家庭生活はだれがつくるの

小学校家庭科5学年「家庭生活と家族」
指導者
1
題材名
2
指導目標
渡辺
明子
「家庭生活はだれがつくるの」
(1)家 庭 生 活に関心を も ち、家族の一員 として仕事をみつけ、進んで 実践しようとする 。
(関心・意 欲・態度)
(2)家 庭 生 活をよりよくするために、自 分にできることを考えたり、 その方法を工夫す る。
( 創意工夫)
(3)家族と のコミニュケーションを取ったり、手順を 考えて実習したりできる。
(技能)
(4)家庭に は自分や家族 の生活を支える 仕事があることがわかり、協 力して生活する大 切さを理
解する 。
(知 識・理解)
3
単元と児童
(1) 単元について
本題材に関わる学習指導要領の内容は 次の通りである。
(1) 家庭生活に関心をもって、家庭の仕事 や家族との触れ合いができるようにする。
ア
イ
家庭には自分 や家族の生活を支 える仕事があることが分かること。
自分の分担す る仕事を工夫すること。
ウ
生活時間帯の 有効な使い方を考 え、家族に協力すること。
エ
家族との触れ 合いや団らんを楽 しくする工夫をすること。
ここでは、家庭 の仕事や生 活 時 間の使い方などに関する実践的 ・体験的な活動を 通して、自
分や 家族が家庭でどのように生活 しているのか 関心をもって見つめさせ、生活についての理解
につなげるようにする。
児 童は、自分が 家族から支えられているとともに、自分の存在 があって家族を構 成している
と い う相互関係に 気付くことで、 家族の一員としての自覚をもつことができると考 える。その
ためにはま
ず、 自分や家族が家 庭でどのように生活しているか 関心をもって見つめさせる。
児童 は、自分の家 族の一員であることを実感 することで、それぞれの家庭の願い を実現する
た め に、家庭の仕 事があ る こ と や、性別・年 齢には関係なく、 男女や家族が協力 して互いに
家庭生活 を支え合うことが大 切
であることに 気づくと考える。
その 上で家族の一 員として家庭の 仕事に積極的 に関わっていくことの大切さや、家庭生活をよ
りよくするために 自らの考えで実 践することの 楽しさを実感させ 、主体的に家族に 協力しよう
とする態 度を育てる。
ま た、家庭科の 学習の導入としてこの題材を 学習することは、 児童が無意識に過 ごしている
-1-
毎日 の生活の中に 、これから始ま る家庭科学習 の課題が存在することに気づき、家庭学習への
興味や意 欲を高める機会になると考える。
(2)児童について(男子16名 ・女子15名
計31名)
児 童は、5年生 になって初めて 出会う家庭科 という教科を、とても楽しみにしている。しか
し、 児童の日頃の 家庭生活に対す る意識は低く 、家族の誰かが仕 事をし、ただなんとなく営ま
れているという程 度の認識し か な い。家庭には 、どんな仕事があって、いつ、だ れ が、どのよ
うにして 行っているのかなど 、あらてめて家庭 の生活をみつめることが少ないのが実 態である 。
ま た、電化製品 の開発普及、総 菜・レトルト 食品・ファーストフードなどの販売 で、家事は
ずい分 便 利になってきている 。
一 方、共働きの 家庭が多く、家 事をする時間 や子供と共に過ご す時間も少なくなっている。
共働 き家庭の よ う な忙しい家庭においては、子 供が家事の大切な 担い手であると思 われたが、
実際 には、子供に 家事を手伝わせることは少な い傾向がみられた 。また、共働き家 庭であるな
しに 関わらず、全般的に、子供に 手伝いを任せたり、見守ったりという機会は少ないようであ
る。 これらのことから、児童は家 事の経験が少 なく、関心も高まらず、自然と家事 を身に付け
る機会が 少なくなっていると 考える。児童は家 事に対して関心も経 験も低い。
【家庭の 日常の仕事に関 して(子供達 にアンケート)】
○
家で 決まった仕事がありますか。
はい (
18
)
いいえ(
11
)
どのような仕事をしているか。
風呂 あらい・皿洗い・トイレ掃除・テレビ ふき・部屋の掃除・ 布団あげ・夕食運 び
水運 び・洗濯・犬の世話 ・ゴミすて・米と ぎ・せんたくものの 取り込み・モップ かけ
せんたくものをたたむ・ 茶碗に水を入れる
○自分でよく手伝いをする方 だと思いますか。
は い(
18
)
いいえ(
11
)
○「手伝 ってちょうだい 」「 お手伝いしなさい 。」などとよくいわれる。
は い(
18
)
いいえ(
11
)
○上のようなことを言われた 時どう思いますか 。どうしますか。
いやだなあ(3) 「まかして」という( 12) しぶしぶやる(14)
やらない(1)いいわけをする(1)
○自分のことは自分で し て い る方だと思い ま す か。
は い(
27
)
いいえ(
2
○よ く す る手伝いはなんですか。
食事 の用意や後かたづけ :26
家族の世話:4
-2-
)
自分 の部屋の整理:16
掃除 :16
動物の世話:4
衣類の準備や片づけ :3
おつかい:7
家業の手伝い:1
決 められた仕事 を分担している 児童は多いが 、1つだけを受け 持ち、複数を受け 持つことは
少な い。また、家 の人から、手伝 ってほしいという言葉をかけられない児童もかなりいる。そ
の た め経験の少な い児童が多く、 家庭生活には 、どのような仕事 があり、誰が、どのように仕
事をしているのかという意識 が希薄である。
ま た、自分のことは自分でしていると言う児 童が多い一方、自 分の衣類の片付け や自分の部
屋の 掃除などは、 自分のするべき 仕事ではなく 、家族がする仕事 と捉えている児童 もかなりい
る。
仕 事を分担している児童は、複 数の仕事を担 当している。し か し、決まった仕事 を担当して
い な い児童は、ほとんど家事を手 伝ったことがないなど、家事に 対する経験の偏り が大きい。
ま た、児童は、 仕事をしてあげているという 意識が強く、家族 の一員として仕事 をしている
