国籍や権限を越えて リーダーシップを発揮する

事例紹介 :国籍や権限を越えてリーダーシップを発揮する
国籍や権限を越えて
リーダーシップを発揮する
―アストラゼネカは
アストラゼネカは、日本においては
日本においては、
においては、抗がん剤市場
がん剤市場の
剤市場のシェア No.1 の
の組織から
組織から、
から、マルチカルチャーな
マルチカルチャーな組織への
組織への変革
への変革が
変革が迫られていくと予
られていくと予
測されます。
されます。文化や
文化や考え 方の異なる海外人材
なる 海外人材と
海外人材と手を組み結果を
結果を出
していくには、
していくには、相互理解と
相互理解と結束が
結束が不可欠です
不可欠です。
です。しかし単一民族
しかし単一民族であ
単一民族であ
る日本人には
日本人には、
には、異文化を
異文化を受け入れ難いのもまた現実
いのもまた現実です
現実です。
です。
その取
その取り組み事例を
事例を、アストラゼネカ株式会社研究開発本部
アストラゼネカ 株式会社研究開発本部 クォ
発足:
資本金:
売上高:
従業員:
2000 年 1 月 1 日発足(設立 1975 年 4 月 11 日)
20 億円
1,946 億円 (2008 年日本法人決算)
3,241 名 (2008 年 4 月 1 日現在)
す。少し前までは、チー
の、一緒に仕事をする相手は日本人がほとんどでした。
ムリーダーがリーダーシ
私たちの目的は、革新的な医薬品の提供を通じて患者さん、ご家族、医
臨床試験も日本国内で行っていましたが、これからは働き方が一変し、
眼にして業務を進めてき
療従事者の方々すべてに貢献する。抗がん剤のみならず、プライマリー
マルチカルチャーな相手と組んで結果を出していかなければなりません。
ましたが、近年になって
ケア事業本部では、生活習慣病や
こうした背景があって、マルチカルチャーを体得するトレーニングプログ
メンバーの誰もが必要な
喘息、消化器疾患に対する画期的
ラムを探し求め、AMA の「マルチカルチャー・コミュニケーション」に行き
ときにリーダーシップをと
な新薬及び最新の医療情報をお
着いたのです。
れるようにしようという考
相手に
相手に合わせることではなく
わせ ることではなく、
ることではなく 、さまざまなカルチャー
さまざまなカルチャーを
カルチャーを持つ
人達が
人達が一緒に
一緒に働く中間点を
中間点を探ることが、
ることが、アストラゼネカの
アストラゼネカのマ
ルチカルチャーの
ルチカルチャーの考え方
ることを目的としています。
効果の
効果 の 高 い 、 副作用の
副作用 の 少 ない
製品をより
製品をより早
をより早く提供する
提供する
「 パイプラインの
パイプライン の 強化」
強化 」 が 最優
先課題。
先課題 。 いっそうスピード
いっそう スピードを
スピード を 上
げていく必要
げていく必要があります
必要があります
――AMA
――AMA のプログラムを
プログラムを採用した
採用した理由
した理由を
理由を教えていただけますか。
えていただけますか。
AMA という企業のバッ
クグラウンドにあるフィロ
副作用の少ない製品を、より多く、
マルチカルチャー・
マルチカルチャー・コミュニケーション
プログラム概要
プログラム概要
-研修の目的
-成果を得る方法
2: 成果を得る戦略
-成果を得る戦略モデル
-意識のフォーカス
-意欲のレベル
-影響を与えるスタイル
3: 相互利益とエクスチェンジ
-エクスチェンジ(価値交換)
-エクスチェンジのためのアセスメント
-エクスチェンジチェック(相手の分析)
え方が入ってきました。
誰か権限のある一人が
指示命令をして、それに
4: コミュニケーションにより成果を得る
-共通のゴール
-提案の裏付け
-感情的なつながりを作る
-傾聴する
-質問のスキル
-交渉のゲーム
応える方法ではなく、み
していくほうがはるかに
共通していました。私た
ちは外資系の製薬メー
アストラゼネカ株式会社
研究開発本部 クォリティデベロッ
プメント部トレーニングマネジャー
足立朋希子氏
早く提供することが製薬会社の使命です。弊社ではそれが「パイプライ
ンの強化」です。グローバルのアストラゼネカでパイプラインには、現在
<<事業概要
<<事業概要>>
事業概要>>
144 のプロジェクトがあり、このうち 98 は臨床開発の段階にあります。第
アストラゼネカ PLC は、医療用医薬品の開発・製造及び販売
III 相または規制当局による審査中という開発後期にあるプロジェクトは
に従事。英国ロンドンに本社を置き、世界 100 ヶ国以上に事業
10 を数えています。患者さんのもとによい薬を届けるために、いっそうス
拠点を持つ売上高世界第 6 位のグローバルカンパニー。強力
ピードを上げていく必要があります。
な研究・技術基盤を確立し、開発とマーケティングを世界的に
