格付手法 2010 ౫ 9 ሰ 30 ᅠ 䛣䛾᱁ᡭἲ䛿䚸⌧⾜䛾䜒䛾䛷䛿䛺䛔䚹㻌 䝮䞊䝕䜱䞊䝈䞉䝆䝱䝟䞁䛜⌧ᅾ⏝䛧䛶䛔䜛᱁ ᡭἲ䛿䚸ᘢ♫䜴䜵䝤䝃䜲䝖䜢ཧ↷䛾䛣䛸䚹㻌 Contact Phone 東京 03.5408.4100 谷本 伸介 03.5408.4027 SVP- チーム リ ーダー [email protected] Y ̗ᏡΉ᰷ǽ⛥♁ؘ⒙ոኝǺǙǠȚɨʀɏȫʀɂǽ ᑙᛡ☈ᄏȪɟɵʀɉ O M UT ET DA H T O ED DO LO G 第一部 : 米国 ・ カ ナダの企業会計基準を採用する発行体の 国際比較のための標準的調整 Moody's Approach to Global Standard Adjustments in the Analysis of Financial Statements for Non-Financial Corporations - Part I ɨʀɏȫʀɂǽ࡛⭾࣠ᛡਅݲΉǽ⒙ 本稿では、 米国 ・ カナダの企業会計基準を採用す る 一般事業会社の財務諸表に対す る ムーデ ィ ーズの標準的な調 整方法1 におけ る 変更点を発表す る と と も に、 変更後の格付け手法全体を改めて掲載す る 。 こ れに よ っ て、 ムー デ ィ ーズの最新のグ ロ ーバルな標準的調整方法を、 ひ と つの レ ポー ト で包括的に把握す る こ と がで き る 。 なお、 本稿に並行 し て発行 さ れ る 第二部では、 国際財務報告基準 (IFRS) を採用す る事業会社の財務諸表に対す る標準的 な調整方法について述べ る 2。 本稿は、 アナ リ ス ト の財務諸表分析の基準を定め る ムーデ ィ ーズの国際基準委員会が作成 し た も のであ る 。 その 目的は、 ムーデ ィ ーズでグ ロ ーバルに用い ら れ る 格付け分析手法のアナ リ ス ト 間、 各国間、 業種間におけ る 一貫 性を よ り 高め る こ と にあ る 。 ȸɵʀɘɳǹᑙᛡ☈ᄏᅀᗕǺǙǠȚংሠ᠊ ムーデ ィ ーズは標準的調整を行 う 9 項目の内、 年金制度お よ びオペレーテ ィ ン グ ・ リ ース の 2 項目に対す る調整 方法を変更す る 。 年金制度 確定給付年金の 「非積立型」 年金制度に関連 し 、 新た な調整を加え る 。 一部の欧州諸国で採用 さ れてい る 非積立 型の年金制度では、 分離 さ れた年金基金に年金資産を積み立て る こ と は要求 さ れない。 ムーデ ィ ーズは、 こ の よ う な年金制度を有す る 欧州企業の財務諸表に対 し て、 従来か ら 次に示す よ う な調整を加え て き た 3。 こ の調整手法 を米国 ・ カナダの企業会計原則を採用す る 企業に も 適用す る こ と に よ っ て、 企業の所在地や本国の会計原則にか かわ ら ず、 非積立型年金制度の分析を全企業に適用で き る よ う 標準化 し た。 1. "Moody's Approach to Global Standard Adjustments in the Analysis of Financial Statements for Non-Financial Corporations ― Part I", July 2005 (日本語 版 「事業会社の財務諸表分析におけ る 標準的調整アプ ロ ーチ : 第一部」 2005 年 8 月発行) を参照 2. "Moody's Approach to Global Standard Adjustment in the Analysis of Financial Statements for Non-Financial Corporations ― Part II", February 2006(日本 語版 「事業会社の財務諸表分析におけ る 標準的調整アプ ロ ーチ : 第二部」 2005 年 10 月発行) を参照 3. "Moody'sApproach to Analyzing Pension Obligations of Corporations", November 1998 (日本語版 「企業年金債務の分析に関す る ムーデ ィ ーズの手 法」 1998 年 12 月発行) 参照。 非積立型年金制度 と 積立型年金制度には重要な違いがあ る 。 積立型年金制度に比べ、 非積立型年金制度は次の よ う な特徴を持っ てい る。 • 年金債務の純額ではな く 総額が賃借対照表に計上 さ れ る。 • 年金債務の事前積立は通常要請 さ れない。 • 年金支払いの原資を調達す る期間が長いため、 企業はその間に資金の調達方法を選択す る こ と がで き る。 積立型年金制度 と の会計上の比較可能性を向上 さ せ る ため、 ムーデ ィ ーズは非積立型年金制度について、 事前に 積立て る こ と を想定 し て調整を加え る。 非積立型年金制度を有す る 企業が資本市場か ら 資金調達を行 う こ と が可 能であれば、 その企業は将来の年金債務のための資金調達を現在の資本構成 と 同様の比率で行 う と 想定す る。 そ のため、 ムーデ ィ ーズは非積立型年金について、 賃借対照表上で株主資本に も 配分す る 調整を行 う 。 こ れに よ っ て総年金債務はその分減額 さ れ、 こ の調整を行わない場合 よ り も 債務に配分 さ れ る額が小 さ く な る。 前述 し た株主資本への配分に伴 う 債務の調整に合わせて利息費用を調整す る 以外は、 非積立型年金債務を有す る 企業の損益計算書 と キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書に対す る追加調整は行わない。 本稿の年金調整の第 2 部 (標準的調整 1) において、 非積立型年金の具体的な調整方法を示す。 こ の調整に よ っ て、 非積立型年金制度を持つ一部のグ ロ ーバル企業の調整後債務が減額 さ れ る こ と にな る 。 し か し 、 こ の調整に よ っ て格付けに影響を受け る企業はほ と ん ど ない と み ら れ る。 O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y ȲɢɴʀɎȫɻȸɿɲʀɁ 企業がオペレーテ ィ ン グ ・ リ ース と し て計上す る リ ース を資産化す る ための調整方法に 2 つの変更を加え る。 そ の目的は次の通 り であ る。 1. リ ース関連債務お よ び支払い リ ース料の利息 ・ 減価償却相当分の計算を簡素化す る。 2. キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書の設備投資額を、 支払い リ ース料の減価償却相当分だけ増額す る。 従来の リ ース調 整方法では、 設備投資は影響を受けなか っ た。 2005 年 7 月に標準的調整方法を発表 し て以来、 企業や投資家か ら 、 ムーデ ィ ーズの リ ース調整方法は必要以上に 複雑であ る と の意見が寄せ ら れた。 ムーデ ィ ーズは調整のための計算を簡略化 し た上で、 資産を購入す る 企業 と リ ースす る企業 と の比較可能性を高め る と い う 目的を達成で き る と 考え てい る。 修正現在価値法の代わ り に、業界ご と に標準化 し た直近年度の支払い リ ース料の倍数に基づ く オペレーテ ィ ン グ ・ リ ー ス関連債務額を算出す る 4。 ま た、 支払い リ ー ス料の利息お よ び減価償却相当分の計算を簡略化す る ために、 市場慣行に従い、 利息相当分を支払い リ ース料の 3 分の 1、 減価償却相当分を残 り の 3 分の 2 と みなす こ と にす る。 よ り 複雑な計算方法を用いれば計算結果の精度は若干高ま る が、 よ り 簡略な市場慣行に基づ く 方法を用いて も 十分に正確な結果が得 ら れ る。 ま た、 事業を行 う 上で必要な支出を反映 さ せ る ために、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書で報告 さ れ る 設備投資を増額す る と い う 修正を オペレーテ ィ ン グ ・ リ ース の調整方法に加え る。 こ れ ま での方法では、 会計原則が定め る キ ャ ピ タ ル ・ リ ース の処理方法に基づ き、 リ ース開始時に現金の支出を伴わない取引 と し て処理 し 、 設備投資の調整は 行わなか っ た。 会計原則に準拠 し てい る と はいえ、 リ ース に関 し て設備投資の調整を行わな ければ、 事業を支え る ための設備資産 と 設備支出の金額が過小評価 さ れて し ま う 。 こ れはフ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー等の一部の信用指 標の過大評価につなが る 。 リ ース関連の設備投資の概算値 と し て、 オペレーテ ィ ン グ ・ リ ース対象資産の減価償 却相当分を リ ース関連の設備投資 と みな し 、 その金額だけ設備投資を増額す る。 モデルを用いて計算を行っ た と こ ろ、 簡略化 し たオペレーテ ィ ン グ ・ リ ース の調整方法を用いた場合で も 、 複雑 な方法に よ る 計算結果に近い値が得 ら れた。 し たが っ て、 簡略化 し た方法を用いて も 、 信用格付けには影響 し な い と ムーデ ィ ーズは考えてい る。 以下に、 前述 し た修正を反映 し た ムーデ ィ ーズの財務諸表の標準的調整アプ ロ ーチの全体を掲載す る。 4. 倍数法に よ り 算出 さ れた リ ース関連債務が、 将来の最低支払い リ ー ス料の現在価値を下回 る 場合は、 現在価値を下限 と す る 。 ɨʀɏȫʀɂɿ͛ཆᗕ 2 ┶ ムーデ ィ ーズは、 それぞれの取引ま たは事象の本来の経済的実体を よ り 的確に反映 し 、 財務諸表の比較可能性を 高め る 目的で、 財務諸表の調整を行っ てい る。 調整 し た数値を用いて信用力に関連のあ る 比率を算出 し 、 それ ら の比率を一つの要因 と し て債務格付け を検討す る。 