という意 識は見られない。
このような実態から 、児童にとっては 、家庭生活を 営むためにどんな仕 事がどれくらいあり、
だれがするのかを 考える機会が、 必要であると 考える。そして、 自ら家庭生活に参 加しようと
いう気持 ちの掘り起こしをし 、実践しようとする態度を身につけさせたいと願っ て い る。
(3)指導の 構想
児 童は日頃、家庭生活を意識し て生活はしていない。そこで、 自己評価カードを 用い、家庭
の仕 事にどの程度参加しているのか、家族とどのように関わっているのか、児 童 自 身に見つめ
させたい 。(カ ー ド1) 自分の家庭生活 をふり 返る こ と で、家 庭には自 分の こ と と家族のため
にすることがあることに、気 付くであろう。
こ の気づきから 、児童は提示し た仕事の他に も、家庭の中でどのような仕事が あ り、誰がそ
の仕 事をしているのかを、興味をもって調べる 。調べた仕事を互 いに発表し合うことで、家の
中に は自分と家族 を支えるたくさんの仕事があることが分かるであろう。また、多 くの場合、
家族 の誰かに偏っ て仕事をしていることが多く 、家族のみんなが 手分けをして仕事 をしていな
いことに気が付き 、驚くであろう 。児童はそのことから、家庭で の仕事についての 自分の問題
点や課題 をみつけていくと考 える 。(カード2 )
そこで 、家族は 、ど の よ う に思っているのか 、ア ン ケ ー ト調査を行ってみようと投げかける 。
児童 が、家族の気 持ちを聞くことにより、相手 を意識した活動に 展開できると考え る。アンケ
ート から読 み取れ る家族 の願い か ら、児 童は 、「自分としては 、どんなことができるのか ?」
について 考え、さらに 、「仕 事にチャレンジしてみよう 。」という 気持ちまで高まっていくと
考え る 。( カード 3,4 )チャレンジの 計画・ 実践が興味本位 に終わったりすることのないよ
うに 、家庭への協 力のたよりを配 布したり、実 践の途中、実践後 に家族からコ メ ン トがもらえ
るなどの 工夫をする。
チャレンジ後、 児童は仕事をしてみての様子 や感想、お家の人 の感想や意見、仕 事のやり方
のポ イ ン トや工夫などを発表 し合うことで、家 族の立場になって考 えはじめるであろう。
-3-
さらに 、「家庭 の仕事 」の学習 を深め る た め に、ロールプレイングをする。劇 を演じて 家族
の立 場を疑似体験 する。演技の中 で発する言葉 は言ってみたい言 葉だけれど言えないことや、
言ってほしい言葉 を話すことが出 来る。意識し て言う場合でも、 言ってから気付く 場合でも、
家族 の中の自分を 見つめるきっかけになったり 、いろいろな考え や感じ方が出され 、一人一人
の思 考が深まるであろうと考える 。劇では、人 の見ている前でも 即興で演じる抵 抗 感を少なく
するためにペープサートを使用す る。ス ト ー リ ーは、3種類の場 面を設定し提示す る。グルー
プでその 1つを選択し、話の 続きを考え演じる 。
4
指導と評価 の構想
(1)実際の 授業を通しながら、 次のことを大切にしながら検証を進めていく。
①一 人 一 人の子供の学力を目 標に照らしてどこまで高まったかの達成状況をみること 。
②具体的 な学習内容や学 習 活 動について、達成 したかどうかが判断 できるものであること。
③さまざまな技法を組み合わせて評価資料を総合的に判断を す る こ と。
④評 価 結 果に応じて指導を行 うことが前提にあること。
⑤一 人 一 人のよさを見つけ、 伸ばすように指導 ・支援に生かすこと 。
(2)そのための、作業手順と し て
・単元の評価規準(単元の目標 が評価の対象に な る)を明確にする
観点別に評価規準 を分類する。 評価規準の示 す範囲が大きすぎると評定が曖昧になり、小さ
すぎると 評定回数が多くなり 煩雑になることを 考え設定する。
・具体的な 評価場面を設定する
観 点にあった評価場面を選ぶ。 授業の中の場 面を取り上げそこでの評価規準の具体例をあげ
ると子供 の具体的な姿を想起 して評価で き る の で客観性が高くなる 。
・判定の基 準をつくる
評価場面ごとの特 徴による3段 階の基準を示 し、評定の分割点 を示す。そ の こ と で、質的評
価の手がかりになる。
・評価資料収集
人物評価にならないようにあくまでも、学習活動やその成果を 評価する。簡便な 方法を工夫
し、観 察したことを 記録する。数 値 化して利用しやすい評価情報 にしておく。相互評価・自己
評価も利 用する。
-4-
・達成できなかった児童への支援策
個 別 指 導をどのようにするのか、具体的な対応策を用意しておく 。
5
単元の評価規準と判定基準(評価基準)
題材 における
評価規準
関
①家 庭の仕事 に関心
をもっている。
題 材の評価基準(判定 の基準)
おおむね満足できる(B)
努力を要する(C)
十分満足できる(A)
①積極的に家 の仕事調 ①家 庭の仕事調 べをし ①教師 と一緒に、 仕事
べをし、家 族の仕事
し 、調べた仕 事をワ
を思 い浮かべ、 ワー
心
や 分担についてワー
ークシートにまとめ
クシートに書こうと
・
意
クシートに 整理し、
進 んで発表 している
ようとしている。
している。
欲
・
態
度
②自 分の分担 する仕
事 に取り組 もうと
し て い る。
②家 族や自分 の家庭で ②自 分の分担す る仕事 ②教師 や家族に促 され
の 役割に気 づき、自
に 取り組もうとして
て仕 事に取り組 もう
分 の分担す る仕事に
進 んで取り 組もうと
いる。
とする。
している。
創
①自 分の分担 する仕
①分 担した仕 事のやり ①分 担した仕事 をいつ ①分担 した仕事につい
意
工
事 や家族へ の協力
について考 えたり
方 を自分なりに見直
し 、工夫し て、見通
どんな方法で 、行う
か を考え、およその
夫
自 分なりに 工夫し
しをもって 計画を立
