第4章 目標 1-1 子どもの社会参画力を育む13の基本施策 確かな学力の育成 子どもたちが、自分の可能性を最大限に伸ばして、創発性のある未来の高槻・社会を担う市民として 成長していくためには、まわりの人と協力し合って、問題を解決する力や、受け身の学習ではなく、主 体的に学ぶ力が必要になります。 今求められる学力は「何を知っているのか」という知識の量ではなく、 「自分の知っていることを使っ て、何ができるのか」 「どのように問題を解決することができるのか」という、実生活や社会において知 識や技能を活用して問題を解決する力です。 このような学力をつけるには、 「たくさんのことを学ぶ」 「学んだことをしっかりと理解する」 「新たな 問題に挑戦する」「自分の意見や考えを持つ」「周りの人と話し合い、意見や考えをもっと良くする」と いった学習が大切になります。 【基本施策】 (1)小中一貫した学習指導の充実 (2)きめ細かな学習指導の充実 (3)自ら学び続ける力の育成 (4)学校図書館を活用した学習活動の推進 (5)外国語活動・英語教育の充実 <現状> 全国学力・学習状況調査の結果を見ると、本市の子どもたちは、全国平均を上回る教科区分が増 えるなど、平均正答率は向上傾向にあります。しかし、平成26年度の結果では、小学校国語A・ 算数B区分と中学校国語A・B両区分が全国平均をやや下回っています。 平成 26 年度全国学力・学習状況調査 平均正答率 大阪府 A区分 国語 B区分 小学 A区分 小算 算数 B区分 中学 A区分 中国 国語 B区分 中学 A区分 中数 数学 B区分 小学 小国 70.7 52.6 77.3 56.3 77.0 47.2 65.0 56.9 平成26年度 全国 高槻市 差(対全国) 72.9 55.5 78.1 58.2 79.4 51.0 67.4 59.8 21 71.5 55.8 78.5 56.7 79.1 50.0 70.2 62.1 -1.4 0.3 0.4 -1.5 -0.3 -1.0 2.8 2.3 学習状況については、授業での話し合い活動に関することなど、多くの項目で改善が見られます が、 「学校がない日の学習時間」や「家での予習や復習」については、小中学校とも全国平均を下 回っています。また、学習したことを生活の中で活用できないか考える児童・生徒の割合は、全 国平均をやや下回っています。 平成 26 年度全国学力・学習状況調査 中学校3年生 (全国を1とした高槻の状況) 特別支援学級在籍児童・生徒数は、年々増加傾向にあります。通常の学級にも特別な教育的ニー ズのある児童・生徒が在籍しています。また、日本語指導が必要な児童・生徒が在籍する学校も 増加しています。 経済や社会の国際化・グローバル化が急速に進む中で、国際的な視野を広げ、異なる文化を持つ 人々と相互理解を深めるために、国際共通語である英語力を高めることが求められています。 <課題> 児童・生徒がたくさんのことを学び、学んだことをしっかりと理解するには、一人ひとりの学習 状況等に応じたきめ細かな指導が必要です。また、家庭における学習など、授業以外の学習時間 を増やすことが課題です。 義務教育9年間の学力向上を効果的に進める上で、小学校と中学校での学び方の系統性や内容の 接続を図ることは必要です。 学力・学習状況調査において、領域別の結果では、国語の「書くこと」が課題となっています。 障がいのある児童・生徒に対して、一人ひとりの教育的ニーズに応じた合理的配慮を行い、すべ ての児童・生徒の学力をつける授業づくりを推進する必要があります。 これからは互いの考えや意見を交流し、答えを見出す力が求められることから、言語力をつける ことが重要になります。そのため、すべての学びの基本となる力を育む国語科をはじめ、各教科 において、話し合いや発表等の学習活動を充実することが必要です。 22 読み・書き・計算に加え、自分が必要な情報を様々な方法で集め、その中から必要な情報を取り 出して活用する力が求められます。そのため、学校図書館の学習情報センターとしての機能を充 実することやICT機器を活用した授業について研究を進める必要があります。 グローバル化社会に対応するため、異文化を理解し、様々な国の人たちと英語でコミュニケーシ ョンできる力をさらに育成する必要があります。 