今回発表す る のは二部構成の格付け手法の第一部で、米国 ・ カナダの企業会計基準 (GAAP) に基づ く 財務諸表を利 用す る際の、 ムーデ ィ ーズの標準的な調整方法を示 し た も のであ る。 第二部では、 国際財務報告基準 (IFRS) に よ る 財務諸表の標準的な調整方法について議論す る。 第二部での調整には本稿 と 同様の論点の多 く が含 ま れ る が、 IFRS に特に関連す る 点 も 一部あ る 。 米国 ・ カナダの企業会計基準に基づ く 財務諸表に適用す る 、 ムーデ ィ ーズの標準的な調整は、 次の点に関す る も のであ る。 • 確定給付年金の未積立額 • オペレーテ ィ ン グ ・ リ ース • 資産化利息 • 従業員ス ト ッ ク ・ オプシ ョ ン • ハ イ ブ リ ッ ド 証券 Y • 証券化取引 O M UT ET DA H T O ED DO LO G • 後入先出法評価に よ る棚卸資産 • 例外的 ・ 非経常的な項目 標準的な調整は、 アナ リ ス ト が ワ ー ク シー ト を用いて行 う ため、 一貫性 と 正確性が高ま る (付録の ワ ー ク シー ト A か ら I ま でを参照)。 い く つかの調整に関す る格付け手法は、 既に発表 し てお り 、 ワー ク シー ト はそれ ら の格付 け手法に基づいて作成 さ れてい る。 ただ し 、 オペレーテ ィ ン グ ・ リ ース と ハ イ ブ リ ッ ド 証券の二つについての格 付け手法は本稿で述べ る よ う に変更 し てい る。 こ れ ら 標準的な手法に よ る 調整項目以外に も 、 ムーデ ィ ーズのアナ リ ス ト は、 それぞれの取引が持つ経済的実体 を よ り 的確に把握 し 、 企業間の比較可能性を高め る ために、 調整を行 う 場合があ る 。 例えば、 信用分析上、 よ り 慎重 と 思われ る見積 り や仮定に基づいて財務諸表を調整す る場合があ る。 標準的な調整方法の導入に伴い、 ムーデ ィ ーズは、 それぞれの格付け対象発行体の リ サーチに、 全ての標準的調 整、 な ら びに開示情報に基づ く その他の調整の内容 と 金額を公表 し てい く 。 ま た、 調整を反映 し た主要財務比率 も 公表す る。 ムーデ ィ ーズが用い る 財務比率は今後、 分母や分子に複雑な足 し 戻 し を行 う も のではな く 、 財務諸 表への全体的な調整に基づ く 単純な計算に よ る も の と な る。 ムーデ ィ ーズの調整は、 発行体の財務諸表が GAAP に準拠 し ていない こ と を示唆す る も のではな く 、 ま た調整の 多 く は現在の会計原則に沿っ た も のではない。 調整の目的は、 財務数値の分析上の価値を高め る こ と にあ り 、 会 計原則の遵守状況を評価す る も のではない。 財務報告に関す る 議論がグ ロ ーバルに進展す る に従っ て、 ムーデ ィ ーズが標準的な調整方法を修正す る こ と も あ る。 その場合は、 リ サーチの読者に通知 し 、 必要 と 判断 さ れれば修正前に意見を募集す る。 ☈ᄏǽᬶƸᅀᗕƸ⢖ᅽම ムーデ ィ ーズは、 分析上、 さ ま ざ ま な取引や事象が本来持つ経済実体を的確に反映 し 、 発行体の財務諸表の企業 間の比較可能性を高め る ため、 財務諸表の調整を行 う 。 調整の具体的な目的は以下の通 り であ る 。 • ቊቻǽểᚏીΧȡȗșᓺǺ⒙ǨǷǗȘțȚΉ╹ᅀ⦠ǽ⣪᧸- こ の一例がオペレーテ ィ ン グ ・ リ ース であ る 。オペレーテ ィ ン グ ・ リ ース は資産を使用す る 権利 と 有利子負債 と 同様の支払債務を伴 う ため、ムーデ ィ ー ズは貸借対照表上に こ れを認識 し なければな ら ない と 考え る。 ムーデ ィ ーズの標準的な調整の大半は、 会計 原則に関す る も のであ る。 ɨʀɏȫʀɂɿ͛ཆᗕ 3 • όঋɿⰞểǹⱼᬶǽ഻ⱶǽᣀǷٚո- こ れ ら の影響を除去す る こ と に よ っ て、 継続的、 経常的、 持 続的な活動の成果を よ り 的確に把握す る こ と がで き る。 「例外的 ・ 非経常的な項目」 に対す る ムーデ ィ ーズ の標準的な調整が こ れに該当す る。 • Ή╹ᅀ⦠ȡ۴ᵱǺǨȚǢǷǺȗȚᕉ⟿මǽ۹ˀ-例えば、 後入先出法で評価 さ れた棚卸資産に調整を加 え る こ と に よ り 、 全ての類似企業の棚卸資産を同等の評価方法、 こ の場合は先入先出法ベース で比較す る こ と がで き る よ う にな る。 • ᣀǽᣞᗇˁǶոኝˀȗșЄમǷǗȘțȚ╀᳒șȍǮǾͪȡۀᆉ-典型的な例 と し ては、 資産評価引 当金、 資産の減損、 偶発債務な ど、 極めて裁量的な分野に関する も のが挙げ ら れ る。 その算定は企業に よ っ て異な る ため、 標準的な調整に相応 し ない。 こ れ ら については個々の状況に応 じ て財務調整を行 う 。 ムーデ ィ ーズの調整は、 企業の財務諸表が GAAP に準拠 し ていない こ と を示唆す る も のではない。 実際、 ムー デ ィ ーズが行 う 調整の多 く は現在の会計原則に沿っ ていない。 調整の目的は、 財務数値の分析上の価値を高め る こ と にあ り 、 会計原則の遵守状況を評価す る も のではない。 ムーデ ィ ーズは、 分析の精度を高め る ため、 従来か ら 財務数値の調整を行っ て き た。 調整の目的 と 考え方は新 し い も のではな く 、 そ う し た分析上の調整を議論 し たい く つかの格付け手法 も 発表 し て き た。 し か し 、 今回の格付 け手法の発表を機に、 一部の調整を統一 ・ 標準化す る こ と に し た。 その目的は、 アナ リ ス ト 間、 各国間、 業種間 で分析手法の一貫性を高め る こ と であ る。 Y 標準的な調整を容易にす る ため、 ワー ク シー ト (付録の ワー ク シー ト A か ら I を参照) を用い る。 ワー ク シー ト に よ る 標準的な調整方法を と る こ と に よ っ て、 格付けのプ ロ セ ス で用い る 企業の財務数値の分析を、 秩序を も っ O M UT ET DA H T O ED DO LO G て体系的に行 う こ と がで き る。 ま た こ れに よ っ て、 ムーデ ィ ーズの格付けにおいて重要な、 企業間の財務数値の 比較が し やす く な る。 ムーデ ィ ーズは、 い く つかの標準的な調整に関す る 格付け手法を既に発表 し てお り 、 ワ ー ク シー ト はそれ ら の格付け手法に基づいて作成 さ れてい る。 本稿では、 オペレーテ ィ ン グ ・ リ ー ス と ハ イ ブ リ ッ ド 証券に関す る 二つ項目についての格付け手法を変更す る 5。 詳細は、 以下の各セ ク シ ョ ン で説明す る。 • 標準的調整 2 -オペレーテ ィ ン グ ・ リ ース • 標準的調整 5 -ハ イ ブ リ ッ ド 証券 ムーデ ィ ーズは、 調整を反映 さ せた主要な財務比率を公表す る。 こ の レ ポー ト の発表を機に、 各財務比率の定義 に従っ て数値を調整 し てい く 現在の手法を変更 し て、 今後は、 財務諸表全体に対 し て全般的な調整を行い、 その 調整済財務諸表に基づいて財務比率を算定す る こ と と す る 。 そのため、 ムーデ ィ ーズが通常用い る 財務比率は今 後、 分母や分子に複雑な足 し 戻 し を行 う のではな く 、 全体に調整を行っ た財務諸表に基づいた単純な計算 と な る。 ムーデ ィ ーズに よ る調整は、 3 つの主要財務諸表の全てに対 し て行われ、 調整後 も 相互の整合性が保たれ る 。 • ⛸йଓᡄ⒙⿉い く つかの項目の金額の調整、 会計基準で認め ら れてい る 期間配分効果の除去、 オ フバ ラ ン ス 取引の反映、 債務 と 株式の両方の特性を も つハ イ ブ リ ッ ド 金融商品の債務 と 株式の分類変更な ど の調整を行 う。 • ၏ᬖ╹ᶟሤ⿉期間配分効果の除去、 追加的な費用の認識、 新たに認識 し た債務への利息の配賦、 例外的 ・ 非 経常的な項目の効果の分離な ど を行 う 。 • ȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤ⿉貸借対照表お よ び損益計算書への調整に整合する よ う 調整を行 う 。 例えば、 損益 計算書で区分 し た、 例外的な取引 ・ 事象がキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーに与え る影響を考慮 し 、 区分す る。 ムーデ ィ ーズは、 「調整前財務諸表」 (公表財務諸表) と 、 「調整後財務諸表」 (公表財務数値に調整を加えた も の) をデー タ ベース に保存 し 、 それを用いて類似企業間の比較や、 業種ご と の定量的基準の検討を行 う 。 こ のデー タ に よ っ て、 格付けの比較可能性が高ま り 、 よ り 透明性の高い説明が可能 と な る。 5. 本稿に よ り 変更 さ れ る 格付け手法は、 "Off-Balance Sheet Leases: Capitalization and Rating Implications" (1999 年 10 月発行) と 、 "Hybrid Securities Analysis - New Criteria for Adjustment of Financial Ratios to Reflect the Issuance of Hybrid Securities" (2003 年 11 月発行、 日本語版 「ハ イ ブ リ ッ ド 証 券の分析」 2004 年 1 月発行)。 ɨʀɏȫʀɂɿ͛ཆᗕ 4 ムーデ ィ ーズは、 財務諸表の調整の理由 と 調整額を、 市場に対 し て よ り 透明な も のに し てい く 計画であ る 。 標準 的な調整方法の導入に よ っ て、 将来は各格付け対象企業の リ サーチにおいて、 標準的な調整、 な ら びにアナ リ ス ト が公開情報を用いて行っ たその他の調整の性質 と 金額を開示 し てい く 。 ま た、 調整を反映 し た主要財務比率 も 公表す る。 ☈ᄏǽම✤ǺdzǓǵ 以下に、 米国 ・ カナダの企業会計基準に基づ く 財務諸表への ムーデ ィ ーズの標準的な調整 と 、 こ れ ま でに発表 し た関連す る格付け手法の タ イ ト ルを挙げ る。 図表 1 : 標準的な調整方法および関連する格付け手法 ☈ᄏ ᬶ ͛Ǡཆᗕ ᳒ᴗ˃❣ǹȘȂǺⰞ᳒ᴗ ࢪǽỔ͛౫⦘ Ή╹࣠ᛡǶ◜ȐȘțǮΉ╹ˀǽቃ⫻⥎ոǽእȡ ⭒ڸǦƸ౫⦘֝ಏǺǙǠȚ᳒ᴗ˃❣ⲥȍǮǾⰞ᳒ᴗ ࢪ౫⦘ؘ҆ȡ⣪չǹᶽࡕǶؘ҆ǷǦǵ◜⚃ƹȍǮƸ ౫⦘࣠⦘ȇǽᥰ⦘ǽྭլǽƸȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟ ሤˀǽոⲲȡʶǽቷͲˁǶংሠƹ Moody's Approach to Analyzing Pension Obligations of Corporations, November 1998 Analytical Observations Related to US Pension Obligations, January 2003 ȲɢɴʀɎȫɻȸɿɲʀɁȡ✇᧳╹ˀǦƸଓඅǨȚ ؘ҆ȡ⛤҆◜⚃ǨȚƹ ნཌǓɲʀɁᄦǽ 3 ոǽ 1 ȡ ෲƸᔞș 3 ոǽ 2 ȡ᚛Ϣӈ⛻ڋǷǦǵ╹ˀǨȚ ǢǷǺȗșƸ၏ᬖ╹ᶟሤˀǽნཌǓɲʀɁᄦǽոⲲ ȡংሠǨȚƹȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤˀǶɲʀɁ҆ ؘǽәቊნཌᭀഝⲥǽոⲲȡংሠǦƸȲɢɴʀɎȫ ɻȸɿɲʀɁǺȗșۄൡǦǮ✇᧳ǽ▚ѿཱུ✇ǷǦǵ ཟǕƹ Off-Balance Sheet Leases: Capitalization and Ratings Implications, October 1999 ഝቃ˛Ǻ✇᧳╹ˀǤțǮෲⲥȡ⛻᧸ǷǦǵ◜⚃ ǨȚƹȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤˀǶǾƸ✇᧳كෲ ȡཱུ✇ȵɫɋȿɭɝɵʀǚȘߙᏡȵɫɋȿɭɝ ɵʀǺոⲲংሠǨȚƹ *** ൝ᏡݲɁɐɋȷɿȲɟȿɯɻǽ⛻᧸╹ˀȡ⒅DzǵǓ ǹǓͽᏡǾƸǢțȡ◜⚃ǨȚƹȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ ᶟሤˀǶǾƸɁɐɋȷɿȲɟȿɯɻ⒅πǺΒǕᲩ⦘ ഻ⱶⲥȡ⛥ؘȵɫɋȿɭɝɵʀǺոⲲংሠǨȚƹ Analytical Implications of Employee Stock-Based Compensation, December 2002 ؘ҆Ƿጋǽ˓ᅀǽᣀ൰ȡȑdz▩֟ȡƸɨʀɏȫʀ ɂǽոⲲᅀᗕǺ࣠ǴǓǵոⲲǨȚƹոⲲᅀᗕǾͽᏡ Ή╹࣠ᛡˀǽۄșཟǓǷǾᨵǹȚǢǷǛǑȚƹɗȬ ɞɲɋɑ▩֟ǽɨʀɏȫʀɂǺȗȚոⲲᅀᗕǺ൝ ǓƸნཌෲƸ⥎ഝƸ⬄⢪ȵɫɋȿɭɝɵʀȡ☈ᄏ ǨȚƹ Moodyæs Tool Kit: A Framework for Assessing Hybrid Securities, December 1999⾷ᅠቊ◭ᢩǃɗȬɞɲɋɑ ▩֟ǽ△ϢǽኩẻȎDŽ2000 ౫ 3 ሰ⒙⾸ Hybrid Securities Analysis - New Criteria for Adjustment of Financial Ratios to Reflect the Issuance of Hybrid Securities, November 2003⾷ᅠቊ◭ᢩǃɗȬ ɞɲɋɑ▩֟ǽոኝDŽ2004 ౫ 1 ሰ⒙⾸ Refinements to Moodyæs Tool Kit: Evolutionary, not Revolutionary!, March 2005⾷ᅠቊ◭ᢩǃɨʀɏȫʀ ɂǽɌʀɳɿȵɋɐǽტ↝⿉൝ቻǽȪɟɵʀɉǚȘǽ ⢳كDŽ2005 ౫ 4 ሰ⒅⾸ 2003 ౫ 11 ሰǽ͛ǠཆᗕȇǽংሠǺdzǓǵƸ ǃᑙᛡ ☈ᄏ 5 ⾼ɗȬɞɲɋɑ▩֟DŽȡڹᡄƹ ▩֟ۄك ɲɁȷȡલӴǺᲡ⟵ǦǵǓǹǓǛ✇᧳ॹڋǷǦǵ Ή╹ᥴǤțǵǓȚ▩֟ۄكǺdzǓǵ☈ᄏȡף ǗȚƹɨʀɏȫʀɂǾƸǢǕǦǮۄȡྒЄ͛йӱ ǷȎǹǨƹ Securitization and its Effect on the Credit Strength of Companies: Moody's Perspective 1987-2003, March 2002 Changing Paradigms: Revised Financial Reporting for Special Purpose Entities, May 2002 Demystifying Securitization for Unsecured Investors, January 2003 ൖӱӞլᗕǶ△ϢǤțǮ ᎉ᧳✇ڏ ൖӱӞլᗕǶ△ϢǤțǮᎉ᧳✇ڏȡӞӱӞլᗕǶ △ϢǦᬼǨƹǮǯǦƸൖӱӞլᗕǺȗȚॹˀڤϢǽ ╹ᶟǾƸہᬖǷ⛻᧸ȡȗșǺᥰࢀǽᣞᗇǺଓඅ ǤǪǵǓȚǷǗȘțȚǮȐƸ၏ᬖ╹ᶟሤȇǽ☈ᄏ Ǿ⒅ȞǹǓƹ *** όঋɿⰞểⱼᬶ όঋɿⰞểǹۄɿ̗⛅ȡƸ၏ᬖ╹ᶟሤǙȗ Ȃȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤˀǽⱼᬶǺոⲲǦᬼ ǨƹᬖȍǮǾߙᏡȵɫɋȿɭɝɵʀȡ᧸ǓȚ⛥ؘ ᕉ᤹Ǿ⢡ƸǢǽ⦘ⲥȡ⭒ঋǦǵᶟլǨȚƹ *** ✇᧳كෲ ൝ᏡݲɁɐɋȷɿ Ȳɟȿɯɻ ɗȬɞɲɋɑ▩֟ Y O M UT ET DA H T O ED DO LO G ȲɢɴʀɎȫɻȸɿ ɲʀɁ 1999 ౫ 10 ሰǽ͛ǠཆᗕȇǽংሠǺdzǓǵƸ ǃᑙᛡ ☈ᄏ 2 ⾼ȲɢɴʀɎȫɻȸɿɲʀɁDŽǽⱼȡڹᡄƹ *** ɨʀɏȫʀɂǛ͛ǠཆᗕȍǮǾɁɢȿɫɳɿȻɩɻɐȡ⒙ǦǵǓǹǓⱼᬶƹ ɨʀɏȫʀɂɿ͛ཆᗕ 5 標準的な調整に加え て、 ムーデ ィ ーズは、 本来の経済的実体を よ り 的確に反映 し 、 企業間の比較可能性を高め る ため、 標準的な方法以外の財務調整を行 う こ と があ る 。 例えば、 アナ リ ス ト は、 信用分析上、 よ り 慎重 と 考え ら れ る見積 り や仮定に基づいて財務諸表の調整を行 う こ と があ る。 多 く の場合、 標準的な調整は公開情報に基づいて行 う こ と がで き る。 こ れに対 し 、 標準的でない調整では、 公開 情報を用い る こ と も あ る し 、 非公開情報を用い る こ と も あ る 。 調整の透明性を向上 さ せ る こ と を目指 し てはい る が、 非公開情報を用い る調整に関 し ては、 当然に公表で き る範囲が限定 さ れ る。 ᑙᛡ☈ᄏ 1 ⾼Ổ͛౫⦘ǽቈ᳒ᴗⲥ 確定給付年金には 「積立型年金」 と 「非積立型年金」 の 2 つの タ イ プがあ る。 「積立型年金」 の場合、 将来の給付 に充当す る ための資産を分離 し て年金基金口座に積立て る必要があ る が、 「非積立型年金」 の場合、 分離 さ れた年 金口座に資産を積立て る こ と は要求 さ れず、企業はその よ う な積立て を行わない。年金関連の調整を扱 う セ ク シ ョ ンの第 1 部では、 こ れ ら の 2 つの タ イ プの年金を扱い、 第 2 部では非積立型年金に特有の加算調整を扱 う 。 非積 立型年金を採用す る企業が自主的に積立て を開始 し た場合、 年金資産が予測給付債務の 75% に達す る か、 も し く は近い将来 75% に達す る こ と が見込まれ る 時点ま で、 ムーデ ィ ーズはその年金制度を非積立型 と し て扱 う 。 会計基準上の問題点 現在の会計基準では、 年金基金や従業員に対す る企業の経済的債務が、 貸借対照表上で認識 さ れない場合が多い。 Y こ れは、 年金会計上、 広範な期間配分が認め ら れてい る ためであ る。 こ う し た期間配分は年金費用の評価を歪め O M UT ET DA H T O ED DO LO G る。 期間配分に よ っ て多額の損益の繰 り 延べが可能 と な り 、 実体を反映 し ない以下の よ う な財務報告が生 じ う る。 • 年金プ ラ ンの経済状況が悪化 し た期間に年金収益を計上す る、 あ る いは • 年金プ ラ ンが積立不足 と な っ てい る時期に貸借対照表に年金に関連 し た資産を計上す る。 会計基準では、 年金基金への現金拠出は営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーに分類す る こ と にな っ てい る。 こ の現金拠出は年 金の未積立分に充て る も の も 含むが、 こ れは負債の縮小 と も み る こ と がで き る。 すなわち、 よ り 財務活動に近い 年金基金への拠出に よ っ て、 営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーが減少す る こ と にな る。 ムーデ ィ ーズの分析上の対応-第 1 部 ムーデ ィ ーズは、 年金プ ラ ンの未積立額が債務 と し て貸借対照表に反映 さ れ る べき と 考えてい る。 し たが っ て、 数 理計算に基づ く 予測給付債務 (PBO)6 が年金基金の資産の公正価値を上回っ た額を、 期末の債務 と みな し てい る。 年金債務の契約 と し ての性格を考え る と 、 年金債務は 「準負債」 と みな さ れ る。 そのため、 年金債務を貸借対照 表上の負債に分類 し 、 債務が含ま れ る 財務比率の計算に も 反映 さ せてい る。 ま た、 年金関連の繰延税金資産 も 認 識す る ため、 債務の調整が資本に与え る 影響は緩和 さ れ る。 将来の税額控除の タ イ ミ ン グや金額は本来不確定で あ る ため、 ムーデ ィ ーズは標準的な慣行 と し て、 予想 さ れ る税務上の効果に先だっ て債務を認識す る。 損益計算書では、 過去勤務債務や数理計算上の差異の償却な ど の、 会計処理上の期間配分効果を除去 し た も のが 年金費用 と な る よ う 調整 し てい る。 ムーデ ィ ーズは、 「当期の勤務費用+予測給付債務 (PBO) の利息費用-年金資 産か ら の収益7」 を年金費用 と 考えてい る。 