

非線形

linear response
( = const )
d2
慣性力( FI ) = 質量×加速度 = ml
dt2
復元力( Fr ) = - mgsin
FI

Fr
A
(3.3.2)
(3.3.3)
ニュートンの第二法則 FI = Fr より
d2
(3.3.4)
ml dt2 = - mgsin
mg
再び振り子を考える。
生命複雑システムの基礎
137
d2
+ 2 sin= 0
dt2
---(3.3.5)
 
線形化 sin    
3
3!

 振動数
周期
g
l
 
2
 2

5
5!

g 重力加速度
m 質量
l
g
(3.3.6)
 
d2
dt2
特徴
+ 2= 0 : 線形方程式
(3.3.7)
(1)周期は振幅によらず一定
(2)振幅は一意的には決まらない
非線形ではこれらは
成り立たない
振り上げた位置による
生命複雑システムの基礎
64
138
d
を乗じる
dt
(解) 両辺に
 
2
d 2 d
d
1 d  d 
1
d 2


  2 


   2
dt
2 dt  dt 
2
dt
dt 2 dt
t で積分
1
2
2
 d 
1
  C1    2 2  C2

2
 dt 
 d
 
 dt
運動エネルギー
2

   2 2  k 2


  2 A2   2


d
dt
A
1
 
d
 
2
2

k2 = ( C2 - C1 )
A2 =
A2  
 
振幅に相当するが、k が任意の
積分定数なので任意
2
  dt

  t  
A
   A cos  t   
cos
k2
2
(3.3.8)
生命複雑システムの基礎
139
付記
非線形の直観的表現(正確なものではない)
ml
 2 4

d 2
 mg sin    mg 1  
 
2
dt
3! 5!




2 4

 
g   g 1 


3!
5!





 g 1 
故に
 
g

l
g
l
g’
 2 
3! 
2

1   

3! 

--(3.3.9)
 ’ () と振幅に依存 (振幅
が大きくなると周期が長くなる)
65
生命複雑システムの基礎
140
3.4.非線形振動子
(1)保存系(振り子の厳密解)
U
d 
  sin   0
dt 2
2
1  d 2
2
2  dt 2

 d 
d d
cos    0

   0 2
dt d
 dt 

202
2
1 d  d 
2 d
cos  0

  0
dt
2 dt  dt 
0
2
1  d 
2
d
   0 d cos
2   dt  
0
2π
θ
2
1  d 
2

   0 cos  C 
2  dt 
C’ : 積分定数
全エネルギー
2
1  d 
2

   0 1  cos   C
2  dt 
----(3.3.10)
(C = C’ +02 ) とおく
ーU : 単振り子のポテンシャルエネルギー
K : 運動エネル
ギー
生命複雑システムの基礎
141
全エネルギー
C  K U 
1
2
2
 d 

   0 2 1  cos  
 dt 



cos   cos 
2
2
2
 d 

2

  4 0 sin 2  2C
2
 dt 


 4 0 2  k 2  sin 2 
2

ここで k 2 
---(3.3.12)
 cos
2

2
2
である。
 2 sin
2

2



 sin
 1  2 sin
C
2 0
(3.3.11)
2

2

2
2
 1  cos 
このような振動はk2の値によっ
て3つの場合が存在する。
生命複雑システムの基礎
66
142
i) k2 < 1 の場合 → 振動運動
ii) k2 = 1 の場合 → 特別な運動
U
∞の時間をかけて
逆立ちする
U
202
202
0
t=∞
0



iii) k2 > 1 の場合 → 回転運動: は単純に増加
U
202


0
分岐

生命複雑システムの基礎
143
i)振動の場合 C < 202 ( k2 < 1 )
全エネルギーCが202より小なので、ポテンシャルの極大値
202を越せない。
U
202
0
 d

 dt



2



 4 02  k 2  sin 2 
2

(3.3.12)
生命複雑システムの基礎
67
144
のふれは
k 2  sin 2

から、最大のふれが k 2
2
0 <  < 0 まで変化するとき、0から
sin

2

2
 sin 2
2
として決まる。
まで変化する変数を  とすると、
0のときにk このとき 
 k sin 
0
0のときに0


2
このとき= 0
を導入すると、微分は
1

cos d   k cos  d 
2
2
2 k cos 
d 
d
cos 2
2 k cos 

cos 2

d
1  k 2 sin 2 
(A)
 1  k 2 sin 2 
2
 1
sin 2

2
sin 
2
k2 
 sin 2 
sin 2

2
sin 
2
生命複雑システムの基礎
145
一方、(3.3.12)は1/2乗すると

d
1

 2 0 k  1  2 sin 2 
dt
k
2

12
sin 2  
 2 0 k cos 
sin  
なので
2 k cos 
d 
1  k 2 sin 2 



0

1
sin
k
2
d   2 0 k cos  dt
d
1  k sin 
2

1
sin 2
2
k2
2

  dt
t
0
0



が 0 t は 0 ( の 2 だけ 
2
2
4
生命複雑システムの基礎
68
146


d

0
2
1  k sin
2
2




4
 0 dt 
0
 0
4
K(k):第一種の完全楕円積分
k = sin
0 = 20°
0
2
0 : 最大振れ角
  0

4
0 = 80°
l
K k  0
g

周期は長くなる
生命複雑システムの基礎
147
ii)特別な場合(振り子の逆立ち)
C = 202
(全力学エネルギーCがポテンシャルの山に等しい)
k2 = 1なので、
2 0t 
 sin

2


0
d
cos
 

 log
2
1  sin

1  sin

2
2
 tanh  0 t
t ±で  ±

すなわち振り子は
逆立ちする。
0
t

生命複雑システムの基礎
69
148
iii)回転する場合
C > 202
振動運動から回転運動への遷移が生じる。
k2 > 1
楕円関数の母数になれない。
そこで、
 d

 dt
2


 
  4 02 k 2  1  k  2 sin 2 
2



k -2 < 1 なので、 sin 2  z  sin 
とおくと、前と同様にして
 0 kt 


d
1  k  2 sin
0

 
 ,
   0 
2 

 0 k
2
sin
2

ヤコビの楕円関数



t   0 
2 

1
   
k 


1
 sn   0 kt ,

2
k 

cn 
1  sn 2
dn 
1  k 2 sn 2
生命複雑システムの基礎
149
上のi)の場合の近似解
振れ角が小さい場合の周期の近似式を求めると、が小さい
と、 k2≪1 なので、
 0
4



