第2学年3組 美術科学習指導案 授業者 1 題材名 ○○ ○○ 「西洋の美∼印象派の誕生」 2 題材の目標 (1) 東 西 の 美 術 文 化 に 対 す る 関 心 を 高 め , そ れ ら を 尊 重 し , 美 術 を 通 し た 国 際 理 解 を 深 め ようとする。 (美術への関心・意欲・態度) (2) 自分の価値意識を大切にしながら,印象派絵画のよさや美しさを感じ取り味わい,印 象派の画家たちの心情や意図,創造的な表現の工夫などに気付き理解する。 (鑑賞の能力) 3 題材と生徒 (1) 印 象 派 と は , 西 洋 の 絵 画 界 を 中 心 と し た 大 き な 芸 術 運 動 で あ る 。 写 実 主 義 か ら 抽 象 主 義への変化の初期段階であり,その後の芸術全般に大きな影響を与えた。 西洋における印象派以前の絵画は,対象を正確に描写する写実主義が主であったが, 1827 年 に 写 真 が 発 明 さ れ 普 及 し 始 め る と , 写 実 主 義 の 絵 画 は そ の 価 値 を 失 い , 多 く の 画家が職を失った。 当時の画家たちが絵画独特の表現方法を模索する中,パリでは万国博覧会が行われ, 日本の美術文化が注目される。特に浮世絵の空間表現や鮮やかな色使いは当時の画家に 強い影響を与えた。絵画は写実的でなければならないとする制約から,画家たちを開放 させる大きな後押しとなり,細部やタッチにこだわらず,新たな空間表現と明るい色使 いを多用した印象派が誕生した。 19 世 紀 以 降 の 芸 術 界 に 大 き な 影 響 を 与 え た 印 象 派 が , 実 は 日 本 の 美 術 文 化 の 影 響 を 多分に受けていたことを知ることにより,東西の美術文化に対する関心を高め,それら を尊重し,美術を通した国際理解を深めることができる題材である。 (2) 男子23名,女子16名,計39名の学級である。鑑賞の授業では,自分が感じたこ とを素直に話したり,人前でも恥ずかしがらずに発表することができる生徒が多い。 1年時に,葛飾北斎の浮世絵の鑑賞を通して日本の伝統的美術の魅力にふれた。授業 後の感想には,他の浮世絵に対する興味や,制作する技術に対する驚きなどが記述され ており,美術文化に対する関心が高まりつつある。 授業前のアンケートで,日本の伝統的美術作品である浮世絵などが好き,興味がある としたのは16名(どちらかといえばも含む)であった。西洋の絵画の方が好き,興味 があると答えたのは29名(どちらかといえばも含む)であり,日本よりも西洋的なも のを好む傾向にあることが分かった。 (3) 新学習指導要領の美術科の目標に「美術文化についての理解」を深めることが新しく 加わった。第2学年及び第3学年では,第1学年で学んだことを基に,美術や文化に対 する理解を深めることをねらいとしている。 本題材では,印象派の画家たちの美意識や創造的精神を感じ取るために,印象派以前 の西洋絵画と浮世絵の特徴を把握し,比較鑑賞できるようにする。印象派絵画の誕生に 日本の美術文化が大きな影響を与えたことを知ることを通して,美術を通した国際理解 を深め,美術文化の継承への関心を高めることをねらいとする。 本時では,印象派の画家たちの心情や意図,創造的な表現の工夫などを感じ取り理解 す る た め に ,研 究 の 重 点 で あ る 言 語 活 動 と し て ,グ ル ー プ よ る 話 し 合 い の 場 を 設 定 す る 。 話し合いの場においては,各生徒が作品などに対する自分の考えを述べ合うことによ り,一人では気付かなかった視点や価値に気付かせたい。これを他の人に分かりやすく 発表するために,表現の参考になるような造形に関する言葉を複数提示するなどの手立 てをとるようする。 また,話し合いには各生徒が明確な考えを持つことが大切なので,話し合いの前に個 人 の 「 思 考 の 場 」 を 設 定 す る 。 