し か し 、 ムーデ ィ ーズは 「その他の非経常的費用」 を EBIT か ら 控除 す る ため、 年金資産の運用実績の変動は EBIT に反映 さ れない。 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書では、 勤務費用を上回 る年金信託への拠出は、 年金関連債務の返済 と みなす。 6. 年金債務の評価 と し ては、 累積給付債務 (ABO) が よ り 適切であ る と の議論 も あ る 。 PBO と は異な り 、 ABO は将来の昇給を見込んでいない。 ムーデ ィ ーズは、 継続企業の前提に立ち、 PBO に よ る 評価が よ り 適切であ る と 考え てい る 。 7. ムーデ ィ ーズは、 持続不可能 と 考え ら れ る 年金収益の認識を避け る ため、 年金資産の収益額については利息費用の額を上限 と し てい る 。 ま た、 一般に年金基金の ス ポ ン サーは年金収益を年金に関連 し ない債務の返済に用い る こ と はで き ず、 年金資産を現金化 し た場合、 高額の追徴税を 課 さ れ る 可能性があ る 。 ɨʀɏȫʀɂɿ͛ཆᗕ 6 ムーデ ィ ーズの財務調整方法-第 1 部 次表は、 確定給付年金の未積立額に関す る ムーデ ィ ーズの調整方法を示 し た も のであ る。 付録の ワ ー ク シー ト A に、 計算の詳細を示 し た。 表 2 : 確定給付年金にかかる未積立額の標準的調整 ⛸йଓᡄ⒙ ቈ᳒ᴗⲥȍǮǾ᳒ᴗ˃❣ⲥȡ⛸йଓᡄ⒙ˀƸؘ҆ǷǦǵ◜⚃ǨȚƹǬǽ⭾Ƹ • Ⱎ᳒ᴗࢪ౫⦘ؘ҆ȍǮǾ᳒ᴗ˃❣౫⦘҆⾷ؘPBO ⾼౫⦘✇᧳ǽӸᓺϢо⾸ȡؘ҆ǷǦǵ◜⚃ǦƸ • Ή╹࣠ᛡǺ࣠ǴǞƸǬǽ͙ǽӴǵǽ౫⦘✇᧳ɿؘ҆ȡ⭒ڸǨȚƹ ၏ᬖ╹ᶟሤ ౫⦘⛻᧸ǽቃ⫻⥎ոእȡ⭒ڸǦƸቃ˛ǽẗ౫⦘ہᬖǛǑțǿ⭒Ǟƹ • Ӵǵǽ౫⦘⛻᧸ȡ⭒ڸǦƸ • ⾼᧸⛻ؘأɨʀɏȫʀɂǾǢțǛ౫⦘֝ಏ⣌ߙ⛻᧸ǽሬȑǹ╀᳒șⲥǷǗȚ⾼ȡ◜⚃ǨȚ⾷ॹ ˀڤϢǙȗȂ⛩ᶩ⛻Ǻ⥎ոǨȚ⾸ƹ • PBO ǽෲ⛻᧸ȡǬǽ͙၏ᬖǺ܅ȐȚƹ • ౫⦘✇᧳ǚȘǽ၏ᬖ⾷ෲ⛻᧸ǽⲥȡˀ⭈ǷǨȚ⾸ȡǬǽ͙၏ᬖǺ᚛ףǨȚƹ • ౫⦘ؘ҆ǺଓǨȚෲ⛻᧸ȡƸǬǽ͙၏ᬖǚȘნཌෲǺ࿑șራǗȚƹ ȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤ ȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤǽ☈ᄏǾᓎǽȗǕǺ⒅Ǖƹ • ᧸⛻ؘأǽȎȡߙᏡȵɫɋȿɭɝɵʀˀǽნլⲥǷȎǹǨƹ • ౫⦘࣠⦘ȇǽ̗Ꮱ˩ǽᥰ⦘ྭլⲥǛ᧸⛻ؘأȡˀࡋȚई۰Ƹ❞⣏ⲥȡƸߙᏡȵɫɋȿɭɝɵʀǚȘ⛥ ؘȵɫɋȿɭɝɵʀǺոⲲংሠǨȚƹ • ྭլⲥǛ᧸⛻ؘأȡˀࡋȘǹǓई۰ǾƸȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤˀǽ☈ᄏȡ⒅ȞǹǓƹ Y 年金会計で最 も 重要な想定は、 将来の年金給付の現在価値を算出す る ための割引率 と 、 年金資産か ら の期待収益 O M UT ET DA H T O ED DO LO G に関す る も ので あ る 。 こ れ ら の想定が維持不可能 と 考え ら れ る 場合、 あ る いは他社 と 大幅に異な る 場合、 ムー デ ィ ーズは、 経営陣がなぜその よ う な想定を し てい る のか理由を探る 。 その説明に よ っ ては、 調整額を変えた り 、 信用 リ ス ク に関連 し た新た な視点を得た り す る こ と も あ る。 例えば、 割引率が大 き すぎ る と 判断 し た場合、 それ よ り 低い割引率を用いて PBO を算出す る よ う 経営陣に求め、 その結果に基づいて年金に関す る調整を行 う 場合が あ る。 ま た、 年金資産か ら の期待収益率8 が高い理由を理解す る こ と で、 年金資産の性質や リ ス ク への理解が深ま る可能性があ る。 会計基準上の問題点 ‐ 第 2 部 非積立型年金を採用す る ド イ ツやオース ト リ ア等の国の年金制度には、 積立型 と 比較す る と 多 く の重要な差異が あ る。 非積立型年金では特に、 • 賃借対照表に純年金債務ではな く 総年金債務が計上 さ れ る • 通常、 制度では総年金債務の事前のキ ャ ッ シ ュ積立を要求 し ていない。 • 企業は実際の年金支払いに対応す る ための資金調達期間が長期にわた り 、 年金債務を履行す る ための選択肢 が広い。 ムーデ ィ ーズの分析上の問題点 ‐ 第 2 部 非積立型年金制度については、 ムーデ ィ ーズは PBO の一部のみを 「準負債」 と みなす。 積立型年金制度 と の比較 性を高め る ため、 ムーデ ィ ーズは事前積立が義務付け ら れていない企業について も 事前積立を想定す る 。 年金債 務の支払いは長期にわた り 、 一般に支払い ス ケ ジ ュ ールの予測可能性が高い こ と か ら 、 企業は必要な資金調達を 確保す る十分な時間を有 し てい る と 考え ら れ る。当該企業が資本市場か ら 容易に資金調達で き る 場合、 ムーデ ィ ー ズは経営陣が目標 と す る債務 ・ 資本構造で、 将来の年金債務支払資金の調達が行われ る と 仮定する。 そのため、 非積立型年金について、 賃借対照表に株主資本への配分を織 り 込む と い う 追加調整を行 う 。 具体的に は、 調整を行わなければ債務に加算 さ れ る予測給付債務 (PBO) を株主資本配分額だけ減額す る。 し か し 、 余剰流 動資金は、 エ ク イ テ ィ ーに よ る調達の可能性を低下 さ せ る要因 と な る ので、 PBO か ら 余剰流動資金の分を控除 し た後に株主資本の調整を行 う 。 余剰流動資金 と は、 事業運営上必要な流動性資金を超え る、 企業が裁量的に使用 8. ただ し 、 年金資産か ら の期待収益率は、 ムーデ ィ ーズの年金関連の調整には影響を与え ない。 ɨʀɏȫʀɂɿ͛ཆᗕ 7 で き る 現預金お よ び市場性有価証券を指す。 事業会社の場合、 当該会社の資金の流れやキ ャ ッ シ ュ ・ マネジ メ ン ト ・ シ ス テ ムの効率性に も よ る が、 事業運営に必要な現預金は通常売上高の 3% と 推定する 。 ムーデ ィ ーズは、 前項で説明 し た債務に関す る 利息費用の調整を除いては、 非積立型年金債務を有す る 企業の損 益計算書 と キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書の追加調整を行わない。 PBO に対す る残 り の利息費用は、 その他非経常費用 に含まれ る。 ムーデ ィ ーズの財務調整方法-第 2 部 次表は、 非積立型確定給付年金に関す る ムーデ ィ ーズの調整方法を示 し た も のであ る 。 付録の ワ ー ク シー ト A に、 計算の詳細を示 し た。 表 2a : 非積立型確定給付年金の標準的調整 Ⱎ᳒ᴗࢪ౫⦘֝ಏǽ PBO Ǻ⬄ǨȚ✇⦘☈⣕ȡ็ǦƸጋ˩✇ቊȇǽ⥎ոȡ⒅ǕƹǬǽ⭾Ƹ • Ổ͛౫⦘ǽ☈ᄏǽⱼǽᵥ 1 ⤴Ƕ◜⚃ǦǮؘ҆ǽʶ⤴ȡ༻Ǩƹ • ǬțǺଓඅǦǵጋ˩✇ቊȡऻףǤǪȚƹ ၏ᬖ╹ᶟሤ ҆☈ؘᄏǺΒǕნཌෲǽ☈ᄏȡ⭒ǓǵǾƸⰞ᳒ᴗࢪ౫⦘ؘ҆ȡሱǨȚͽᏡǽ၏ᬖ╹ᶟሤǺ⢈ףǽ☈ᄏ Ǿ⒅ȞǹǓƹ ȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤ Ⱎ᳒ᴗࢪ౫⦘ؘ҆ȡሱǨȚͽᏡǽȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤǺ⢈ףǽ☈ᄏǾ⒅ȞǹǓƹ O M UT ET DA H T O ED DO LO G ᑙᛡ☈ᄏ 2⿉ȲɢɴʀɎȫɻȸɿɲʀɁ Y ✃йଓᡄ⒙ 会計基準上の問題点 会計基準は、 キ ャ ピ タ ル ・ リ ース と オペレーテ ィ ン グ ・ リ ース を区別 し てお り 、 両者の会計処理は全 く 異な る。 会 計基準では、 キ ャ ピ タ ル ・ リ ース は、 借 り 手に長期に資産を使用す る 権利 と 、 支払債務を発生 さ せ る 取引 と みな さ れ る 。 リ ース期間を通 じ て企業は資産計上 し た資産使用権を償却 し 、 支払 リ ース料は支払利息相当分 と リ ース 債務の元本返済部分に分け て計上 さ れ る。 こ れに対 し て、 オペレーテ ィ ン グ ・ リ ース は未履行の契約 (オ フ バ ラ ン ス取引) と みな さ れ、 通常、 リ ース料の支払に伴っ て費用処理 さ れ る。 し たが っ て企業は、 単に支払 リ ース料 を リ ース費用 と し て損益計算書 と 営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーに計上す る だけであ る。 オペレーテ ィ ン グ ・ リ ース では、 企業は契約上 リ ース料を支払 う 債務を負い、 支払い を履行 し なければ通常の債 務 と 同様デフ ォ ル ト 事由に該当す る こ と が多いに も かかわ ら ず、 企業は こ れを債務 と し て認識 し ていない。 貸 し 手側か ら みれば、 オペレーテ ィ ン グ ・ リ ース債務が発生すればその企業の借入能力は低下す る。 ま た、 リ ース と い う 選択肢がなければ、 企業は資金を調達 し て資産を購入す る と も 考え ら れ る。 業種を問わず、 多 く の企業が自 己の資産を売却す る と 同時に リ ース を受け る取引を行っ てい る こ と をみて も 、 その こ と が分か る 。 会計基準では、 裁量の余地を含む基準に よ っ て キ ャ ピ タ ル ・ リ ース と オペレーテ ィ ン グ ・ リ ース を区別 し てい る。 そのため、 企業は会計処理を意識 し なが ら 取引を構築 し てお り 、 経済的差異がほ と ん ど な く て も 、 会計上の扱い が全 く 異な る 場合があ る 。 結果 と し て、 異な る 方法で同様の経済取引を行っ てい る 企業間や、 資産を リ ース し て い る企業 と 購入 し てい る企業の間の公正な比較がで き な く な る。 