マダガスカル (310KB、2015年6月)

マダガスカル医療情報
以下は、必ずしも最新の医療情報ではありません。詳細(特に緊急時の対応や予防薬の
服用方法など)については、現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバイ
スを受けるようにしてください。
最新更新履歴:2015 年 5 月更新
1.赴任前の準備
(1)予防接種
日本からの入国の場合、イエローカード(黄熱予防接種証明書)の要求はないが、黄熱
病リスク国からの経由・渡航者は入国に際し、黄熱予防接種証明書を要求される。その
他、入国時に必須の予防接種はないが、健康管理上、A 型肝炎、B 型肝炎、破傷風、狂
犬病、腸チフス、ポリオの予防接種を推奨する。また、小児は、定期接種および任意接種
に定められている予防接種をできる限り日本で済ませておくこと。学童年齢においては、
現地校に入学する場合は、接種証明書(英文または仏文)が必要になる。証明書作成の
ためには母子手帳が必要なため必ず持参すること。
(2)その他の準備
眼鏡類については、首都では、眼科受診後に眼鏡店で眼鏡をつくることは可能である
が、質は保障出来ないため、予備を持参すると良い。コンタクトレンズを使用する人につ
いても、現地での保存液、洗浄液などの入手が困難な場合があるので、予備を持参した
ほうがよい。歯科治療は、赴任前に必ず済ませておくこと。沿岸部のマラリア汚染地域に
滞在する場合は予防内服を検討する。
2.医療事情
(1)医療機関
一般的にマダガスカルの医療レベルは低い。
首都アンタナナリボにおいては比較的施設の整った私立病院があり、外国人の受診も
可能であり、入院も可能な衛生的な施設ではあるが、緊急対応(重症者)、高度医療は困
難と予測される。地方および国公立病院や診療所は施設設備が十分ではなく、診療レベ
ルも十分とは言えず日本と同じような医療サービスは期待できない。
信頼できる医療機関として以下の施設が挙げられる。
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<アンタナナリボ/首都>
総合病院
①Clinique et Maternite Saint Francois d'ASSISE
通称 Clinique des Soeurs (クリニック・デ・スール)
所在地:83 IVI Mandialuza Ambodivona Ankadifotsy
TEL:020-22-235-54
診療時間:8:00~18:00(月~土、予約不要)
救急外来は 24 時間体制
診療科目:内科、循環器科、消化器内科、外科、脳神経内科、消化器外科、整形外科、
小児科、眼科、耳鼻科、婦人科、産婦人科、放射線科、麻酔科
備考:カトリック系の病院、恵まれない人々への医療サービスが目的で運営されている
為料金は他私立病院と比較して、良心的な価格である。設備は古いが清潔に管
理されている。ICU が 5 床あり重傷者の管理をしている。検査施設は、MRI はな
いが CT があり、放射線科医師による読影が検査後 24 時間で結果を得られる。
その他、一般臨床検査、心電図、超音波、内視鏡等が実施可能である。日本人
シスターが総看護師長として勤務しており、ソフト面の対応は他の病院より優れ
ている。個室はシャワー・トイレ完備で料金は一日 45,000Ar。救急車を所持して
いる。
②Polyclinique et Maternite d’Ilafy (ポリクリニック ・デ・イラフィー)
所在地:Andafiavaratra Ambohitrahaba
電話:032-07-243-28
診療時間:8:00-19:00(月~土、予約不要、専門医は予約が必要) 救急外来は 24
時間体制
診療科目:内科、循環器科、消化器内科、外科、消化器外科、脳外科、小児科、眼科、
耳鼻科、婦人科、産婦人科、歯科、放射線科、麻酔科、血液透析室
備考:当国の富裕層・外国人を対象としていると思われるプライベート病院で、国内で
最も設備が整っている。院内は清潔で建物も比較的新しい。検査施設は、一般
臨床検査、レントゲン以外にエコー・内視鏡・CT と国内唯一の MRI がある。血
管造影検査も可能であるが医師が海外から 3-4 か月毎に来訪して検査を行う
体制のため、狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患が疑われる緊急対応時の
検査は困難である。緊急対応用のヘリポートがあり病院への着陸が可能。診療
