②世界一のワイン作りをめざして

ふるさと山梨(小学校版) ふるさと山梨を探ってみよう 「3 山梨の地場産業」
し
2 世界一のワイン作りをめざして【甲州市】
せ
かい
こう しゅう
(1)ワイン作りの足あと
やま なし
ゆう めい
ぜん こく
山梨 と言えば,「ぶどう」が有 名 です。全 国 の
パーセント
やま なし けん
のう りん すい
ぶどうの 25 % が山梨県で作られており(農林水
さん しょう しら
せい さん りょう
産 省 調 べ),日本一の生 産量 をほこります。その
き げん
かか
つぎ
でん せつ
のこ
ぶどうの起源 に関わって,次 のような伝 説 が残 さ
れています。
しゅ ぎょう そう
ぎょう き
ひ かわ
ゆめ
修 行 僧の行 基が,日川のほとりで修行をしていると,夢の中で,
も
やく し にょ らい
あらわ
だい ぜん じ
た
ぶどうを持った薬師如来が 現 れたので,お寺(大善寺)を建て,
さい ばい
ぞう
大善寺薬師如来像
ふ きん
薬師如来をおまつりしました。また,ぶどうの栽培も,この付近か
はじ
つた
ち いき
ら始まったと伝 えられています。これは,この地域 が古くからぶ
さか
ものがた
どう作りが盛んだったことを物語っています。
めい じ
じ だい
ほん かく てき
明治時代に入ると,このぶどうを生かしたワイン作りが,本格的に
かつ ぬま
たか の まさ なり
つち や すけ じ ろう
スタートしました。1877(明治 10)年,勝沼の高野正誠,土屋助次郎
りゅう けん
は
(竜 憲)の二人の青年が,ワイン作りの本場フランスへ派けんされ,
ほう
ぶどうの栽培法とワインの作り方を学んできました。二人は帰国後,
つく
ど りょく
ワイン作りのために力を尽し,その後多くの人びとの努力によって,
勝沼ではワインの生産が盛んになっていきました。
二人が学び,伝えたことが,今日の勝沼の
もと
ワイン作りの基になったんだね。
たか の
つち や
高野さん(左)土屋 さん(右)
し やく しょ
(甲州市役所より)
げん ざい
やく
現 在 では,山梨県内にある約 80 のワイン工場のう
あつ
ち,30 の工場が勝沼に集まっています。そして,ワイ
か
な がわ けん
つ
だい
い
りょう
ンの生産量は神奈川県に次いで,全国第2位の 量 をほ
さい きん
こっています。最近では,山梨でできたといわれる日
こ ゆう
ひん しゅ
つか
本固有の品種「甲州ぶどう」を使った「甲州ワイン」
ひん しつ こう じょう
の品質向上 に力を入れています。
勝沼ぶどうの丘の地下ワインカーブ
か じつ しゅ
たん い
ワイン(果実酒)生産量(2012 年) 単位:kl
たな
かき ね
棚 ではない「 垣 根栽培」にもチャレンジ
こく ぜいちょう
(国税 庁 )
3
甲州ぶどう
ぶどうの生産があまり盛んではない神奈川県が,ワイ
ン生産量1位なのは,なぜかしら?
ふるさと山梨(小学校版) ふるさと山梨を探ってみよう 「3 山梨の地場産業」
(2)これからのワイン作り
やまなし
はっしん
①山梨から全国へ,そして世界へ・・・甲州ワインを発信!
よこ うち ち じ
こく さん
甲州ワインのマークと横内知事(左)
ぎんしょう
よう す
さん ぎょう ろう どう ぶ
じょうぞう
(勝沼 醸 造 より)
(山梨県産業労働部より)
(山梨県産 業 労働部より)
じゅ しょう
世界コンクールで銀 賞 を受 賞
国産ワインコンクールの様子
とり くみ
甲州ぶどうを使った「甲州ワイン」を多くの人に知ってもらうための取組が始まっていま
どく じ
しゅっぴん
す。甲州ワイン独自のマークをきめたり,国内や海外でのコンクールへの 出 品をしたりして,
甲州ワインのすばらしさを世界中に伝えています。
②新しいワインの使われ方
こ ばやし ぼく じょう
飼料に混ぜるぶどうの皮(左)とそれを食べる牛(右)(小 林 牧 場 )
ぶた みそ か
ワイン飼料を食べる豚 (晦 日ファーム)
かい はつ
とく
ちく さん
し りょう
ワインの新しい使われ方が開発されています。特に畜産の世界では,飼料にワインやぶど
かわ
ま
ぶた
し いく ほう ほう
うの皮を混ぜ,豚や牛に食べさせる飼育方法が行われるようになってきました。それらを食
どう ぶつ
べた動物の肉は,やわらかく,おいしくなるといわれています。
さいきん
かく ち
最近では全国各地のスーパーマーケットなどで,「ワイン豚」や「ワインビーフ」のブラ
ンド名で売られています。
か だい
これからの山梨のワイン作りでは,左のグラフ
③これからのワイン作りの課題
(戸)
のう か
甲州市の農家数
げん しょう
ち きゅう おん だん か
あん か
のように①農家 の減少 や②地 球 温暖化,③安価 な
がいこくせい
ゆ にゅう
外国製 ワインの輸 入 などについて課題がありま
す。
上のような課題がおこるのは,なぜでし
もんだい
ょうか。また,どうしたらそれぞれの問題
かいけつ
(年)
(農林水産省農林業センサスより作成)
さんこう ぶん けん
れ き し どくほん
くにぶん か かん
●参考文献:歴史読本「ぶどうの国文化館」
が解決できそうですか。「世界一のワイン
よ
作り」をめざして,みんなで良いアイデア
を出し合ってみましょう。
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