ɨʀɏȫʀɂǽոኝˀǽଓඅ ムーデ ィ ーズは こ の分析において、 企業が リ ー ス資産を購入、 償却 し 、 その資金を負債調達 し た も の と 想定 し て 財務諸表を調整す る こ と を目的 と し てい る。 こ の調整方法では、 賃借対照表、 損益計算書、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計 算書の調整が必要 と な る。 債務の調整額の計算には、 実際の支払 リ ース料に係数を掛け る 方法を用い る 。 こ の手法は こ れ ま で も 使用 さ れて お り 、 ムーデ ィ ーズのアナ リ ス ト は リ ース料を 8 倍 し た金額を用いて企業の実際の レ バ レ ッ ジ を算出 し て き た。 リ ース料を 8 倍す る と い う のは簡便な推定値の算出方法だが、 こ れは耐用年数の長い設備 (15 年) に一定の利率 (6%) を適用す る こ と を前提 と し てお り 、 全ての タ イ プの リ ース に適用で き る わけではない。 そ こ で、 よ り 幅広い 耐用年数お よ び金利を前提 と す る リ ース に も 適用で き る よ う に、 用い る係数を 5 倍、 6 倍、 8 倍、 10 倍に拡張 し ɨʀɏȫʀɂɿ͛ཆᗕ 8 た。 一貫性を確保す る ために、 同 じ 業種に属す る 複数の企業に対 し 、 通常は同 じ 係数を使用す る 。 ただ し 、 オペ レーテ ィ ン グ ・ リ ース の資産計上額は、 将来の支払 リ ース料の現在価値 (長期金利で割 り 引いて算出) を下限 と す る。 ムーデ ィ ーズの財務諸表調整方法 次表はオペレーテ ィ ン グ ・ リ ース の資産化に関す る ムーデ ィ ーズの調整方法を示 し た も のであ る 。 付録の ワ ー ク シー ト B に計算の詳細を示 し た。 表 3 : オペ レーテ ィ ング ・ リ ースの標準的調整 ⛸йଓᡄ⒙ ✃йଓᡄ⒙ˀǶƸؘ҆ǙȗȂࡘ✇᧳⾷⢡Ǿӈ֭ڋǽሱബࡘ✇᧳⾸ȡऻⲥǨȚƹؘ҆ǽऻⲥףǾી ⭾ǽნཌɲʀɁᄦǺϭᄋ⾷5 ЧƸ6 ЧƸ8 ЧƸ10 Ч⾸ȡ˻ǧǵᶟլǨȚƹǮǯǦƸሬତɲʀɁნཌⲥǽ ᥰࢀϢо⾷ׂ᤹ǷǦǵᄽ╄✇⦘☈⣕⦘ȡπ᧸⾸ǛǬțȡˀࡋȚई۰ǾƸǬǽᥰࢀϢоȡ᧸ǓȚƹ ၏ᬖ╹ᶟሤ లईຢ⒅Ǻ࣠ǴǜƸნཌɲʀɁᄦǽ 3 ոǽ 1 ȡნཌෲǺףᶟǦƸᔞșǽ 3 ոǽ 2 ȡǃ᚛Ϣӈڋá✇᧳ كȲɢɴʀɎȫɻȸɿɲʀɁDŽ ⾷ߙᏡᬖǽᐦ༔┶ả⾸ǺףǗƸߙᏡ⛻᧸⾷ȍǮǾॹˀڤϢǷ⛩ॹ⛻Ǚ ȗȂʶⅺᶩᥴ⛻⾸ȡǬțǺ۰ȞǪǵ☈ᄏǨȚƹ ȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤ ნཌɲʀɁᄦǽәቊ⡫ᚏᭀഝոȡߙᏡȵɫɋȿɭɝɵʀǚȘ⛥ؘȵɫɋȿɭɝɵʀǺոⲲংሠǨȚ☈ ᄏȡ⒅ǕƹȍǮƸᄽ╄ǺۄൡǦǮɲʀɁ✇᧳ǽ⦘ⲥȡཱུ✇ȵɫɋȿɭɝɵʀǽ▚ѿཱུ✇ǺᶟӱǦƸǬț ǺΒǕйӱᭀഝⲥȡ⛥ؘȵɫɋȿɭɝɵʀǺᶟӱǨȚƹ Y ᑙᛡ☈ᄏ 3⿉✇᧳كෲ O M UT ET DA H T O ED DO LO G 会計基準上の問題点 アナ リ ス ト は通常、 企業の事業活動 と 財務活動を区別 し て分析 し たい と 考え る。 こ の よ う に区別す る こ と に よ っ て、 債務返済の主な原資を創出す る事業活動の、 よ り 正確な姿を捉え る こ と がで き る。 一方、 会計基準では事業活動 と 財務活動が区別 さ れていない こ と も あ る。 ひ と つの例が資産化利息で、 一定の状 況下で、 GAAP は、 利息費用を有形固定資産の一部 と し て資産化す る こ と を求めてい る。 企業が利息を資産化 し た会計年度には、 企業が当該利息を全て費用計上 し た場合に比べ、 固定資産、 収益、 営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーがい ずれ も 増加す る。 ムーデ ィ ーズの分析上の対応 ムーデ ィ ーズは、 資産化 さ れた利息を金融費用 (支払利息) と 考え てい る ため、 損益計算書上に費用計上 さ れて い る か貸借対照表上に資産計上 さ れてい る かにかかわ ら ず、 発生 し た全ての支払利息を費用扱い し て イ ン タ レ ス ト ・ カバレ ッ ジ を分析す る 。 そのため、 貸借対照表、 損益計算書、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書の調整が必要 と な る。 ムーデ ィ ーズの財務調整方法 次表は、 資産化利息に対す る ムーデ ィ ーズの調整方法を示 し た も のであ る。 付録の ワー ク シー ト C に、 計算の詳 細を示 し た。 表 4 : 資産化利息の標準的調整方法 ⛸йଓᡄ⒙ ⛸йଓᡄ⒙Ǻᓎǽ☈ᄏȡףǗȚƹ • ഝቃոǽ✇᧳كෲⲥȡሱബࡘ✇᧳ǽⱼᬶǚȘလ⭒ǨȚ *ƹ • ᾎೄᲩ⦘ȡ☈ᄏǨȚƹ • ၏ᬖ╹ᶟሤˀƸ⢈ףǤțǮნཌෲⲥ⾷ᲩऻⲥոǾလ⭒⾸ȡ׀έ⦘ǚȘఞǦǞƹ ၏ᬖ╹ᶟሤ ၏ᬖ╹ᶟሤǺᓎǽ☈ᄏȡףǗȚƹ • ഝቃǽ✇᧳كෲǽⲥȡნཌෲǺףᶟǨȚƹ • ǢǽნཌෲǺଓඅǨȚᲩⲥȡఞǦǞƹ ȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤ ✇᧳كෲȡƸཱུ✇ȵɫɋȿɭɝɵʀǽʶ⤴ǶǑȚ▚ѿნլⲥǚȘƸߙᏡȵɫɋȿɭɝɵʀǽნཌෲ ǺংሠǨȚƹ * ඔˀǾ⣏౫ಏǽӴǵǽ✇᧳كෲǽẪ᳒ǹእǺdzǓǵ☈ᄏǨȚർ┶ǛǑȚǛƸીؘˀǽᥴᨁǚȘƸഝቃǽ✇᧳كෲǽȎȡཟǕǢǷǷ ǦǮƹ╹ᶟǛᡆ⮰ǶƸẪ᳒ǹእȡۀᆉǦǵȑɨʀɏȫʀɂǽ͛ǠǺ˄ǗȚ഻ⱶǛȊǷȢǸǽई۰⟽൮ǹǮȐǶǑȚƹ ɨʀɏȫʀɂɿ͛ཆᗕ 9 ᑙᛡ☈ᄏ 4⿉൝ᏡݲɁɐɋȷɿȲɟȿɯɻ 会計基準上の問題点 従業員ス ト ッ ク ・ オプシ ョ ン を費用計上 し てい る 米国企業 も 数多 く 見 ら れ る が、 大半の企業は費用計上を行っ て いない。 2005 年 7 月 1 日以降に適用 さ れ る US GAAP の新基準では全ての企業に従業員ス ト ッ ク ・ オプシ ョ ンの 費用計上が義務付け ら れ、 それに よ っ て比較可能性が向上す る。 それ ま では、 二つの点で財務諸表が比較不可能 と な っ てい る 。 従業員ス ト ッ ク ・ オプシ ョ ン を費用計上 し ていない企業 と 、 費用計上 し てい る 企業 と を比較す る こ と がで き ない点、 ま た、 従業員ス ト ッ ク ・ オプシ ョ ン を費用計上 し ていない企業 と 、 従業員ス ト ッ ク ・ オプシ ョ ン制度を持たない企業を比較す る こ と がで き ない点であ る。 ま た、 従業員 ス ト ッ ク ・ オプシ ョ ン を費用計上 し てい る か否かにかかわ ら ず、 米国企業は、 ス ト ッ ク ・ オプシ ョ ン が行使 さ れた場合、 行使時の時価 と 行使価格の差額分が課税所得か ら 控除 さ れ る ため、 結果 と し て期末の未払 税金が減少す る。 現在の会計ルールでは、 未払税金負債の減少は営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの増加分 と し て扱われ る。 し か し 、 株価、 オプシ ョ ンの条件、 従業員の選好に よ っ て こ の税務上の効果の額は大 き く 変動す る可能性があ り 、 特に企業が厳 し い状況にあ っ て株価が下落 し てい る場合な ど には、 こ の効果は持続的ではない。 ムーデ ィ ーズの分析上の対応 ムーデ ィ ーズは、 従業員ス ト ッ ク ・ オプシ ョ ンは分析上、 費用 と し て認識 さ れ るべ き報酬であ る と 考えてい る。 ま Y た会計上は、 従業員 ス ト ッ ク ・ オプシ ョ ン にかか る 税の減免分は、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書で営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの増加 と し て扱われ る こ と にな っ てい る が、 ムーデ ィ ーズは、 こ の税務上の影響額は、 以下の理由か ら 財務 O M UT ET DA H T O ED DO LO G キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー と 解釈す る のが適切だ と 考えてい る。 1. 株式の発行に関係す る も のであ る こ と 。 2. 企業の株価、 オプシ ョ ンの条件、 従業員の選好に よ っ て変化す る ため、 非経常的で変動性の高い項目であ る こ と。 3. ス ト ッ ク ・ オプシ ョ ンに よ る希薄化を回避す る ための自社株買いの際のキ ャ ッ シ ュ ・ ア ウ ト と 同 じ 範疇の取 引であ る こ と 。 4. 企業が厳 し い状況に陥っ た場合、 従業員は ス ト ッ ク ・ オプシ ョ ン を行使せず、 消滅 し て し ま う こ と 。 ムーデ ィ ーズは、 新会計基準適用前の 2005 年 6 月 30 日ま での分につ き、 財務諸表の調整を行 う 。 こ れに よ っ て 企業間の比較可能性が確保 さ れ る。 ムーデ ィ ーズは、 開示情報であ る オプシ ョ ン価値に関す る 注記 と 、 こ れに関連す る 試算値を利用 し て こ の調整を 行う。 ムーデ ィ ーズの財務調整方法 次表は、 従業員ス ト ッ ク ・ オプシ ョ ン の効果に関す る ムーデ ィ ーズの調整方法を示 し た も のであ る 。 付録の ワ ー ク シー ト D に、 計算の詳細を示 し た。 