費は、他私立医療機関に比較してやや高価。個室料金(一日)最低 65,000 Ar
~。
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③Centre Hospitalier de SoavinandrianaHôpital Militaire
(スァヴィナンドリアナ病院 :軍病院)
所在地:Rue de Dr Moss, Soavinandriana
TEL:020-22-397-51
診療時間:7:30-18:00(月~土、予約不要) 救急外来 24 時間体制
診療科目:内科、循環器科、消化器内科、外科、消化器外科、脳外科、小児科、眼科、
耳鼻科、婦人科、泌尿器科、精神化、産婦人科、歯科、放射線科、麻酔科
備考:通称軍病院と呼ばれており、国内の公立病院のトップリフェラルのひとつ。軍病院
だが一般市民も受診可能。救急外来は 24 時間体制で、緊急医療(ER)受付あり。
救急医療に関しては、専門医とパラメディカルが充実し、国内ではトップレベルで、
海外移送を担当するチームがあり、外国人の緊急移送ケースも多く対応していると
のこと。移送先はレユニオンやモーリシャスが主とのこと。ICU もあり救急、重症の
搬送先として期待したいところだが、建物設備などは非常に古く、検査機器も老朽
化が目立つ。
歯科
① Dr. Jean Marc CHAPUIS
(クリニックの名称なし)
所 在 地 : Ambatobe, ( Immebuble « LA-DEE-DA” Ambatobe (リセフラ ン セ付近 )
Pharmacie Ambatobe の斜め向かい)
TEL:020-22-208-88
備考:仏人医師のクリニック。軽度の虫歯治療や充填物脱落時の再装着、歯肉炎などで
利用した実績があるが、高度な治療を行えるかは未知数。予約制。治療内容にもよ
るが、治療費は数万円になることも多々あり、比較的高額である。
②Cabinet Dentaire Tana Water Front et Ambatobe
所在地:Batiment Central –Escalier C, Water Front
電話:032-11-208-88(Water Front)
要予約
備考:上記①フランス人歯科医 Dr.Jean Marc CHAPUIS,とマダガスカル人の歯科医が共
同で Ambatobe と Water Front に 2 軒の歯科医院で診療を行っている。
臨床検査施設
①Institut Pasteur (パスツール研究所)
所在地:B.P.1274 Ambatofotsikely 101 Antananarivo
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TEL:020-22-401-64/65
FAX:020-22-415-34
受付時間:検査/9:00~12:00、14:00~17:00
予防接種/7:30~12:00、13:30~17:00
狂犬病センター(ワクチン接種):平日 9:00~12:00、14:00~17:00、土日曜
日 9:00~11:00
備考:臨床検査を行っていて、同施設で採血可能。
動物咬傷時の暴露後ワクチンは狂犬病センターにて毎日接種可能。
黄熱予防接種(イエローカード)は即日発行される。
地方
<アンチラベ>
首都から南 170 キロの中央高地(標高 1500m)にある第 3 の都市である。
① MATERNITE et DISPENSARE AVE MARIA(アベマリア産院・診療所)
所在地:Lot 1118-A-260 Route D'antananarivo Antsirabe
電話:020-44- 489- 98/ 034 80 393 38
診療時間:9:00-17:00(月~金)
診療科目:産婦人科、小児科、内科、整形外科
概要:首都にあるクリニック・デ・スールの系列の教会系病院であり、日本人助産師の牧
野シスターが勤務している。産科・小児科が主の産院であり、内科や整形外科の診
療も行っているが、専門的診療は困難である。
② Sante Plus Service Medico Chirugical
所在地:Lot 20 G 240 Ambohimiandrisoa Antsirabe Antsirabe
電話:020-44- 498- 51
救急:032-02-458-58
診療時間:9:00-17:00(月~金)