0
2
1
d
1  k
2
sin
2




0
2

1
d  1 
k
2

2
sin
2
 
3
8
k
4
sin
4
 
5
16
k
6
sin
6


  
積分を実行すると周期 は、
  2

l 
 02 
 02 
1 
 0  1 

16 
16 
g 




0 

3
のとき
  0 1 . 063

生命複雑システムの基礎
70
150
iv)まとめ
発散

0
 
k2 < 1

 4
l
g
  k 
0

---(3.3.13)
 0 : 最大振れ角
1.18
1
90°
°

往復運動から回転運動への分岐点
回転
k2 > 1
180°
回転運動になると右回り(+)と左回
り(-)の2つのモードがある。
→ 双安定である。
生命複雑システムの基礎
151
振り子
運動
回転
運動
+
往復運動
(右)
分岐
-
(左) まわり
生命複雑システムの基礎
71
152
(2)減衰項と外力項の存在
(散逸が存在する場合:カオスの発生):Duffin equation
強制振動外力()下での振り子の運動
ml    l   mg sin   A cos  0 t
k
 
m
l
g
0  
A
a 
mg
2
t
,
,
l
g
l

A cos 0t
g
l

t
mg
     sin   a cos  0 t
d 2
d
g


dt 2
dt
l
減衰
sin    

3
  
6


  cos  0 t

弱線形
3
--(3.3.14)
カオス
(Japanese attractor)
外力
弱線形
6
カオスは、次のような条件で観測される
  0 . 22 ,
1
 
0  1 ,
 0  0 . 65 ,
,
15
a  2 .7
カオス
カオス
a  0 . 73
生命複雑システムの基礎
153
(3)振り子の散逸現象
強制振動外力()下での振り子の運動
ml    l   mg sin   A cos  0 t
k
 
m
0  
a 
,
l
g
l
g
,
t 
mg
2
外力
マクロな
力学運動

A cos 0t

     sin   a cos  0 t
Ws
l
A
g
l
Wdis
t
ミクロな熱運動
mg
  x
x   sin  a cos0t
t 1
生命複雑システムの基礎
72
154
平均エネルギー散逸速度Wdis(平均消費電力)は外からの
平均エネルギー供給速度Ws (平均供給電力) と釣り合う。
W
dis
 lim
t 
 W
s
1
t

t
0
 lim
t 
  2 dt
1
t

t
0
a  cos  0 t dt
瞬時電力に相当
 e ext  i
次に述べるように、これが平均エントロピー生成である。
生命複雑システムの基礎
155
エネルギー散逸率 Wdis
W
dis

    

 ddt
: 摩擦に抗して系が単位時間
あたりになす仕事


   2  2    ,  


摩擦力
ここで、( ) は散逸関数と呼ばれる。
( 摩擦力 )      


 

;
 
1 2

2

摩擦 による発熱率 Q =Wdis → エントロピー 生成率S は、
W
Q
S 
 dis


で与えられる。
生命複雑システムの基礎
73
156
W dis  lim
t 
 lim
t 
d
1 t
1 t
W dis dt  lim   
dt
t 0
t 0
dt
1 t 
 d
t 0


周期 0
(i)
limit cycle を持てば周期で平均でき、


W dis
0
  d 
e  iR
limit cycle で囲まれた面積
 ( e )
(動的秩序度)
1
1
熱浴
熱浴
系
散逸エネルギー 1: 静的な自由エネルギーと同じ形式的表記(U=1/(2χ)M2)で
あるが、動的な流れであり異なる。ここでは秩序度。
生命複雑システムの基礎
157
(4) Van der Pol equation
Van der Pol equation (摩擦係数が に依存する)
→神経や膜の興奮の基礎方程式
キルヒホッフの法則(Kirchhoff’s law)
i  i R  iC  i L
f v  E
i 
iR
iC
iL

 0
ダイオードは非線形
v
R
 C


1
L
iL
d v
dt

iC
L
v dt
iR
C
+
i
R
v
E
+
-
各電流の総和はゼロ(キルヒホッフの電流則)より
f v  E

v
R
 C
d v
dt

1
L

v dt
 0
生命複雑システムの基礎
74
158
d dt とすると、
d v
2
d
v
2
dt

2
0
1

d
2
d
d
dt
R
   0t
v
2
2

dt
 C
d
 1
1
1
 d v
f   v  E 
 


v  0
C
LC
 CR
 dt
,
LC
1 d v
2
v
1

v  0
L
dt 2
 1
 d v
d 2 v
1
C
 
 f   v  E 

v  0
L
 R
 dt
dt 2
 f  v  E
dt
v
2
として   t とすると、

 d v
L  1
 f 
 v  0

C  R
 d 

 d v
L  1
 f 
 v  0

C  R
 dt
生命複雑システムの基礎
159
v  E 
 1 


f v  
v 
E
3K
2
2

  i0

v  v  E (原点移動)
f v  E

1 
 1 

 

v2
3K
2

 v

1 
v 2 
1 

K 2 
f   
 

とすると、
d2 v
dt
2
L 1
R v2
1  

 1 



C
R 
 R   K 2


 d v
 v  0

 dt
 とおく
x 
d 2x
dt
2
R
v
R   k

  1  x2
とおくと、
 dxdt
 x  0
Lが非線形(鉄心入り)だと一般に g (x):非線形
(van der Pol)
非線形挙動を知るためには振幅方程式を導く必要あり
75
生命複雑システムの基礎
160
3-5.引き込み現象
共鳴現象
i

l
線形現象
外力を → 0
にすると、振幅が発散する.
外力を固有振動数
に一致させる.
m
+
q -
C
L
di
1

dt
C
q  i
L
発散を抑える
(非線形)
L
d 2q
dt
q 
2

1
LC
 i dt
1
C
 0
q  0
q  0
非線形では引き込み現象:線形では起こらない
2
0
引き込み現象とは何か.
ホイヘンス(Huygens:17世紀)
entrainment
(引き込み)
synchronization (同期:相互引き込み) 風邪をひいて寝ていたときの発見
生命複雑システムの基礎
161
ホタルの引き込み
ホタルの集団の
スパイラル点滅
ホタルの集団の点滅引き込み
(南太平洋の島:NHK-TV番組)
生命複雑システムの基礎
76
162
メトロノーム
引き込まない場合
(机の上の設置)
逆相引き込み
同相引き込み
生命複雑システムの基礎
163
引き込み(同期現象)は、1つの振動子では起こらない。2つ
以上が必要。そこで、1つの振動子のみに外力を加えること
にする。
2
d
dt
x
2

  1  x
2
 dxdt
 x 
f 0 sin  t
van der Pol .... 0 = 1 の振動数を持つ
(3.5.1)
0 : 自励振動
 : 強制振動
非線形摩擦は小さい(≪ 1) とする。
このときの解を
x 
A ( t ) sin  t   t

(3.5.2)
とおいてみよう。A (t), (t)は時間とともにゆっくり変化するもので、
0 との差による。
生命複雑システムの基礎
77
164
(1) に (2) を代入して、sin t, cos t の係数を 0 とおくと、

 sin
t 

 cos
=0
dA
dt
d
A
1 
2 

1  

dt
=0
 


 A  f 0 sin 

2

2
4
2
f0

2
.
t  0
2 A
(3.5.3)
cos 
.
.
. .. ..
ただし、, |A|, || は微少量なので、2次以上は。
A, , A,  → 0 とした。
生命複雑システムの基礎
165
dA
(3.5.3)----
 

dt
d
2 

1  

dt
A
1 
2
4
2

2

 A  f 0 sin 

2

f0
2 A
 0        t
cos 
この方程式(3.5.3)の挙動はゆっくりとしている。例えば、1周まわるごとに変化する量: A(t),  (t)
y
(t)
A(t)