計画を立 てる。
す
る
たりしている。
てる 。
て、 友達や教師 と一
緒に計画を立 てる。
能
力
生
活
①自 分や家族 の生活
を 支えるための仕
の
事 を分担し ,家族
実 践し、家 族に協力
家 族に協力すること
し、 励まされながら
技
能
に 協力することが
できる 。
することができる。
ができる 。
実践 することができ
る。
①家 庭には自 分や家
①自 分にできそうな仕 ①自 分にできそうな仕 ①自分 のできそうな仕
事 を選び、 計画的に
事を見つ け 、実践し 、 事を 教師と一緒 に探
①家 庭には自 分や家族 ①家 庭には、自 分や家 ①教師 の助言をうけて
知
族 の生活を 支える
の 生活を支 えるたく
族 の生活を支 えるた
家庭 には、家族 の生
識
・
仕 事があることや
家 族の一員 として
さんの仕事 があるこ
と や、家族 の一員と
くさんの仕事 があり
家 族が仕事を 分担し
活を 支えるたくさん
の仕 事があることや
理
仕 事を分担 するこ
しての自分 を意識し
することの意 義につ
仕事 を家族で分 担し
解
と の意義について
仕 事を分担 し、協力
いてわかる
ていることがわかる
-5-
理解している。
6
し て行うことの意義
が分 かる。
指導と評価 の計画(5、5時間 )
時数
ねらい・主な 学習活動
学習活動における評価規準【 評価方法 】
○自 分がどの程度家庭生活に 参加しているか 家族
に 関わっているかを知る。
05
① カード1を 使って、自分 の家庭生活との 関わ
り 具合をチェックする 。
関①1
自分と 家庭の仕事 との関わり 具合に
気付く
【 カード1・発表 ・観察 】
知①1
家庭 には、複数 の仕事のあることを
知る 。
【 カード1 】
○自 分の家庭の 1日の生活を 見つめ、家庭の 中に
はどのような仕事があるかを知る。
1
①家庭 の中の仕事を学習カード2にまとめる 。
②家 庭の仕事を 出し合い、4 つ(衣・食・住 ・家
族に 関わること)に分類 する。
③気付 いたことを話し合う 。
関 ①2
家庭の 仕事調べをする。
【 発表・カード2 】
知①2
家の中 には、家族 の生活を支 える仕
事のあることが分 かる。
【 発表・カード2 】
④調 べたことを 基に自分の行 動を振り返り、 自分
の問題点や課題を発見す る。
創①1
家庭の 仕事に つ い て日常の行 動を振
り返る こ と が で き る。
【 カード2・話 し合い 】
○家 庭の仕事について、家族 が考えていることを
知ることができる。
05
①家族 に聞いてみたいことを話し合う。
②アンケートにしてまとめる 。
(アンケートを作る)
関①3
家の中 の仕事について家族の 思いを
知ろ う を す る。 【 話し合い・発言 】
(・家 の人からアンケート に答えてもらう 。)
05
③家 の人からの アンケート結 果をみて考えたこと
をカードに書き、発表す る。
関②1
家の仕 事をしようとする気持 ちをも
-6-
つ。
知①3
【 カード3・発表 】
家族の 一員と し て の家族の思 いを知
る。
【 カード3・発表 】
○家庭 の仕事にチャレンジ してみる計画を立 てる
1
①仕 事や仕事のやり方、ポイントを考え な が ら計
画を 立てる 。(カードに 記入)
関②2
仕事を 選び実 践 計 画を立てる 。
【 カード4・発言 ・観察 】
創①2
仕事のやり方について具体的 に考え
る。
【 カード4 ・観察 】
【家 庭 学 習 】:②決 めた 仕事 を1 週間実践 する。 カ ー ド
4に記 録する。
関②3
計画にしたがって 実践しようとする
③家族か ら実践の様子から感 想をもらう 。
【 カード4・カード5 】
技①1
仕事 を実践する 。
【 家の人からカード6 】
○家 庭の仕事の 実践の様子を 発表する。
①実 践したやり 方や感想、家 の人からの感想 を発
1
表し 合う。
創①2
家族の協力 について考える。
【 カード5 ・発表 】
②自 分や友達の 家庭での実践 の様子を知り、 感想
を も つ。
知①4
家族 の一員と し て家庭の仕事 を分担
する必要のあることが分かる 。
【 カード5 ・発表 】
○家族 の役割を考えたロールプレイングを す る。
1
①グループでストーリーの 続きを考える。
関②4
家族の 一員に な っ て劇に参加 してい
る 。 【 つぶやき ・劇・発表・観察 】
②グループでペープサートを 使い、考えたストー
リー の役を演じる。
創①3
家族の 協力に つ い て考え を も つ。
【 カード7・劇・発表 ・観察 】
③家 族の一員としての家庭の 仕事をすることにつ
いて 考えをもつ。
知①5
家族の 一員として 家庭の仕事 をする
ことの 意義を理解 する。
【 カード7・劇 ・発表 】
-7-
7
本時の学習
(1)本時のねらい
家族を演じ る こ と を通して、家庭の仕 事について考える 。
(2)本時における評価規準
関②
劇での 場面状況を考え 、家族の一員になり 、劇をしようとしている 。
<活動の観察・発表 〉
創①
家族の 協力の大切さ に つ い て考えをもつ 。
知①
家族 の一員として家 庭の仕 事を す る大切さ を理解 する。
〈 活動の 観察・発表・カ ー ド 〉
<活動の 観察・発 表・カ ー ド>
*活動の観察、 発表は授業中、カ ー ドは授業後評価す る。
(3)本時の 活動について
前時 までの学習で、家の 中には自分や家族 を支えるための仕事 があり、家族はそれを行う
ために 工夫をしたり、苦労 をしたりしていることを知った。児童 たちは、日頃、家 族のため
に協力 することをあまりしていないことに気 づいた。そこで、1 週間足らずの家庭 の仕事に
チャレンジしたが、続かなかったり、仕事をするだけで、家族へ の思いなどはどこかへいっ
てしまった児童も多い。しかし、自分たちも 、家族の一員としてできることは、何 かしなけ
ればと 考えはじめている児 童もいる。
