CFA 協会ブログ No.85 2012 年 9 月 11 日 マイケル・ウッドフォード氏と日本の金融不正行為について Michael Woodford and Financial Fraud in Japan ピーター・グロス 日本は過去 12 ヶ月間金融不正行為に関する多くの目 ウッドフォード氏は、サンデー・タイムス紙、インデ 立った不祥事に苦しめられてきました。AIJ 投資顧問、 ィペンデント紙、そしてサン紙により 2011 年に最も SMBC 日興証券、そして野村證券は、捜査から刑事訴追 活躍したビジネスパーソンに選ばれました。そして、 や役員辞任に至り紙面の見出しを飾りました。 タイム誌より 2011 年の「重要人物」の一人に選ばれ Exposure:Inside the Olympus Scandal (告発:オリ ました。また氏は、オリンパスの不正行為を告発した ンパスの不祥事の内側について)の著者であるマイケ ことで、不正検査士協会よりクリフ・ロバートソン・ ル・ウッドフォード氏は、オリンパスに関わるまさに センチネル賞を受賞しました。 こうした不祥事の一つで中心的な役割を果たしまし た。ビジネス・インサイダー誌とのインタビューの中 で、繰り返されてきた金融不正行為は日本独特の問題 であるかどうかについて意見を述べました。 「私は、拝金主義や不正行為が日本独自のものである ウッドフォード氏は、シンガポールにて開催される第 66 回 CFA 協会アニュアル・カンファレンスで自身の経 験について論じます。会議への参加登録はこちらから。 ピーター M J グロス(Peter M J Gross) とは思いません。欧州にも金融不祥事はありましたし、 (翻訳者:浜野 秀明) ジーメンス、ワールドコム、エンロンもそうです。人 の本性は同じです。人は、全く受け入れられないよう な行動をするでしょう。それは、日本人だけのもので はありません。 」 英文オリジナル記事はこちら: http://annual.cfainstitute.org/2012/09/11/michael-woodford ビジネス・インサイダー誌のインタビューで、ウッド -and-financial-fraud-in-japan/ フォード氏は、日本人独自の「服従の文化」が、非倫 理的な個人が罰せられることなく金融不正行為を犯 注) 当記事は CFA 協会(CFA Institute)のブログ記事 しやすい環境をつくり上げたと付け加えました。 を日本 CFA 協会が翻訳したものです。日本語版およ び英語版で内容に相違が生じている場合には、英語版 ウッドフォード氏は、2011 年 9 月にオリンパスの CEO の内容が優先します。 となりました。10 月までに、オリンパスの経営トップ による 10 億ドル以上の金融不正行為を暴いたあと、 解任されました。結局、オリンパス会長の菊川剛氏と 他の役員が金融商品取引法違反で告発された一方、ウ ッドフォード氏とオリンパスは、不当解雇に関する訴 訟で和解しました。 日本 CFA 協会 1
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