(t)
x
このDynamicsを記述するのが
定常状態
dA
dt

d
dt
A(t)
振幅方程式
である。これを情報の縮約という。
位相方程式
 を考える。系は
0
に引き込まれるので、(3)から
の項を消去する。
生命複雑システムの基礎
78
166
2
sin 

cos 

 cos
2
f0

f0
 
2 

2
2
 
2

  1 
2

1  A

4

4
2
2

f02




2
A
1 
2 A   1  
f0 
2

  sin
2

2

A






2

1  A

4

2
A
2

  1   
  
 





2
2
 A
2




2
1  




2

1  A

4





2
2
A




2


A


A 2

1  




2
f02
2




2
2
2
これは、引き込み時の①振幅 A を外力の振動数と強度f0の
関数として決めることになる。
生命複雑システムの基礎
167
・引き込みが起こる条件: d  0
dt
・
d
dt
 0 が起こる条件:
f0
2 A
2
≧ 1
2
d
引き込みは、(3)の第二式で、ある位相で必ず
dt
0 と
ならなければならないので、これが任意のある に対して
必ず生じるためには cos の係数
大きくならねばならない。
f0
2 A

f0
A

1  
2
が 1   より
f0
2 A
2
2
 0
2
 1  
2


2
0
 
 
2
2
 2 

 0  1 より
Δωは正負があるので、
生命複雑システムの基礎
79
168
故に

1 f0
1 f0
  

2 A
2 A
  0

  0
 

1 f0
2 A
1 f0
2 A
と書ける。外力の振幅 f0 が大きいほど引き込み領域が広い
引き込みが起こるのは非線形性によって、自励振動数が
振幅に依存するためである。
(3.5.3)が生じるため!
引き込みに対する別のアプローチ(どのように挙動
するかについて)は別項へ
生命複雑システムの基礎
169
最近の話題
自然の2面性(階層性)
(1)ミクロな可逆性
(2)マクロな非可逆性
記憶の保持:Onsagerの相反定理
喪失
輸送係数
カオスの2面性(階層性)
(1)短時間(short time scale) ・・・・・・ 決定論的で予測可能
(折りたたみの前まで)
(2)長時間(long time scale) ・・・・・・ 決定論的ではあるが、
(折りたたみ後)
予測不可能
軌道不安定性による。
(個々のカオス軌道は解析的にも数値的にも決定不可能で、
実験的に再現不可能)
結局
輸送現象 → エネルギー散逸 → エントロピー生成
生命複雑システムの基礎
80
171
実験方法
遺伝子組み換えシロイヌナズナ
■ 計測システム
Luciferase Bioluminescence Technology
CCA1::LUC
VIM
Camera
controller
computer
ルシフェラーゼ発光
ルシフェリン
clock protein
trans.factor
未切断個体
promoter
CCA1::LUC
ルシフェラーゼ発光 ∝ 時計遺伝子の発現量
切除葉
ルシフェラーゼ
clock gene
dark room, 22℃
■ 生育条件
・培地:MS medium 2% (w/v) sucrose
・光条件:white light 80μmol m-2 s-1、連続明
・22℃
・生育期間:20日間
10 mm
10 mm
生命複雑システム基礎
172
172
実験結果
■ 切除葉
■ 未切断個体
C
A
D
B
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
whole
A
B
under DD
0
24
48
72
96
120
CCA1::LUC
normalized
bioluminescence
normalized
bioluminescence
CCA1::LUC
1.6
1.4
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
under DD
0
24
48
72
96
whole
C
D
120
time (h)
time (h)
生命複雑システム基礎
81
173
A
B
10 mm
0
24
normalized
bioluminescence
1.6
1.4
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
(d)
C
D
5 mm
whole
A
B
48
72
96
time (h)
(e)
0
24
48
72
96
time (h)
7
6
5
4
3
2
1
0
1500
120
whole
C
D
Ⅰ
Ⅱ
number of organs
(b)
number of pixels
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
normalized
bioluminescence
(a)
(c)
*
*
20 24 28 32 36 40
period (h)
(f)
1000
500
120
0
20
24
28
32
36
period (h)
生命複雑システム基礎
174
位相の解析
normalized
bioluminescence
Bioluminescence of
detached leaf
1.6
1.4
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
φ=2π
φ=0
φ=4π
CCA1::LUC
0
24
5 mm
48
72
time (h)
phase φ
2π
■ 位相の定義
 (t )  2
π
t  k
 k 1   k
 k : time of kth peak ( k  t   k 1 )
0
生命複雑システム基礎
82
175
位相波
切除葉
2

35
36
38
37

0
5 mm
未切除葉
88
89
91
90
2


0
5 mm
生命複雑システム基礎
176
位相波
切除葉
2π
phase φ
π
0
未切除葉
・未切除葉、切除葉ともに、位相波が観測された。
・位相波は特定の部位から発生していない。
→特別なペースメーカー組織は無い
・位相波の伝播速度: 3 mm/h(~物質拡散速度)
生命複雑システム基礎
83
177
スパイラル波
2
(a)

56
58
60
5 mm
(b)
AB
0
5 mm
2π

y 10

0
(c)
切除葉
A
B
π
20

2

(d)
300
A
B
200
100
0
0
5
10
15
20
25
y
生命複雑システム基礎
178
葉の時計細胞集団の同期率
複素平面
■ 同期率の定義
R(t )ei (t ) 
1
N
R
N
 e i k
φk
0
k 1
Normal wave
2π
phase φ
π
1
0
N=5
0.8
同期率 R
0
amplitude (a.u.)
0
400
0.6
0.4
Spiral wave
0.2
0
0
1
2
3
4
5
time (h) / 24 h
生命複雑システム基礎
84
179
数理モデルの構築
植物の生物時計システム
葉脈
概日リズム
抑制
転写因子
活性化
プロモーター
時計タンパク質
転写・翻訳
時計遺伝子
葉脈(維管束)ネットワーク
①原形質連絡
Active cell
表皮細胞、葉肉細胞
local coupling
細胞壁
細胞
②アポプラスト
Inactive cell
葉脈(維管束)細胞
long-range coupling
③葉脈(維管束)
生命複雑システム基礎
85
180
3-6.確率共鳴現象
3-6-1.はじめに
(1)確率共鳴とは何か
確率共鳴:非線形系の特異な共鳴現象
ミランコビッチサイクル:氷河期-間氷期の説明に使われる(1982)
。
確率同期現象(雑音誘起引き込み現象:2000);新しい引き込み現象の発見
Y:アドミタンス
古典的な共鳴:線形共鳴

