割賦販売法の改正について

割賦販売法の改正について
平成21年1月
経済産業省
商務流通グループ取引信用課
1.現行割賦販売法の概要
現行割賦販売法の概要 ①
Ⅰ.法律の趣旨と対象
1.割賦販売(分割・後払いの販売)は、
・初回の支払が少額で済むので勧誘に対する消費者の抵抗が少ない
・分割払いのために支払総額などが消費者に見えにくい
・消費者は、販売店、クレジット会社とそれぞれ別の契約を結ぶ
といった特性があるため、消費者トラブルが起こりやすい。このため、消費者
保護の観点からルールを定めている。
2.分割払いを3回以上、かつ2ヶ月以上にわたって行うものが法律の対象。
Ⅱ.クレジット取引の種類
1.クレジットカード
限度額の範囲内で包括的にクレジット契約を結ぶもの。包括クレジット。
2.個別クレジット
ある商品の売買時に、その都度、支払のためにクレジット契約を結ぶもの。
クレジット取引の構図
消費者
③代金の分割後払い
〔クレジット契約〕
3つの別々の契約から構成される取引
①商品の販売
〔商品売買契約〕
クレジット会社
販売業者
②代金の一括立替払い
〔加盟店契約〕
3
現行割賦販売法の概要 ②
Ⅲ.主な規制、ルールの内容
1.経済産業省への登録義務〔クレジットカードの場合〕
クレジットカード会社は、経済産業省に登録しなければならない。
*個別クレジットの場合は登録義務はなく、参入は自由。
2.抗弁権〔クレジットカード、個別クレジット両方〕
販売業者の責任で消費者トラブルが生じた場合(例:買った商品が壊れていた、
販売業者が虚偽の商品説明をした)、クレジット会社の責任がなくても、消費者
にクレジット会社からの代金支払請求を拒む権利(抗弁権)を与える。
※未払金の支払いは拒めるが、既払金の返還まではできない。
3.支払能力を超える与信の防止(努力義務)〔クレジットカード、個別クレジット両方〕
クレジット会社は、信用情報機関(信用情報の収集、クレジット会社等
に対する信用情報の提供を業とする者)を利用して消費者の支払能力を
超える与信を行わないよう努めなければならない。
4
2.改正法の概要
訪問販売に関する対策
被害事例
・独り暮らしで年金生活の母が訪問販売を受け、
呉服などを1千万円以上を買わされていた。
複数の信販会社から請求を受け、貯金も底を尽
きている。母は判断力が低下しており、買った
着物もほとんどが未開封であった。
※ いずれのグラフもPIO‐NETデータより経済産業省作成
・判断力が低下した高齢者の姉妹が複数の業者
から総額約5千万円のリフォーム工事を訪問販
売で売りつけられた。 最終的に信販会社が被
害者の自宅を競売にかけた。
法改正
規制の抜け穴の解消
○別法で消費者被害の是正等ができるものを除き、原則すべての商品・役務を扱う取引(訪問販売、電話勧誘販
売、通信販売)を規制対象に。【改正特商法第2条】【改正割販法第2条】
○その上で、クーリング・オフになじまない商品・役務等は、該当規制から除外。
【改正特商法第26条】【改正割販法第35条の3の60】
○割賦の定義を見直し、2ヶ月以上後の1回払い、2回払いも規制対象に(現行は3回払い以上)【改正割販法第2条】
訪問販売規制の強化
○訪問販売業者に当該契約を締結しない旨の意思を示した消費者に対しては、契約の勧誘をすることを禁止。
【改正特商法第3条の2】
○訪問販売によって通常必要とされる量を著しく超える商品等を購入する契約を結んだ場合、契約後1年間は
契約の解除等が可能に(消費者にその契約を結ぶ特別の事情があったときは例外) 【改正特商法第9条の2】
○個別クレジットを行う事業者を登録制の対象とし、行政による監督規定を導入 【改正割販法第35条の3の23 等】
クレジット規制の
強化
○個別クレジット業者に訪問販売等を行う加盟店の行為について調査することを義務づけ、不適正な勧誘があれば、
消費者へ与信することを禁止。【改正割販法第35条の3の5~7】
