476_点 ( x + y , xy ) の存在範囲問題の解法 点 ( x + y , xy ) の存在範囲問題の解法 y 2 x,y がすべての実数値をとるとき,点 ( x + y , xy ) の 存在範囲は,x,y の実数条件から y ( 1 x2 4 したがって,xy 平面上に図示すると,右図の斜線部 1 y= x 2 4 1 -2 分となる.ただし,境界線上の点も含む. -1 O 1 2 x -1 Step1. α , β を 2 解とする x についての 2 次方程式は x 2 − (α + β ) x + αβ = 0 x = α , β を解にもつ 2 次方程式は ( x − α )( x − β ) = 0 2 展開して整理すると x − (α + β ) x + αβ = 0 ■ r 2 , − 5 を解とする 2 次方程式は 2 + (−5) = −3 , 2 × (−5) = −10 x 2 − (−3) x + (−10) = 0 ⇔ x 2 + 3 x − 10 = 0 より 説明 ⎧ x+ y = p を満たす x , y を解とする t についての 2 次方程式は ⎩ xy = q Step2.連立方程式 ⎨ t 2 − pt + q = 0 説明 t = x , y を解とする t についての 2 次方程式は x + y = p , xy = q を代入して t 2 − ( x + y ) x + xy = 0 t 2 − pt + q = 0 ■ ⎧ x + y = 1 "" ① r 連立方程式 ⎨ の解法として,基本的には“1 文字消去”の方針から ⎩ xy = −6 "" ② s ①より y = 1 − x これを②に代入して x(1 − x) = −6 ⇔ x 2 − x − 6 = 0 ⇔ ( x − 3)( x + 2) = 0 ⇔ x =3, −2 x = 3 のとき y = −2 , x = −2 のとき y = 3 よって, ( x , y ) = (3 , − 2) , ( −2 , 3) このように求めてもよいが,Step2 を利用すると x , y を解とする t についての 2 次方程式は t 2 − t − 6 = 0 ⇔ (t − 3)(t + 2) = 0 ⇔ t = 3 , − 2 よって, ( x , y ) = (3 , − 2) , ( −2 , 3) t どちらかが x で,他方が として解くと手際がよくなる. y だから組合せは 2 通り −1− http://www.geocities.jp/ikemath ⎧ x+ y = p が実数解 x , y をもつための必要十分条件は ⎩ xy = q Step3.連立方程式 ⎨ p 2 − 4q ) 0 Step2 から x , y を解とする t についての 2 次方程式は 説明 t 2 − pt + q = 0 この方程式の判別式を D とすると,実数解条件から D = p 2 − 4q ) 0 ■ ⎧ x+ y = a 例題1.連立方程式 ⎨ 2 2 ⎩ x + y =a+4 が実数解をもつ必要十分条件は ア ( a ( イ (関東学院大) である. ( x + y ) 2 − 2 xy = a + 4 s 第 2 式を変形して x + y = a "" ① より xy = 1 (a 2 − a − 4) "" ② 2 したがって,①,②より, x , y を 2 解とする 2 次方程式は t 2 − at + 1 (a 2 − a − 4) = 0 2 上式の判別式を D とすると,実数解条件から D = a 2 − 2(a 2 − a − 4) ) 0 ⇔ a 2 − 2a − 8( 0 ⇔ (a + 2)(a − 4) ( 0 a 2 − 2 xy = a + 4 ⇔ よって,求める必要十分条件は - 2 ( a ( 4 ■ 練 習 問 題. 1.x,y,z を実数とする. x + y + z = 0 , xyz = 2 であるとき,z のとりうる値の範囲を求 めよ. (熊本県立大) 2. x + y + z = a , x + y + z = 2a を同時に満たす実数 x,y,z が存在するときの a の値 の範囲を次のようにして求める. (1) x,y に注目して, x + y と xy を z,a で表すことを考える. 2 2 2 x + y = a − z "" ① , x 2 + y 2 = 2a − z 2 "" ② であるが,①,②から xy = ア したがって,x,y を解とする 2 次方程式を 1 つ考えると,この方程式が実数解をもつ条 件から z と a の関係式 イ ( 0 "" ③ が得られる. (2) 関係式③を満たす実数 z が存在する条件を考えて,a の値の範囲を求めよ. (神戸学院大) −2− 476_点 ( x + y , xy ) の存在範囲問題の解法 例題2.実数 x,y が x + y = 1 という関係を満たしながら動くとき,点 P ( x + y , xy ) の 軌跡を求め,図示せよ. (名古屋市立大) 2 s 2 x + y = p , xy = q とおくと,x,y は 2 次方程式 t 2 − pt + q = 0 "" ① の解である.①の判別式を D とすると,実数解条件から D = p 2 − 4q ) 0 ⇔ q ( 1 p 2 "" ② 4 y このとき,条件式を変形して 1 ( x + y ) − 2 xy = 1 ⇔ p − 2q = 1 y= x 2 4 1 ⇔ q = 1 p 2 − 1 "" ③ 2 2 2 1 1 1 2 2 O 1 U2 2 x q = p と q = p − を連立させて解くと -U 2 -1 4 2 2 1 1 1 1 p2 = 1 p2 − 1 ⇔ p2 = 2 y= x 2 2 2 2 4 2 2 ⇔ p=± 2 1 2 1 よって,点 P の軌跡は,放物線 y = x − の − 2 ( x ( 2 の部分で,図示すると上図 2 2 2 2 の実線部分となる. ■ 練 習 問 題. 3.a,b が実数のとき x = a + b , y = ab とすると,a,b は t に関する方程式 t − xt + y = 0 2 の解であるから, y ( x2 ア が成り立つ.