L
C
Z
R

c
生命複雑システム基礎
181
*閾値を持つ非線形に雑音と一定の周期信号を
入れると、ある雑音強度でSN比が最大となる現象
SNR:信号対雑音比
=10 log10
Ps
PN
SNR
-----(3.6.1)
応答のパワースペクトル
Ps:信号分のパワー
PN:雑音分のパワー
Q*N
QN
QN:雑音信号の振幅
<(t)> = 0 p(t):周期信号
<(t) (t’) > = 2QN2(t-t’)
p(t)
(t)
Ps
P
系
PN
出力
応答のパワースペクトル
86

生命複雑システム基礎
182
F.Moss etal:Int.J.Bif.Chaos, vol.4, No.6(1994)1383
一例
生命複雑システム基礎
183
(2)確率共鳴の発生とメカニズム
例えば、非線形 Langevin eq.
x  ax  bx 3  A sin  0 t    ( t )
----(3.6.2)
外力
システム
このポテンシャルU は、
U
x
1
1
----(3.6.3)
U   ax 2  bx 4  cx  U 0  cx
2
4
外力
x  
ここで、
c  A sin  0 t   ( t )  p ( t )   ( t )
----(3.6.4)
である。まず今、ξ(t)=0として周期信号のみを考えよう。
さらに簡単のために、c(t)=c として時間成分を考えない。
生命複雑システム基礎
87
184
(2)
(1) c = 0のとき(U=U
0)
c = cthのとき
U0
c = cth
U
U0
x
0
x  
U0  
a
x 
b
1
2
ax2 
1
4
0
x
a
b
dU
 c  ax  bx 3  0
dx
bx4
より、 cth  
4a3
27 b
生命複雑システム基礎
185
次にcが周期信号としよう
すなわち、U0に周期信号(ポテンシャルの変化を導く) Asin0t のAがCthより大きくなると、
U
U
U = U0
P(t) = A
t
B
x
x


  0 t 
2




(t=0)
U
P(t) = 0
P(t) = -A
U
x
x


3 
  0 t  2 


0t  

生命複雑システム基礎
88
186
すなわち
p(t)
周期外力
A= Cth
A
-A= -Cth
+B
B
-B
状態
状態は、外力が閾値を超えると、周期信号と同期して遷移する。
(ただし、遷移時間( transient time)は十分小さいとして無視した)
生命複雑システム基礎
187
U0に周期信号(ポテンシャルの変化を導く)p(t)=Asin0tのAがCthよりわず
かに小さいが、雑音ξ(t)が存在すると、
U0+p(t)
U0+p(t)
B
U
(t)
(t)
(t)
(t) = 0 ならば状態は変化しない
つまり、(t) のある瞬間の強度がバリアーより大きいと上図のように超えるこ
とができ、状態が移る。ある最適の平均強度 QN2 -これは U に相当すると
きに、最もp(t)に同期して遷移が生じる。これ以上の QN にすると、p(t)に同期
するのではなく、雑音(t) によって遷移が生じるようになる。
生命複雑システム基礎
89
188
わかりやすい説明
出力
しきい値
p
(t)
すなわち、
(t)
SNR
Q*N  U 1/2
QN
生命複雑システム基礎
189
3-6-2.その定性的数理
(1)平均ゼロクロス回数<ν> :平均生起回数
-Bという状態から+Bへの状態への遷移にしきい値が存在する。
(-Bではno-output、+Bでは1を出力するとする)
今、threshold  をゼロとする。
・へゼロを横切る時に
pulseが出力(状態遷移)されるとする。

=0:ゼロ
0
p(t) = Asin0t (0 = 2f0)
のときにはへcrossする回数
はf0 回/秒.
平均生起回数は周波数

<>=f0
t
生命複雑システム基礎
90
190
雑音の場合
平均周波数
<f>
P(f)

ゼロ

f
fc
f
0


 




0

f P ( f ) df 

fc

P ( f ) df

0

2
1
cut-off freq.
2
(分散のroot,
√分散
)

1


fc
fc
3

0
生命複雑システム基礎
191
しきい値が存在する場合
g (x)
今、雑音(t)の振幅分布がGaussianとすると、
ある有限の値以上の振幅の確率は、

2 

g (  )  g ( 0 ) exp  
2
 2  

2
 Q N2
で与えられる。

x
これよりも大の確率 g()


0:
g(0)
すなわち、しきい値をとすると、しきい値を越えて生起する率は、

となる。


g ()
g (0)

0

g ()
g (0)

fc
3


2 

exp  
2
3
 2 Q N 
fc
生命複雑システム基礎
91
192
(2)ランダムパルスの相関

x1
単安定的にへしきい値を越えると
pulseを出す。
B

このときの相関関数 (t)は、2つのパルスx1とx2との時間を遅らせた場合の重なりC(t)
で与えられるので、
C(t)

B22
B
x1
ただし、≪ <>0-1
≪ 0-1

-
x2
t
生命複雑システム基礎
193
したがって、周期分のない場合、これらのパルス(正のみのパ
ルス発生で平均生起数<>)がポアソン的のとき、相関は
 (t ) 
1
2
B 2
2

1  t 

t  
で与えられる。このパワースペクトルは
Pn ( f ) 
~

1
2
1
2
1
2
B 2
2
B 2
2
B 
2
2




 sin 

 





2
(ω 0では)

2
exp  
 2Q 2
3
N

fc
Pn()





低周波のみに興味がある (ω 0)
ω はτ-1のorder
興味があるのはω0のオーダーある
いは<ν>のオーダー
生命複雑システム基礎
92
194
(3)周期信号を加えてしきい値にmudulationが加わった場合
   0  A * sin  0 t
とする。このとき、出力の平均振幅<V>は、
 B 
V
 B
0 
A*

  2
exp 
 2Q 2
3
N

fc
 B
 1
exp 
2
3
 2 Q N
fc
として展開

0




 A * sin  0 t

2



1
1  cos 2t 
2
QN
B  f c  
A *2
 1 


4 Q N2
3 
*


   0A
 Q2

N


*2


 sin  t   A
0

 4Q 2
N




 cos 2  t 
0




生命複雑システム基礎
195
よって、振動分のPower spectrum Ps( f ) は、
Ps ( f ) 
B 2
2
3
fc
2

*
  0 A
 Q 2
N
 
2
*2


  ( )   A
0

 4Q 2
N


2

  ( 2
0



  20
)  exp  2

Q
 N





となる。今、SNR|formalを基本波成分0のみをPsとして採用すると、
SNR
formal
 10 log
 10 log
Ps
10
10
Pn
 2 f 2 A *2
0
c