本時では、その気 持ちをさらに高めたり、広
めたりして、相手の立場を 理解し、家族へのよりよい働きかけを 考えたり、家庭で の仕事の
実践につなげたりできるようにするために、 家庭生活の一部をロールプレイングで 演じてみ
る。
家庭 でのある場面を提示 し、ストーリーの 続きを考え演じる。 場面状況の違うものを3つ
用意し 、選択できるようにする。家族構成は 、特定な家族をイメージせず自由に構 成できる
ように 、祖父母、父母、男 女の子供の6人を 用意する。劇の状況 によっては、男 性 役と女性
役で言 い争いを続けたり、 今までのありのままの家庭生活を劇で 楽しむのみで終わ る場合も
考えられる。しかし、その 状況から劇の最中 や劇を振り返った時 、児童が今までを 反省し、
考え、 新たな行動のきっかけにする場に し た い。劇に参加できないでいる児童には 、自分だ
ったら 家庭ではどのようにしているのかや、 前時までの学習を想 起させるなどの言 葉かけの
支援をする。
他の グループの劇を観る 場を設けることで 、他のグループの劇 を観たり、友達の 台詞を聞
いて、 自分を見つめ、反省 したり、考えたりして、仕事を実践するきっかけにした 。また、
今まで 学習してきたことや 、考えたこと、反 省したことなども含 んだことが、台詞 として聞
かれることも期待している 。そのことで、再度児童が、自分自身 の中で、再認識さ れ実践へ
つなげられると考えるからである。
劇をやってみて、家族のやりとりや関わ り の感想、家族の中で の自分をみつめ考 えたこと
などを 、カード7に書き、 自分の気持ちや考 えを明確にする。ま た、それを評価に も活用す
-8-
る。
(4)本時の展 開
学習活動
教師の働き か け と児童の反応
○本時の 学習内容を
知る。
・劇 を 演 じる 抵 抗 感を な く す た め
グループで話の 続きをペープート
○劇のやり方 を知る 。
3分
指導上の留 意 点と評価
を使って 劇をしよう。
C:わたし○○の役 やりたい。
C:恥ずかしいなあ 。
に 、ペープサートを 使用させる 。
・友達とふざけたりしないように 、
ロ ー ル プ レ イ ン グを す る意 味 を
理解させる。
・活 動 の め あ て が は っ き り す る よ
う に 各 自に め あ てカ ー ドに 書 か
・3つの場面設定 を提示する。
せておく。
・劇をする時の約 束を確認する。
○ グ ル ー プで 、 話 の
続きを ペープサー
グループ に分かれて劇をしよう。
・グループ毎のペープサートを準
トを使 って劇をす
C:この話 、私の家に似 ているよ。
る。
・5∼6 人の生活班
だからこれにしたいな。
C:このおばあちゃんちょっとかわ
でグループ を組む 。
・話の続きを 考える
いそう。
備する。
・グ ル ー プの 人 数 より 多 い家 族 を
用 意 し 、家 族 構 成を 自 由に 選 択
させる。
この話の続きしてみたいな。
・児童の本音の姿 が出せるように 、
あ ま り 時間 を か け な い よ う に す
る。
・役割を決め る。
C:家のお兄ちゃんみたい。
C:優しいおじいちゃんになろう。
C:このお 母さん今か な り怒ってる
よね。
・劇で演じる 。
評価規準 (関②)
A : 進 んで 劇 に 取 り組 み 、 学習
C:楽しい家族にしようよ。
し た こ と も 想 起し て 、 劇に
C:最後はハッピー にしようよ。
C:家の家族みたい 。
生かそうとする。
C : 話 を し な が ら 、家 庭 で の経
C:このままじゃこの家 族まずい
験 や自 分 な ら ど う す る か な
よ。
ど を思 い 起 こさせ 、 助 言す
る。
○ グ ル ー プで 発 表 す
る。
グループ で発表しよう。
5分
C:私た ち のグループと 全然違って
いい家族だね。
C:ここの 子供は、わがままでだめ
だねえ。
評価規準 :( 創①)
A : 家 庭 生 活 に も っ と 参 加 して
協 力し よ う と い う 考 えをも
C:あの言い方はひどいよ。
-9-
つ。
○感想を書く
5分
自分 の役を演じ た感想、家 族の会
C : 今 ま で の 学 習 カ ー ド に 目を
向 け さ せ た り 、劇 の 家 族の
話のやりとりの 感想や考えたこと
気 持ち を ふ り 返ら せ た り し
などをカードに書こう。
て具体的な言葉で助言 する 。
C:楽しい家族だ っ た。
C:けんかになりそうだった。
C:いい家族になってよかった。
評価規準:( 知 ①)
C:もうちょっとお母さんの気持ち
A : 家 庭の 仕 事 に 対し て 家 族の
になってみたいと思った。
C:家でもこの家族のようにお互い
状 況が わ か り 、積 極 的 に参
加 する 必 要 の あ る こ と が わ
に助けよう合うにしたい。
C:や っ ぱ り「あ り が と う」って言
われるといいよね。
かる 。
C : 友 達の 台 詞 や 、今 ま で 学習
カード に 目 を 向け さ せ 具体
的な 言葉で助言する。
ストーリー①
母は夕 食の後片づけをしていますが、明日の お弁当の準備もしてとても忙し そ う で す。
母: 「花子、ちょっと来て。手伝ってちょうだい 。」
花子 :「 なんで 私に ば っ か り 言うのよ。 お兄 ちゃんだって テ レ ビ見て い る だ け じ ゃ な い 。」
太郎:「 ぼくだって忙しいんだ、花子女なんだからやりなよ 。」
父: 「ごちゃごちゃ言ってないで、 どっちも手伝いなさい 。」
ストーリー②
いつもは夕食を 作ってくれるお 母さんは仕 事 先で急に仕事が 入りいつもの時間 に帰れなく
なりました。
祖母 :「 お母 さんが 急に帰 りが遅 く な る か ら夕 食 頼まれたんだけれど、 お使い に行って 来て
くれないかい 。」
兄: 「めんどうくさいなあ。ぼくは 夕食なんでもいいよ。カップラーメンでいいよ 。」