診療科目:内科、外科、整形外科、耳鼻科、小児科、産婦人科、精神科、放射線科、
麻酔科、歯科
概要:内科、一般外科、小児科を中心にした入院施設のある小規模の私立病院で、最低
限の検査が可能である。
<トアマシナ>
東海岸にあるマダガスカル第 2 の都市で、年中高温多湿の熱帯気候で、特に 11 月~3
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月の雨季にはマラリアのリスクが高い地域である。
① Centre Medical et de Diagnostique du port de Toamasina(CEMEDI)
所在地:Lt 7, parcelle 13/64, Boulevard Tintingue-Tanambo V
電話:033- 23- 416- 41
診療時間:24 時間診療可能
診療科目:内科、放射線科、歯科
概要:港湾関係者のためのクリニックであるが一般利用も可能で外来は 24 時間オープン
している。施設は清潔感があり、CT、MRI はないが、臨床検査、レントゲン、超音波、
心電図など最低限の初期診断ができる検査設備があり、入院はできないが点滴な
どができる部屋もある。診察費は 15,000Ar(約 600 円)、往診も可能(30,000 Ar)
である。
<マジュンガ>
マダガスカル北西部にある海岸沿いの都市で、年中高温多湿の熱帯気候である。11~3
月は雨季で、マラリア感染のリスクが高い。
① Espace Médical
所在地:25, la carrière, Mangarivotra,Majunga
電話:034-02-172-26
診療時間:24 時間診療可能(予約不要)
診療科目:内科
HP:http://www.espacemedical.mg/
概要:24 時間救急医療を行う全国展開している私立クリニックの地方ブランチの一つであ
る。レントゲン、入院用の部屋、最低限の検査設備はあるが、小規模であり、専門
的な治療は難しい。
(2)緊急時の対応と措置
アンタナナリボ市内及び近郊では、総合病院のクリニックデ・デ・イラフィー、クリニック・
デ・スール、軍病院の救急外来を受診する。救急車は各病院へ依頼するが交通渋滞など
状況により自家用車を使う方が良い場合もある。
地方の病院での重症、専門的治療は対応困難なため、一旦最寄りの病院で応急処置
を受けたあと、速やかに首都に上京し上記の病院で治療することが望ましい。
手術や精密検査が必要な時は、患者の移送が可能な限り、第三国(レユニオン(フラン
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ス海外県)、モーリシャス、南アフリカ等)あるいは日本での治療を検討するほうがよい。
3.医薬品、衛生用品
(1)携行することが望ましい医薬品
日本の医薬品は入手不可能。フランス製を中心にヨーロッパ製の薬品が主に販売され
ているが、例えば湿布類、漢方薬はない。また、整腸剤や胃腸薬、総合感冒薬、かゆみ
止め軟膏、目薬などは日本と同じ製品はないので、常備薬としてこれらを使用している場
合は持参すること。持病があって内服治療を継続している場合は、英文(または仏文)の
診断書、または薬の処方内容(薬剤の化学薬品名を英文で記載)が記載されたメモを持
参することを勧める。
(2)現地で調達できる医薬品
必要最低限の医薬品(感冒薬、解熱鎮痛剤、トローチ、うがい薬、目薬、虫除け、消毒
薬、軟膏、ガーゼ、包帯など)は入手可能であり、高血圧薬や脂質異常症治療薬などの
処方薬は在庫がない場合は海外から輸入してくれる薬局が多い。ビタミン剤やサプリメン
ト類、妊娠検査薬、避妊用ピルも購入可能である。
マラリア関連の薬品:
R )、治療薬(アーテスネート剤(コアテム
予 防 薬 : メ フ ロ キ ン ( ラ リ ア ム Lariam ○
R など)が首都の薬局では、購入できる。地方都市においては、メフロキンは入
Coartem○
手困難であるため、首都での購入が必須である。虫除けスプレーやクリーム、蚊取り線香、
電気蚊取り(溶液タイプ、マットタイプ)、蚊帳も薬局もしくはスーパーで販売されている。
(3)現地で調達できる衛生用品
生理用品、包帯、ガーゼ、避妊具など、ほとんどの衛生用品が入手可能であるが、日
本製タイプのガーゼ製マスクや眼帯などはない。
(4)薬局
医薬品の種類によっては処方箋が必要であるが、鎮痛剤や消毒薬などは処方箋なし
で購入できる。代表的な薬局は以下の通り