 Q N4 3



 20
 exp  

 2 Q N2




SNR  Ps / Pn
生命複雑システム基礎
93
196
生命複雑システム基礎
197
BZ振動子
複雑な振動反応とパターンを呈する非平衡散逸構造
(振動する酸化-還元反応である。この反応の詳細は講義
にて述べる)
ルテニューム系
フェロイン系
(連続攪拌系(CSTR))
(シャーレへの展開系)
生命複雑システム基礎
94
198
化学振動子の引き込み
二つの振動子の位相引き込み
BZ反応のスパイラル
赤(還元)から青(白色:酸化)
への色変化に注目(スパイラル
に変わると振動数が高くなる)
生命複雑システム基礎
199
BZ反応化学振動子群の引き込み現象
生命複雑システム基礎
95
200
Definition of entrainment rate R
R
1
N
n
F
ij
・・・(2)
[Fig. 3.7] Entrainment in 2D Coupled
Lattice Oscillators with distance d
i, j
0 : non-entrainment
Fij 
R
1
Re
1 : entrainment

d D
0.17
0.5
i, j : nearest neighbor
d=1.0mm
0
d=1.3mm
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
d -D [mm]
D=0.9mm
生命複雑システム基礎
201
d=1.3mm
d=1.0mm
生命複雑システム基礎
96
2次元格子振動子系における引き込みと確率同期現象
202
・ 局所結合振動子集団における確率同期現象の解明。
・ 空間自由度を持つ系における確率同期現象の解明。(空間パターンで評価)
R
同期オーダーパラメータ
1
N
N
r
i j
ij
←(離散振動子系)
実験
(連続振動子系)
d=1.0mm
d=1.3mm
シミュレーション
ε=0
ε=5×10-2
ε=5×10-3
生命複雑システム基礎
203
BZ反応における確率同期 実験
Fukuda, Nagano and Kai, JPSJ, 72,(2003) 487
部分同期
完全同期
2π
4π
0
2π
-π
-2π
5000
0.4
0
10000
15000
5000
10000
15000
d=0.2mm
time [sec]
2D
非同期
0.3
同期率 R
⊿θ
π
4π
2π
0.2
0.1
0
0
5000
10000
0
15000
2
4
6
8
10
ノイズ強度 IN [mW/cm2]
12
生命複雑システム基礎
97
204
BZ振動子群の確率同期現象の応用
IN




A
1
2
N
・・・・・
OUT
N
OFF

IN
N
A

1
2
・・・・・
・・・・・
OUT
N
ON
noise
生命複雑システム基礎
205
乳腺細胞の発火(Caイオンの放出、収縮)
自然発火
強制発火(引き込み)
生命複雑システム基礎
98
206
振動現象と引き込み現象
振動する水銀心臓
メダカの受精卵の振動
(電気化学毛管現象)
実時間映像
(養分を均一分配するため?)
約100倍の高速映像
生命複雑システム基礎
207
化学反応に伴う界面波動現象
生命複雑システム基礎
99
208
生命複雑システム基礎
209
x(t)
自己相関関数:()
 (t * ) 

x ( t1 ) x ( t 2 )


x1
x1 x 2
x2

 
x 1 x 2 p ( x 1 , x 2 ) dx 1 dx
2
t1
 
t2
t*
結合確率:t1にx1とx1+dx1の間にあり、
かつt2にx2とx2+dx2の間にある確率
x (t ) x (t  t * )
上の場合、ポアソンなので、
 lim
 

 (t ) 
 x p( x)(1  t ) dx
1

2
0

2
 x ( t )x ( t
 t * ) dt

2
xの確率密度関数(ポアソン分布)
p( x) 
重なりの
xx
x!
exp(  x ) 
1
正のみ
2
x1とx2が同じ時間区間内にある確率(重なる確率)
生命複雑システム基礎
100
210
第4章 階層と情報の縮約
1.はじめに
不可逆性と時間反転対称性
階層と不可逆性
(1)時間反転対称性の成立
古典力学:運動方程式
F = m = mv・
(4.1)
:加速度
U:ポテンシャル
一般形
F = -grad U
d 2x
  grad U
dt 2
t → -t とすると、
d 2x
  grad U
dt 2
(4.2) :時間反転に対して不変
(エントロピー生成なし)
生命複雑システム基礎
211
L I
a rod with the
diameter L. ~ 5
cm
R  140

U  L

図1 静止から出発した円柱の後流のカルマン渦列形成過程(レイノルズ数
R = 140)〔電解沈殿法〕
生命複雑システム基礎
101
212
図A.2 パターンに見られる階層性の一例.上は九州の近海に見られる季節
風による巨大なカルマン渦.下はそこから見られるダイナミックスの階層性
の説明.スケールによって異なった運動が主役となっている.
生命複雑システム基礎
213
生命複雑システム基礎
102
214
生命複雑システム基礎
215
Intermission
蛸唐草の壺(古伊万里焼き)
江戸中期(1750年頃)
高:40cm 径:約30cm
大中小の様々な渦(これを蛸
唐草模様という)が描かれて
いる。乱流のカスケード過程
を想像させてくれる。どこから
ヒントを得てこの模様を描い
たのだろうか
生命複雑システム基礎
103
216
(2)時間反転対称性の破れ
i)化学反応
(4.3)
A + B → C
[A] = CA
[B] = CB
dC A
dC A
  k C AC B 
 k C AC B
dt
dt
(t   t )
(4.4)
ii)拡散方程式
C
 D  2C
t
D  0 ( Fick ' s eq .)
(4.5)
D  0 ( 破れる )
(4.6)
t → -t
C
  D  2C
t
iii)熱伝導方程式

  2 
t
t  t

  2 
t
  0 ( Fourier ' s eq .)
(4.7)
(4.8)
( 破れる )
生命複雑システム基礎
217
これらは方程式が t → -t とすることによって
同じではなくなる。
時間反転対称性を持たない。
散逸係数 k, D,  を持つため
である。
これはどこから生まれるか
すなわち、
時間反転性対称性の破れ  不可逆性
生命複雑システム基礎
104
218
(3)階層性
Brown運動を考える。
v    v  F ext  f ( t ) :Langevin eq.
 F
(4.9)
: Newtonの運動方程式
v    v  f ( t ) : 対称性を破る
(4.10)
摩擦力
t → -t
v → -v
f(t) → f(-t)
v   v  f ( t )
m
対称性を破る
M
m
f (t)
v
生命複雑システム基礎
219
2つのスケールの異なった乱雑運動
i) f(t)
ミクロな揺動 : 摩擦係数へ(第2種)
ii) v(t)
マクロな揺動 : 拡散係数へ(第1種)
i)
ii)
第2種の揺動散逸定理
第1種の揺動散逸定理
Stoke’s law より  
6a
M
(4.11)
a : 粒子半径
 : 水の粘性率
注:i),ii)はmとMのスケールが近いところでは区別できなくなる。
→メゾスコピック(階層のオーバラップ)
生命複雑システム基礎
105
220
運動の特性時間の定義
1
マクロ特性時間  M  
ミクロ特性時間  m  O
(Mに対する特性時間)
(mに対する特性時間)
すなわち、
M ≫ m
i) t M では、f(t)は、
f (t ) f (t  ) 
2k B L0
M2
 (t  t  )
(4.12)
f (t ) v(0)  0
(4.13)
: f(t)とv(t)には相関がない。
(Mに対し、mの十分の回数(∞)の衝突がある。
→散逸を生成(不可逆性の起源))
生命複雑システム基礎
221
このとき、v(0)をLangevin eq. に右から掛けて
d
dt
v ( t ) v ( 0 )   v ( t ) v ( 0 )  f ( t ) v ( 0 )
(4.14)
を得る。これを、< >すると、
d
dt
v (t ) v (0)
   v (t ) v (0)
 v (t ) v (0)