【基本施策】(1)小中一貫した学習指導の充実 義務教育9年間を通して、一貫した指導をていねいに行うため、9年間を見通した教育課程(学 校の教育計画)を編成します。また、学年の区分を4年、3年、2年の3つのステージに分け、区 分ごとの目標を設定します。 <主な取組> * 小中学校が連携して、9年間の学年の区分を3つのステージに分けた教育計画を編成します。 (小学校1年~4年) 学びの基礎①(読み・書き・計算)の定着 生活習慣や学習習慣の定着 (小学校5年~中学校1年) 学びの基礎②(基礎基本の定着、情報活用力)の育成 新たな課題を解決する柔軟な思考力の育成 学び続ける基礎(学習意欲、集中力、持続力)の育成 (中学校2,3年) 学びの発展(課題解決力や協働する力)の育成 自律的、主体的に学習し、実践する力の育成 【基本施策】(2)きめ細かな学習指導の充実 35人以下学級編制や、習熟度別指導等の充実により、基礎的・基本的な知識や技能を確実に習 得させます。また、 「教員による教え込みの授業」から、 「児童・生徒が学ぶ授業」へと改革し、学 んだ知識や技能を活用して課題を解決するための思考力・判断力・表現力の育成を図ります。 <主な取組> * 基礎的・基本的な知識や技能の習得と、それらを活用して課題を解決するために必要な思考 力・判断力・表現力の育成する授業を推進するため、高槻の授業スタンダードを作成します。 * 粘り強く考える個人学習と互いに学び合うグループ学習を取り入れた授業を推進します。 * 障がいのある児童・生徒など、特別な教育課程を編成し、個別の支援を行う場合は、学期ごと の「個別の指導計画」、中期的な「個別の教育支援計画」を作成し、連続性を大切にした指導 や支援を行います。 * すべての子どもがわかる・できる授業を行うため、ユニバーサルデザインの視点を取り入れた 授業づくりの研究を進めます。 * 国語の「書くこと」の領域について改善を図るため、指導方法・評価方法の研究を深めます。 * ICT機器を効果的に使用し、情報機器を活用して調べたり、発表したりする授業を積極的に 行います。 23 * 学習指導に係るPDCAサイクルを機能させるため、診断的評価や形成的評価をていねいに行 い、評価の結果をその後の指導につなげます。 【基本施策】(3)自ら学び続ける力の育成 子どもたちが、学ぶ意義やわかる喜びを感じ、もっと学びたいと思えるような創意工夫のある授 業を行います。また、学習量を増やすため、家庭や地域との役割分担や連携を通して、授業以外で 学習できる機会を充実し、学習習慣の定着等、生涯学習の基礎的な資質・能力を育みます。 <主な取組> * 学習意欲を高めるため、各教科等における学習内容として実生活と関連する問題を積極的に取 り入れ、学習をする意義が理解できるようキャリア教育の視点を取り入れた工夫を行います。 * 主体的に学ぶ資質や能力を育成するため、総合的な学習の時間に行う探究活動を充実します。 * 学習習慣の定着を図るため、集中力や持続力等、学びに向かう力を鍛えるとともに、家庭にお ける学習教材等を提供します。 【基本施策】(4)学校図書館を活用した学習活動の推進 学校図書館の計画的な利用を推進し、児童・生徒が主体的に学ぶ活動を充実します。 <主な取組> * 情報を収集する力や、情報を活用する力を育成するため、学習・情報センターとしての学校図 書館の機能を充実させ、「学び方を学ぶ場」としての学校図書館を活用した学習指導を進めま す。 * 子どもの創造力を培い、語彙力を高め、表現力を豊かにするため、読書活動や読書指導の場で ある読書センターとしての機能を充実します。 【基本施策】(5)外国語活動・英語教育の充実 グローバル社会を生き抜くために必要なコミュニケーション能力の基礎を育成するため、英語教 育を充実し、児童・生徒の英語力を育成します。 <主な取組> * 異文化を理解し、様々な国の人たちとコミュニケーションできる力を育てるため、「聞く、話 す、読む、書く」の4技能のバランスのとれた英語力を育成します。 * 児童・生徒の英語によるコミュニケーション能力の基礎を育成するため、外国語指導助手(A LT)を中学校区に配置します。 * 国際化に柔軟に対応できる人材を育成するため、本物の英語や外国の文化に触れる機会や、自 分たちの文化を他国の人に伝える機会を増やします。 