薬局名:Pharmacie HASIMBOLA
所在地:ウォーターフロントショッピングビル内、Antananarivo
電話:020-22-259-50
mail:[email protected]
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薬局名:Pharmacie PRINCIPALE
所在地:Lot IIJ 18C IVANDRY ALAROBIA、Antananarivo
電話:020-22-439-15
4.妊娠、出産、育児
(1)妊娠した場合の対応
妊婦健診は可能であるが、日本のような母子保健指導はなく、衛生面・緊急時の対応・
設備・言葉の問題などを考えると日本での妊娠・出産が推奨される。安定期(妊娠 16 週
以降)に入り、主治医の許可があれば帰国することを勧める。
(2)出産後の対応
出産時の新生児のトラブルにおいて、小児専門医が少なく、NICU の施設も限られるた
め対応には限界がある。乳幼児を連れての赴任を考える場合、日本の定期予防接種が
完了してからの随伴を勧める。特に麻疹の流行がしばしば報告されているため、麻疹ワク
チンの接種が終了してからの随伴が望ましい。
(3)育児
アンタナナリボ市内のスーパーマーケットには、ひととおりの育児用品(フランス製など
の輸入品)が揃っている。育児上の留意点としては、病害虫の駆除(ダニ、ノミ等)、育児
用品の衛生管理、使用人の衛生管理などが挙げられる。
5.手術
(1)現地で可能な手術
緊急でやむを得ない場合を除き、マダガスカルでの手術は勧められない。第 3 国(レユ
ニオン、南アフリカ)または日本での対応が望ましい。
(2)手術設備の状況
首都のポリクリニック・デ・イラフィーは衛生的な施設ではあるが、他は日本の水準に達
している施設はほとんどない。また、専門医も少ない。
(3)その他の留意点
日本のようなきめ細かい診療や看護は期待できない。マダガスカル語かフランス語以
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外は通じない場合が一般的である(英語は通じないことがほとんど)。病院の食事はすべ
て現地食である。
6.現地での傷病
(1)一般の疾病
マダガスカルでは、細菌性下痢、風邪が最もかかりやすい病気であり、次いで皮膚病
(蚊・ダニなどの虫刺されによる皮膚炎)、ウィルス性肝炎などが挙げられる。下痢の原因
は多くの場合旅行者下痢症と呼ばれるもので、数日間で自然に回復する場合が多く、脱
水に留意して消化の良いものをとるようにする。1 日 10 回以上の水様便や発熱を伴うよう
な場合は感染症の疑いもあるため受診すること。
また、特に首都は交通事情が悪く、道路が狭く坂道が多いため歩行時は交通事故に十
分に注意を要する。
(2)風土病、感染症
<寄生虫疾患(消化器)>
アメーバー赤痢やランブル鞭毛虫などの寄生虫疾患が存在するので、十分に加熱され
た食品を食べ、路上の屋台は避けることが望ましい。イチゴなど皮を剥かない生の果物
や野菜を食べる際は、特に注意する必要がある。
<マラリア>
熱帯熱マラリアの頻度が高く、トアマシナなど東海岸は通年、マジュンガ等北・西海岸で
は雨季を中心に流行するため、旅行や出張をする場合は、予防薬の内服や防蚊対策が
必要である。標高の高い首都のアンタナナリボやその近郊(アンチラベ等)については、
2015 年は 1~3 月の雨季・洪水発生後に衛生状況が悪化し、数件ではあるが、マラリア
の発生が確認されている。同じく防蚊対策は必要である。マラリア予防薬(メフロキン)は
首都の薬局で入手可能。当国では発熱があった場合はまずはマラリア検査を行い、その
後の適切な対応が必要である。
<住血吸虫>
ビルハルツ、マンソンどちらもほぼ全国に存在し、湖・河川・水田などの淡水に触れるこ
とにより感染するので注意が必要。上水道が未整備で、生活用水として川や湖の淡水を
使用する地域で生活する場合や農業従事者は感染のリスクが高い。日本においては検
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査や治療を行える医療機関が限られるため、長期滞在者は帰国前に検査(血液検査)を
行い、陽性者は治療(内服薬)をして帰国することを勧める。
<狂犬病>
保健省による発症例の確実なデータはないが、2014 年、首都のパスツール研究所か
らの情報によると、年間 6000 件の暴露後ワクチンを投与しており、少なくとも 10 件の死