○訪問販売等による売買契約が虚偽説明等により取り消される場合や、過量販売で解除される場合、個別クレジット
契約も解約し、消費者が既に支払ったお金の返還も請求可能に。 【改正割販法第35条の3の12~16】
○クレジット業者に対し、指定信用情報機関を利用した支払能力調査を義務づけるとともに、支払能力を超える与信
を禁止。 【改正割販法第30条の2、第30条の2の2、第35条の3の3~4】
インターネット通信販売などの新分野
被害事例
通信販売における返品トラブル
に関する苦情の内訳
(平成18年度:相談上位項目)
苦情内容
件数
構成比
返品・交換
513
24.90%
顧客対応
356
17.30%
電話がつな
がらない
254
12.30%
商品の未
着・延着
235
11.40%
その他
703
34.10%
・インターネット通販で購入した商品が広告画像とあま
りに違う上、 返品ができないとの表示もなかったので
返品を申し出たが、 まったく 取り合ってくれない。
・これ以上メールを送信しないようにと返信すると、他
の事業者を含めてより多くの迷惑広告メールが到着。
・クレジット会社の業務委託先の従業員がカード番号・
有効期限の情報15万件を第三者に漏洩し、インター
ネット取引で 600万円超の不正利用が発生。
※日本通信販売協会
2006年度「通販110番」報告書より
法改正
インターネット取引等の
規制強化
○返品の可否・条件を広告に表示していない場合は、8日間、送料消費者負担で返品(契約の解除)
が可能に。【改正特商法第15条の2】
○消費者があらかじめ承諾しない限り、迷惑広告メールの送信を禁止。【改正特商法第12条の3 等】
○個人情報保護法でカバーされていないカード情報の漏洩や不正入手をした者を刑事罰の対象に。
【改正割販法第49条の2】
その他
罰則の強化
自主規制の強化
○違反事業者に対する罰則を強化【改正特商法第70条 等】【改正割販法第49条 等】
(不実の告知、重要事項不告知 → 現行2年を3年に引き上げ)等。
○クレジット取引の自主規制等を行う団体を認定する制度を導入。【改正割販法第35条の18 等】
○訪問販売協会(既存制度)による自主規制の強化。【改正特商法第27条の2 等】
3.割賦販売法の改正ポイント
(現在検討中の政省令案の概要・骨子を含む)
(注)本資料で言及している現在検討中の政省令案の内容については、今後変更される可能性があります
ので、ご留意ください。
Part1
規制の抜け穴の解消
○別法で消費者被害の是正等ができるものを除き、原則すべての商品・役務を扱う取引(訪問販売、電話勧誘販
売、通信販売)を規制対象に。【改正特商法第2条】【改正割販法第2条】
○その上で、クーリング・オフになじまない商品・役務等は、該当規制から除外。
【改正特商法第26条】【改正割販法第35条の3の60】
○割賦の定義を見直し、2ヶ月以上後の1回払い、2回払いも規制対象に(現行は3回払い以上)【改正割販法第2条】
Part2
訪問販売規制の強化
○訪問販売業者に当該契約を締結しない旨の意思を示した消費者に対しては、契約の勧誘をすることを禁止。
【改正特商法第3条の2】
○訪問販売によって通常必要とされる量を著しく超える商品等を購入する契約を結んだ場合、契約後1年間は
契約の解除等が可能に(消費者にその契約を結ぶ特別の事情があったときは例外) 【改正特商法第9条の2】
○個別クレジットを行う事業者を登録制の対象とし、行政による監督規定を導入 【改正割販法第35条の3の23 等】
Part3
クレジット規制の強化
○個別クレジット業者に訪問販売等を行う加盟店の行為について調査することを義務づけ、不適正な勧誘があれば、
消費者へ与信することを禁止。【改正割販法第35条の3の5~7】
○訪問販売等による売買契約が虚偽説明等により取り消される場合や、過量販売で解除される場合、個別クレジット
契約も解約し、消費者が既に支払ったお金の返還も請求可能に。 【改正割販法第35条の3の12~16】