妹: 「おばあちゃん早くしてね。私 、塾がある日な の よ 。」
ストーリー③
家 ではまだ夕食 の用意ができていません。洗濯物も外に干したままです。部屋 は、ゲーム
やおもちゃでちらかっています。そこへお母 さんが帰ってきました。
母: 「た だ い ま あ」
- 10-
8
題材に お け る観点別評価総括について
下記 のような評価表に 基づいて総括を進め る。標記はA B C 。
重み 付けをして、評価 していく 。(重みをおくものは網掛け 部分とする 。)
番
関心・意欲・態 度
創意工夫する能力
生活の技能
知識 ・理解
題材
号
1
関①
A
関②
A
総括
A
技①
B
総括
B
創①
A
総括
A
知①
B
総括
B
総括
A
2
A
B
B
A
A
C
C
B
B
B
3
A
C
B
A
A
B
B
A
A
B
・番 号1… 題 材 総 括は、 各観点が A・B ・A・ Bだが 、〈関〉 に重み 付け し て い る の で総括は 、A
・番号2…〈 関〉はA・Bだが 、〈関②〉に重み付 けしてしているので 、総括はB。
題材総括は、B・A・ C・Bなので、 B 。
・番号3…〈 関〉はA・C。その 場合は、重み付けとは関係なしにBとする。
9
評価の実際
(1)観点ごとの総括
A( 3 )、B 、( 2) C (1 )を 数値化 し、 評価の 各 観 点の 合計点 に つ い て の
満 点の8 5%以上 はA
50% まではB
それ 未満はCとした。
関 ①(3+3+2)÷ 9×100=88 ,9%
例:1 番
創意工夫
番
関 心・意欲・態度
①
②
生 活の
1
する能力
2 3 総
技術
1 総
1
知識・理解
2 3 4 5
総
号
1
2
3
総
1
2
3
4
総
1
2
A
A
A
A
B
B
A
A
A
A
A
B
B
B
A
A
A
B
A
B
B
B
B
B
B
B
A
B
A
B
B
B
B
B
A
A
A
A
A
B
A
A
3
A
A
A
A
A
B
B
A
B
A
B
B
B
A
A
B
A
B
A
A
A
4
5
A
B
A
A
B
B
A
B
B
A
A
A
B
B
A
A
B
A
B
A
B
B
B
A
B
A
A
A
A
A
B
B
B
A
B
A
A
B
A
B
B
A
6
A
A
B
A
B
A
A
A
A
A
A
B
A
B
B
A
C
C
B
A
B
7
8
B
B
A
A
B
B
B
B
A
B
A
B
A
A
B
A
A
B
A
A
B
A
A
A
A
A
B
A
A
A
B
B
B
B
A
B
A
B
A
B
A
B
9
B
B
B
B
A
B
A
A
A
B
B
B
B
A
B
A
B
A
A
B
A
10
11
B
A
A
B
B
A
B
A
A
B
A
C
A
B
B
B
A
B
B
B
A
C
B
C
B
C
B
A
A
B
A
B
B
A
B
A
B
A
B
A
B
A
12
A
A
B
A
B
B
A
A
B
B
B
B
B
B
A
A
B
B
B
B
B
13
14
A
A
A
A
A
B
A
A
B
B
B
B
A
A
A
B
B
B
B
A
A
B
B
B
B
B
A
B
B
A
B
A
B
B
C
A
B
B
B
A
B
B
15
B
A
A
A
A
A
B
A
A
B
A
A
A
A
B
B
B
A
B
A
A
16
B
B
B
B
A
A
A
B
A
A
C
B
B
B
B
B
B
B
C
A
B
- 11-
17
18
B
A
B
B
A
B
B
B
A
B
A
B
B
C
A
B
A
B
A
B
C
A
B
A
B
A
B
B
B
B
B
B
C
B
C
C
B
B
B
B
C
B
19
B
A
A
A
B
A
B
B
B
B
A
A
A
B
A
A
B
B
A
B
A
20
21
A
A
A
A
B
B
A
A
A
B
B
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
B
B
A
A
A
A
A
A
B
B
A
A
B
A
B
B
A
B
A
A
A
22
B
A
B
B
A
C
B
A
B
A
A
B
A
B
A
A
A
B
B
B
A
23
24
A
B
A
A
B
B
A
B
A
B
A
A
B
A
A
C
A
A
C
B
B
A
A
A
B
A
A
B
B
A
A
B
B
B
B
B
B
B
A
B
B
B
25
A
B
A
A
B
A
B
A
A
B
A
B
B
A
B
A
B
B
C
B
B
26
27
B
B
B
A
B
A
B
A
A
A
A
B
A
A
C
A
A
A
B
B
B
A
C
A
B
A
B
B
B
B
B
A
B
A
A
B
A
A
A
B
A
A
28
B
B
B
B
A
A
A
B
A
A
A
B
A
B
B
B
B
B
B
A
B
29
30
B
A
B
A
A
B
B
A
A
B
A
B
A
B
B
B
A
B
B
A
B
B
B
A
B
A
B
B
B
A
A
A
B
B
C
B
B
A
B
A
B
B
31
A
B
A
A
B
B
B
B
B
B
B
B
B
A
A
B
B
B
B
B
B
(2)題 材 総 括の評価
番
関心
意欲・態 度
創意工夫する能力
生活の技能
知識 ・理解
題材
号
関①
関②
総括
創①
総括
技①
総括
知①
総括
総括
1
2
A
A
A
B
A
B
B
B
B
B
A
B
A
B
A
A
A
A
A
B
3
A
B
B
A
A
B
B
A
A
B
4
5
A
B
B
A
B
A
B
A
B
A
A
A
A
A
B
A
B
A
B
A
6
A
A
A
A
A
B
B
B
B
A
7
8
B
B
A
B
A
B
A
A
A
A
B
A
B
A
A
B
A
B
A
B
9
B
A
A
B
B
A
A
A
A
A
10
11
B
A
A
B
A
B
B
C
B
C
B
A
B
A
B
A
B
A
B
B
12
A
B
B
B
B
B
B
B
B
B
13
14
A
A
B
B
B
B
B
B
B
B
A
B
A
B
B
A
B
A
B
B
15
A
A
A
A
A
A
A
A
A