したがって,実数 a,b が a 2 + 4ab + b 2 + 4a + 4b − 8 = 0 を満足しながら変化するとき,( x , y ) を座標とする点 P の 軌跡は, y=− x2 イ − ウ x+ エ ( x(− オ , x) カ ) (東京薬科大) となる. 4.実数 x,y について, 3 x − 2 xy + 3 y = 16 が成り立つとする. 2 (1) 2 x + y = u , xy = v とおくと, 3x 2 − 2 xy + 3 y 2 = 16 は v = ア u2 + イ "" ① と表せる.また,t に関する 2 次方程式 t − ut + v = 0 が実数解 x,y をもつので,u,v 2 は u − 4v ) 0 を満たす.この不等式に①を代入して得られる 2 次不等式を解けば 2 ウ ( u ( エ である. (2) (上智大) xy のとりうる値の範囲を求めよ. −3− http://www.geocities.jp/ikemath 例題3.実数 x,y が x + y (1 を満たしながら変化するとする. 2 2 s = x + y , t = xy とするとき,点 ( s , t ) の動く範囲を st 平面上に図示せよ. (2) 負でない定数 m をとるとき, xy + m( x + y ) の最大値,最小値を m を用いて表せ. (1) (東京工業大) s(1) x,y を 2 解とする 2 次方程式は X 2 − sX + t = 0 "" ① ①の判別式を D とすると,実数解条件から D = s 2 − 4t ) 0 ⇔ t ( 1 s 2 "" ② 4 t 1 1 2 O -U 2 -1 このとき t= 1 2 s 4 1 U2 s 1 x 2 + y 2 (1 ⇔ ( x + y ) 2 − 2 xy (1 1 1 2 -1 t= s 22 2 1 1 "" ③ ⇔ s 2 − 2t (1 ⇔ t ) s 2 − 2 2 よって,②,③から点 ( s , t ) の動く範囲は右上図の斜線部分となる.ただし,境界線上の 点も含む. (2) x + y = s , xy = t とおくと xy + m( x + y ) = t + ms ここで, t + ms = k とおくと t = −ms + k (m ) 0) "" ④ ④は st 平面上では,傾きが − m ( ( 0) ,t 切片が k の t k:最大 1 1 2 直線を表す. 直線④が(1)で求めた領域を通るとき,t 切片 k が最大 -U 2 -1 となるのは,点 ( ) 2 , 1 を通るときで,このとき k 2 - O 1 U2 s 1 2 1 + 2 m をとる. 2 1 2 1 "" ⑤ 上の点 − 2 , 1 における接線の傾きは,t ′ = s より, 次に,放物線 t = s − 2 2 2 − 2 である.このことから t (ⅰ) − 2 ( − m ( 0 ,すなわち 0 ( m ( 2 のとき, 直線④が放物線⑤に接するとき k は最小となる. は最大値 ( ) ④,⑤より 1 s 2 − 1 = −ms + k 2 2 ⇔ s 2 + 2ms − (2k + 1) = 0 判別式を D′ とすると重解条件から,求める最小値 は D′ = m 2 + 2 k + 1 = 0 ⇔ k = − m 2 + 1 4 2 −4− 1 2 -U 2 O U2 k:最小 -m = -U 2 s 476_点 ( x + y , xy ) の存在範囲問題の解法 ( ) − m < − 2 ,すなわち m > 2 のとき,直線④が点 − 2 , 1 を通るとき k は最小 2 (ⅱ) となる. したがって,求める最小値は t 1 − 2m 2 1 2 以上から, xy + m( x + y ) の最大値は 1 + 2m 2 最小値は O -U 2 ⎧ m2 + 1 0 m 2 − ( ( のとき ⎪ 2 ⎨ 1 ⎪ m> 2 のとき − 2 m 2 ⎩ U2 s -m = -U 2 k:最小 ■ 練 習 問 題. 5.点 P (α , 図示せよ. β ) が α 2 + β 2 + αβ < 1 を満たして動くとき,点 Q (α + β , αβ ) の動く範囲を (岐阜大) 6.s,t を実数とする. (1) x = s + t + 1 , y = s − t − 1 とおく.s,t が s ) 0 , t ) 0 の範囲を動くとき,点 ( x , y ) の 動く範囲を座標平面内に図示せよ. (2) x = st + s − t + 1 , y = s + t − 1 とおく.s,t が実数全体を動くとき,点 ( x , y ) の動く 範囲を座標平面内に図示せよ. (東北大) 7.2 つの数 x,y に対し, s = x + y , t = xy とおく. (1) x,y が実数を動くとき,点 ( s , t ) の存在範囲を求めよ. (2) 実数 x,y が ( x − y ) + x y = 4 を満たしながら変化するとする. 2 2 2 (ア) 点 ( s , t ) の描く図形を st 平面上に図示せよ. (イ) (1 − x)(1 − y ) のとりうる値の範囲を求めよ. −5− (東京理科大)
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