v 02 e   t
(t   M )
これを念頭にLangevin eq. を積分
v (t )  e   ( t t0 ) v (t0 ) 
mpp(最適経路)
t
e
(4.15)
t
 dt すると、
t0
(t s)
f ( s ) ds
(4.16)
t0
揺らぎ
となる。
生命複雑システム基礎
106
222
詳細
ここで、t0 → -∞ とすると
e   ( t t 0 )  e   ( t   )  e   0
t
e
 v(t ) 
 ( t  s )
-
(4.A1)
f ( s)ds
さらに、これを t → 0 とすると
v(0) 
0
e
 s
(4.A2)
f ( s ) ds
-
なので、v(0)×v(0)として平均<v(0)v(0)> = <v02>を求めると、
v( 0 ) 2
0
 

-
0
ds ds  e s  s  f ( s ) f ( s  )
-
(4.A3)
生命複雑システム基礎
223
(4.12)より、
f ( s ) f ( s  )  2 k B L0  ( s  s  )
 2 k B L0
 2 k B L0
等分配則より、
E 
1
2
M
v 02
v 02

v 02

  
1

2

0

0
k B L0

M

ds
0
 d s e
 ( s  s)

ds e 2 s 
 ( s  s )
(4.A4)
2
(4.A5)
kBT
kBT
M
k B L0
M
L0
MT
2

kBT
(4.A6)
M
(4.A7)
生命複雑システム基礎
107
224
一方、



f ( t ) f ( t  ) dt  


2kB L
M

f ( s ) f ( s  ) ds  

2k B
M
2

 L  ( t  t  ) dt
(4.A8)
0

0
2
より、
L0
2
M

2k

B
2
M
k
B




0

f ( s ) f ( s ) ds 
(4.A9)
f ( s ) f ( s ) ds 
従って、この L0 を使うと、(4.A7)は
 

L0
1

M
M
M

kBT

2
M


kB

(4.A10)
f ( s ) f ( s ) ds 
0
(4.A11)
f ( s ) f ( s ) ds 
0
を得る。これはとミクロな揺動 f(s) との関係を結びつけている。
生命複雑システム基礎
225
さて、(4.16)の v(t) をもう1度積分して、座標変数に戻すと、

t
0
v ( t ) dt  x ( t )  x 0 
1  e
v0
x (t )  x0 

1  e   1  1 - e
 f ( s ) ds

 f ( s ) ds
  1  1 - e
v0
 t
t
 t
(4.17)
 (t s )
0
t
(4.18)
(ts )
0
2乗して平均を取ると、
 x ( t )  x 0 2
 v0
 
 
 2
2


 1  e  t


kB
M
t

2

3
4
1
kB 
 2 t   e  t  e  2 t
M 
 


 t ≫
(4.19)
 M






1

 
ここで、拡散係数の定義
D  lim
t 
 x ( t )  x 0 2
2t
(4.20)
より、
生命複雑システム基礎
108
226
ここで、拡散係数の定義
1
D  lim
2t
t 
2
kB
M
t 
kB
v 02

M
(4.21)

補足4.2
v (t ) v (0)

 


v 02 e   t
より、

1
v ( t ) v ( 0 ) dt    v 02 e  t 
 0
 

0
D 

1 
0  v 02  

 
v 02
(4.A12)

v(t )v(0 ) dt :マクロ揺らぎに起因する量 (4.22)
0
 
M


kB
:ミクロ揺らぎに起因する量 (4.23)
f ( s ) f ( s  ) ds 
0
t → ∞ととれずに相対∞である。
s → ∞ ≪ M 領域に限定
階層構造!!
生命複雑システム基礎
227
模式的に描くと、
s=∞
s の表示
m
M
C
t
dv
dt
 D 2C

t
t の表示
kB
D 
  v  f ( t )   
6a
6a
M
D には kBT、 には kBT は入らない
T→0:D→0
but  → 0
ii) M ≫ t~m のミクロな時間スケールでは、Langevin eq.は、
dv
dt

t
  ds  ( s )v(t  s )  f ( t )
0
生命複雑システム基礎
109
228
補足4.3
 (s) 
f (t ) f (0)
  (t )
v 02
:記憶関数
0 ( M≫t m ) ミクロでは
このとき、t → -t の反転操作には
v  - v
dv
dt

dv   d v 


 dt 
dt 
  
f (t )  f (t )
生命複雑システム基礎
229
t
t
 ds  ( s ) v(t  s )    ds  ( s ) v(t  s )
0
0
s = -とおく

t
 d  ( ) v(t  s )
0
 → s と表示する

t
 ds  ( s ) v(t  s )
0
ミクロでは不変
1)ミクロでは可逆
2)マクロでは不可逆
マクロ領域のダイナミックスではミクロは無限回の衝突に
よる散逸(不可逆)によって、時間反転対称性が破れる。
無限回の衝突!
Onsagerの相反定理 : Lij = Ljiはミクロの運動の可逆性を表す。
前述の Lij = Lij0 + Lij
熱運動で常に線形
これは反転対称を持たないのが通常
110
生命複雑システム基礎
230
補足4.4 Navier-Stokes方程式の可逆・非可逆性

v

1 


 v  v   0 2 v  F (t ) 
P  f (t )
t

random force
外力
今、外力を除いた式を考えよう。


v


 v  v   0 2 v  f (t )
t
エントロピー生成
t → -t
v → -v
左辺は対称
右辺は破れる(散逸のため)。
  
vv
揺らぎをカスケードプロセスによって
作り出す(非線形マクロ揺らぎ)
生命複雑システム基礎
231
Lagrangian picture
点 r2
ある粒子が点r1からr2へ移動する
場合、その速度が場所場所で変化
するとそれは、

Dv
Dt
点 r1
①

v
:
t
点r1 
v
v1
点r1における粒子の速度
(Euler picture)


d r の距離での速度変化 d v はその勾配に依存する。

dr
②
で表示される。
v2



d v  d r  grad v





v
r

 grad v  v  grad v

t
t
生命複雑システム基礎
111
232

Dv
Dt

v


 v  grad v
t
=①+②=
(オイラーの方程式)
粘性の導入
Navier-Stokes equation
Reynolds 数 Re → 大となると、02vは相対的に
02v → 0

v
Navier-Stokes equationは、 t

 v v  0

となり、粘性がない。このとき v  v の作る揺らぎは可逆。
しかし、渦が無限回の衝突を繰り返すことができる時間スケールで
は、非可逆になる。
生命複雑システム基礎
233

v  v の項
 
今、 v ( r )   e
(注)
 
ik r
 
v ( k ) d k とすると、

  
 
