カラーチャートによるラズベリー「ヒンボートップ」の生果実の出荷基準

カラーチャートによるラズベリー「ヒンボートップ」の生果実の出荷基準
山形県最上総合支庁産業経済部農業技術普及課産地研究室
研究のねらい
ラズベリーは寒冷地での栽培に適し、定植当年から収穫できる果樹で、菓子店やホテル、
レストランなどからのニーズが高いものの、国産ラズベリーの生果実の流通の事例はまだ少
ない。輸入果実にはない、新鮮で本来の香りを有した生果実を県内流通させるために、収量
性・品質に優れたラズベリー品種「ヒンボートップ」の特性を活かすための出荷基準を作成す
る。
研究の成果
①
ラズベリーの果実は成熟とともに色や硬さが変化するため、果実の着色程度により収穫及び
出荷適期の判断基準とすることができることから「ヒンボートップ」の生果実出荷期準カラー
チャートを作成した(図1)。
②
着色指数3~4の果実は、外観(色合い、硬さ)や食味(酸味、香り)加工適正などが優れ、
生果実の出荷に適する(表1)
。
果実着色
着色指数
着色0
着色2
着色1
着色3
着色4
収穫目安
着色6
着色7
着色2以上から収穫
生果実出荷適期
出荷基準
特徴
着色5
着色0 ・果肉は硬くしまっている
・果托が密着し外せない
・色が入らず緑色をしている
着色1 ・果肉は硬くしまっている
・果托が密着し外せない
・色が入り始めたばかりで、まだ青っぽい
着色2 ・果肉はやや硬い
・果托がやや密着し、やや外しにくい
・薄ピンク色になるがまだ白い部分が残っている
着色3 ・果肉はやや柔らかいがよくしまっていてる ・果托がやや密着するが外せる
・全体的にピンクからオレンジ色
着色4 ・果肉は柔らかいがよくしまっている
・果托は密着せず外しやすい
・全体的に赤いがややオレンジ色の部分が残る
着色5 ・果肉は柔らかい
・果托は容易に外せる
・鮮やかな赤色になり果肉がやや透き通ってくる
着色6 ・果肉は柔らかく、果皮が破れやすい
・果托は容易に外せる
・濃い赤色で果肉が透き通っている
着色7 ・果肉は柔らかくやや崩れかけている
・果実と果托の間に隙間ができている
・暗赤色で果肉が透き通っている
図 1 ラズベリー「ヒンボートップ」のカラーチャート
表1
出荷時の果実品質と流通後の県内実需者による果実評価(n=16)
着色
果実品質
出荷時 評価時
3
4
5
1)
外観
糖度
酸度
(Brix%) (g/100ml)
3.5
4.5
5.5
9.4
10.2
9.9
2.12
2.01
1.48
評価基準(輸入生果実と比べて):5 とても良い
色合い
光沢
3.9
4.2
3.2
3.8
3.9
3.0
4 良い
2)
食味
硬さ
4.0
3.7
2.9
3 どちらともいえない
2)
大きさ
甘さ
酸味
香り
3.7
3.6
3.7
3.0
3.7
4.3
4.1
3.8
3.5
3.3
3.7
3.6
2 やや不良
総合評価
3)
82.7
81.3
66.7
1 不良
※出荷から実需者への納品の所要日数は約1日で、輸送中の平均温度は約11℃であった。
1):出荷時の果実品質(10果調査 調査日9月21日)
2):各項目の値は評価基準の平均値であり、アンケート調査により山形市を中心とする県内の実需者16名から回答を得た結果である(H24.9.12~28)。
3):右記の式により算出した
総合評価 =
Σ(評価基準ごとの回答者数×評価基準)
全回答者数×5
×100
問い合わせ先:果樹研究担当 ℡0233-22-2201 e-mail
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