B
16
17
B
B
A
A
A
A
B
B
B
B
A
A
A
A
B
C
B
C
A
A
18
B
B
B
A
A
B
B
B
B
B
19
20
A
B
B
A
A
B
B
A
A
B
21
A
A
A
A
A
A
A
A
B
A
22
A
B
A
A
A
B
B
A
A
B
- 12-
23
24
A
B
A
A
A
A
B
A
B
A
A
B
A
B
B
B
B
B
A
A
25
A
A
A
B
B
A
A
B
B
A
26
27
B
B
A
A
A
A
B
B
B
B
B
A
B
A
A
A
A
A
A
A
28
B
A
A
A
A
A
A
B
B
A
29
30
B
A
A
B
A
B
B
A
B
A
B
B
B
B
B
A
B
A
B
B
31
A
B
B
B
B
A
A
B
B
B
関 心・意欲
創意工夫
生活の技術
知識・理解
評定
A
B
18
12
13
16
16
14
15
14
14
15
C
0
1
0
1
0
( 在籍31名・欠席1 名)
- 13-
研究の成果と課題
1
点別評価の 実際場面
この授業で は、児童と共 に活動す る こ と も多く、授 業 中のみの見取りでは正確さに欠けると考え、
学習段階に応 じた多様な学 習カードを活用 した。この学 習カードには、 児童の心情面や観察力、思考
判断力などを 見取ることができる様々な情 報が書き込まれるように工夫 した。学習カード の内容と評
価規準の関わりを検討し利 用することにより、学習活動 の流れを生かしながら、指導と評 価とをつな
げる評価活動ができると考えた。
それぞれの評価規準に迫るために、次のような学習場面 、カードによる 評価場面を設定し 、評価に取
り組んだ。
(1 )【関心 ・意欲・ 態度】の 評 価 場 面(学習活動:3 時間目)
②家の仕事をしようとする気持ちをもつ。
本時の 評価規準
家庭にはたくさんの仕事があることはわかり 、その多くは家 族がしてくれていた 。その家族 に 、
仕事について考えていることをアンケートにして聞 いてみることにした。アンケート の内容は、
児童が考 えて作る。アンケート結果か ら、自分の家 族や友達の家族 の「家族への思い や仕事の工
夫や苦労 」を感じ取ら せ、そこから家 庭の仕事をすることの意欲を高めさせたいと考えた。
学 習 活 動の中の児童 の姿と、学習後 のカードに書いた感 想をもとに実 現 状 況を評価した。
学 習カード3「 お家の方からいただいたアンケートを見て
(感 じたこと・考え た こ と )」を書こう。
C1: お母さんもやりたくない日があるし、もっともっと手伝ってほしいんだなあという
ことが分かった。お母 さんも疲れ て い る し、手伝いをしないといけないと思っ た。
C2: 簡単なことでいいから手伝ってほしいんだなあと思った。 これから、家の簡 単な
仕 事だけでもしようと 思う。疲れているのに気付かないで私 は鈍いなあと思っ た。
C3: 自分は母が や っ て当たり前、 知ってても何で も母任せにしていた。家族全員 で生活
してるんだから自分のことだけじゃなくて、家族のために何 かしないといけない。
・C1 のように、手伝いをしようと思った場 合は「おおむね満足 」
・C2 、C3 のように 家族に も目を 向けたり 、具体的 な行動 を考え て い る も の を 、「十分満
足」
(2 )【創意工夫】の 評価場面 (学習活動: 4時間目 )
仕事の や り方について具 体 的に考える。
- 14-
本時の 評価規準
前時ま で の学習で 、「自分たちも家庭の仕事をしなければいけない 。」という気持ちになった。
そこで、 仕事の計画を 立たて、実践に 結びつけるきかっけづくりした。具体的な仕事内容をはっ
きりさせ 、計画を立てると、活動にとりかかりやすいと考え、次のような学習活動を セットして
評価場面を 設定した。
学習カ ー ド4「さあ
やってみよう!」
やってみようと思う仕 事・やり方を書く 。
C1:洗濯物たたみ → 前、お母さんがぼくはたたむのが→夕方す る。
上手だねって言っ て た か ら。
C2:洗濯物たたみ→お 母さんの昼寝 の時間を増やして→帰っ て か らテレビ見ている 時する
あげる。
洗濯物を 家族ごとに分けておく。
C3:ゴ ミ出しと新聞取 り→朝の忙しいのを少し で も→ゴミ出しをした後に新聞を取 ってく
減 らしてあげる。
る。
・C1、C 3のように仕事、簡 単なやり方を書い た場合は「お お む ね満足」
・C2は仕 事をする時刻ややり 方も考えているので「十分満足」
カード の記 入 観 点には 、「や り方」 を書くように示 してあるが、 曖昧で か つ説明 が不十分 なた
め、肝心 の「やり方」 などの工夫が書 きにくいカ ー ドとなったようだ。発言や個別の 聞き取りで
多少は補 った。このようなことが生じ た場合、その 授業ではどのように見取り、補うかも考えて
いく必要 があった。ま た、このカード の不備を基に 、その後の授業展開を修正などに 生かせる
ものとなった。
(3 )【技能 】の評価場面
評価規準
(学 習 活 動5時 間 目
家庭学習 を基に報告発表 )
仕事を実践し 家族に協力する。
家庭 で、計画にしたがってまずは 1週間、仕事を 実践をしてみることにした。し か し、これは
家庭で の実践に な る の で実際の状況 を評価す る こ と は難しい。そ こ で、実践の時様子 や感想、で
きるようになったことの記録をもとにした。家の人からの 感想も加点の参考 にした。
学習カード5 「家の仕事
やってみたよ」
感 想や課題を書く。
( 学習カ ー ド6「家 の人からの 感想 」)
C 1:洗濯物をたためばいいと思っていたけど、着る人のことことを考えてたたむと喜ばれ
る。
C 2:やろうとした 時に友達が呼びに来 て、途中で投げ出 してしまった。
- 15-
家の人:続 けるということの難 しさを感じたようです。
C 3:ゴミ捨ては、 決まった日に絶対にしないといけないからとても大変だった。今も続け