表 5 : 従業員ス ト ッ ク ・ オプ シ ョ ンの標準的調整 ⛸йଓᡄ⒙ ɁɐɋȷɿȲɟȿɯɻǛ⛻᧸◜⚃ǤțǮǷͪǦǵ☈ᄏȡ⒅ǕƹǬǽᅀᗕǾᓎǽ⢡șƹ • Ჩ⦘☈ᄏൖǽɁɐɋȷɿȲɟȿɯɻ⛻᧸ȡ׀έ⦘ǚȘလ⭒ǨȚƹ • ጋǛ⒅ǤțǮǷȎǹǦǵᇃ⢡ጋȡऻȓǨƹ • Ჩ⛻᧸ǽ᚛ଦǺଓǦǵᾎೄᲩ⦘⛤҆ȡ᚛ȘǨƹ ၏ᬖ╹ᶟሤ ɁɐɋȷɿȲɟȿɯɻǛ⛻᧸◜⚃ǤțǮǷͪǦǵ☈ᄏȡ⒅ǕƹǬǽᅀᗕǾᓎǽ⢡șƹ •ǃᲩ⦘☈ᄏ֭DŽǽ็ɁɐɋȷɿȲɟȿɯɻ⛻᧸ǽⲥǯǠ⛩ᶩ⛻ȡऻⲥǨȚƹ • Ჩ⦘☈ᄏ֭ǽɁɐɋȷɿȲɟȿɯɻ⛻᧸ǺᲩ᤹ȡ˻ǧǮⲥǯǠᲩ⛻᧸ȡ᚛ⲥǨȚƹ ȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤ ɁɐɋȷɿȲɟȿɯɻǽ⒅πǺȗȚᲩ⦘᚛ଦոȡƸߙᏡȵɫɋȿɭɝɵʀǚȘ⛥ؘȵɫɋȿɭɝɵʀǺ ոⲲংሠǨȚƹ ɨʀɏȫʀɂɿ͛ཆᗕ 10 ᑙᛡ☈ᄏ 5⿉ɗȬɞɲɋɑ▩֟ 会計基準上の問題点 ハ イ ブ リ ッ ド 証券は、 会計上、 債務、 株式、 少数株主持分な ど と し て計上 さ れ る が、 債務 と 株式の両方の特性を 持っ てい る。 一部の証券については、 会計上の分類は、 経済実体 と 異な っ ていて も 法的形態に基づいて決め ら れ る。 例えば、 会計基準ではあ る種の優先株を、 債務 と し ての重要な特性を も つに も かかわ ら ず、 100% 資本 と し て 分類 し てい る。 ムーデ ィ ーズの分析上の対応 ハ イ ブ リ ッ ド 証券は、 純粋な負債で も 純粋な株式で も ないため、 ムーデ ィ ーズは特定のハ イ ブ リ ッ ド 証券を債務 と 株式の間に位置付け る 。 そ し て、 証券の特性に応 じ て債務 と 株式の ウ エ イ ト を決定 し 、 それに よ っ て両者の間 の ど こ に位置付け ら れ る か を決め る。 その結果、 例えば、 会計上は 100% 株式に分類 さ れてい る ハ イ ブ リ ッ ド 証券 を、 ムーデ ィ ーズは 75% 債務 ・ 25% 株式 と し て取 り 扱 う こ と があ る 。 貸借対照表上では、 株式特性 と 債務特性の ウ エ イ ト に応 じ てハ イ ブ リ ッ ド 証券を分類す る。 ɘɁȹɋɐ A ؘ҆ǽȮȰȬɐ 100% ጋǽȮȰȬɐ 0% B 75% 25% C 50% 50% D 25% E 0% Y 75% O M UT ET DA H T O ED DO LO G 100% こ の考え方に基づいて、 会計上では 100% 負債、 ま たは 100% 株式、 あ る いは少数株主持分 と し て分類 さ れてい る も のに対 し て、 調整が必要にな る こ と が多い。 ま た貸借対照表の分類に応 じ て、 損益計算書に も 支払利息ま たは配当の調整を行 う 。 例えば、 債券型証券の一部 に 「株式への類似性」 があ る と み ら れ る 場合、 ムーデ ィ ーズはその比率に応 じ て支払利息を配当に分類 し 直す。 逆 に、 株式型証券の一部に 「債務への類似性」 があ る と み ら れ る 場合、 ムーデ ィ ーズはその比率に応 じ て配当を支 払利息に分類 し 直す。 ムーデ ィ ーズは同様の考え方を キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書に も 適用 し 、貸借対照表上の分類に応 じ て キ ャ ッ シ ュ ・ ア ウ ト フ ロ ーを支払利息ま たは配当 と し て反映す る。 ムーデ ィ ーズが 2003 年 11 月に発表 し た "Hybrid Securities Analysis" (日本語版 「ハ イ ブ リ ッ ド 証券の分析」 2004 年 1 月発行)9 か ら の変更点 と し て、 ハ イ ブ リ ッ ド 証券に関す る財務諸表の調整お よ び比率の計算を、 投資適格等 級の発行体について も 投機的等級の発行体について も 同様に行 う こ と と す る。 9. 2003 年 11 月発行の "Hybrid Securities Analysis : New Criteria for Adjustment of Financial Ratios to Reflect the Issuance of Hybrid Securities" (日本語版 「ハ イ ブ リ ッ ド 証券の分析-ハ イ ブ リ ッ ド 証券の発行に伴 う 財務指標の調整に関す る 新金融商品常設委員会に よ る 新た な基準」 2004 年 1 月発行) では、 投機的等級発行体の金融費用カバ レ ッ ジは、 ハ イ ブ リ ッ ド 証券の利息 (繰延可能、 現物支払可能、 普 通株式に よ る 支払可能) を含めた場合 と 含めない場合について計算す る が、 投資適格等級発行体では金融費用カバ レ ッ ジに調整を加え ない と し ていた。 こ の格付け手法か ら の変更 と し て、 ムーデ ィ ーズは、 ハ イ ブ リ ッ ド 証券の財務諸表の調整お よ び財務比率の計算を、 投資適格等級 発行体で も 投機的等級発行体で も 同様 と し 、 バ ス ケ ッ ト の分類に応 じ て行 う こ と と す る 。 ɨʀɏȫʀɂɿ͛ཆᗕ 11 ムーデ ィ ーズの財務調整方法 次表は、 ハ イ ブ リ ッ ド 証券に関す る ムーデ ィ ーズの調整方法を示 し た も のであ る。 付録の ワー ク シー ト E に計算 の詳細を示 し た。 表 6 : 債務に分類 さ れているハイ ブ リ ッ ド 証券の株式への分類変更 ⛸йଓᡄ⒙ ɗȬɞɲɋɑ▩֟ǛഝǵǾȍȚɘɁȹɋɐǺඅǧƸ⛥♁ؘ⒙ˀǶƸ⛤҆ǺոⲲǤțǵǓǮɗȬɞɲɋɑ ▩֟ȡጋ⾷ӋӞጋ⾸ǺոⲲংሠǨȚƹ ၏ᬖ╹ᶟሤ ɗȬɞɲɋɑ▩֟ǛഝǵǾȍȚɘɁȹɋɐǺඅǧƸ၏ᬖ╹ᶟሤˀǶƸɗȬɞɲɋɑ▩֟ǽጋ⤴ոǽნ ཌෲȡӋӞ⥎ഝǺոⲲংሠǨȚƹ ȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤ ɗȬɞɲɋɑ▩֟ǛഝǵǾȍȚɘɁȹɋɐǺඅǧƸȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤˀǶƸɗȬɞɲɋɑ▩֟ǽ ጋ⤴ոǽნཌෲ⾷ߙᏡȵɫɋȿɭɝɵʀ⾸ȡӋӞ⥎ഝ⾷⛥ؘȵɫɋȿɭɝɵʀ⾸ǺոⲲংሠǨȚƹ 表 7 : 株式に分類 さ れているハイ ブ リ ッ ド 証券の債務への分類変更 ɗȬɞɲɋɑ▩֟ǛഝǵǾȍȚɘɁȹɋɐǺඅǧƸ⛥♁ؘ⒙ˀǶƸጋǺոⲲǤțǵǓǮɗȬɞɲɋɑ ▩֟ȡ⛤҆⾷צൖ҆⾸ǺոⲲংሠǨȚƹ ၏ᬖ╹ᶟሤ ɗȬɞɲɋɑ▩֟ǛഝǵǾȍȚɘɁȹɋɐǺඅǧƸ၏ᬖ╹ᶟሤˀǶƸɗȬɞɲɋɑ▩֟ǽ҆֟⤴ոǽӋ Ӟ⥎ഝȡნཌෲǺոⲲংሠǨȚƹ ȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤ ɗȬɞɲɋɑ▩֟ǛഝǵǾȍȚɘɁȹɋɐǺඅǧƸȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤˀǶƸɗȬɞɲɋɑ▩֟ǽ ҆֟⤴ոǽӋӞ⥎ഝ⾷⛥ؘȵɫɋȿɭɝɵʀ⾸ȡნཌෲ⾷ߙᏡȵɫɋȿɭɝɵʀ⾸ǺոⲲংሠǨȚƹ Y ⛸йଓᡄ⒙ O M UT ET DA H T O ED DO LO G 会計基準では、 一部のハ イ ブ リ ッ ド 証券を債務で も 株式で も な く 、 少数株主持分に分類 し てい る 。 こ れに対 し 、 ムーデ ィ ーズは、 ハ イ ブ リ ッ ド 証券を債務 ・ 株式間の位置付けか ら 決ま る ウ エ イ ト に応 じ て、 債務 と 株式に分類 し 直す方法を と っ てい る。 ま た、 損益計算書 と キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書 も 、 貸借対照表の分類に応 じ て調整を行っ てい る。 ᑙᛡ☈ᄏ 6⿉▩֟ۄك 会計基準上の問題点 企業は、 売上債権な ど の資産を証券化 ト ラ ス ト へ譲渡す る 際、 主に法律上の扱いに基づ く 会計基準に従っ て、 こ れを売却 と し て処理 し てい る。 し か し 、 売却 と し て扱われてい る多 く の証券化取引に次の よ う な点が認め ら れ る。 1. 証券化 ト ラ ス ト に譲渡 さ れた資産に属す る重要な リ ス ク がオ リ ジネー タ ーであ る企業に残っ てい る。 2. 将来の証券化取引市場へのア ク セ ス を維持す る ため、 企業は、 既存の証券化取引を救済す る 「取引上の必要 性」 に迫 ら れ る。 3. 企業が証券化取引市場へのア ク セ ス を失っ た場合、それま で証券化 さ れていた資産が通常の事業活動の中で 貸借対照表上に蓄積 さ れ る こ と にな り 、 代替的な資金調達が必要 と な る。 こ の よ う な視点は、 事業会社担当のアナ リ ス ト が、 証券化取引を資産売却 と み る か、 あ る いは資産を担保 と し た 借入 と み る か と い う 複雑な問題につなが る。企業の財務レバレ ッ ジ と キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーに関する 会計上の扱い、お よ びそれに よ る財務数値は、 アナ リ ス ト の解釈に よ っ て大 き く 異な っ て く る。 例えば、 取引を売却 と 解釈すれば、 アナ リ ス ト は財務報告を その ま ま受け入れ る こ と にな り 、 その場合、 企業の 貸借対照表か ら 当該資産が除去 さ れ、 取引に関す る 債務は認識 さ れない。 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書では、 売上債 権の売却に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーは営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーに分類 さ れ る。 一方、 取引を担保付借入 と 解釈 し た場合、 アナ リ ス ト は企業の貸借対照表を調整 し 、 証券化取引か ら 得た資金を 債務に加算 し 、 証券化 し た売上債権 ま たは他の資産を貸借対照表に足 し 戻す。 