○クレジット業者に対し、指定信用情報機関を利用した支払能力調査を義務づけるとともに、支払能力を超える与信
を禁止。 【改正割販法第30条の2、第30条の2の2、第35条の3の3~4】
Part4
インターネット取引等
の規制強化
○返品の可否・条件を広告に表示していない場合は、8日間、送料消費者負担で返品(契約の解除)が可能に。
【改正特商法第15条の2】
○消費者があらかじめ承諾しない限り、迷惑広告メールの送信を禁止。【改正特商法第12条の3 等】
○個人情報保護法でカバーされていないカード情報の漏洩や不正入手をした者を刑事罰の対象に。
【改正割販法第49条の2】
Part5
罰則の強化
自主規制の強化
○違反事業者に対する罰則を強化【改正特商法第70条 等】【改正割販法第49条 等】
(不実の告知、重要事項不告知 → 現行2年を3年に引き上げ)等。
○クレジット取引の自主規制等を行う団体を認定する制度を導入。【改正割販法第35条の18 等】
○訪問販売協会(既存制度)による自主規制の強化。【改正特商法第27条の2 等】
○その他
Part1 規制の抜け穴の解消
【指定商品制・指定役務制の撤廃】
①不動産の販売を除くすべての商品・役務を扱うクレジット取引(信用購入あっせん)を、
割賦販売法のクレジット規制の対象に。【改正割販法第2条】
※テキストP4参照
②その上で、個別クレジット契約について新たに導入されたクーリング・オフ制度になじま
ない商品・役務は、クーリング・オフの対象から除外。除外される商品・役務は特定商取引
法のクーリング・オフ制度の除外対象と同一。 【改正割販法第35条の3の60】
※テキストP5~6参照
【割賦の定義の見直し】
③割賦の定義を見直し、これまでの「2ヶ月以上かつ3回払い以上」の分割払いのクレジッ
ト契約に加えて、「2ヶ月以上後の1回払い、2回払い」もクレジット規制の対象に。
(翌月1回払いは従来通り規制対象外) 【改正割販法第2条】
※テキストP7参照
10
Part3 クレジット規制の強化
【個別クレジット業者に対する登録制・行政監督規定の導入】
①-1 個別クレジット業者は、登録を受けた法人でなければ営業を禁止。
(包括クレジット業者についても登録拒否事由を追加。既存事業者(個別・包括)についても、
施行後6月以内に登録を受けることが必要。)
※テキストP12参照
個別信用購入あっせん業
包括信用購入あっせん業
目的
消費者保護目的で課される行為規制を履行でき
るだけの財産的基盤や人為的体制の確保。
主として加盟店保護を目的とした財務的な健全
性の確保。
登録の拒否
事由
○純資産額が政令で定める額(5000万円)未満
-
○登録取消しの日から5年を経過しない
○割賦販売法又は貸金業法に基づく刑の執行を
終わり又は刑の執行を受けることがなくなっ
た日から5年を未経過
○役員の不適格事由に該当する場合
○業務に関し、不正又は不誠実な行為をするお
それがあると認める相当の理由がある
○法の遵守体制や苦情処理体制が未整備
○暴力団員等との関連が認められる
等
○資本又は出資の額が2,000万円に満たない
○純資産比率が90%未満
○登録取消しの日から5年を経過しない
○割賦販売法又は貸金業法に基づく刑の執行を
終わり又は刑の執行を受けることがなくなっ
た日から5年を未経過
○役員の不適格事由に該当する場合
○業務に関し、不正又は不誠実な行為をするお
それがあると認める相当の理由がある
○法の遵守体制や苦情処理体制が未整備
○暴力団員等との関連が認められる
等
登録の更新
3年毎の更新要
不要
営業保証金
不要
供託及びその届出要
11
Part3 クレジット規制の強化
【個別クレジット業者に対する登録制・行政監督規定の導入】
①-2 登録個別クレジット業者に対して、行政監督を実施。
※テキストP13参照
12
Part3 クレジット規制の強化
【個別クレジット業者に対する登録制・行政監督規定の導入】
