第3学年2組 美術科 学習指導案 指導者 1 日時・場所 平成27年11月11日(火) 2 題材名 「画家を探ろう」 3 ○ ○ ○ ○ ○ 榛 葉 公 作 美術室 題材目標 自分が選んだ画家に対して、自分の価値意識をもって鑑賞しようとする。 <関心・意欲・態度> 画家の魅力や作品の美しさを感じ、価値意識をもってレポートの構想を練ることができる。<発想や構想の能力> 自分の表現意図に合う構図や色彩で、創造的に表現することができる。 <創造的な技能> 自分が選んだ作家の鑑賞を通して、美術作品を愛好していく態度を養う。 <鑑賞の能力> 自他の制作したレポートを相互鑑賞し、作品に込められた作家の心情や技術、作品のよさや美しさを味わうこと ができる。 <鑑賞の能力> 4 題材構想 (1)題材観 中学3年生になると、絵画表現における個人差が目立つようになってくる。主張を強く表し、意図のある作品を制作 する生徒が見られる反面、表現に自信がない生徒の中には、自己表現することに抵抗を感じ、周りの表現を模倣した作 品を制作してしまう傾向をもつ者もいる。また、絵画や彫刻等、美術作品に触れる学習の機会も少ない。そのため、絵 画や彫刻の鑑賞を通して鑑賞能力を高め、美術に親しみ愛好する心情を育みたい。さらに価値意識をもって積極的に表 現活動を行う態度を育てたい。ここで言う価値意識とは、自分なりに感じる良さや美しさということである。 本題材では、自ら興味をもった絵画や彫刻の作家の調べ学習を通してレポートを制作する。その活動を通して、幅 広い視点からとらえた作者の心情や意図・創造的な表現の工夫などを学習し、画家に対する理解を深める。そこから 調べた画家の作品に対して価値意識をもち鑑賞する。さらにレポートの相互鑑賞を通して作者や作品の魅力について 発表する。その活動を通して、互いのレポートに込めた思いを理解し、美意識を高め、価値意識の幅を広げさせたい。 導入で行う鑑賞学習では、ピカソを例に挙げ、作品を深く読み取るために視点(形・色・描き方など)を与え、深く 鑑賞させたい。価値意識をもって作品を鑑賞し、自分が興味をもった作家を調べることで鑑賞能力を高めたい。表現 活動では、個々にテーマをもちレポートを制作し、作者の心情や時代背景、作品に込められた意図をレポートの内容 に盛り込み、画家の魅力に迫らせたい。またそれらをまとめた内容を発表し、相互に意見交換することで、美術作品 のよさや美しさ、独自の表現の工夫や魅力を味わい鑑賞に親しませる。美術は高校に進学しても全員が学習するわけ ではない。人生で最後の美術学習になる生徒もいる中で、今後は鑑賞者として多くの美術作品に親しみ、自分の価値 を広げていってほしいと願っている。その意味で、義務教育9年間の美術学習のしめくくりとして意義ある題材であ ると考えている。 (2)生徒の実態と成長を実感させるための対話の工夫 本校の3年生は、相互鑑賞において自分の価値意識をもって作品のよさを認め合うことや、作品をよりよくするた めのアドバイスを考え伝え合う活動を行ってきた。また2年次にはゴッホの自画像を鑑賞し、作者の心情や意図と想 像的な表現の工夫を感じ取った。その学習を生かし、自画像制作では、自分の想いを作品に表現するためにどのよう な表現をすればよいか試行錯誤をしながら制作した。この活動や作品を通し、作者の思いや意図を感じ取ること、自 分の作品に想いを表現することができた。しかし、作品の相互鑑賞において作品のよさをなかなか見つけられない生 徒や、より深く美しさを味わおうとする意欲に欠けている生徒も見られる。 そこで、自ら興味をもった絵画や彫刻の作品鑑賞を通して、作者の心情や意図と時代背景を調べる。この活動を通 してより深く作品のよさを味わわせたい。そして、自分の価値意識をもってレポートを制作し画家の魅力に迫る。レ ポートの相互鑑賞では、『神久呂中学校区 系統表』の「相手を説得する意見を述べ合う」に重点を置き、具体的に美しいと 感じた根拠を示しながら意見を伝える。その活動から作品やレポートのよさを認め合うことで絵画作品や彫刻作品に興味 をもち、鑑賞者として多くの美術作品を親しんでいこうとする態度を養うきっかけにしたい。 (3)学習計画 時数 学 習 内 容 題材目標に迫るための主となる対話活動 1~2 ・ガイダンス(ピカソから美術の世界 ・導入では、ピカソの作品を鑑賞し、自分の価値意識をもって意見交 へ) (本時 1/8) 換させることでピカソの作品への見方を広げ、よさを味わう。 