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書では、 ア ナ リ ス ト は取引か ら のキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを借入 と みな し 、 営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーか ら 財務キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーに分 類変更す る。 ɨʀɏȫʀɂɿ͛ཆᗕ 12 実質的には担保付借入であ っ て も 、 会計基準に従っ て売却 と し て取 り 扱 う と 、 企業間の財務諸表の比較がで き な く な る 。 従来の方法で資金調達を行 う 企業 と 、 証券化取引に よ り 資金を調達す る 企業では、 経済的実体は同様の 場合があ る に も かかわ ら ず、 財務諸表上は異な っ て見え る こ と にな る。 ムーデ ィ ーズの分析上の対応 ムーデ ィ ーズは、 リ ス ク が完全に移転 さ れていない証券化取引を担保付借入 と 解釈す る。 こ れ ま でに分析の対象 と し たほぼ全ての証券化取引で、 企業は、 譲渡 し た資産に関す る リ ス ク の大 き な部分を留保 し ていた と 考え ら れ る。 そ う し た場合、 ムーデ ィ ーズは、 証券化取引を資産の売却 と し て処理 し てい る 企業の財務諸表を、 その取引 が証券化に よ る借入であ る と し て調整を行 う 。 ムーデ ィ ーズの財務調整方法 次表は、 証券化取引に関す る ムーデ ィ ーズの調整方法を示 し た も のであ る。 付録の ワー ク シー ト F に計算の詳細 を示 し た。 表 8 : 証券化取引の標準的調整 ͽᏡǛ▩֟ۄكǺȗDzǵ⚓ᚡǦǮ✇᧳ǽƸቈࡋہȍǮǾቈીᥰǽቃᔞⶲȡƸ⛸йଓᡄ⒙ǽ⛤҆ǷǦ ǵףᶟǨȚƹȍǮଓඅǨȚ✇᧳ȡ۴ⲥոףᶟǨȚƹ ၏ᬖ╹ᶟሤ ☈ᄏǺȗȚ҆ףऻؘոǽნཌෲȡഝ○ͽᏡǽ᮲ቃйӱ⦘Ƕ╹ᶟǦƸ۴ⲥոƸǬǽ͙⛻᧸ȡ᚛ᶟǨ Țƹ൝DzǵƸǢǽ☈ᄏǾẗᬖǺǾ഻ⱶȡ˄ǗǹǓƹ ȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤ ▩֟ۄكǺ⬄ȞȚȵɫɋȿɭɝɵʀȡƸߙᏡȵɫɋȿɭɝɵʀǚȘ⛥ؘȵɫɋȿɭɝɵʀǺոⲲংሠ ǨȚƹ • ሬ֊ǽ✇᧳⚓ᚡᆣǺƸǬǽȵɫɋȿɭɝɵʀȡߙᏡȵɫɋȿɭɝɵʀǚȘ⛥ؘȵɫɋȿɭɝɵʀǺո ⲲংሠǨȚƹ • Ǭǽൖǽቃ⫻ǺdzǓǵǾƸ▩֟كǤțǮ✇᧳ǽቈࡋⲥہȍǮǾቈીᥰⲥǽቃ˛ऻ᚛ⲥȡոⲲংሠǨ ȚƹόǗǿ▩֟كǤțǮॹˀ҆ᑤǽቈࡋⲥہǛቃ֊ǚȘቃǺǚǠǵऻףǦǮई۰ƸǬǽऻףոȡߙ ᏡȵɫɋȿɭɝɵʀǚȘ⛥ؘȵɫɋȿɭɝɵʀǺոⲲংሠǨȚƹ • ቃ֊ǚȘቃǺǚǠǵ᚛ଦǦǮई۰ƸǬǽ᚛ଦոǯǠߙᏡȵɫɋȿɭɝɵʀȡऻⲥǦƸ⛥ؘȵɫɋ ȿɭɝɵʀȡ᚛ⲥǨȚƹ O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y ⛸йଓᡄ⒙ ᑙᛡ☈ᄏ 7⿉ൖӱӞլᗕ△ϢǺȗȚᎉ᧳✇ڏ 会計基準上の問題点 後入先出法 (LIFO) に よ る貸借対照表上の棚卸資産の評価方法は、 米国 ・ カナダの企業会計基準で採用 さ れてい る 方法であ る が、 国際会計基準な ど、 他の企業会計基準では採用 さ れていない。 価格上昇局面では、 LIFO に よ る貸 借対照表上の棚卸資産の評価額が、 先入先出法 (FIFO) に よ る評価額、 再調達原価、 時価を大幅に下回 る。 し たがっ て、LIFO を採用 し てい る 企業 と 、FIFO やその他の方法を採用 し てい る企業の貸借対照表を直接比較す る こ と はで き ない。 ムーデ ィ ーズの分析上の対応 ムーデ ィ ーズは、 後入先出法を採用 し てい る 企業の財務諸表を、 先入先出法に変え て調整す る。 こ の調整に よ っ て企業間の比較可能性が向上す る。 ま た、 こ れに よ っ て棚卸資産の評価額が よ り 実体を反映 し た も の (棚卸資産 の現在の価値) にな る。 こ の調整は貸借対照表にのみ影響を与え る 。 損益計算書お よ びキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書には調整を加え ない。 こ れは後入先出法に基づ く 売上原価は、 現在の コ ス ト を正確に表 し てい る と 考え ら れ る か ら であ る。 ɨʀɏȫʀɂɿ͛ཆᗕ 13 ムーデ ィ ーズの財務調整方法 次表は、 後入先出法で評価 さ れた棚卸資産に関す る ムーデ ィ ーズの調整方法を示 し た も のであ る 。 付録の ワ ー ク シー ト G に計算の詳細を示 し た。 表 9 : LIFO 法によ り 評価 さ れた棚卸資産についての標準的調整 ⛸йଓᡄ⒙ ⛸йଓᡄ⒙ȡᓎǽȗǕǺ☈ᄏǨȚƹ • LIFO ǺȗȚᎉ△᧳✇ڏϢ၏ডഝ⦘ǽⲥǯǠᎉ᧳✇ڏȡऻⲥǨȚƹ • ଓඅǨȚᲩእǽոǯǠᾎೄᲩ⦘⛤҆ȡऻⲥǨȚƹ • ׀έ⦘ȡऻⲥǨȚƹ ၏ᬖ╹ᶟሤ LIFO Ǻ࣠ǴǞॹˀڤϢǾƸ⛩ॹǤțȚ⓯ݨǽᥰࢀǽڤϢȡ⣪չǺ⒙ǦǵǓȚǷǗȘțȚǮȐƸ၏ᬖ ╹ᶟሤǺǾ☈ᄏȡףǗǹǓƹ ȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤ ȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤǺǾ☈ᄏȡףǗǹǓƹ ᑙᛡ☈ᄏ 8 ǙȗȂ 9⿉ όঋɿⰞểⱼᬶ⾼၏ᬖ╹ᶟሤǙȗȂȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤ 会計基準上の問題点 財務諸表には通常、 例外的 ・ 非経常的項目について アナ リ ス ト が必要 と す る 十分な情報が含ま れていない。 企業 Y は、 一部の非経常的な取引や事象の影響 (非継続事業、 特殊事項、 会計方針変更の影響な ど) を別途開示 し てい O M UT ET DA H T O ED DO LO G る が、 会計基準は、 企業が十分かつ幅広い範囲の例外的 ・ 非経常的項目を財務諸表に開示す る こ と を義務づけ、 あ る いは許可 し ていない。 例 と し て次の も のが挙げ ら れ る。 • 例外的に大 き な額の取引 (売上、 費用、 ま たはキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを発生 さ せる も の) で、 経営陣が予測 し う る 将来において再発す る こ と を想定 し ていない も の • 特異な取引。 例えば通常不動産売買を行っ ていない企業に よ る不動産の売却な ど。 • 過去に発生 し たが、 ま も な く 効果が消滅する と 経営陣が考え る 取引 (例えば、 営業権の償却に よ る税務上の 効果で、 償却期間が終わ り に近い場合な ど) 例外的 ・ 非経常的項目の影響についての情報が不適切だ と 、 財務数値の趨勢について誤っ た認識を生 じ さ せ る こ と があ る 。 例えば、 一度限 り の大 き な取引に よ っ て、 売上、 売上総利益、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーが変化 し た場合、 こ れを分離 し た分析がな さ れなければ、 企業の市場シ ェ ア、 売上高、 利益、 営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの推移について 誤っ た印象を与え る可能性があ る。 ムーデ ィ ーズの分析上の対応 ムーデ ィ ーズは、 例外的 ・ 非経常的な取引お よ び事象の影響を損益計算書お よ びキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書上、 分 離 し て把握す る。 こ れに よ っ て アナ リ ス ト は、 コ ア事業の実質的な推移を よ り 正確に捉え る こ と がで き る 。 ムー デ ィ ーズが用い る主要財務比率では、 例外的 ・ 非経常的 と みな さ れ る取引の影響を排除す る。 ムーデ ィ ーズは通常、 開示資料に含ま れ る 経営陣に よ る 事業分析な ど を基に、 例外的 ・ 非経常的な取引 ・ 事象を 特定す る。 ま た、 経営陣 と 対話を通 じ て、 重要な事項を ムーデ ィ ーズが認識 し 、 その影響額を的確に把握 し てい る こ と を確認す る。 実務上の理由か ら 、 ムーデ ィ ーズは通常、 例外的 ・ 非経常的な項目について貸借対照表に調整を加え ない。 ただ し 、 例外的 ・ 非経常的な項目が貸借対照表に大 き な影響を与え る可能性を検討 し 、 必要に応 じ て調整を行 う 。 ɨʀɏȫʀɂɿ͛ཆᗕ 14 ムーデ ィ ーズの財務調整方法 次表は、 例外的 ・ 非経常的項目に関す る ムーデ ィ ーズの調整方法を示 し た も のであ る 。 付録の ワ ー ク シー ト H (例 外的項目-損益計算書) お よ び ワー ク シー ト I (例外的項目-キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書) に、 計算の詳細を示 し た。 表 10 : 例外的 ・ 非経常的項目についての標準的調整-損益計算書およびキ ャ ッ シ ュ フ ロー計算書 ⛸йଓᡄ⒙ ոኝˀ⦔┶ǹई۰ǾƸ⛸йଓᡄ⒙Ǻ☈ᄏȡףǗȚƹ ၏ᬖ╹ᶟሤ όঋɿⰞểǹہᬖƸᬖƸ⛻᧸ǽ഻ⱶⲥȡᣀǦƸǬǽᲩእൖǽẗⲥȡƸ၏ᬖ╹ᶟሤǽᲩൖ ᬖǽൖǺᣀᔝⱼᬶǷǦǵոⲲǨȚƹɨʀɏȫʀɂǛ᧸ǓȚ˩┶ᕉ᤹ǽ╹ᶟǺǾƸᣀᔝⱼᬶǷ◜⚃Ǥț ǮȑǽǾ܅ȐǹǓƹ ȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤ όঋɿⰞểǹⱼᬶǺȗȚȵɫɋȿɭɝɵʀ഻ⱶⲥȡƸߙᏡȵɫɋȿɭɝɵʀǽ˛ǽᣀǹⱼᬶǷ ǦǵոⲲǨȚƹɨʀɏȫʀɂǛ˩┶⛥ؘᕉ᤹ǽ╹ᶟǺ᧸ǓȚȵɫɋȿɭɝɵʀǺǾƸǢǽᣀǹⱼᬶǾ ܅ȐǹǓƹ ᑙᛡ☈ᄏǽংሠ 財務報告に関す る 議論がグ ロ ーバルに進展す る に従っ て、 ムーデ ィ ーズが標準的な調整方法を修正す る こ と も あ ろ う 。 