そ の 際 ,「 モ チ ー フ 」「 構 図 」「 形 」「 色 彩 」 な ど の 造 形 的な要素を,鑑賞する視点として与えるようにすることが,思考の活性化につながると 考える。 4 題材の指導と評価計画 題材名「西洋の美∼印象派の誕生∼」 総時数2時間 観点別評価の規準と評価方法 時数 学習内容 美術への関心・意欲・態度 1 ○印象派絵画とそ 以 前の 西 洋絵 画を れ以前の西洋の 絵画を比べて, それぞれの特徴 を探し出しだそ うとする。 (観察・学習シ ート) れ以前の西洋絵 印 象派 絵 画と 浮世 絵 を比 較 して 鑑賞 する。 2/2 鑑賞の能力 ○印象派絵画とそ (一斉・個・グル ープ) 本時 創造的な技能 印 象派 絵 画と それ 鑑賞する。 2 発想や構想の能力 (一斉・個・グル ープ) 画の特徴を理解 し,印象派絵画 のよさや美しさ を味わっている。 (観察・発表・ 学習シート) ○印象派と浮世絵 を比較して鑑賞 ○印象派の画家た ちの心情や意図, し,影響を受け たところを探し 出そうとする。 (観察・学習シ ート) 創造的な表現の -1- 工夫などを感じ 取っている。 (観察・発表・ 学習シート) 5 本時の計画 (2/2) (1) ねらい ① 東西の美術文化に対する関心を高め, 美術を通した国際理解を深めようとする。 ② (2) 印象派の画家たちの心情や意図,創造的な表現の工夫などに気付き理解する。 学習過程 段階 学習活動 1 写真の発明が,当時の美 一斉 術界に与えた影響を確認す る。 2 ゴッホ「 タンギー爺さん 」 一斉 を鑑賞し,気付いたことを 発表する。 導 入 10 分 学習形態 発問・指示 ○教師の指導の手立て ○ 評価規準 印象派絵画とそれ以前では,形や色彩がも たらすイメージが違うことを比較して感じ取 ることができるように,2数の参考作品を提 示する。 ゴッホが絵を描くときに影響を受けたの は,どこの国のどんな絵だろうか。 印象派の画家たちは,日本の浮世絵からどんな影響を受けたのだろうか。 3 展 開 印象派絵画と浮世絵を比 個人 較して鑑賞し,影響を受け た点を探し出す。 (思考の場) 印象派の画家たちが浮世絵から影響を受け たのは,どんなところだろうか。 ○ 37 分 探し方について共通の認識を持つことがで きるように,影響を受けた一例を全体で探し 出し確認する。 印象派と浮世絵を比較して鑑賞し,影響 を受けたところを探し出そうとする。 ( 観察・学習シート ) ○ 4 気付いたことを話し合い グル グループとしての意見をま ープ とめる。 (言語活動) 自分たちが探し出したことについて話し合 い,グループの意見として分かりやすくまと めよう。 ○ 5 グループの意見を発表す 一斉 る。 根 拠を探 し出 せるように ,「描く対象 (モ チーフ )」「物の配置(構図 )」「形 」「色彩」 などの具体的な視点を提示する。 他の人に分かりやすく伝えることができる ように,表現の参考となる言葉を提示する。 ○ 意見を焦点化して考えられるように,意図 的に分類して板書をする。 ○ 新たに気付いたり,価値を考えられるよう に,出た意見に対して個人の同意や反論を促 す。 印象派の画家たちの心情や意図,創造的な 表現の工夫などを感じ取っている。 ( 観察・発表・学習シート ) ○ 終 末 3 分 6 東西の文化交流について 一斉 解説を聞く。 7 本時の自己評価をする。 個人 作者の意図や工夫を感じ取ることができる ように,板書を確認するように促す。 ○ 美術を通した国際理解を深め,美術文化の 継承への関心を高ることができるように,教 師が東西の文化交流について説明する。 ○ 本時のねらい迫ることができたか確認する ために,学習カードに記入するように促す。 -1-
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