寒苦鳥(かんくちょう)

朝会の話
寒苦鳥(かんくちょう)
231219
はたらく消防の写生会
村松
表彰
きょうは、私がみんなと同じ小学生の頃、母親から何度も
何度も聞かされた話を紹介しますね。
むかしむかし、インドの山奥でとても雪深いところに、寒
苦鳥(かんくちょう)という鳥が住んでいました(字を見せ
る)。この鳥は、ものすごく怠けものの鳥でした。それは、自
分の巣を作らないのです。
昼間は太陽が出てとても暖かくなるので、歌を歌ったり遊
び回ったりして、まったく巣を作りません。夜になると、他
の鳥たちは自分の巣に帰りますが、寒苦鳥には巣はありませ
ん。雪山ですから夜はものすごく寒いです。木の枝のところ
で寒苦鳥は寒さでブルブルと震えながら、「あー寒い。明日こそは、怠けないで絶対に巣
を作ろう!」と涙を流しながら決心します。
ところが次の日になると、太陽の暖かさに前の日のことを忘れ、いつもと同じように遊
び回ります。夜になると、また「明日こそは、巣を作ろう!」と決心するのですが、朝に
なると暖かさでまた忘れます。毎日毎日同じことを繰り返して、寒苦鳥はついに巣を作る
ことなく、むなしく一生を終えてしまいます。
いつも「明日はやろう、明日はやろう」と思い、反省するのですが、行動に移せない鳥、
それが寒苦鳥です。
ここまで聞いて、自分に似ているなあと思った人はいませんか。
どんな人の心にも「寒苦鳥のような怠ける心」はあります。しかし、その心に打ち勝っ
て、やることをしっかりとやっていかなくてはいけません。成長がありません。
今年もあと少しです。みなさんは寒苦鳥になることなく、やることをしっかりとやって
新しい年を迎えましょうね。
これで、朝会の話を終わりです。
(裏面に「先生方へ」があります)
<先生方へ>
きょう取り上げた「寒苦鳥」は仏教説話として、とても有名なお話です。「雪山(せっ
せん)の寒苦鳥」などとも言われています。
ただ仏典には載っていないので、昔から言い伝えられてきたお話ということだと思いま
す。平家物語の中にも、寒苦鳥という言葉が見られます。巻第九「生ずきの沙汰(いけず
きのさた)」には、「たゞ平家の人々は、いつも氷にとぢこめられたる心地して、寒苦鳥に
ことならず」とあります。
ところで、寒苦鳥のお話の結末は何通りもあります。仏様が出てきて助けてくれるバー
ジョンなどです。私が母親から教わったのは、寒さに凍えて終には死んでしまうというも
のでした。今やるべきことをしっかりやらないとダメだよ、取り返しがつかないんだよ、
と何度も言われました。「おまえは、寒苦鳥そっくりだ!」と言われたことも一度や二度
ではありません。
母にいつも叱られていた私が、人のことを言えた義理ではありませんが、今の子供たち
は、やるべきを後回しにすることが昔の子より多いように思います。昔も宿題などの課題
をやらない子はいましたが、今は昔よりやらない子の割合が確実に増えています。
やるべきことをきちんとやれば何事もうまく進む、やらないでいるとあとで後悔するこ
とになる、このことをしっかりと教えたいですね。
学年に合わせて、教室での補足説明など、よろしくお願い致します。
さて、今週で2学期は終了です。学習のまとめをしっかりとやるのはもちろんですが、
冬休みの生活指導を中心に、日本伝統行事の「お正月」関係についてもふれておいてくだ
さい。「お年玉」「おせち料理」「お雑煮」「年越しそば」「除夜の鐘」「初詣」などなど、よ
ろしくお願いいたします。また、3学期に向けての課題なども話しておいてくださいね。
2学期末、また年末のあわただしい時期、お互い時間の余裕はありませんが、心にだけ
は余裕をもつことを忘れずに進んでいきましょう。
<資
料>
冬
至(週末に学級指導を!)
今年は12月22日、終業式の日が冬至です。一年中で昼が一番短く、夜が一番長い日
です。
この冬至に、「ゆず湯」に入り「冬至かぼちゃ」を食べる風習が日本にはあります。
「ゆ
ず湯」は、厳しい寒さの中でも健康に暮らせるようにと、浴槽に柚子を浮かべて入るお風
呂のことです。ゆず湯は、風邪を防ぎ、皮膚を強くするという効果があります。冬至は湯
につかって病を治す--湯治(とうじ)にかけています。柚子は融通が利くようにと願い
が込められています。江戸庶民から生まれたとのことです。「かぼちゃ」は、厄除けにな
る、病気にならないと言われています。実際にかぼちゃには、カロチンやビタミンが多く
含まれています。冬にビタミンなどの供給源が不足した時代は、かぼちゃは貴重なものだ
ったといえます。