てる。
家の人:朝 の忙しい時に一つ で も仕事をしてくれて、とても助かりました。
・C 1は実践したので 「おおむね満足」
・C 3は実践し、学 習 後も継続てきに実 践しているので「十分満足」
・C 2は実践できないでしまったので「 努力を要す」
実際 に指導者目の前 で実践できないことの評価は 、非常に難しいがこのような学習 カードから
ある程度評価ができる 。記録に書かれてなくても、 発表内容な ど か ら、加点評価していった。し
かし、 C3のように実 践できないでしまった児童が 、正直に記録( 申告)した児童に 対しての、
その後 の指導や励まし 、支援が児童 の今後の活動や 実践に生き て く る。今回は再 度 挑 戦すること
を進めてみた。
(4 )【知識 ・理解】 の評 価 場 面 (学 習 活 動:6時 間 目)
本時の評価規準
家族の一員として 家庭の仕事をすることの意義を理解す る 。
児童は 「家庭 の仕事 は、とてもたくさんあるから 、手伝いをしなければいけない 。」と考 える
ようになってきている 。しかし 、手伝いでとどまるのではなく 、家族の一員であることを自覚し 、
家族の 立場になって、 家族に協力す る必要のあることを理解して欲 しいと考えた。ロールプレイ
ングの 学習を設定することで、仕事 をしようという 気持ちを高め た り、広めたりして 相手の立場
を理解 し家族へのよりよい働き か け を考え実践につなげられると考 えた。自分が演じてみての感
想や、 友達が演じ た の を見ての感じたことをカード7に記 録した。
学習 カード7 「ある 日の わ が家」
演じてみて感 じ た こ と・
友達の劇をみて 感じたこと・考えたことを書こう。
C 1:父は普段 は、あまり手 伝わないけど、 会社で た く さ ん仕事をしているからいいと思
います 。家族 みんながいろいろな 仕事をすれば (分担 )、み ん な気持 ちがいいと思
う。
C 2:2班の劇 は、私がいつもしていることと同じ(嫌々 ながらする)気 がした。とって
も不愉快だし 、とてもいけいなことだと思った。
C 3:ぼくは、 家の中で自分中心になっているのがわかった。そうじゃなくて、家族が中
心
だからみんなでいろいろなことをしないといけないと思った。
C 4:お母さんばっかりが仕事しないで 、私たちもできる 手伝いをした方がいいと思った 。
C 1、C4:家 族が仕事を分担 することの意 義について理解しているので「おおむね満足」
- 16-
C 2、C3:家 族の中の一員を 意識して仕事 を協力して行うことことの意義を理 解している
ので 「十分満足」
劇をしている時の台 詞では、アンケートに書かれていた家族の気 持ちや、家庭の仕 事をする時
の家族 の気持ち、仕事 をした後の家 族の感想が所々 に聞かれた。これは、やはりこの 学習でカー
ドを使 用し記録にしたことの成果で 、児童の学習に も生かされていたと考える。し か し、これら
を活動 の支援を し な が ら記録することは、とても困 難であった。全員見取るというのは不可能な
場面も 多かった。個々 やグループで の活動では、巡 回して偶然にそのような場面を見 取れた児童
を加点評価していく方 法しかなかった 。
2
研究の成 果と課題
(1)評価規準づくりと 評価基準の設定
・
評価規準を観点別に設定するためには、指導者が指導の目標 を明らかになっていることが
とても 重要である 。評価規準を作成 することで 、この題材では 、児童にどのような力を培い 、
高 めていきたいのかを、はっきり 認識し授業に臨むことができた。
・
観点別の規準 を設定して、それぞれの窓口 から学習状況を み て、それを分析することで、
そ の教科での児 童の学びの姿を 捉ることができた。児童の様子 をただ漠然と観るだけでは、
みえてこないこともよくわかった 。
・
「国立教育政策研究所」から 出された「内 容のまとまりごとの評価規準」を基 に題材の目
標を設 定し「 内容 のまとまりごとの 評価規準例 」をもとに「 学習活動における具体評価規準 」
を 設定する。こ の段階をふんで 具体化し て い く作業を行うと児 童に培いたい姿がとらえられ
る 。また、この 作業をすることで、題材としての授業展開で押 さえるべき所も明 確になり、
評 価すべき観点 もはっきりしてきた。
・
評価の基準の 設定は難しく、 実際の児童の 実態と違う所もあったりした。また 、C状況の
表 示は必要なく 、B基準に達していない児童 への支援策を明記 しておくことの方 が、評価規
準 の活用につながると思われた。
・
より信頼性のある評価にするためには、指導者の判断だけで 評価規準・基準の 設定するの
ではなく、学 年 間や学校内などの 多くの意見や共 通 理 解がとても大切であると感じた。
(2)評価計画と評価の 方法
・
活用できる評価規準にするためには、実施可能な評価方法と 連動させ、その方 法に即した
基 準を設定した 具体的な評価計画 の作成が大切で あ る と感じた。
・
短時間の間に 客観的に評価することは、とても難しい。学習 カードや作品など 活字や形で
表 現し残る も の は、授業後に評 価することが 可能である。また 、授業中の支援も 十分可能で
ある 。しかし 、家庭科では 、児童 と共に活動をする必 要が多くあり 、そのような時の観 察( 表
情 、行動、態度 など)による評 価は非常に難 しい。学習の過程 において、ほめる 、認める、
考 える方向を示 す、などその都度共感や支援 を行っていると、 評価が疎かになりがちであっ
た 。またその逆 もある。
・
記録に残すという点ではビ デ オでの評 価 方 法も有効と思われるが、日々の学習 を評価する
こ と、細かい個 々を見取る と い う点では活用 としては不向きのように思われる。 本時のよう
な ロールプレイングであっても 、各グループ に設置というのでないと効果は望めない。本題