亡例があるため、動物との接触には十分注意する必要がある。当国は野良犬や飼い犬
の放し飼い以外に、観光でのキツネザル見学など野生動物に近づくことは危険であり、控
えたほうがよい。万一咬傷を受けた際には、暴露後 24 時間以内のワクチン接種が必須で
ある。地方ではCHDと呼ばれる郡病院レベルの医療機関には全てワクチン(ベロラブ
R )が基本的に配備されているが、冷蔵保存の信頼性に欠けるので地方での接
Verorab○
種は勧められない。首都パスツール研究所でのワクチンは品質管理が行き届いている為、
同機関での接種が望ましい。
<チクングニア熱>
ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどのヤブカによって媒介される、チクングニアウイルス
感染症。インド洋一帯で流行がみられ、マダガスカルでも 2010 年 3 月、2011 年 4 月に南
東海岸部で患者の発生があった。症状はデング熱と似ている。発熱・関節痛は必発であ
り、発疹は 8 割程度に認められる。関節痛は長期間持続することがある。その他の症状
は、倦怠感・頭痛・筋肉痛・リンパ節腫脹などがあり、出血傾向(鼻出血・歯肉出血)や結
膜炎、悪心・嘔吐を伴うこともある。治療は輸液や解熱鎮痛剤投与などの対症療法のみ。
出血傾向を呈することがあるので、鎮痛解熱剤としては、アスピリン系は避けアセトアミノ
フェン(パラセタモール)が望ましい。
予防法としては日中蚊に刺されないようにすることが重要。
<ポリオ>
ワクチン株の流行がたまに発生している。手洗いなど衛生保持に留意し、ワクチン接種
により予防する。
<HIV 感染症>
HIV 感染者が国民の約 0.5%とされており、他のアフリカ諸国と比較して低いが、妊娠
女性の HIV 陽性率は 1.1% というデータが報告されている。
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<ペスト>
世界有数の汚染国として有名で、2014 年から再流行しており、2015 年 2 月の WHO
の発表によると、昨年 9 月以来、マダガスカルでは、263 名が感染疑い、うち 71 名が死亡
している。ペストは、ペスト菌による感染症であり、一般的にはペスト菌に感染したネズミ
等(げっ歯類)に寄生しているノミに刺されることで人に感染する。ペストの予防策としては、
ネズミがいるような不衛生な場所へは行かないこと、ノミに刺されないよう注意することが
重要である。また、感染が疑われる者との接触は極力避け、手洗い・うがいを励行し、良
好な衛生環境の維持に努めることが大切である。流行時期は 10 月~5 月までの雨季。
<リフトバレー熱(RVF)>
牛や羊などの家畜由来の人畜共通感染症で蚊が媒介するウィルス性出血熱である。
2008 年 2 月頃にマダガスカルで発生が報告されている。インフルエンザのような症状を
示し、一般に予後は良好で 4-7 日で回復するが、防蚊対策に留意して予防に努める。近く
で家畜の病気の情報があれば、注意をしていく。
(3)有害動物、病害虫
蚊、ハエ、ネズミ、ゴキブリ(大型のもの)、ノミ、ダニ、サソリ、ムカデがいる。特にダニ・
ノミを原因とする皮膚障害が非常に多く、それらの皮膚炎などを訴える邦人が多い。痒み
が強度で持続期間も長く、そのために刺された部位を掻き、傷を形成し、それが化膿して
患部全体が腫脹することも稀ではない。タクシーや乗合タクシー(タクシーベ又はタクシー
ブルース)の座席や、ベッドやソファ、クッションなど家屋の環境衛生に留意して予防に努
める。
7.保健衛生
(1)飲料水
水道水(生水)は直接飲まないこと。一度沸騰させて濾過したあとで、飲料水として使用
する。高価ではあるが、ミネラルウオーター(商品名:Eau Vive 等)などを使用するとよい。
特にホテルやレストランでは、水だけでなく氷にも気をつけること。
(2)濾過器の入手
種類は少ないが、タンク式、水道に設置式のタイプ等、首都では入手可能
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(3)その他の留意点
地方に出張する際は、体温計、解熱剤、飲料水、クーラーボックス、蚊取り線香、殺虫
剤(ダニ・ノミ用)などを持参したほうがよい。使用人(家政婦等)を雇う場合は、衛生管理
にも気をつけること。
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