①-2 登録個別クレジット業者に対して、行政監督を実施。
→ 都道府県への権限委譲の考え方について (政令案の概要8.参照)
1.委譲する権限
・ 特商法(除く通販)加盟店が行う勧誘に係る調査義務(35条の3の5)違反又は不適正な勧誘
があった場合の与信の禁止義務(35条の3の7)違反の場合の個別クレジット業者に対する
改善命令
・ 当該改善命令に違反した場合の業務停止命令
・ 個別クレジット業者に対する当該命令のための報告徴収、立入検査
2.管轄する都道府県
・ 訪問販売、連鎖販売、特定継続的役務、業務提供誘引販売に係る契約関係
→加盟店が当該契約の申込み又は勧誘を行う場所を含む区域を管轄する都道府県
・ 電話勧誘販売に係る契約関係
→購入者等が勧誘を受けた場所を含む区域を管轄する都道府県
3.経済産業大臣の権限との関係
・ 二以上の都道府県の区域にわたって取引の公正及び購入者等の利益が害されるおそれが
あり、特に必要があると認める場合、又は都道府県知事からの要請があった場合については、
経済産業大臣も当該事務を行うことができる。
・ また、都道府県知事は、当該事務を行った場合は、経済産業大臣にその結果を報告する。
Part3 クレジット規制の強化
【個別クレジット業者に対する行為規制(加盟店調査等)】
②-1 個別クレジット業者に対して、加盟店の勧誘行為に対する調査を義務づけ、
不適正な勧誘があった場合の与信を禁止(行政上の義務。改善命令対象)
【改正割販法第35条の3の5、第35条の3の7】
※テキストP14参照
◆調査対象取引
◆調査内容及び方法(省令に規定)
・訪問販売
特定商取引法で禁止されている又は消費者
契約法で契約の申込み若しくはその承諾の意
思表示の取消しが認められる以下の行為の有
無。
・電話勧誘販売
・連鎖販売取引
・特定継続的役務提供
・業務提供誘引販売取引
○ 重要事項の不実告知
○ 断定的判断の提供
○ 重要事項・不利益事実の
故意の不告知
○ 威迫・困惑
◆行為を確認
与信契約の
申込み又は
その承諾を
してはなら
ない。
◆調査記録の作成・保存(省令に規定)
(注)加盟店は、調査に協力するよう努めなければならない。(35条の3の6)
14
加盟店調査義務の内容及び方法
(割賦販売法施行規則の骨子P7~8参照)
(イ)調査の時期及び対象者
① 個別クレジット業者が特定商取引類型を行っている販売業者等と新規に加
盟店契約を締結しようとする場合には、当該販売業者等に対して調査を行う。
② 個別クレジット業者が消費者と特定商取引類型に係る与信契約を締結しよ
うとする場合には、消費者等に対して調査を行う。
③ 消費者からの特定商取引類型を行う販売業者等に関する苦情件数の発生
割合が類似の他の特定商取引類型を行う販売業者等より相当程度多いこと
又は苦情の内容が特定商取引法に定める禁止行為等に該当するおそれがあ
ること等の場合には、当該販売業者等に対して調査を行う。
(ロ)調査の項目
①は、第1表の調査を行う。
②は、第2表の調査を、電話等により行う。
③は、苦情の内容に応じて第1表・第2表の事項について必要な調査を行う。
(ハ)調査記録の作成保存の項目
調査年月日、記録作成日、調査の結果等について、書面又は電磁的記録により、
作成後5年間保存する。
15
第1表
調査事項
i)基礎的情報
ii)商品・役務の内容
iii)履行体制
iv)特商法上の処分状況
v)コンプライアンス・
苦情処理
調査方法(調査内容の基準)
イ 特定商取引類型の分類
ロ 名称、住所、電話番号、代表者氏名
ハ 営業所の住所、電話番号
ニ 主たる営業・販売活動を行う地域
イ 勧誘書類(勧誘に際して購入者等に提示するもの)
ロ 商品等に係る性能・品質・効果・効能に関する苦情・相談に応じて、その根拠資料
イ 過去1年の販売実績
ロ 直近の決算書等により信用状況を確認(第三者機関に確認又は同等程度の調査)