その場合は、 リ サーチの読者に通知 し 、 ま た必要 と 判断すれば、 修正前に読者の意見を求めた上で、 こ の O M UT ET DA H T O ED DO LO G ͛⩜⾼☈ᄏǽǮȐǽɷʀȷȿʀɐ Y 格付け手法レ ポー ト を更新す る。 添付は、 各調整の計算方法を示す ワー ク シー ト であ る。 ɷʀȷȿʀɐ ☈ᄏⱼᬶ A Ổ͛౫⦘ǽቈ᳒ᴗⲥ B ȲɢɴʀɎȫɻȸɿɲʀɁ C ✇᧳كෲ D ൝ᏡݲɁɐɋȷɿȲɟȿɯɻ E ɗȬɞɲɋɑ▩֟ F ▩֟ۄك G ൖӱӞլᗕ△ϢǺȗȚᎉ᧳✇ڏ H όঋɿⰞểⱼᬶ⾼၏ᬖ╹ᶟሤ I όঋɿⰞểⱼᬶ⾼ȵɫɋȿɭɝɵʀ╹ᶟሤ J Ⱎᑙᛡǹ☈ᄏ⾼⫳ᰳษअ ɨʀɏȫʀɂɿ͛ཆᗕ 15 ☈ᄏ⿉౫⦘áɷʀȷȿʀɐ (A) ⾷ḗ࡛ GAAP ᧸⾸ ⢛᥊ ࡓ࠺ࠖ࠭ߪޔᐕ㊄ࡊࡦߩᧂⓍ┙㗵߇ௌോߣߒߡ⾓୫ኻᾖߦᤋߐࠇࠆߴ߈ߣ⠨߃ߡࠆޔߡߞ߇ߚߒޕᢙℂ⸘▚ ߦၮߠߊ੍᷹⛎ઃௌോ 2$1߇ᐕ㊄ၮ㊄ߩ⾗↥ߩᱜଔ୯ࠍ࿁ߞߚ㗵ࠍߩᧃᦼޔௌോߣߺߥߒߡࠆޕⓍ┙ဳᐕ㊄ߣߩᲧセ ᕈࠍ㜞ࠆߚߪ࠭ࠖ࠺ࡓޔ೨Ⓧ┙߇⟵ോߠߌࠄࠇߡߥડᬺߦߟߡᐕ㊄ௌോߩ೨Ⓧ┙ࠍⴕߞߚ႐วࠍᗐቯ ߔࠆޔߡߞ߇ߚߒޕ㕖Ⓧ┙ဳᐕ㊄ᐲߢߪޔ2$1ߩ৻ㇱߩߺ߇ޟḰ⽶ௌޔߪߢᦠ▚⸘⋉៊ޕࠆࠇߐߥߺߣޠㆊൕോௌോ߿ ᢙℂ⸘▚ߩ㓙ߩఘළߥߤߩޔળ⸘ಣℂߩᦼ㑆㈩ಽߩലᨐࠍ㒰ߒߚ߽ߩ߇ᐕ㊄⾌↪ߣߥࠆࠃ߁⺞ᢛߒߡࠆ࠺ࡓޕ ࠖ࠭ߪޟޔᒰᦼߩൕോ⾌↪㧗੍᷹⛎ઃௌോ 2$1ߩᕷ⾌↪㧙ᐕ㊄⾗↥߆ࠄߩ⋉ࠍޠᐕ㊄⾌↪ߣ⠨߃ߡࠆࠪ࠶ࡖࠠޕ 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O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y ⺞ᢛ䈮㑐䈜䉎⺑䋺 ɨʀɏȫʀɂɿ͛ཆᗕ 27 ɨʀɏȫʀɂɿɀɫəɻጋΉ᰷ lj 105-6220 ኇ̸⤹ᚯٚશ 2 ʷᬶ 5-1 શȸɲʀɻɚɳɂMORIɇɷʀƷ20F Copyright 2010 Moody s Investors Service, Inc. 及び / 又は同社の ラ イ セ ンサー及び関連会社 (以下 「ムーデ ィ ーズ」 と 総称 し ます。) All rights reserved. O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y 信用格付は、 事業体、 与信契約、 債務又は債務類似証券の将来の相対的信用 リ ス ク についての、 ムーデ ィ ーズ ・ ジ ャパン株式会社 (以下 「MJKK」 と いいます。) の現時点の意見です。 MJKK は、 信用 リ ス ク を、 事業体が契約上 ・ 財務上の義務を期日に履行で き ない リ ス ク及びデ フ ォル ト 事 由が発生 し た場合に見込まれる あ ら ゆる種類の財産的損失 と 定義 し ています。 信用格付は、 流動性 リ ス ク 、 市場価値 リ ス ク 、 価格変動性 リ ス ク 及びその他の リ ス ク について言及する ものではあ り ません。 信用格付は、 現在又は過去の事実を示す ものではあ り ません。 信用格付は、 投資又 は財務に関する助言を構成する ものではな く 、 特定の証券の購入、 売却、 又は保有を推奨する も のではあ り ません。 信用格付は、 特定の投資家 に と っ ての投資の適切性について論評する ものではあ り ません。 MJKK は、 投資家が、 購入、 保有、 又は売却を検討する各証券について投資家 自身で研究 ・ 評価する と い う 期待及び理解の下で、 信用格付を発行 し ます。 こ こ に記載する情報はすべて、 著作権法を含む法律に よ り 保護 さ れてお り 、 いかな る者 も、 いかな る形式、 方法、 手段に よ っ て も 、 こ れ らの情 報 (全部か一部かを問いません。) を、 ムーデ ィ ーズの事前の書面に よ る同意な く 、 複製その他の方法に よ り 再製、 リ パ ッ ケージ、 転送、 譲渡、 頒布、 配布、 転売する こ と はで きず、 また、 こ れ らの目的で再使用する ために保管する こ と はで き ません。 こ こ に記載する情報は、 すべてムー デ ィ ーズが正確かつ信頼 し う る と 考え る情報源か ら入手 し た も のです。 し か し 、 人的及び機械的誤 り が存在する可能性、 並びにその他の事情に よ り 、 ムーデ ィ ーズは これ ら の情報を いかな る種類の保証 も つける こ と な く 「現状有姿」 で提供 し ています。 ムーデ ィ ーズは、 信用格付を付与 する際に用い る情報が十分な品質を有 し 、 またその情報源がムーデ ィ ーズに と っ て信頼で き る と 考え られる ものであ る こ と (独立 し た第三者が こ の情報源に該当する場合 も あ る。) を確保する ため、 全ての必要な措置を講 じ ています。 し か し 、 ムーデ ィ ーズは監査を行 う 者ではな く 、 格 付の過程で受領 し た情報の正確性及び有効性について常に独自の検証を行 う こ と はで き ません。 ムーデ ィ ーズはいかな る状況において も、 ま た いかな る者又は法人に対 し て も、 以下の (a) 及び (b) について一切責任を負いません。 (a) こ れ らの情報の入手、 収集、 編纂、 分析、 解釈、 伝達、 公表又は配布に関する誤 り (過失に よ るか、 その他の原因に よ るかを問いません。) 又はその他の状況若 し く は偶発事象 (ムーデ ィ ーズ、 あ る いはその取締役、 役職員、 従業員あ る いは代理人の支配力が及ぶか及ばないかを問い ません。) に (全部、 一部を問わず) 起因 し 、 由来 し 、 若 し く は関係する損失又は損害。 (b) ムーデ ィ ーズが事前に当該損害の可能性について助言を受けていた場合において も 、 こ れ らの情報の使用に よ り 又は使用が不可能であ る こ と に よ り 発生する、 あ ら ゆる種類の直接的、 間接的、 特別、 二次的、 補償的、 又は付随的損害 (逸失利益を含みますが こ れに限定 さ れる もので はあ り ません。)。 こ こ に記載 さ れる情報の一部を構成する格付、 財務報告分析、 予測、 及びその他の見解 ( も し あれば) は、 ムーデ ィ ーズの意見の表明であ り 、 ま たそのよ う な もの と し てのみ解釈 さ れるべき であ り 、 こ れに よ っ て事実を表明 し 、 又は証券の購入、 売却若 し く は保有を推奨する も のではあ り ません。 こ こ に記載する情報の各利用者は、 購入、 保有又は売却を検討する各証券について、 自 ら 研究 ・ 評価 し なければな り ません。 ムー デ ィ ーズは、 いかな る形式又は方法に よ っ て も、 こ れ らの格付若 し く はその他の意見又は情報の正確性、 適時性、 完全性、 商品性及び特定の目 的への適合性について、 (明示的、 黙示的を問わず) いかな る保証 も行 っ ていません。 MJKK は、 ムーデ ィ ーズ ・ グループ ・ ジ ャ パン合同会社の完全子会社であ り 、 同社は、 Moody s Corporation ( 以下 「MCO」 と いいます。 ) の 完全子会社であ る Moody s Overseas Holdings Inc. の完全子会社です。 MJKK は、 MJKK が格付を行 っ てい る債券 (社債、 地方債、 債券、 手形、 CP を含みます。) 及び優先株式の発行者の大部分が、 MJKK が行 う 評 価 ・ 格付サービ スに対 し て、 MJKK に よ る格付の付与に先立ち、 20 万円か ら約 3 億 5,000 万円の手数料を MJKK に支払 う こ と に同意 し てい る こ と を、 こ こ に開示 し ます。 また、 MCO 及び MJKK は、 MJKK の格付及び格付過程の独立性を確保する ための方針 と 手続き を整備 し ています。 MCO の取締役 と 格付対象会社 と の間の何 ら かの利害関係の存在、 及び MJKK か ら格付を付与 さ れ、 かつ MCO の株式の 5% 以上を保有 し てい る こ と を SEC に公式に報告 し ている会社間の何 ら かの利害関係の存在に関する情報は、 ムーデ ィ ーズのウ ェ ブサイ ト www.moodys.com 上に "Shareholder Relations-Corporate Governance-Director and Shareholder Affiliation Policy" と い う 表題で毎年、 掲載 さ れます。 本書のオース ト ラ リ ア での公開は、 オース ト ラ リ ア金融サービ ス認可番号 336969 を有するムーデ ィ ーズの関連会社であ る Moody s Investors Service Pty Limited ABN 61 003 399 657 に よ っ て行われます。 本文書は (2001 年会社法 761G 条の定める意味における) 「ホールセール顧客」 のみへの提供を意図 し た ものです。 オース ト ラ リ ア国内か ら 本文書に継続的にア ク セ ス し た場合、 ムーデ ィ ーズに対 し て、 「ホールセール顧客」 であ るか又は 「ホールセール顧客」 の代表者 と し て本文書にア ク セス し てい る こ と 、 及び、 貴殿又は貴殿が代表する法人が、 直接又は間接に、 本書又はその内容を (2001 年会社法 761G 条の定める意味における) 「 リ テール顧客」 に配布 し ない こ と を表明 し た こ と にな り ます。 本信用格付は、 発行者の信用力又は債務についての意見であ り 、 発行者のエ ク イ テ ィ 証券又は リ テール投資家が取得可能なその他の形式の証券 について意見を述べる ものではあ り ません。 リ テール投資家が、 本信用格付に基づいて投資判断をするのは危険です。 も し 、 疑問があ る場合に は、 フ ィ ナ ン シ ャル ・ ア ド バイザーその他の専門家に相談する こ と を推奨 し ます。 53-SC579
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