第51次海外電設視察団報告書 はじめに 社団法人日本電設工業協会は、平成17年10月16日から平成17年10月27日までの12日間、西欧 15カ国のうち5大国(注)の1つであるスペインと、10小国の1つであるポルトガルに、電気設備、電力事情 等の視察、業界団体交流を目的とした第51次海外視察団を派遣した。 社団法人日本電設工業協会では、国際交流を担当する経営企画委員会において、実施計画、 準備が進められた。5月下旬に参加者の募集を開始し、9月6日に参加申込説明会が開催された。 昨年の第50次に引き続き平井会長を団長とし、協会役員等も多数参加、総勢17名の視察団とな った。10月16日、新東京空港において結団式の後、ポルトガル、スペイン2カ国歴訪の旅に出発した。 ポルトガルでは首都リスボンでポルトガル建設業協会を訪問し、また、万博跡地再開発状況を視察した。 空路スペインの首都マドリッドに移動し太陽光発電プラントを視察した。スペイン新幹線で南部に移動後、 バルセロナ入りし、水素ステーション、風力発電所を視察した。 以下は、その詳細報告である。 (注) 西欧5大国とはドイツ、フランス、イタリア、スペイン及び英国をいう。 訪問国の概要(その1) ポルトガル共和国 スペイン Portuguese Republic Spain 備 考 面 積 9万k㎡ 51万k㎡ (日本)38万k㎡ 人 口 1千万人 4千万人 (日本)1億3千万人 人 種 ラテン系 ラテン系 ポルトガル語 スペイン語 公 用 語 通 貨 ユーロ(≒135円) ユーロ(≒135円) 宗 教 カトリック教徒が圧倒的 カトリック教徒が圧倒的 歴 史 1143年 独立 1588年 無敵艦隊英海軍に敗北 政体・議会 共和制・一院制 議会君主制・二院制 主要産業 繊維、観光 首 都 平均気温(10月) 文化関係 電 圧 ユーロ流通(注) 2002〜 食品、化学、自動車、観光 観光客5千万人は世界第二位 リスボン市(北緯39度) マドリッド市(北緯40度) 東京都(北緯45度) 18℃ 15℃ 18℃ 1543年 ポルトガル人種子島漂着 約450年の交流の歴史 1549年 ザビエル鹿児島上陸 220V 50Hz 220V 50Hz (注) ユーロ参加国は、ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、オランダ、ギリシャ、ポルトガル、スペイン等、EU加盟 25カ国のうちの12カ国 1 訪問国の概要(その2) (※=2003年データ) ポルトガル共和国 (注1) スペイン (参考(注2)) 1,300億ユーロ※ 8,400億ユーロ(↑) (18兆円※) (115兆円) 240億ユーロ 810億ユーロ(↑) (3.5兆円) (11兆円) 54兆円※(↓) 6.1% 10% 11%※ − 770億ユーロ(↑) − (10兆円) 94兆円※(↓) 12億ユーロ(1600億円)(↓) − 6.8兆円※(↓) 54.8万人(10.7%) 225万人 370万人※(↓) 電気工事業就業者数 2.5万人 − 32万人※(↓) 建設業許可業者数 4.6万社 39万社(13%) 56万社(→) 電気工事業許可業者数 2900社 − 5.3万社(→) (注1) ポルトガル建設業協会 (注2) 在日スペイン大使館の G D P 建設投資 建設投資/国内総生産 建設業完成工事高 電気工事業完成工事高 建設業就業者数 の資料等による。 日 本 500兆円※ 協力による。 団編成 団 長 平井 貞雄 ㈱関電工 会 長 JECA会長 幹事長 浅野 俊郎 ㈱弘電社 取締役相談役 経営企画委員長 電設協役員等関係者(50音順) 小島 兼芳 ㈱雄電社 会 長 副会長・関東支部長 小島 和子 ㈱雄電社 監査役 (夫人) 丹下 ㈱クリハラント 相談役 理 事 理 平井 赫代 (夫人) 伏木 忠了 北電力設備工事㈱ 会 長 吉野 弘人 北陸電気工事㈱ 顧 問 吉野 由紀子 北陸支部長 (夫人) 取材・報告書作成班 幹 事 井上 健 日本電設工業㈱ 社 長 技術・安全委員長 副幹事 松岡 憲生 ㈱きんでん 顧 問 技術・安全副委員長 副幹事 圓田 義則 川北電気工業㈱ 取締役 阿部 潔隆 北海電気工事㈱ 電設工事部部長代理 後藤 和雄 ミツワ電気㈱ 取締役 寺田 義之 ㈱寺田電機製作所 社 長 中原 正哉 住友電設㈱ 常任顧問 政策委員会委員 松岡 旭電業㈱ 社 長 理 事 徹 2 (第51次海外電設視察団) 日 程 10月16日(日) 東京(成田)発リスボン着 10月17日(月) リスボン 10月18日(火) リスボン 10月19日(水) リスボン発マドリッド着 10月20日(木) マドリッド 10月21日(金) マドリッド発セビーリャ着 10月22日(土) セビーニャ発トレモリノス着 10月23日(日) トレモリノス 10月24日(月) マラガ発バルセロナ着 10月25日(火) バルセロナ 10月26日(水) バルセロナ発アムステルダム着 10月27日(木) 東京(成田)着 ポルトガル建設業協会/許可協会 万博跡地再開発状況 太陽光発電プラント スペイン新幹線AVE 水素ステーション (ルートマップ図) 3 風力発電所 1.