住吉市民病院だより 2016 年8月号(No,102) 大阪市住之江区東加賀屋1-2-16 TEL(06)6681-1000 URL(http://www.osakacity-hp.or.jp/sumiyoshi/) 編集・発行 住吉市民病院広報委員会 内科 福本まりこ 夏本番、暑い日が続きますが、みなさん夏バテされていませんか? 暑い日が続くと、食欲がなくなったり、体がだるくなったり、なかな か疲れがとれないなど、体調を崩しやすくなります。夏バテには実は明 確な定義はなく、夏に見られる体や精神面の不調をまとめて「夏バテ」 と呼んでいます。夏バテの代表的な症状は、疲れが残っていたり、体が だるいといった全身の倦怠感と、暑くて食欲がなくなり、体重が減りま す。また、暑いからといって冷たいものをとりすぎると、胃腸の働きが 悪くなって下痢になりやすかったり、汗を良くかくと立ちくらみやめま い、微熱、吐き気といった症状のほか、イライラしたり、無気力になる など、精神的な症状も見られるようになったりします。 上に挙げたような症状がみられると、誰しも“夏バテ~”と考え、特 に病院に行くことなく、消化が良くて、栄養のあるものを食べたり、な るべく休養をとるようにしたりして、回復するのを待つ方が多いかもし れません。 でも、実はこのような症状:全身倦怠感、発汗過多、体重減少、下痢、 立ちくらみ、微熱、イライラなどは、バセドウ病という甲状腺の病気で も出てきます。夏バテと思っていたら・・・実は甲状腺の病気だったと いうこともよくあります! バセドウ病は、自己免疫機能の乱れのために甲状腺(前頚部にある臓 器)から、甲状腺ホルモンが作られ過ぎてしまう病気で、男性よりも女 性に多いです。歌手の綾香さんや水泳のオリンピアン 星奈津美選手な ども罹られたことで知られています。甲状腺ホルモンが出過ぎると、脈 が速くなったり、血圧が上がったり、微熱や下痢が出て、体重が減り、 疲れやすくなります。基本的には内服薬で治療をしますが、薬にアレル ギーが出る場合には手術や放射線治療をすることもあります。放置する と心臓に負担がかかり、心不全をおこすと、場合によっては命にかかわ ることもあります。 気になる症状があれば、一度血液検査で、甲状腺ホルモンの数値も測ってみましょう。内科にご 相談ください。 まだまだ暑い日が続きますが、体調に気をつけて、乗り切りましょう! 小児科外来 Q.夏かぜとは普通の風邪とは違うのですか?どんな症状がでますか? A.夏にかかりやすい病気を総称したものを夏かぜと呼んでいます。咽頭結膜熱(プール熱)やヘルパンギ-ナや手足 口病などがあります。症状としては、のどの痛みや発熱、発疹、下痢、腹痛などがあります。 Q.夏かぜにかからないために気をつけることはありますか? A.夏の暑さで体力が落ちているところに、エアコンをかけっぱなしで部屋を冷やしすぎたり、寝冷えをしたりする と、夏かぜにかかりやすくなります。冷房使用時は 27℃前後に温度設定し、外気との温度差を少なくするよう 心がけましょう。また、クーラーや扇風機の冷気が直接身体に触れると肌寒く感じますので、直接当たらないよ う工夫しましょう。衣服に関しては「大人より 1 枚少なめに」を心がけると良いでしょう。生後 2~3 カ月の赤 ちゃんの場合でも、基本的には肌着 1 枚のみで大丈夫です。スーパーや百貨店など冷房がききすぎる所では身体 を冷やさないよう、バスタオルやおくるみなどで保温してあげると良いでしょう。 Q.夏かぜにかかってしまったら気をつけることはありますか? A.ほとんどは 1 週間程度で回復しますが、まれに髄膜炎、脳炎などの重い合併症を起こすことがあります。発熱が 長引いたり、頭痛や嘔吐などが続くときはすぐに受診しましょう。 Q.熱が出ているときの体温調節はどうしたらいいですか? A.寒気があり、手足が冷たい場合は体を温めます。掛け物など、寝具で調節しましょう。 寒気がなく、手足が温かい場合は体を拭いたりして体熱感を和らいであげましょう。発熱時は脱水傾向になりや すいので、こまめに水分を与えましょう。 Q.脱水症状にはどのような症状がありますか?症状がみられたらどのように対処すれば良いですか? A.軽度の脱水では、不機嫌や尿量減少などがみられます。普段より水分摂取量が少なく、トイレに行く回数やオム ツ交換の回数が減っている場合は、早目に経口補水液を与えましょう。早期に経口補水療法を開始することで輸 液療法(点滴)をせずに症状の改善を図ることができます。中等度、重度の脱水では、皮膚の緊張低下、粘膜の乾 燥、末梢冷感、脈が速い、呼吸が速い、眠りがち、意識障害などがみられます。このような症状がみられたら、 直ちに病院を受診しましょう。必要に応じて救急車を呼びましょう。 Q.食欲がないときはどうしたらいいですか? A.無理に食事を与える必要はありません。少しずつ水分を与えましょう。口の中や喉が痛い時は、刺激物を避け、 咀嚼しなくても飲み込みやすい物(粥、くたくたに炊いたうどん、ゼリー、ヨーグルト、豆腐、アイスクリーム など)を与えると良いでしょう。食欲が出てきたら、徐々に普段の食事に戻しましょう。 Q.入浴はどうしたらいいですか? A.熱があっても、38度以下で元気があれば、短時間の入浴やシャワー程度にしましょう。 元気がなく、ぐったりしているときは、体力を消耗するので控えて下さい。 Q.症状が軽くなったら薬をやめてもいいですか? A.症状がよくなったと思っても完全に治ったとは限りません。自己判断せず、医師の指示通りに服用してください。 Q.熱中症とはどんな症状を言うのですか?症状がみられたらどのように対処すれば良いですか? A.暑さに身体がうまく対応できない状態を総称して熱中症といいます。症状は程度によって様々です。大量の発汗 あくび、めまい、こむら返りなど初期症状があれば、涼しい場所に移動し、うちわなどで仰いで風を送り、経口 補水液を飲ませて様子をみましょう。頭痛、吐き気、ふらつき、ぼーっとしている等の症状があれば、早めに病 院を受診しましょう。体温が異常に高い、意識がない、けいれんを起こした時は、直ちに救急車を呼びましょう。 熱中症にならないためには、予防が 1 番です。水分は欲しがる時だけでなく、こまめに飲ませてあげましょう。
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