展開している。その日本法人として、2000 年 1 月 1 日にアス
スピードを上げる理由として「ドラッグラグ」問題もあります。これは日本の
トラジャパン株式会社とゼネカ株式会社が合併し、アストラゼ
医薬品業界が抱えている問題で、欧米で開発・発売された新薬が日本
ネカ株式会社が誕生。「患者第一主義」、「人を中心とした経
で使用が認められ発売されるまでに、国内での治験実施と審査などに
営」および「Being The Best」という 3 つの経営理念のもと、医
長い時間がかかっている状態を言います。最初の発売国から自国で販
療ニーズの高い治療領域、すなわち消化器、オンコロジー(が
売するまでの平均期間は欧米の約 1.4 年に対し、日本は約 3.9 年と約
ん)、循環器、ニューロサイエンス、呼吸器の 5 つの治療領域
2.5 年の時間差があります。海外で使用され、効果が実証されている薬
において、革新的で有用性の高い製品を提供している。
でも日本では承認が下りないために使用できず、患者さんの治療が遅
れてしまうケースがあるのです。
アストラゼネカとしては、患者さんに、最善・最新の治療法を提供するた
――足立
――足立さんのお
足立さんのお仕事
さんのお仕事からお
仕事からお聞
からお聞かせください
めに、様々な対策をとっていかなくてはなりません。
アストラゼネカの研究開発本部は、日本では 350 名ほどの組織でこ
――どのような
――どのような対策
どのような対策をとられているのですか
対策をとられているのですか?
をとられているのですか?
の中で臨床試験を進め、薬を世の中に出していくための活動をして
います。臨床試験を実施する上でさまざまな業務スキルがあります
アジアに目を向け、アジア全体の医療品開発を考え、統一的な臨床試
が、業務を実施するためのスキルをトレーニングとして取りまとめてい
験を行う動きが進んでいます。開発スピードからだけではなく、日本のよ
くのが私の仕事です。トレーニング自体はセクションごとに実施して
うに医薬品の開発コストが高い国は、コスト削減を実現するためにアジア
いきますが、そのトレーニングが研究開発本部全体の目的に適い、
との協力が不可欠です。よって開発の仕事はこれまでと大きく変わり、ア
企業の方向性にふさわしいかどうか確認し、トレーニングのストラテジ
ジア全体で臨床試験を実施するチームを組み、たとえばチームのリーダ
ーを立てています。いまの業務に就いて 5 年目になります。
ーは日本人、モニターは日本人 3 名、韓国人 3 名、医師は中国人という
ような、インターナショナルなチームが主流になっていくと予想されます。
カーであ り、 根底 には
マルチカルチャーのフ
ィロソフィがあります。
AMA のプログラムに、
それと同じものを感じま
した。
たとえば、他社のプログ
ラムは「日本文化を持っ
ている人が、欧米文化
を持っている人に対し
達成できると私たちは考
5: アクションプランの作成
えています。これをアストラゼネカの研究開発本部では「全員でリーダ
ーシップを発揮する」と表現していますが、そういうコミュニケーション
ソフィが、我々のものと
どのような意味
どのような意味でしょう
意味でしょう。
でしょう。
る産業です。 少しでも効果の高い、
【プログラム概要
プログラム概要】
概要】
1: イントロダクション
質の高いアウトプットが
――最優先課題
―― 最優先課題に
最優先課題 に 「 パイプライン
医薬品業界は人の命に直接関わ
Getting Results without
without Authority
- 権限に
権限に頼らず成果
らず成果を
成果を得る
んなで考えて、成果を出
の強化」
強化」を掲げていますが、
げていますが、これは
アストラゼネカ株式会社
アストラゼネカ株式会社
-企業
企業プロフィール
プロフィール-プロフィール
います。なぜなら、いままでは指示こそ海外本社から下されていたもの
ップを発揮することを主
リティデベロップメント部
リティデベロップメント 部トレーニングマネージャー 足立朋希子氏
にお伺
にお伺いします。
いします。
重 要 性 が 高ま って い ま
地位を
地位を確立されています
確立されています。
されています。
届けすることで患者さんに貢献す
優秀な
優秀な 人材を
人材を効率よく
効率よく活用
よく活用していくために
活用していくために、
していくために 、これからは日本人
これからは日本人だけ
日本人だけ
そのような環境を抵抗なく受け入れる人もいるでしょうが、ごく少数だと思
【目的】
目的】
多様な文化的背景を持つメンバーを
結束した協力的なチームに作り上げる
方法を学ぶ
多様な見方を統合させるための信頼
関係やラポールを築く方法を学ぶ
海外や離れた場所にいるチームと協
力的に働くためのコミュニケーション、
マネジメント方法を学ぶ
【プログラム(
日)概要】
プログラム(1日
概要】
1. マルチカルチャーな考え方とは?