24 目標 1-2 豊かな人間性の育成 社会の環境が変化し、人と人とのつながりの希薄化や価値観の多様化により、権利は主張するが、 責任や義務を果たさない大人が増えるなど、子どもを取り巻く社会全体の教育力が低下しています。 また、子どもたちも体験が不足し、 「人とかかわる」 「トラブルを解決する」 「まわりと協力する」とい った力が弱まっています。 変化の激しい社会を生き抜くために子どもたちに育みたい豊かな人間性とは、自らを律しつつ、他 人と協調し、他人を思いやる心や、社会貢献の精神などを大切にしようとする心のことです。言い換 えると、自分の育った地域や高槻を愛し、将来の高槻を担う市民として、自分にきびしく、人にはや さしくできる、「たのもしさ」とも言えます。 このようなたのもしさを養うには、児童・生徒が生活するあらゆる場面において、自己の責任、他 者の気持ち、互いの人権を守ることや公共の福祉に配慮することの大切さ等について考えさせること が重要になります。 【基本施策】 (6)道徳教育の充実・推進 (7)キャリア教育・シティズンシップ教育の推進 (8)学校や地域に愛着を持ち、地域社会に参画する力の育成 (9)組織的な生徒指導の推進 (10)人権教育の充実・推進 <現状> 「学校のきまりを守っていますか」 全国学力・学習状況調査の児童・生徒質問用紙 小学校 中学校 の結果を見ると、小学校では、「学校のきまり を守っていますか」という質問に、当てはまる と答えた割合が、全国や大阪府の平均を大幅に 下回っています。 (平成26年度全国学力・学習状況調査) 「学級みんなで協力して何かをやり遂げ、うれ しかったことがありますか」という問いに、当 「学級みんなで協力して何かをやり遂げ、うれしかっ たことがありますか」 小学校 中学校 てはまると答えた割合は、小中学校とも全国を 下回っています。特に小学校は、大阪府の平均 も下回っています。 (平成26年度全国学力・学習状況調査) 25 「人の気持ちがわかる人間になりたいと思い 「人の気持ちがわかる人間になりたいと思いますか」 小学校 中学校 ますか」という質問に、当てはまると答えた 児童の割合は全国平均を下回っています。し かし、いじめはどんな理由があってもいけな いことと思う児童・生徒は、全国とほぼ同じ 割合となっています。 地域や社会の出来事に関心があると答えた割合 (平成26年度全国学力・学習状況調査) や、地域や社会をよくするために何をすべきかを考えることがよくあると答えた割合は、全国の 地域や社会の出来事に関心のあると答えた割合や、地域や社会をよくするために何をすべきか 平均を下回っています。 を考えることがよくあると答えた割合は、全国の平均を下回っています。 子どもたちが、夢や志をもって柔軟でたくましい社会人・職業人として自己実現していくため 子どもたちが、 夢や志をもって柔軟でたくましい社会人・職業人として自己実現していくために、 に、全教育課程を通してキャリア教育を進めていますが、将来の夢や目標を持っていると答え 全教育課程を通してキャリア教育を進めていますが、 将来の夢や目標を持っていると答えた子ど る子どもの割合は、中学生になると低くなります。 (小学校 83.5%→中学校 69.0%) もの割合は、中学生になると低くなります。(小学校 83.5%→中学校 69.0%) <課題> 「道徳の時間」の指導が形骸化しているといった指摘があります。学校では、道徳教育の重要 性を改めて認識し、要となる道徳の時間を充実することが課題です。特に昨今、大きな社会問 題になっているいじめ問題を防止するためにも、規範意識や善悪を判断する力、他者への思い やりなどの豊かな心を育むことが必要です。 児童・生徒の豊かな人間性は、家庭や地域社会を含めたすべての環境や人とのかかわりによっ て育まれるものです。とりわけ、家庭や地域社会の役割が大きく、家庭では、基本的な生活習 慣や善悪の判断、礼儀、思いやりなどの基本的な価値観を身につけること、家の仕事の手伝い などを分担し、子どもにも役割と責任を持たせ、役に立つ喜びや満足感を育むことが求められ ます。 地域では、様々な人とのかかわりや実践を通して、思いやりや忍耐力、社会性を学ばせること と、公共の場における大人の振る舞いを見せることを通して、社会の規範やきまりを身につけ させたり、責任の果たし方を学ばせたりすることが期待されます。 