ポルトガル建設業協会他 ポルトガル建設業協会 (注) 日 時 10月17日(月) 場 所 リスボン市 対応者 アントニオ・ゴディオ・コレア氏 (注) ポルトガル建設業協会の 中に電設業協会も含まれる。 1.1 ポルトガル建設業協会 協会の概要 ポルトガル建設業協会 (社)日本電設工業協会 AECOPS(民間非営利組織) JECA 設 立 年 1950年 1948年(昭和23) 正 会 員 1,050社 720社(5,000社) 8:2 6:4 増大傾向 概2001(平成13)〜 道路、空港、刑務所 210件 新設/改修(概) PFI (PPP) (注) 発電所、上下水等 増大傾向 政府への陳情 ①分離発注の推進 能力向上訓練 ②安全・クリーンな技術提供 行動方針 財務指導 ③適正かつ合理的価格を (会員大会決議) 安全管理 通じ、品質・性能の向上 各種情報提供 ④人材育成・技術革新 広報 顧客の理解の向上 により、新分野に挑戦 ①受注競争激化による 利益率の悪化 過当競争による利益率の低下 主要課題 ②さらなる分離発注の推進 ③新分野進出による事業 拡大と顧客満足度の向上 (注) PFIの課題(ポルトガル建設業協会) ・同列での積極的な参画、電気事業は電気工事業が主体として参画したい。 ・性能の担保(例:風力発電) ・財政能力 ・手続きの迅速化 (平井団長によるプレゼンテーション) (協会訪問会場前にて) 4 1.2 ポルトガル電気設備許可協会<CERTIEL> 日 時 10月17日(月) 対応者 場 所 本 部 長 アントニオ ホセ オリヴェイラバルボサ氏 技術担当部長 ホアン ロレンツォ マティアス氏 品質保証担当部長 マリア ホアン アルメイダ女史 リスボン市 ポルトガル電設業協会(AECOPS)の紹介により、CERTIELを訪問、本部長以下3氏の温かい 歓迎を受け資料にて概要説明を受ける。 概 要・CERTIELは民間の非営利団体で、プロジェクトや電気設備工事の安全と技術的発展を 保証することを目的として2000年に公益事業として設立され今日に至っている。 組 織・スタッフとして、本部45名、支部60名、計105名の要員で運営に当っており、当日案内 を受けた本部長は電力会社出身である。 ・関連業者団体としてAECOPS(建設業者)、APEPE(設備業者)、ANIMEE(電気機器 メーカー)、EDP(電力会社)、AGEFE(電気機器卸業者)等と連携をとり情報伝達に 努めている。 活動目的・IPAC(組織の認証機関)より国家システム品質管理のNPZN45011に準拠していると認定 内 容 されている。 ・活動目的として、電気設備プロジェクトの分析、使用許認可であり、対象物件として、 50kw以上の電気設備並びに特殊設備としてのホテル、ガソリンスタンド等を含め年間約 50,000件(表1−1〜2参照) ・認可申込み(郵送、持込み、インターネット)の中からサンプリング(1/3)し、ERLLE(検査 機関)による許認可、立会試験等を実施する。サンプリングの条件として管理技術者 の過去の実績等参考とする。 ・同様の協会として、ガス、水道事業の他、最近エネルギーの有効利用(エネルギー管理)に も協会設立の動きがある。 1999年〜2005年の活動推移(2005年は推定値) 200000 10000 9000 8000 150000 7000 6000 100000 5000 4000 3000 50000 2000 1000 0 1999 2000 2001 2002 2003 2004 0 estimativa Dez 2005 1999 (表1-1 許可申請件数) 2000 2001 2002 2003 (表1-2 検査件数) 5 2004 Estimativa2005 2.