ハ 特定継続的役務提供、連鎖販売、業務提供誘引販売に関し、業務の持続性
イ 過去5年間における特商法に基づく指示、業務停止命令又は罰金刑の有無
ロ 役員について、過去5年間における特商法に基づく指示、業務停止命令または罰金
刑を受けた
法人の役員の経歴の有無等
イ コンプライアンス体制に関する組織及び執行体制
ロ 苦情処理体制に関する組織及び執行体制
ハ 消費者の保護に欠ける行為に関する情報等の状況(第三者機関に確認)
16
第2表
調査事項
i)商品・役務の内容、
数量
調査方法(調査内容の基準)
イ 契約申込書面に記載されていない付帯サービス、付帯条件の有無。
ロ 契約申込書面に記載した商品・役務、数量、支払総額などが申込者本人の真意に基
づくものであり、販売業者の勧誘行為による困惑・誤認によるものでないこと。
ハ 商品・役務に係る内容(性能、品質、効果、効能、必要数量など)について、断定的な
説明の有無(有る場合はその根拠を速やかに調査すること)。また、当該事項に申込者
にとっての不利益事項等が有る場合、申込者の認識の有無。
ニ 上記イ~ハ以外に申込者の契約意思の形成に主要な影響を及ぼしたものがある場
合、断定的な説明の有無(有る場合はその根拠を速やかに調査すること)。また、当該事
項に申込者にとって不利益事項等がある場合、申込者の認識の有無。
ホ 将来価値の不確実性に関し、申込者にとっての不利益事項等がある場合、申込者
の認識の有無。
ii)クーリング・オフ
イ 申込者が契約申込日を認識しているか。
ロ 損害賠償、違約金の取決め等に関し、記載内容と異な説明をするなどクーリング・オ
フの妨害行為の有無。
イ 連鎖販売契約及び業務提供誘引販売契約において、商品購入代金、入会金、研修
iii)「連鎖販売取引」及び 費、保証金等の特定負担の内容、金額。
「業務提供誘引販売取 ロ 連鎖販売契約において、マージン、紹介料、リクルート料、スポンサー料等の特定利
引」関連
益に係る算定方法、前提条件等が申込者に示されていること。
ハ 業務提供誘引販売契約において、業務提供利益の前提条件等が消費者に示されて
いること。
iv)上記i)~iii)以外の
イ 契約の申込をさせ、又は撤回若しくは解除を妨げるため、申込者を威迫・困惑させる
特定商取引法及び
行為の有無。
消費者契約法に規定 ロ 申込者が販売業者等に対しその住居から退去すべき旨又は勧誘をしている場所か
する行為
ら退去する旨の意思表示を示したにもかかわらず、従わないこと。
17
Part3 クレジット規制の強化
【個別クレジット業者に対する行為規制(書面交付義務)】
②-2 個別クレジット業者に対して、書面交付義務を強化
【改正割販法第35条の3の8~9】
※テキストP15参照
書面交付義務の具体的内容(法定記載事項)については、現在検討中の省令案において
規定する予定。
18
Part3 クレジット規制の強化
【個別クレジットのクーリング・オフ】
③ 個別クレジットのクーリング・オフ制度を導入し、与信契約をクーリング・オフすれば、
販売契約も同時にクーリング・オフされることに【改正割販法第35条の3の10~11】
※テキストP16~17参照
【クーリング・オフができる者】
①訪問販売・電話勧誘販売の方法による与信契約又は特定継続的役務提供等契約に係る与信
契約の申込み等を行った者(クーリング・オフ期間は8日)
②特定連鎖販売個人契約及び業務提供誘引販売個人契約に係る与信契約の申込み等を行った
者(クーリング・オフ期間は20日)
(適用除外)
○契約の申込者又は購入者が営業のため若しくは営業として締結する場合
○自動車・自動車リース、葬儀、化粧品等の消耗品 等
【クーリング・オフの効果】
①与信契約がクーリングオフされると、消費者が反対の意思表示をしている場合を除き、
販売契約もクーリング・オフされる。
②個別信用購入あっせん業者等は、クーリング・オフに伴う損害賠償又は違約金の請求不可。
③販売業者は、クーリング・オフがあった時点で既に立替金を受領しているときは、これを