本市がめざす創発性のある社会づくりに参画し、貢献しようとする態度を育成するためには、 魅力ある社会をつくろうとしている大人の姿を見せることが必要です。高槻の伝統や文化、活 躍する方々との出会いや、その人たちの知恵や技に触れる機会等を通して、高槻の魅力を感じ、 自分の住む地域や高槻市への誇りと愛着を育むことが大切です。 グローバル化や知識基盤社会において、子どもたちが社会の中で役割を果たしながら自分らし く生きていくために、地域・企業や大学と連携し、一人ひとりのキャリア発達を促す教育をよ り一層進めることが重要です。 26 昨今は幼少期から同年齢も含めて異年齢、異世代との交流の機会や実体験が不足し、青年期に おいてコミュニケーション能力や規範意識の低下などを招いていると考えられています。また、 人や地域、社会とかかわろうとせず、孤立しがちな傾向も見受けられます。人と関わり、自ら 課題を見つけて主体的に考え、試行錯誤しながら諦めずに解決策を見出していく資質や能力、 態度を育んでいくことが必要です。 一人ひとりの人権が尊重され、誰もが自分らしく、いきいきと暮らせる社会の実現に向け、自 分を大切にするとともに、まわりの人も大切にすることの重要性を理解し、それが具体的な行 動として表れることをめざして、人権教育を推進していく必要があります。 障がいのある子どもとまわりの子どもが、違いを認め、互いを尊重し、ともに高め合える関係 を築くため、これまでの取組をさらに充実、深化させる必要があります。 【基本施策】(6)道徳教育の充実・推進 道徳教育の要となる「道徳の時間」の指導を充実し、子どもたちが生きる上で必要なルールやマ ナー、社会規範などを身につけ、人としてよりよく生きていく実践力を育みます。 <主な取組> * 児童・生徒の実態や保護者、地域の状況を踏まえ、中学校区で、公共を優先する精神や他人へ の思いやり、命を大切にする心の育成などの重点目標を設定し、9年間の系統性のある全体計 画及び年間指導計画を作成します。 * 「道徳の時間」に指導する教材の充実や、教材研究を十分に行うとともに、その指導方法や評 価について研究を進めます。 * 地域と一体となった道徳教育を推進するため、保護者や地域住民に道徳の時間を積極的に公開 するとともに、そのような授業に保護者や・地域住民が参加する取組等の工夫を行います。 * 地域社会との連携・協力体制を構築し、社会全体で児童・生徒の豊かな心を育む体験活動を推 進します。 【基本施策】(7)キャリア教育・シティズンシップ教育の推進 児童・生徒が、充実した人生を送るためには、自分の将来について夢や志を持ち、その実現に向 け、着実にやり抜く力を鍛えることや、社会の一員として自立し、権利と義務の行使により社会の 維持発展に積極的にかかわろうとする態度を身につけることが大切です。 そのため、9年間を通して、職業人としての基礎的基本的な資質・能力を育むキャリア教育や、 社会人としての基礎的基本的な資質・能力を育むシティズンシップ教育を組織的・系統的に進めます。 <主な取組> * 学ぶことや働くことの尊さを理解し、主体的に学び続ける態度を育成するため、地域や市内に ある企業等による出前授業や職場体験学習等を充実します。 27 * 社会の仕組みを理解し、公共の福祉を優先的に配慮できる成熟した社会人としての資質や能力 を育成するため、実社会での体験学習やボランティア教育、法教育、租税教育、金融経済教育、 消費者教育等を計画的に推進します。 * 児童・生徒の社会参加を促進し、自分たちで話し合って決め、決めたことをまわりの人と協働 して実行する取組を支援します。 【基本施策】(8)学校や地域に愛着を持ち、地域社会に参画する力の育成 自分が生活する「地域社会や高槻のまち」に関心と愛着をもち、生きていく上で出会う様々な課 題に対し、学習した知識や技能を生かし、他者と協力して解決していく実践力を養います。 <主な取組> * 身近な問題を協働して解決する力を育むため、話し合い活動を中心とした特別活動の充実を図 ります。 * 子どもたちが身近な社会の課題を認識し、その解決について考えを深め、実践できるような力 を育むため、総合的な学習の時間において、高槻のまちづくり、自然、防災、文化、産業、歴 史、政治等を題材にした探究的な活動を充実します。 * 地域の行事に受身的に参加するだけではなく、社会の一員として、自分の役割を考え、実践す る活動を組み入れ、社会の仕組みを学んだり、主体的に参画したりするような豊かな体験活動 を推進します。 * 自分の地域や高槻に誇りが持てるように、地域の人材や伝統文化等に触れる学習を充実します。 【基本施策】(9)組織的な生徒指導の推進 問題行動等に対する学校の役割は、対処(適当な処置をする)ではなく、児童・生徒の判断力や 実践力を育成する指導を行うことです。各学校では、規範意識、善悪の判断力を育成するため、教 育委員会や関係機関とも連携し、組織的な指導を粘り強く行います。 <主な取組> * 学校の組織的な指導や、関係機関との連携を図るため、コーディネーターとしての生徒指導主 事等を校務分掌に位置づけます。 * いじめの未然防止や早期発見早期対応を行うため、いじめ防止基本方針を策定します。 * 問題行動を繰り返す児童・生徒に対しては、一時的に別室で反省指導を行う等、特別な指導を 実施します。 * 教育委員会は、学校の生徒指導をサポートするための体制を整え、必要に応じ学校に派遣しま す。また、警察、子ども家庭センター、茨木少年サポートセンター等の関係機関とも積極的に 連携を図ります。 * 他の児童・生徒への暴力行為や、授業妨害などの行為を繰り返し、学校が最大限の努力を行っ ても改善が見られない場合は、その保護者に対し、教育委員会として出席停止を命じます。 28 【基本施策】(10)人権教育の充実・推進 同和問題、障がい者、在日外国人、男女平等など、あらゆる人権課題の解決に向け、各担当者を 明確にする等、 校内推進体制を確立します。また、自分の権利と同様に他者の権利を尊重し、公共 の福祉を優先的に配慮できる成熟した大人になるための基本的な資質・能力を育成します。 <主な取組> * 児童・生徒に豊かな人権感覚と人権意識を育むための効果的な指導方法に関する研究を推進し ます。 * 小中一貫した人権教育年間計画を作成し、計画的かつ系統的に人権教育を推進するとともに、 年度ごとに点検や評価を行い、経過の見直しや指導の改善につなげます。 * 「ともに学び、ともに育つ」教育をさらに推進するとともに、聞き取り学習や体験的な活動を 通じて、実践力を育む障がい理解教育を推進します。 29 目標 1-3 健やかな心身の育成 社会を生きていく児童・生徒に、健やかな心身の育成を図ることは、極めて重要です。 体力は、様々な活動の源であり、健康の維持だけではなく、意欲や気力といった精神面の充実に深く 関わっています。運動は、そのような体力を養うとともに、持続力や集中力を高めたり、チームワーク の大切さや課題を解決する力を養うなど、生きる力を支える重要な力を育みます。 このような力をつけるため、運動する機会や場を充実するとともに、体を動かすことの楽しさを実感 させ、生涯にわたってスポーツに親しむ基礎的な資質や能力を育む指導が大切です。 また、若い世代の食生活に関しては、栄養の偏りや欠食などの課題があるとの指摘があります。利便 性を求める風潮の中で、家庭における食事を通して身につけていた規則正しい生活習慣や自然の恩恵・ 勤労等への感謝、マナーやエチケットなど、日本が従来大切にしてきた食文化が失われていくことも危 惧されることから、食育の推進はたいへん重要であると考えます。 【基本施策】 (11)学校における体育活動の活性化 (12)運動に親しむ機会の充実 (13)生活習慣の定着を通した健康づくり <現状> 全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果を見ると、高槻市の子どもの体力は全体的に改善傾 向にあります。しかし、種目別にみると敏しょう性や全身持久力に課題がみられるなど、全国平 均と比較しても依然として低い状況です。 小学校5年男子 小学校5年女子 全国値を50としたときの高槻市との比較 (平成25年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査) 運動習慣については、 「1週間の総運動時間の状況」において、中学校は、運動する子どもとしな い子どもの二極化が顕著となっています。