環境関係施設 2.1 ユニオンフェッサ太陽光発電プラント 日 概 時 10月20日(木) 場 所 マドリッド南方70kmトレド近郊 建設投資 850万ユーロ(概12億円) 稼 動 1995年 対応者 アロージョ所長 発電量 1,000kw 要 ・スペインでは1980年以降、原子力発電所の建設を中止している。 ・電力需要の伸びは年率5%以上である。 ・太陽光、風力等の新エネルギーの拡充に力をいれている。(風力5.5% 太陽光0.02%) ・初期コストは、6,000EUR(90万円)/kwである。 ・稼働率は、1,300h/8,760h=15%(夏:12h 冬:6h)である。 ・トラッキンク(太陽追随方式)方式のもの゙は効率が30%アップしている。 (各種モジュール) (太陽電池アレイ) 補助金 ・当初は初期投資に対する補助金であったが、現在は運用経費に対する補助金である。 但し、地方では初期投資に対する補助金が継続しているところもある。新技術に対する 補助金もあり。 ・運用経費に対する補助金は22セント(30円)/kwであり、この結果電力会社の料金と イコールフィッティングとなっている。 電力会社 ・電力会社は全て民間会社で、大手は3社である。 との関係 ・電力供給の自由化は、2001年からである。 ・家庭用発電に対しては、電力会社による買上義務が法令により規定されている。 6 2.2 水素ステーション 日 時 10月25日(火) 場 所 バルセロナ 用 途 燃料電池バス 車 両 メルセデス社 航続距離 対応者 150km ロドリゲス・ヒュートス氏(TMB:バルセロナ市営バス公社)、ダビッド・フェルナンデス氏(BPオイル) 概 要 ・CUTE(Clean Urban Transport of Europe)PJの一環である。 ・ダイムラークライス社が中心的役割を果たしている。 ・3台の燃料電池バスは、市民へのPRを主な目的とし、不定期で運用している。 ・排気ガスなし、振動なしで、市民には好評である。 水 素 ・水素ステ-ションは、ヨーロッパコミッションの予算により、気候、利用人口を考慮して、ヨーロッパで ステーション 9市に設置されている。 ・純水からイオン交換法(フィルター2段)により水素を製造しているが、高価である。 ・水素は製造50%、搬入50%(バックアップ用)であり、非常用予備タンクも設置している。 ・充填時間は7分/台であり、3台連続充填可能である。 ・350気圧でバスに水素を供給している。 ・危険物対策として、防爆型のスイット、照明器具等を使用しており、「火気厳禁」である。 ・移動式水素ステーションは、設置していない。 燃料電池 バ ・1回のチャージで150km程度 ス 運行可能であり、平均時速 は12km/hである。 ・燃料電池は、固体高分子型 (PEFC)であり、容量は900kw である。 (燃料電池バス) 従来型との比較 燃料電池バス 従来(通常)型バス 保有台数 3台 1100台 価格(1台) 125EUR(1.8億円) 12.5EUR(1800万円) 11t(電池1t) 10t 55席 70席 重 量 座 席 数 7 2.3 風力発電所 日 時 10月25日(火) 風 車 36基 対 応 者 場 所 バルセロナ南東タラゴナ南西60km 最大発電量 25Mw カルメン女史 概 要 ・当設備は、2010年までに全エネルギーの 12%をクリーンエネルギーで補うという京都議定書の 決定により始められた設備である。 ・クリーンエネルギーとして、ソーラー発電、水力発電等があるが、今年は水不足のため、水力発電 は良い状況でない。カナリア諸島では地熱発電も行われている。 ・建設にあたっては5年間 風速、方向等を測定し、コンスタントな風が得られることが実証され たため、ここに風力発電所を建設した。 ・当発電所は全部で54基の発電機がある。1999年に第Ⅰ期工事として36基、2000年に 第Ⅱ期工事として18基建設された。 ・年間の発電量は13億kwhで、年間の稼動率は約50%である。 ・今日はこの様に風が無いのは異常です。昨年9月から今年の9月まで、風力発電は止まっ ていない。 ・1台の1時間当りの発電量は 700kwhの 発電をする。 ・風力発電は、全電力量の8%ぐらいである。 ・ここの管理は3交代制を5人で行っている。 土日は夫婦二人が管理している。 ・ここを借りて30年経過している。 ・発電開始より6年目で赤字から黒字になった。 機器概要 (熱心に説明するカルメンさん) ・発電機は1基当り 60tの重量がある。その内、塔部は高さが45mで32tonである。