 
 
v  v  i   e i k   k   r k  v k  v k  d k d k 





k   k  k 1 , k   k 1 とおくと、
 
 



 i  e i k  r  k 1 v k  k1 v k1 d k  k 1


k

k1

v k  k1


と v k1 を生じる。
 
k  k1
生命複雑システム基礎
112
234
E(k)
cascade による energy 輸送
普遍平衡領域 (大気:0.2cm
~100m):105程度
k
L0-1
kd
pump
pump
dissipation
Universal
equilibrium
regime
dissipation
この慣性領域の渦の life time τe とする
と、τe ≪ τ となる τの時間スケールで
は渦の記憶は喪失してしまう。
マクロな非可逆性の出現
ブラウン運動との Analogy で言えば、
τm
τe

τ
に相当する。
生命複雑システム基礎
235
すなわち、
乱流粘性
eff = 0 + 
 >> 0
EHD
eff = 0 + 
(電気伝導度)
BZ反応
keff = k0 + k
(反応定数)
(1)カオスが生まれると輸送係数が変わる。
振り子がカオス運動すると摩擦係数が変わる。
(2)化学反応にカオス構造が生まれると反応定数が変わる。
(3)対流構造や反応構造が生まれると輸送係数(粘性や化学
反応定数)が変わる。
生命複雑システム基礎
113
236
補4.5. 相互作用を持つブラウン運動
バクテリア、ゾウリムシ、白血球、アメーバなどの運動
例:ゾウリムシ 走熱性
育った温度を好んで集まる傾向がある。
→しかし、常時ランダムに動き回っている
こちらでは
T1は均一
気体
T1
T2
ガスを閉じこめた容器を考えよう
T1 < T2 (不均一)
なぜ低温側に集まるか? → 拡散係数が小さいために集まる
ランダム運動で低温側にきた分子は
動けなくなる
生命複雑システム基礎
237
── 同じ理由でゾウリムシも集まるのか? ──
No!
ゾウリムシを23℃で培養しよう。
その拡散係数は23℃で最大となる
23℃ のときにもっとも早く、
次のパターンまでの距離が長い。
(
D
拡
散
係
数
)
●ランダム・ターン
●ランダム速度
23℃
生命複雑システム基礎
114
238
純粋に
ブラウン運動であれば
N に依存しない
20℃で育てた
ゾウリムシを入れる
<x2>
N→大
20℃
t
30℃
x
0
20℃ からの距離の2乗<x2>を測定
個数N→大なほど<x2>が小さくなり、
逆勾配ができる!
その勾配も急。
すなわち集まりやすくなる。
集団行動で互いに相互作用が必要であることを示している。
→多分何かの誘因物質の放出
生命複雑システム基礎
239
誘因物質の効果
拡散の効果
雑音
競合
相互作用
通常物質の
相変化
N → 大 : 誘因物質の効果 大 → 相互作用 大
N → 小 : 誘因物質の効果 大
走熱性
(thermotaxis)
→
走化性
(chemotaxis)
拡散で集まるのではない!
生命複雑システム基礎
115
240
taxis
galvano-taxis ── 電流・電圧勾配に依存
photo
── 光
chemo
── 化学物質濃度
hapto
── 吸着(粘着)物への依存
Kinesis:無定位運動
(a)Random Movility
(b)Taxis
生命複雑システム基礎
241
(c)orthokinesis
(d)klinokinesis
勾配のある場合
速度が
励起力の大きさに依存する
turnning頻度が
励起力の大きさに依存する
(e)orthotaxis
(f)klinotaxis
速度が
進む方向に依存する
turnning頻度が
進む方向に依存する
勾配方向に進むときには
速度が大
勾配方向に進むときに
はturnning頻度が減る
これらは、ブラウン粒子に新しい内部自由度を
考慮する必要があることを示す
生命複雑システム基礎
116
242
↑こちら方向に
進むときには
速度が速い
T+△T
orthotaxis
R-B 対流
と考えられる
i : 個々の感じるノイズ強
度


dv i
 h e  , t 
 vi  
 2  i  0  i t 


dt

i


ri  v i ,  i : 個々の感じるノイズ強度 → 個々の敏感性
m
感受性
生命複雑システム基礎
243

h e r , t 
有効ポテンシャル場
例えば、電圧


: Er    grad U r 

h e r , t  に相当
 i  0 → 場に対して好む
 i  0 → 場に対して反発
 i  0 に、閾値を導入することもできる。
ある値よりも大な外場に対して働く。
例えば
i   he r , t   hc   0

のように
生命複雑システム基礎
117
244
4-2.ファンデァポール(van der Pol ) 方程式の縮約
V=v+E
v=(V-E)
iL
iC
C
L
+
i
iR
V
R
v
E
+
-
i  i R  iC  i L
i 
f v  E
v
iR

iC
 C
iL


i
 0
f(v+E)
R
1
L
d v
i0
dt

V=v+E
v dt
E
(v = 0)
キルヒホッフの電流則(Kirchhoff’s law)より、
i  i L  iC  i R
 0
1
v
d v
v dt  C

 0
L
dt
R
2
 d v
 1
1
d v
v  0
C

 
 f   v  E 
L
 dt
 R
dt 2
f v  E  
d
2
dt
v
2

v+E
b 3
v  i0
3
f ( v )   a  bv 2
f ( v )   av 
---(4.2.1)
1  1
1
 d v

v  0
 a  b v2 

LC
C  R
 dt

生命複雑システム基礎
245
 0t  t 
とおくと、  0 dt
d2 v
 02
dt 2
d2 v
dt  2
d 2x
dt
2
 dt  , dt 
1
0
dt  ,  0 
1
LC
 dv
1  02 
1

 b v2 
  02 v  0
a 
C  0 
R
 dt 
1 1 
1
 dv
 b v2 
 v  0
a 
C  0 
R
 dt 


   1 x 2
t  t,
 dxdt  x  0
v  x,
 
---(4.2.2)
L
1
 a  ,

C
R 
1 
L
C
b
これを van der Pol 方程式と呼ぶ。
これは線形ポテンシャル U=x2 を持った、非線形振動である。
もう少し一般性を高めるために、鉄芯の入ったLを考える。
x → x + x3と非線形ポテンシャル(dU/dx)を採用する。
生命複雑システム基礎
118
246
2
d
x


2
dt
 1x
 dxdt
2
 x  x 3  0
ポテンシャル関数
摩擦関数
f ( x )  x  x 3
g (x)    1x
2
d
x
dx
 g (x)
2
dt
2
(4.2.3)
 f (x)  0
dt
この解をx = x0でその安定性を調べるために微小摂動を加える。
(4.2.4)
x = x0 + y
これを代入すると、
d2
d
dt
2

x0
dt 2
x
 y      1 x0  y 
 g (x)
2
dx
dt
2
 dtd  x
 y    x0  y    x0  y 
3
0
 0
---(4.2.5)
 f (x)  0
生命複雑システム基礎
247
d2
dt