小学校は男女とも、1 週間の運動時間60分未満の児童 が、全国の割合よりも高くなっています。 30 <体育の授業についての意識の状況> 体育の授業についての意識調査では、「友 ■小学校男子 ■小学校女子 達にみとめてもらえる」「先生にほめても 体育の授業は楽しい らえる」は全国平均を上回っていますが、 先生にていねいに教えて もらえる 「できなかったことができるようになる」 先生にほめてもらえる 「運動のコツやポイントがわかる」「めあ できなかったことができる ようになる 40 運動のコツやポイントが 分かる 30 てに向けて練習の場を選んでいる」などが 全国を下回っています。 50 好きな種目を見つけられ る 20 めあてに向けて練習の 場を選んでいる 体育は自分にとって大切 なものである 友達にみとめてもらえる 友達と協力して学習をし ている 授業でしたことを授業以 外でもしている 全国値を50としたときの高槻市との比較 (平成25年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査) 「朝食の摂取状況」では、 「毎日食べる」と回答した児童・生徒の割合が依然として全国平均をや や下回っています。 「朝食を毎日食べていますか」 (平成26年度全国学力・学習状況調査) <課題> 体育・保健体育の授業においては、うまくなるコツや練習方法をわかりやすく提示し、意欲的に 練習に取り組めるようにすることや、スモールステップを提示し「できた」実績を積み重ねてい けるようにするなど、指導方法の工夫改善を進めていく必要があります。 運動時間の少ない児童・生徒や運動を苦手と感じている児童・生徒に対し、より多くの種目のも つ楽しさに触れさせるとともに、運動への興味関心や大切さを理解させ、できる喜びや達成感を 味わわせる指導を充実する必要があります。 中学校は教育活動に位置づけられている部活動によって、運動量を確保することができますが、 運動部に所属していない中学生や部活動が教育活動に位置づけられていない小学生については、 授業以外で体を動かす機会や場所の確保が大きな課題です。 家庭や地域と連携して基本的な生活習慣の定着を図る必要があります。平成26年度から全中学 校で完全給食を実施していることから、学校教育活動全体を通じて食に関する指導を推進してい く必要があります。 31 【基本施策】(11)学校における体育活動の活性化 PDCAサイクルに基づく体育活動の活性化を図ります。 <主な取組> * 小中学校において「体力づくり推進計画(アクションプラン)」の策定を推進し、児童・生徒 の体力向上に向けた検証改善サイクルの確立をめざします。 * 運動に親しむ資質や能力を育成するため、小中9年間のカリキュラムの中で、体育・保健体育 の授業の充実に向けた指導方法や評価方法の工夫改善を進めます。 * 巧みな動きを高めることを目標とする小学校の高学年では、中学校の体育科教員による乗り入 れ授業を実施し、より専門性の高い指導を行います。 【基本施策】(12)運動に親しむ機会の充実 児童・生徒に運動習慣を育むため、運動に親しむ機会の充実を図ります。 <主な取組> * 主体的に体を動かす機会の充実を図ることで児童・生徒に運動習慣を育みます。スポーツ大会 の開催など体力向上プログラムを実施します。 * 生徒の運動能力の向上を図るとともに、自主性、協調性、責任感、連帯感等を育成するため、 学校教育の一環として行われる運動部活動の活性化を図ります。 * 地域と連携し、より専門的な指導が受けられる機会や、体を動かすことができる機会を充実し ます。 【基本施策】(13)生活習慣の定着を通した健康づくり 学校における食に関する指導や学校保健活動を充実するとともに、地域と家庭と連携して心身の 健全な成長及び望ましい生活習慣の定着を通した健康づくりを進めます。 <主な取組> * 「食に関する指導の全体計画」に基づき、全教職員が連携、協力して校内組織を充実させ、学 校教育活動全体を通じた食に関する指導を推進します。 * 保護者に対する基本的な生活習慣の周知など、地域や家庭と連携して生活習慣の定着や児童・ 生徒の健康課題の解決に向けた取組を進めます。 32
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