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卒業証書授与式 校長式辞

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平成22年度 卒業証書授与式式辞
例年になく寒さ厳しい冬が去り、ようやく春の息吹が感じられるようになりま
した。未来に向かって希望がふくらむ、この良き日に、地域の皆様をはじめ多
くのご来賓、保護者の皆様のご列席を賜り卒業証書授与式を挙行できることを、
心よりお礼を申し上げます。また、生徒の皆さんも未曾有の大震災が起き卒業
式の開催もままならない被災地の中学生のことを心に刻み、多くの人に祝福さ
れ、式を行える幸せに対し感謝の気持ちを持ってもらいたいと思います。
卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。義務教育の9年間を無事修
了し、立派に成長しそれぞれの新しい道に進もうと、夢と希望に燃えている皆
さんを心から祝福します。
皆さんは高松中学校の生徒として多くのことを学んできました。その中で印
象に残っていることを二つ話します。はじめは、話し合いを持ち決まったこと
を黙々と行う人が多くいたことです。そのことを一番感じたのは体育祭です。
体育祭のスローガンに「最高の団結」と言う言葉があります。縦割り集団や各
係のリーダーとして団や係をまとめるだけではなく、自らが黙々と自分の責務
を果たしました。落ち着きを欠く者がいる中でも、みなの為に目立たなくても
集団を支える、こうした人の層の厚さが「最高の団結」を生んだのだと思いま
す。集団が少しずつ落ち着きを取り戻し、話し合って決めたことを確実にでき
る集団に変わってきたのも地味で目立たないけれど集団の力を向上させるため
陰で支え続けた人たちのがんばりがあったからだと思っています。もう一つは
皆さんにはパワーがあるということです。部活動での活躍がそれを物語ってい
ます。何かを成し遂げるに必要なのはパワーです。それを持っている皆さんは
すばらしいといつも思っていました。
さて、卒業に当たり二つの話をします。一つ目は皆さんが義務教育を卒業を
するという意味についてです。
電話会社か、電気会社のコマーシャルだったと思います。はじめに災害があ
って電線が切れたときにいち早く駆けつけ鉄塔に上って復旧に当たっている作
業員の姿が写ります。一方別のシーンでは電話がつながり安否の確認ができた
ことに安堵する笑顔の家族が写ります。このコマーシャルは我々の社会を象徴
したもののように思えます。笑顔の家族には危険を顧みず命がけで鉄塔に上っ
ている人に思いを馳せることはないでしょう。蛇口をひねると飲める水が出、
電気がつき、ガスが出る。鉄道は時刻通りに動くと言った、私たちが享受して
いる当たり前のことは、我々があまり考えもしない、そして見えない多くの人
たちによって支えられているのです。今大震災の復興に当たっている多くもみ
なそういう人たちです。福島第一原子力発電所の中で危険を顧みず仕事をして
いる人のことをニューヨークタイムスでは「彼らは迷宮のように機器が入り組
み、停電で真っ暗になった施設内を、懐中電灯だけを頼りに、防護服とマスク
に身を包んではいずり回り、海水注入などの作業にあたっている」と報道しそ
の仕事を讃えています。今挙げたのは一つの例であり、仕事と名のつくものは、
人々の生活を何らかの形で支えるためにあります。義務教育の目的は社会に出
るための生き方や知識等の基本を身につけるというところにあります。皆さん
はその義務教育を今、終えるのです。今までは、社会から保護され与えられる
立場でした。しかし、義務教育を終了したということは、与えられる立場から
与える立場になったということです。このことを是非自覚をしてもらいたいの
です。日本国憲法で保証されている基本的人権も健康で文化的な生活を営む権
利も教育を受ける権利も我々国民が働き、納税するという義務によって支えら
れていることを忘れてはいけません。卒業後すぐに仕事に就くという人はほと
んどいませんが、働くことは義務であり、皆さんは社会の一員として日本の国
を作っていく一員に加わる準備が整ったことを是非自覚してください。これが
義務教育を卒業するという意味です。
次に「学ぶ」と言うことについてお話をします。先ほど義務教育の話の中で
生きていくための基本を皆さんは身につけたという話をしました。それは最低
限の基本ですからそれに満足をして停滞してはなりません。人は生きていく限
り学び続け進歩しなければならないのです。ある学者が言った「Do educ
ate yourself 」、<自分の教育は自分で行う>という言葉が印象
に残っています。自分を教育する最大の教育者は自分自身に他なりません。中
学を卒業した皆さんの「学び」は人に教えてもらったり指示を仰いだりして行
うものではありません。学びとは「山に登る」ことと似ています。汗を流し、
息を切らせ頂上に登ると、視界は広がり今まで見えなかった世界が広がります。
こんなに世界はすばらしいのかと思う刹那、眼前には別の今までよりも高く険
しい峰を見ます。あれに上ればどんな世界が見えるのか、そう思うといてもた
ってもいられなくなり、また歩みを始めます。学ぶことは、新しい今までで見
えなかった世界を発見し続けることです。いみじくも世界一のへら絞り職人(へ
ら絞りとは金属の板をへら一本で加工し複雑な曲線を作る技術)の松井三都男
さんは「満足した職人は終わり常に技術を向上させなければ腕はさび付き職人
は必要とされなくなる」と言っています。世界一であっても学ぶことをやめた
ときに堕落がはじまると言っているのです。学校は効率よく学ぶ場に過ぎませ
ん、そこで自分自身を高められるか否かは皆さん自身にかかっているのです。
「Do educate yourself」これを皆さんへの餞の言葉としま
す。自分の可能性を信じ、困難にめげず、へこたれず、物事や事象の良い面を
信じ、うまくいかなかったことを人せいにせず、未来に向かって歩んでくださ
い。皆さんの前途が幸多いことを祈り、私の式辞と致します。
平成23年3月18日 高松中学校長 永田 研
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