発電機は 23ton、羽根は1枚当り23.5m 1.2tonが3枚ある。 ・発電機の本体はマイクロバス程度の大きさであり、後ろにはマシンハッチが付いている。 ・塔部の上部は2mの直径があり、下部の直径は3mである。 ・塔部の下部には8トンの鉄の錘があり、その下に基礎がある。 ・塔にはエレベーターが無く、149段の梯子である。80m以上の風力発電機にはエレベーターの 設置が可能である。 ・発電機本体の後方には風速計が取付けられており、風の方向、強さを計測し、最適な風 の方向に発電機を回転させ、さらに羽根自体でも風の方向を調整している。発電機本体 は 360°回転する。 ・羽根の回転は、1分間に20〜30回が最適で効率が良い速度である。 ・羽根についても研究を行い、1枚羽根、2枚羽根、水平に回る羽根等も行ったが、現在の 3枚縦型の羽根が一番効率が良い事が解った。 8 ・風力発電を止める時は、羽根の角度を変える。 ・発電機は690ⅴで発電し、インバータ盤によって20KVに昇圧されている。昇圧された電力 は埋設ケーブル(GL-1,000)で電力会社に送電されている。電力会社は20kvを 110kvに 昇圧している。 ・Ⅰ期の建設費は 1基当り 1億ペセタ(6,000万円) 電力会社 との関係 ・当社はプライベート企業でなく、 勝手に電気は売れない。 風力 発電はクリーンエネルギーであるた め電力会社は買う義務がある。 ・購入単価は1kwh当り、40ペセタ (24円/kwh)である。 (以上は法令化されている。) ・建設時は、電力会社が仮設電気 の供給が出来ないと言ってきた。 それは、風力発電所が出来た場 (風力発電機と視察団) 合、高い電気を買う必要となるためである。 ・余剰電力がある時は、風力発電は止めさせられる。これは、電力会社が高い電気を買わ なければならないからである。 しかし、実際にはエネルギーは不足しており、この様な事は 実際にはない。 その他 ・ここから見える施設は、われわれのコラデテル風力発電所の他に、もう1つ他の発電所があ る。 ・ここは自然公園なので道路の舗装は出来ない、また、道幅も広く出来ない。 ・当施設は12k㎡の敷地を整備しており、整備した時の木材は火力発電所に利用した。 ・特殊な鷹が居たため、発電機を1基撤去している。 ・自然保護団体より、発電機間は150m以上離すよう言われている。でも、この離れが乱気 流などの影響を受けないなどの良い結果となった。 ・農場等では、水を吸上げるための風力発電機もある。なかにはハイブリッド発電機を設置 し ている農家もある。 3.その他施設 3.1 万博跡地再開発状況 日 時 10月17日(月) リスボン国際博覧会 1998年5月22日〜9月(132日) テ ー マ 対 応 者 海洋 場 所 リスボン・テージョ川沿い 敷 地 330ha(ウォータフロント)・5km 地域冷暖房システム パルク公社 パウ・ロフさん(広報) 9 水蓄熱 概 要 ・博覧会では日本館を出展し、好評を博した。昭和天皇の貝のコレクションが出展された。 ・「荒地の開発=開発を見据えたEXPO」を提案したのが評価され、博覧会が開催されるこ ととなった。(従前は「場末」の地であった。) ・「大航海時代」500周年記念事業であり、開会日5/22は 1498年にバスコダガマがインド航路を発見した日である。 ・建設期間は、1994〜1998の5年間である。 ・借入金560億EURに対し、現在までの税収は4400億 EUR(8倍)となっている。(付加価値税20㌫が最多) EXPO ・EXPO公社の権限は、①民間土地の強制買上 ②建設 公 社 許可 ③借入金に対する「政府補償」である。 ・運営はEXPO公社であるが、実態は「公設民営」であり、 水族館、パビリオンはいずれも「単独黒字」である。 都市計画 (万博跡地再開発) ・「都市計画」では、外壁の色も規制し、良好な景観の形成に寄与している。 ・ゾーン分け 住居(8,000戸25,000人)/事務所(22,000人)/市民の憩いの場(テージョ川 沿い5km)/公園(1/3 110ha)/商業 ( ゾーン分け) ・アクセスは高速道路(スペイン〜リスボン2時間)、鉄道(オリエンテ駅)である。 ・今後はカジノを誘致したい。カジノを誘致すれば、ホテルがついてくる。 10 地域冷 ・全域に地域冷暖房(冷水、温水)が導入され、給湯も対象としている。 暖 房 (パイプラインの全長5000km) ・各戸のエアコンが不要となり、バルコニーの景観にも貢献している。 ・ガスタービンの燃料は、天然ガスである。 ・冷水地区熱水槽を設け、割安の夜間電力を活用している。逆に昼間は割高で電力会社 に売電している。 ・「環境」「景観」の視点からCT(クーリングタワー)を設けず、テージョ川の水を環境に配慮しつつ 利用している。 3.2 スペイン新幹線(アベAVE) 日 10月21日(金) 時 マドリット10:00発 → セビーリャ12:30着 乗車区間 概 要 ・マドリッド゙〜セビーリャ間を結ぶスペイン 国鉄初の新幹線(以下AVEという)は、 セビーリャ万博の開催された1992年4月 に開通した。 ・AVEはAlta Velocidad Espanolaの略 称で「スペイン高速」の意である。 ・AVEのマークに鳥を用いているが、abe はスペイン語で鳥の意である。 ・団員全員での体験乗車となり、471 (AVE) kmの2時間半を快適に過ごせた。 ・乗車した車両は3つの等級のうちの中間グレードであり、座席は1列3座席(2+1)でゆったり としていた。 (ゆったりした座席) (ビュッフェ) ・車内サービスとして、無料でスナックが提供された。 ・料金は1人101ユーロ(約14,500円)であったが、各種割引もある模様 11 ・列車の編成は前後の機関車2両の間に、特等1両、1等2両、2等4両、ビュッフェ1両の編成 である。 ・列車本数は少なく、30分もしくは1時間に1本である。 ・AVEの軌間は日本と同じ標準軌(1,435mm)であるが、スペイン在来線は広軌(1,668mm)で あり、日本在来線の狭軌(1,067mm)と異なる。 ・AVEの延伸計画は進んでおり、マドリッドからバルセロナへの延伸は2003年10月途中のリエイダ まで開業している。 新幹線の主な諸元 項 目 スペイン新幹線 AVE (参考)新幹線 (参考)フランス新幹線 TGV 開 業 年 月 1992年4月 1964年10月 1981年9月 営 業 キロ数 952キロ 2,180キロ 2,414キロ 最 高 速 度 300km/h 300km/h 300km/h 202km/h 226km/h 256km/h マドリッド〜セビーリャ 471km 東京〜京都 513km パリ〜リヨン 512km 牽 引 方 式 機関車〜動力集中方式 電車〜動力分散方式 機関車〜動力集中方式 1編成車両数 客車8両 電車6〜17両 客車8-18両 連 結 方 式 連節台車 ボギ-台車 連節台車 軌 1,435mm 1,435mm 1,435mm 車両供給電圧 25kV 25kV 25kV 輸送(人/年) 7.3百万人 282百万人 86百万人 輸送量(人キロ/年) 25億人キロ 730億人キロ 396億人キロ 平均速度(最高) 料 技 間 金 特等122ユ−ロ、1等101、 グリーン17,860円、 1等150ユーロ、 2等67 普通13,520円 2等86ユーロ マドリッド〜セビーリャ 471Km 東京〜京都 513Km パリ〜リヨン 512km フランス、ドイツ 自国 自国 地上・運行一体(JR) 地上(公社)・運行(SNCF) 2.7万キロ(JR) 2.9万キロ(SNCF) 術 運 営 方 式 地上(公社)・運行(RENFE) 分離 (参考) 1.2万キロ(RENFE) 営業キロ(含む新幹線) RENFE:スペイン国鉄 SNCF:フランス国鉄 (出典) 鉄道輸送統計(H16国土交通省) UIC統計(2003年度) 世界の鉄道(2005年JARTS) Rail Europe チケット予約会社 (TGVチケット料金と運転時間) 12 まとめ 12日間の日程で、ポルトガル2ヵ所、スペイン5ヵ所を訪問・視察した。平井団長を中心に、有意義に、 また、楽しく所期の目的を無事達成することができた。 「21世紀は環境の世紀」といわれているが、いずれの施設においても、環境保護・環境共生に対す る取組が充実しており、国民の意識の高さが伺えた。 直接の視察テーマではないが、日本では「景観法」の制定等、最近やっと注目されてきたが、両国と も美しい街並み形成への延々とした努力に敬服した。①外観変更時の行政許可、②建物の高さや 色の制限、③道路の立体交差の地下化、④マンションの洗濯干しは中庭、⑤外壁への看板禁止、 ⑥50mおきにゴミ箱が設置され常時使用可能等である。 また、高齢者に配慮して、車を利用することなく自身が居住している近傍で衣・食が確保できる街 が整備されていることは、我が国にも示唆を与えることと思われた。 13
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