2
d
¨
dt



x0  y  ε  x 0  y     x 0  y    x 03  3 x 02 y  3 x 0 y 2  y 3
 1

x 02
 2 x0 y  y
2

 x 0  y   0
x0  ε x 0   x 0   x 03   1 x 02 x 0  0
(4.2.6)
り)
微小量 y2 = y3 = 0 として、

y  ε y   y  3  x 02 y   1 x 02 y  2 x 0 x 0 y

0

(定常解x0よ
(4.2.7)
を得る。今、x0 = 0(非振動)とすると、
y  ε y   y  0
(4.2.8)
この解は、
y ( t )  y 0 e t
y 0 : const
生命複雑システム基礎
119
248
とかける。故に、(4.2.8)に代入すると、
 2  ε    0
1, 2 
1 
 
2 

2

 4 

(4.2.9)
の固有値が求まる。このとき、

2
 4  0
のとき、は実数であり、
いずれか1つが
双方とも
> 0 → y : grow
< 0 → y : decay
2
一方   4   0 のとき、
1 , 2 
1 
  i
2 
4  



2
--(4.2.10)
と複素数となり、Hopf分岐になる。
生命複雑システム基礎
249
今、 = 0とすると、
1, 2   i
   i c
c : Hopf 周波数
(4.2.11)
の振動モードが中立安定。> 0で成長 、複素数となり、Hopf分岐になる。
→ 増すと、 =

c
4 

2

2
0
と0()の変化をすることがわかるが、
正確な挙動は摂動後の解となる。
つまり、
(i) が実数の時
y(t) = A1e1t + A2e2t
(ii) が複素数の時
y(t) = eRe()t (Aeict + A*e-ict )
= 0のとき(中立安定点)
y(t) = Aeict + A*e-ict
(4.2.12)

 4  0
(4.2.13)
(4.2.14)
120
2
生命複雑システム基礎
250
 > 0では、この振幅 AA*の挙動が重要。またcがどのように
変化するかも重要。
そこで、今
1
2
3
2
(4.2.15a)
と展開し、時間軸を速い変動 t と遅い変動 に分ける。
  t
(4.2.15b)
 t   t   T
y  
y 0  y1  
y2  
とする。すると、
 t
y   t y 
 
1
2
 

T
 
1
2

 t y 0   t y1  
3
2
y 0  y1  

T
y0  
3
2
3
2

y2   


t y2  
生命複雑システム基礎
251
y  

2
t

 
y 

2
t
y3  
3
2

T
 
T
y 0  
y 2   y 02  2 
3
2
 
 2  t 
2
t
1
2
 t
2
t
2  
1
2

2

2

y 0  y1  
 
1
2

y1  2  t 
T
y 2  y  

y2   


y 0  y1  
3
2

y2   


y0  
y 0 y1  
(4.2.16)
y 03  3  2 y 02 y 1  
3
2
3
2
y 02  t y 0  


生命複雑システム基礎
121
252
これらを(1)に代入して、のオーダごとに整理すると、

1
2
(4.2.17)
(4.2.18)
:  t2 y 0   y 0  0
 :  y1   y1  0
2
t

3
2
:  t2 y 2   y 2  2  t  T y 0   t y 0   y 03   1 y 02  t y 0  0
(19)
(17),(18)より、同型の解
y 0  Ae
i c t
 A * e  i c t
(4.2.20)
y 1  A1 e i c t  A 1 * e  i c t
を得る。
生命複雑システム基礎
253
(20)より、(19)中のy03やy02・y0は
y 03  A 3 e 3 i c t  3 A 2 A * e i c t  3 AA *2 e  i c t  A *3 e 3 i c t

y 02 y 0  i c t A 3 e 3 i c t  A 2 A * e i c t  AA * e  i c t  A * 3 e  3 i c t

を得る。この2つのタイプの表式を含む(19)では、y2は次の形を持たねば
ならない。
y 2  A 2 e i  c t  A 2* e  i  c t  B 2 e 3 i  c t  B 2* e  3 i  c t
(21)
以上のy0、y2を(20)に代入すると、
  c2 A 2 e i  c t   c2 A 2* e  i  c t  9  c2 B 2 e 3 i  c t  9  c2 B 2* e  3 i  c t
  c2 A 2 e i  c t   c2 A 2* e  i  c t   c2 B 2 e 3 i  c t   c2 B 2* e  3 i  c t

 2  T  c Ae
i c t
 i  c A * e  i c t
  i
  A 3 e 3 i  c t  3  A 2 A * e i  c t  3  AA
  1 i c A
*3
e
3 i c t
  1 i c A A e
2
*
i c t
c
*2
Ae
i c t
 i  c A * e  i c t
e  i c t   A * 3 e  3 i c t
  1 i  c AA
*2
e  i c t
  1 i  c A * 3 e  3 i c t  0
となる。
生命複雑システム基礎
122
254
e±ict , e±3ict の各々は線形独立であるので各々の係数を0とおける。
今、Aを含む e±ict の係数を集めて、0とおくと、
2 i c  T A  i c A  3 A 2 A *  i c  1 A 2 A *  0
 1
3
 
 i
2
2 c
 2
A
 T A 
(22)の一般解(A≠0)を
A  F e i T
F

2
 A A


 0
(22)
(23)
としよう。これを(22)に代入、
 1
3
 
 i
2
2 c
 2
F
i F 

F


3
そして、両辺の実部、虚部が各々等しいとする。
生命複雑システム基礎
255
1
F  1F 3 0 ; F 2 
F 
3
2 c
F
3
(24)
1
3
;  
(25)
2 1 c
(24)を(23)に代入すると、
A
1
1
e i T 
() = ・
1
1
e i t
(T   t )
振動数はに線形比例
(11)と比べよう.
ここで、1 > 0のとき F は実数
1< 0のとき F は虚数
supercritical(超臨界) 分岐
subcritical(亜臨界) 分岐
を起こす。以上、まとめると、
y


1
2
y0 


e i 
1
c
  t
 e  i  c     t

(26)
生命複雑システム基礎
123
256
y 
y 
subcritical 分岐
supercritical 分岐
1 > 0
1 < 0

0
(臨界点)

= c + 

c : Hopf 周波数
c

生命複雑システム基礎
257
 van der Pol 方程式 : = 0
T A 
A 1 2

A A
2
2
t
生命複雑システム基礎
124
258
補:熱力学におけるOnsagerの相反定理とcyclic balance


Onsagerの相反定理の
成り立つ系
y
y
y
y
detailed balance
cyclic balance
分岐
分岐


y

y
y
y
A

y
y
y
2つのfixed point
y
B
生命複雑システム基礎
125