個別信用購入あっせん業者に返還。
④個別信用購入あっせん業者は、クーリング・オフがあった時点で既払金があるときは、
これを購入者等に返還。
等 19
Part3 クレジット規制の強化
【既払金の返還】
④ー1 通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約等(過量販売)に対する
個別クレジット契約は、1年以内であれば解除可能とし、既払金返還を認める。
【改正割販法第35条の3の12】
※テキストP18参照
20
Part3 クレジット規制の強化
【既払金の返還】
④ー2 訪問販売業者等が虚偽の説明をした場合に、個別クレジット契約もあわせて取り
消すことを可能とし、既払金返還を認める。【改正割販法第35条の3の13~16】
※テキストP19~20参照
21
Part3 クレジット規制の強化
【過剰与信防止義務】
⑤ クレジット業者に対して、指定信用情報機関を利用した支払能力調査を義務づけ、
消費者の支払能力を超える与信契約の締結を禁止。【改正割販法第30条の2~3、
35条の3の3~4等】
※テキストP21~22参照
支払能力調査や過剰与信禁止、信用情報機関制度の詳細については、現在検討中の省
令案において規定する予定。(割賦販売法施行規則の骨子P1~6、P12~14参照)
22
割賦販売法施行規則の骨子(P1~6)より
(1)過剰与信防止義務の枠組み (個別クレジットの例)
支払可能見込額の調査
[調査時点] 個別クレジット契約締結前
[調査項目] 年収、預貯金、クレジット債務、借入の状況、その他の必要な事項
として省令で定めるもの
[調査方法] 省令で定める
消費者の保護に支障を生ずることがない場合かどうか(省令)
支払可能見込額の算定
支払可能見込額の調査により得られた情報を基に、支払可能見込額を個別クレジッ
ト業者が算定
支払可能見込額として算定不可
生活維持費(省令)
居住用資産(省令)
年間支払額>支払可能見込額
個別クレジット契約の締結禁止
消費者の保護に支障を生ずることがない場合かどうか(省令)
指定信用情報機関への情報登録 (35条の3の56)
23
(2)支払可能見込額調査
総 論
・クレジットの与信審査においては、収入、債務の他、返済履歴、商品の担保価値など
様々な要素を総合勘案して与信が行われており、こうした実態を踏まえた支払可能見込
額の調査方法を定める。
年 収
・年収は、利用者による自己申告、又は年齢、勤務先、勤続年数等からクレジット業者が
年収を推定する方法とする。
・専業主婦などの場合には、世帯主の収入に基づく与信を可能とする。
預貯金
・無収入等であるものの、資産を有する者等に対して与信を行う場合に、補完的に預
貯金等を調査するものであって、必要とされない時はプライバシー保護の観点から調
査不要とする。
クレジット債務
・支払可能見込額の調査を行うに当たって、指定信用情報機関が保有するクレジット
債務を調査することが義務づけられている。氏名・住所・生年月日等の本人の属性情
報と、クレジット債務額、支払の遅延の有無等を指定信用情報機関に登録する。
その他
・上記の他、客観的な事項について、合理的な方法で算定できる。
24
(3)生活維持費の算定方法
支払可能限度額の算定においては、一般的な消費者を前提として、将来のクレジット債務が過剰なも
のにならないよう、最低限の生活費を確保することを目的として、生活維持費を控除することとされて
おり、省令でその額を定めることとなっている。
算定方式
・利用者のプライバシー保護の観点、クレジット業者の調査能力の観点から、生活の実
態を詳細に調査しなくとも把握可能な、被扶養者の数、持家の有無のみを考慮する、簡
便な算定方式とする。
【人事院「標準生計費」(全国平均)(単位=万円)】
4人世帯以上 3人世帯 2人世帯 1人世帯
持家あり 年
200
169
136
90
