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Frédérique BARAZER(Ampère) テレビ会議方式による日本語教育の

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第五回フランス日本語教育シンポジウム 2003 年フランス・アヌシー
5ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Annecy France, 2003
パネルディスカッション
中等教育における日本語教育を考える
パネリスト:
Frédérique BARAZER(Ampère)
Jacqueline FAVENNEC (Honoré-Daumier)
NEUBRONNER 鬼頭夕佳(EABJM)
Gérald PELOUX(Jean de la Fontaine)
PONCHEELE 国分由恵(Montebello)
テレビ会議方式による日本語教育の試み
リヨン・アンペール高校とアノネ・ボワシーダングラ高校を例に
Frédérique BARAZER
Lycée Ampère, Lyon
はじめに
フランス国民教育省の主導で、都市と地方の教育水準格差の解消をねらいとしたテレビ
会議方式による授業が、日本語教育においても導入されています。現場で教育に携わる
者の1人として、リヨンとアノネ両市の高校での体験から、問題点や今後の課題などを
報告したいと思います。
リヨンのアンペール高等学校
当校では、第一、第二外国語として英語、ドイツ語が、第二、第三外国語としてスペイ
ン語、イタリア語、ロシア語、アラビア語、ヘブライ語が教えられています。2003 年
9 月からはポルトガル語も加わる予定です。日本語は 80 年代半ばから第二、第三外国
語として導入されましたが、現在は第三外国語としてのみ教えられています。
日本語の生徒数は 1995 年以降、次のように変動しています。
2002・03 年度
2001・02 年度
2000・01 年度
1999・2000 年度
1998・99 年度
1997・98 年度
1996・97 年度
1995・96 年度
一年生
46
37
41
33
31
35
25
30
二年生
26
22
9
16
22
13
17
15
189
三年生
13
8
14
13
9
15
13
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第五回フランス日本語教育シンポジウム 2003 年フランス・アヌシー
5ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Annecy France, 2003
2003~04 年は、一年生 45 人を新たに受け入れる予定ですが、二年生の学習者は 33 人、
三年生にいたっては 20 人と減少する見込みです。
つまり、一年生は多いのに、年次が進むにしたがって、学習者の数が減っていきます。
これは、アンペール高校は評判の高い進学校で、進学校のない他学区の優秀な生徒が、
日本語を選択科目として選べば、たとえ学区外であっても、アンペール高校に入学でき
るという制度に由来しています。
ところが、こうして入学した生徒は、日本語や日本文化に必ずしも大きな興味を持って
いないため、一年や二年で日本語の学習を辞めるケースが出てしまうのです。しかし、
その一方で、高校卒業後も日本語の勉強を続ける熱心な生徒が増えつつあるのも事実で
す。
教科書に関しては、一年次で『日本語のまねきねこ』の第六課までを終わらせます。二
年次は同テキストの最終課までをこなし、その後、三年生が使用している日本文化につ
いてのテキストに移行します。具体的には、日本の地理や気候、歴史、伝説や昔話(柳
田国男の昔話を単純化したものなど)のほか、『千と千尋の神隠し』等、日本アニメの名
作をテキストにしたものです。
アンペール高校には、商業系グランゼコールの受験準備クラスがありますが、バカロレ
アまで日本語を勉強してきた生徒向けに 03 年 9 月から、第三外国語としての日本語コ
ースが開かれる見込みです。ただし、これはグランゼコール入学試験対策の授業という
よりむしろ、これまでに学習した事柄を維持する目的で行われる予定です。また、近い
将来、大阪府立柴島(くにじま)高等学校と姉妹交流協定を締結する予定もあり、アン
ペール高校で日本語を選択している生徒と、柴島高校でフランス語を選択している生徒
の間で、文通などの交流がすでに始まっています。短期留学を通じたより深いレベルで
の交流を目指しています。さらに、国際ロータリ-財団の高校生交換留学制度を利用し