2. マルチカルチャーな環境を管理する
こととは?
3. コンフリクトへの対処方法
4. アクションプランの作成
を通して、チームの中での関係性をつくってほしいと思っています。
――足立
――足立さんご
足立さんご自身
さんご自身が
自身が、業務を
業務を行う上で、根底に
根底に置いているものは何
いているものは何
ですか?
ですか?
アストラゼネカの企業理念、「患者さんに貢献する」がベースにありま
す。それをもとに、研究開発本部の全体的な業務がこれからどうなっ
ていくかを考えて、確実に成果を出せるようにスタッフをトレーニングに
よって支援するということを念頭に置いています。
一人ひとりの社員が意識を変
え、行動を変えるまでには確
かに時間はかかります。気持
てどう近寄っていったら
ちの問題もあるでしょうし、カル
よいか」という内容であり、「異文化交流とは相手に合わせることである」
チャーとして根付かせるには、
という考えをベースにしてプログラムがつくられているように思いました。
ある一定数の大部分の人たち
AMA のプログラムは、欧米に合わせようとするのではなく、自分のカルチ
が同じように行動できるプラット
ャーをしっかり持った上で「さまざまなカルチャーを持っている人たちが
フォームが必要でしょう。それをサポートするものとして、「マルチカル
一緒に働くにはどうしたらいいか」「自分と相手にとって快適な中間地点
チャー・コミュニケーション」のプログラムで学ぶように、多様性を認め、
がどうすればみつかるか」といった視点でつくられており、アストラゼネカ
尊重し合えるようになることが、チームの力を最大化すると思っていま
す。
チームの
チームの成果を
成果を上げていくためにひとりひとりがリーダー
げていくためにひとりひとりがリーダー
シップを
シップを発揮することが
発揮することが重要
することが重要。
重要。みんなで考
みんなで考えて成果
えて成果を
成果を出し
ていくことで質
ていくことで質の高いアウトプットが
アウトプットが達成でき
達成できる
できる
の、マルチカルチャーの考え方と一致していると思ったのです。
本誌は
本誌はインタビューの
インタビューの全文を
全文を掲載しておりません
掲載しておりません。
しておりません。
全文をご
全文をご覧
をご覧になりたい方
になりたい方は、
http://www.amajapan.co.jp/interview/j/az/
からご覧
からご覧いただけます。
いただけます。
― ― 「 マ ル チ カ ル チ ャ ー ・ コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」 の ほ か に 、 「 Getting
Results without Authority(
Authority(権限に
権限に頼らず成果
らず成果を
成果を得る)」のプログラムも
プログラムも採
用されています。
されています。
―・―・・―・―・・―・―・・-・-・・-・-・―・・―・・―・・―・・―・・―・-
(聞き手:ライター 野崎 稚恵
撮影:金谷喜久)
このプログラムは、物事をヒエラルキーで決定していくのはなく、みんな
で意見を出し合ってチームで仕事をしていく方法を学ぶプログラムです。
アストラゼネカの研究開発本部では、クロスカルチャーに加え、チームの
成果をあげていくために、一人ひとりがリーダーシップを発揮することの
アメリカンマネジメントアソシエーションインターナショナル
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