持家なし 年
240
209
177
116
地域差の考慮
・地域の特性に応じた与信を行っているクレジット業者もあることから、利用者の生活地
域の物価格差等を勘案した生活維持費についても認める。
25
(4)消費者の保護に支障を生ずることがない場合
個別クレジット
少額店頭販売品
・店頭販売であって、比較的少額(10万円以下)の生活に必要な耐久消費財(例:家電、携帯電話
等)に係る個別クレジット契約については、簡易な審査により延滞等がなければ与信を可能とする。
高額生活必需耐久消費財
・比較的高額であっても、生活に必要とされる耐久消費財(例:自動車)については、消費者の生活実
態に関する丁寧な審査を前提として、個別クレジットを利用して購入することを可能とする。
緊急的支出
・財産保護より重視される法益(生命・身体の保護等)を保護するため、緊急医療費等については、
支出目的等に関する審査を前提として、支払可能見込額を超える与信を可能とする。
包括クレジット
少額限度額
・限度額が30万円以下のクレジットカードを発行する場合は、過剰な債務や延滞等を確認する簡易
な審査で発行可能とする。
一時増額
・一定期間だけ、特定の目的(海外旅行、引越費用、冠婚葬祭等)のため、消費者の求めに応じて限
度額を増額する場合は、目的・使用場所を確認することで、与信審査なしに限度額の増額を認める。
カード更新
・クレジットカードを更新するときは、債務残高が5万円未満の場合は審査なしで、5万円以上の場合
26
は簡易な審査により更新可能とする。
Part4 インターネット取引等の規制の強化
【クレジットカード情報の保護】
⑤ クレジットカード業者等に対して、個人情報保護法ではカバーされていないクレジット
カード情報の保護のために必要な措置を義務づけるとともに、カード番号の不正提供・
不正取得をした者等を刑事罰の対象とする。
【改正割販法第35条の16・17、第49条の2】
※テキストP28参照
○クレジットカード業者等に対する行政上の義務の詳細については、現在検討中の省令案
において規定する予定。(割賦販売法施行規則の骨子P15~16参照)
○以下の者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(法第49条の2)
・クレジットカード事業者等(イシュワー・アクワイアラー・加盟店・委託先を広く含む)の
役員、職員及び元職員で、その業務に関して知り得たカード番号等を自己若しくは第三
者の不正な利益を図る目的で、提供し、又は盗用した者
・人を欺いてカード番号等を提供させた者
・カード番号等を次のいずれかに掲げる方法で取得した者
①カード番号等が記載され、又は記録された人の管理に係る書面又は記録媒体の記載
又は記録について、その承諾を得ずにその複製を作成すること
② 不正アクセス行為を行うこと
・正当な理由なく、有償でカード番号等を提供し、又はその提供を受けた者並びに有償で
提供する目的で、カード番号等を保管した者
27
Part5 その他
【自主規制団体の創設】
③ クレジット取引の自主規制等を行う団体の認定制度を創設
【改正割販法第35条の18~24】
※テキストP32参照
○認定割賦販売協会
割賦販売業者等が設立した一般社団法人であって、次の要件に該当すると認められるも
のを、その申請により、認定割賦販売協会として認定する。
(業務内容)
1) 割賦販売等に係る取引の公正の確保及びクレジットカード番号等の適切な管理をする
ために必要な規則の制定(自主ルール)
2) この法律若しくはこれに基づく処分又は自主ルールの遵守状況の調査及び指導、勧告
3) 利用者等の利益を保護するために必要な情報の収集、整理及び提供
(加盟店情報交換制度)
4) 利用者等からの苦情処理及び利用者等に対する広報等
※加盟店情報交換制度への登録事由の詳細については、現在検討中の省令案において規定す
る予定。(割賦販売法施行規則の骨子P17参照)
28