て、当地の高校から毎年二、三人の生徒が日本の高校に一年間留学し、同期間中、日本
の高校生がアンペール高校に留学しています。
アノネのボワシー・ダングラ高等学校
リヨン・アンペール高校での授業以外に、電話回線を利用したテレビ会議方式の授業を、
リヨン南西約80㌔にあるアルデッシュ県・アノネ市にあるボワシー・ダングラ高校で
も行っています。これは、フランス国民教育省が1994年に、パリやリヨンなどの都
市圏と地方の教育水準格差を解消するねらいで始めた実験的プロジェクトの一環です。
一年間に約 10 回、生徒の現況を把握するため、アノネまで実際に足を運び、生徒の目
の前で授業を行います。特に、三年生の場合、バカロレアの面接試験の模擬練習として、
試験当日と同じ条件での練習は欠かせません。したがって、テレビ授業を補完する対面
授業は必須要素であると言えます。
フランスでもまだまだ珍しい制度ですが、これによって、都市圏の高校でしか教えられ
ていない科目を、地方にいる生徒でも学ぶ機会が持てるようになります。中継に使う機
材への初期投資は必要になりますが、地方にある小規模校に常勤教師を置く必要がない
というメリットが生まれます。
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第五回フランス日本語教育シンポジウム 2003 年フランス・アヌシー
5ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Annecy France, 2003
ボワシー・ダングラ高校における生徒数は99年以降、次のように変動しています。
1999・2000 年度
2000・01 年度
2001・02 年度
2002・03 年度
2003・04 年度見込み
1 年生
18
23
11
15
30
2 年生
4
5
7
5
10
3 年生
11
4
4
6
5
同校においても、入学後わずかの期間で日本語への興味を失う生徒が多いのですが、理
由はアンペール高校とは異なります。後者のように、学区変更を目的に日本語を選択す
る生徒は極めて少数です。授業に出席しなくなる原因は、多くの場合、想像以上に日本
語の習得が困難であることに気づいたり、理数系の生徒の場合、日本語の学習に割くこ
とのできる時間が限られてきたりするからです。
また、生徒だけでなく、教師にとっても、テレビ方式での授業は、通常の生の授業以上
の困難が伴います。家庭用テレビ程度の大きさの画面で生徒の顔を見ながら授業を行う
のですが、表情を全く見てとることができないため、生徒の理解度を適切に判断するこ
とができません。つまり、授業を受けている生徒が中継カメラに対して、自分の反応を
かなり誇張して示さない限り、教師には伝わらないのです。
このため、教師の方から「分からなかったら、手を振ってください」や「分からなかっ
たら、黙っていないで大きい声でストップ!と言ってください」と生徒に指示していま
す。しかしながら、生徒の多くは、分からないと恥だと感じるようで、黙っているいこ
とが日常茶飯事です。テストの結果を見ると、手を打つのが遅かったことが一目瞭然で
わかります。
テレビ授業のさらなる欠点は、活気ある雰囲気を作りづらいことです。現場にいると、
居眠りをしかけた生徒に直接話しかけたり、授業に集中していない生徒に渇を入れたり
することができますが、テレビの場合、それは極めて困難です。
一方で、大半の生徒は、画面に集中して授業を受けるため、私語が少なく、「静かにし
なさい」などの注意は不要です。その分、勉強に集中することが可能です。また、少人
数クラスのため、炊飯器などを持参して、生徒と一緒におにぎりや酢の物、鶏の唐揚げ
など簡単な日本料理を作ることもあります。箸の使い方も教え、「日本の味」を体験さ
せることで、日本文化を伝える努力をしています。
教材に関しては、アンペール高校と同じものを使用していますが、三年生にはある程度、
バカロレア対策のテキストを選ぶ自由を与えるため、アンペール高校とボワシー・ダン
グラ高校では、使用する教材の内容が違います。
最後になりますが、生徒に日本語を勉強する勇気と意欲を持たせようと、両校と日本の
高校の間で交流が行われています。本年、二度目の学生交換が行われ、3 月には奈良県
立高取高等学校から 11 人の生徒が 2 週間当地に滞在、本年 11 月にはボワシー・ダン
グラ高校から 18 人の生徒が渡日し、高取高校で 2 週間の研修に臨む予定です。姉妹校
制度の成立に基づくこの学生交換は隔年実施され、毎回、申し込みは多数に上ります。
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