材では 、個々の活動 になった時の観 察 評 価は 、全員 の児童を見取る こ と は不可能だ っ たので、
- 17-
プラスの部分を 見取れた時、加点評価していった。観察評価は 、キーワードを一 点に絞り、
評 価に臨む な ど の工夫がこれからの大きな課 題である。また、 カードの記入など 複数のもの
で 評価する必要 がある。
・
関心・意欲・ 態度など数値化 しにくいものは、記録に発言そのままを記録しておくと、児
童 の表 情や姿 を想起しやすい。
・
評価計画を立 てる時に、一つ の評価方法で は客観性がないのではと考え、複数場面で複数
の 方法でと計画 した。観察に よ る方法では、 少数の児童だ け し か記録することができないで
しまう、ということが多く あ っ た。しかし、 本題材では、児童 の学習活動の方法 や実際と、
指導者による評価方法が一体になるようにした。学習カードに 設ける設問を評価規準との関
わりから検討し 、利用することにより、学習活動の流れを生かしながら、指導と 評価とをつ
なげる評価活動 が可能になった。
児 童の成長や変 容を把握するのにもとても効果的であった。
・
自己評価は関 心・意欲・態度 を見取るのにとても有効である 。児童の自己評価 と指導者の
評 価が異なる時 は、その児童を改 めて見つめ直す機会 とすることができる。
・
家庭科では、 学校だけの実践 ではなく、家 庭での実践と深く 結びついた題材もいくつかあ
る 。そのような 場合も学習カ ー ドによる記入 は有効である。本題材でもカードの 活用は評価
に 有効なことが 多かった。さ ら に、学習のねらいや内容を家庭 に知らせ、理解や 協力を得る
ことも、学習を 進める上でまた 評価をする大 切な情報を得るポイントになる。評 価は、題材
や 学習内容や学習活動の特質に 即して、方法 を多用することが 必要なようだ。そして、学習
状況を 多面的 、累 積 的に捉え評価していくことが 、評価の信頼性を高めることにもつながる。
(3)総 括する
・
観点別評価か ら評定をするが 簡略化するためにも有効と思う 。しかし、やはり 評価規準に
照 らし合わせて 、児童の姿と評価規準に表された児童の姿とが 合致するかをよく 吟味する必
要 もある。
・
「重み付け」 に関しての検討 は、今後もとても重要と考える 。指導時間や評価項目の量が
異 なるために「 重み」は均等ではない。観点別評価の「重み付 けは」指導者の考 え方ひとつ
でするのではなく、根拠となること(重み付 けはしない・児童 の成長、変容を重 視するのに
総 括する時期に 近いもの・授業時数比例配分 など)を明確に す る。その上で教科 や学校、そ
れ 以上の広い範 囲での共通理解されることが必要であると考える。
・
評価は指導者 の指導の評価でもある。児童 の到達度や達成度 を把握することで 、指導者自
身 の指導の方法 や、関わり方の改 善に生かしていける 。
・ 学習 カードによる評価は 、児童の活字 による表現をたよりにする部分も多くあった 。今 後 、
ますます文章による表現力が大 切になる。いろいろな学習場面 での書く力の育成 も大切と感
じ た。
・ 児童の情報をいろいろな方法 で入手する。 しかし、それを基 に評価するが客 観 性の点でと
も 不安を感じる 部分もある。同 じ情報でも評 価する人が違えば 、評価も異なるであろう。少
し で信頼性の あ る評価にするために、学年・ 学校の話し合い、 共通理解は も ち ろ ん、指導者
の 児童を見取る 目を鍛え、見方考 え方、自分の評価観 を磨くことが大切 であろう。
- 18-
№1
家庭生活はだれがつくるの ?
番号
名前
4 段階にあてはめて、 ○をつけましょう 。
A:いつもしている
C :たまにしている
B:だいたいしている
D :していない
A
1朝、起こされずに自分で起きる 。
2食事の後、 自分の使った食器をながしまで運ぶ。
3着る服は自 分で決め、用意する 。
4自分の机の 回りは自分でそうじする。
5ごみを減ら す工夫をしている。
6家族に仕事 を頼まれたら、気持 ちよく引き受ける 。
7家族になにかしてもらったら 、「ありがとう」と 言う。
8おこづかいが足りなくならないように計画的に使 う。
9「こうしてみようよ」と家族と 話し合う。
10
気づいたこと・考えたこと
- 19-
B
C
D
家の中の仕事ってどんなものがあるの?
№2
仕事
いつ
だれが
仕事
- 20-
いつ
だれが
№3
お家の方からいただいた アンケートを見て
感じたこと・考えたこと
- 21-
№4
さあ
さあ
やってみよう!
やってみよう!
やってみたいこと・願い
その理由 ・具体的な 作戦
- 22-
家の仕事
№5
やった仕 事
感
家族の 気持ち
やってみたよ
想
ここが問題!( あらたな課題 )
感想( 反省 ・工夫 したこと・ できたこと
などなど)
課題
感想( 反省 ・工夫 したこと・ できたこと
課題
- 23-
などなど)
「ある日のわが 家」
№7
☆グループで演 じてみて感じ た こ と や考えたことを書 きましょう。
題「
」
自分の役:
☆友達の劇を見 て感じたことや考えたことを書きましょう。
№8
月
日(
)
学習をふり返ってみよう
番
名前
学 習のめあて
「 ある日のわが家」 の家族の一員になってみよう!
ぼく・私 のめあて
- 24-
A:よく
B:だいたい
C:あまり
D:全 く
1
学習の進 め方は分かりましたか。
A・B・C・ D
2
自分のめあてに向かってがんばりましたか。
A・B・C・ D
3
自分な り に考えながら取り組 みましたか。
A・B・C・ D
4
回りの人 と協力できましたか 。
A・B・C・ D
5
今までに 学習したことを生かしましたか。
A・B・C・ D
6
自分のめあてが達成できましたか。
A・B・C・ D
7
もっとやってみたいと思いましたか。
A・B・C・ D
8
もっと知 りたい・もっとやってみたい・心に残 ったことは何ですか 。
- 25-