3~4 ・美術作品・画家の調べ学習 5~7 ・レポート制作 8 ・振り返り(作品の相互鑑賞) ・相互鑑賞では、調べた作品や画家への思いをレポート発表から振り 返り、自分の価値意識をもって批評し合うことで美意識を高め、価 値意識の幅を広める。 5 本時の授業 (1)目標 ○作品について描かれているもの・形・色の視点から自分なりの価値意識をもって、作品のよさや美しさを味わう ことができる。 <鑑賞の能力> (2)対話活動の工夫 自分にない価値意識を広げるために、3人グループにして意見交換を活発にさせる。 (3)学習過程 ○学習活動 ・予想される生徒のあらわれ ・教師のかかわり ◎評価 ○ピカソの顔と名前を紹介する。 ・この理解しがたい構図はピカソだ。 ・この絵でスペイン人はピカソだ。 ・ピカソに興味・関心をもたせるために、名前や顔写真を ヒント(出身地・何歳ごろの写真かなど)を出しながら使 ってクイズ形式で発問をする。 ・課題に対してさらに興味をもたせるために、視覚教材(テ レビ)を使いながら説明を行う。 ○ピカソの作品(泣く女)について3つの視点で鑑賞を行 い、本時の鑑賞活動の仕方について学び、ピカソの作品 のイメージを広げる。 ・ピカソの作品に描かれているものは髪が長いから女の人 だ。 ・形がおかしく見えておもしろいのは目や鼻の位置がおか しいからだ。 ・本時で行う鑑賞の仕方について全員に共有させるため に、教師がピカソの作品について発問形式で見本を見 せ、鑑賞の仕方を指導する。 ・視点を意識させるために、板書にて視点を提示する。 ・本時の活動でのポイントを意識させるために、鑑賞する 際は、そう思う根拠を示すことが重要なことを伝える。 ○3人グループになり、6枚の作品を3つの視点から鑑賞 する。 ①6枚の作品について、1枚ずつ全体の印象・描かれてい るもの・形・色の視点についてどうしてそう思うのか根 拠も示しながらワークシートに記入する。 ・細部まで細かく本物のように写実的に描かれていると思 うのは形を正確にとっているからだ。 ・色が派手に見えるのはたくさんの色を使っているから だ。 ・6枚の作品を詳細に見ることができるよう、グループに 1セット6枚の作品のアートカードを配布する。 ・3つの視点を持って鑑賞することを意識させるために、 3つの視点から自分の考えを書きこむよう助言する。 ・円滑に活動を行うために、1枚の作品の鑑賞時間を提示 し、活動させる。 ○本時の目標を確認する。 ・活動を明確にするために、ピカソの作品(泣く女)と先ほ ど鑑賞した6枚の作品を見比べ、6枚の中からピカソの 絵を当てるクイズを行うことを伝える。 6枚の作品の中から、根拠を示しながらピカソの作 品を見つけよう。 ②3人グループで各自6枚の鑑賞の結果をもとにピカソ の作品(泣く女)と見比べ、根拠を示しながら意見交換を 行い、班の意見をまとめる。 ・班で意見をまとめ、配布した紙に記入する。 ・この構図は、女の人が描かれていて美しさを表現してい るように見えるから、ピカソの作品に似ている。 ・各班の答えの根拠が他の班に伝わりやすくするために、 視点ごとの選んだ理由と答えをホワイトボードに記入 するよう指示する。 ・発表の際に各グループの意見を見やすくするために、ホ ワイトボードの書き方を指導する。 ③各グループの考えをホワイトボード記入し代表者が提 示しながら発表する。 ・筆のタッチや構図が泣く女に似ているので、 これがピカソの作品だと思う。 ・考えを広げるために、特に根拠の着目点が他のグループ と違うグループを発表させる。 ・発表を円滑に行うために、発表者を決めておく。 ・ホワイトボードの言葉に注目させるために、発表を聞け る場所に生徒を移動させる。 ○振り返り(自己評価)等を記入する。 ◎作品について描かれているもの・形・色の視点から自分 なりの価値意識をもって、作品のよさや美しさを味わう ことができる。(ワークシート・観察) <鑑賞の能力> ・自分の価値意識を広げるために、他の班の意見を聞いて 自分の考えとの相違点に気付けるよう助言する。 ・次時でピカソに興味をもたせるために、本時の答えを発 表し、ピカソについて感じたことをワークシートに記入 させる。
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