WING DAILY

 WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 第1643号 2008年(平成20年)04月04日(金曜日)
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(1)
Airline & Aviation E-mail News
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【HEADLINE NEWS】
羽田国際枠のANAのスタンス、国際枠の拡大を
小型多頻度運航、受入空港のキャパ懸念
★ANA、羽田−香港開設「ある意味冒険」
成田−香港兼ね合いは「トータルでプラスに」
2010年に供用が開始されるD滑走路により、羽田は11万
回/年の発着枠が増強される。そのうち、3万回が国際線に、
8万回を国内線に振り分けることが示されているが、既報の通
り、横浜市、東京都など周辺自治体で国際線枠の更なる増加
と、ペリメーター・ルールの見直しを求める動きが強い。
では運航会社としてのANAではどうみているか−−−。
「半分以上が国際線に振り分けられる方がANAにとっては間
違いなく戦略に合致する」と自社の戦略上、国際線枠の増加
を主張する。ただ、これはANAにとってだけではなく、「国
益など日本全体のことを考えても、羽田増枠分をあらかた国
内線に振り分けてしまうことはもったいない」と考えている
ようだ。とくに「相手側の空港のキャパシティを含めて、あ
まり羽田から小型航空機を多頻度運航することは、現実的な
選択ではないのではないか」と考えている。
またANAでは、先に掲げた中期戦略のなかで羽田国内線拡
大に大きな期待を抱いていることは間違いない。羽田からの
地方へのネットワーク拡充は旅客利便性の観点からすれば良
いと考えているようだが、、現有フリートでは国内線8万回と
いうのは「現実的ではない」とも考えているという。
一方で、リージョナルのような機体で小型多頻度運航をす
るという考え方もあるが、羽田の貴重な枠の有効活用という
ことを考えた場合、ANAは決して好ましい戦略とは考えてい
ないようだ。「最低限国内線の充実を図るけれども、国際線
に、より比重をおいていくことが必要で、それこそが全体の
利益に叶うことではないか」とANA側は主張している。
全日空(ANA)は去る4月1日、羽田−香港線を開設した。
同線は安倍内閣の下、アジアゲートウェイ構想と並行するか
たちで進められてきた。アジアゲートウェイ構想で認められ
た羽田の特定時間帯(午後8時半〜11時の出発、午前6時〜8
時半の到着の時間帯)を利用しており、ANAとしても深夜時
間帯の活用ということで、需要面でのリスクや人員などを整
えるためのコストなど、開設までには様々なリスク、壁に直
面したようだ。就航先の現地・香港において、記者団による
ANA企画部の宮川純一郎担当部長による合同インタビューが
行われた。
そのリスクのもとに開設された羽田−香港線だが、初便は
羽田→香港で約9割の利用率に、一方で香港→羽田初便は満席
状態となり、好スタートを切った。既報の通り、周辺自治体
関係者らは再拡張後の羽田国際枠の更なる拡大やペリメー
ター・ルールの見直しに向けての一石として、同線に寄せる
期待も大きい。 深夜時間帯の活用ということで、ANAにとっても「ある意
味冒険」だったと語る。とくに香港発→羽田着便は香港を深
夜01:30に出発するという便のため、「どれだけ需要がつく
かという問題もあった」としている。営業サイドでは、かな
りシビアな収益計算もでてきたこともあったようだ。
しかし、考え方によっては、1日の滞在時間を有効に活用で
きるというメリットもある。観光はもちろんのこと、ビジネ
スにも有効に活用できそうだ。たとえば、強行スケジュール
にはなるが、羽田発20:45→香港着00:30(NH1275便)に
搭乗してその日は宿泊し、朝からビジネスをする。そして、
その日の香港発01:30→羽田着06:45(NH1276便)に搭乗
すれば、そのまま出社することも十分可能だ。
こういったビジネス需要も1つターゲットだが、香港線のメ
イン・ターゲットは香港→日本の需要だ。香港側の人気観光
地には東京が上位にランクされており、東京での買い物や、
ディズニー・リゾートなどが東京での人気観光地だ。また、
日本から香港への需要も高く、とくに香港経由マカオの流動
も、昨今のマカオブームにのって根強い。このようなことか
ら、羽田−香港線は開設に至ったようだ。
しかし、気になるのが成田−香港線との兼ね合いだ。互い
に旅客の奪い合いになることが懸念される。宮川部長は
「トータルでいけばプラスになるでは」と自信をみせる。
ANAとしても羽田路線が増えた分、自ずと成田からシフトし
てしまうことは想定しているようだが、「潜在的に掘り起こ
せる需要があると思う」と新たな需要が羽田−香港線にの深
夜枠で生まれることに期待感を示した。
アジア戦略室、アジア→第3国のビジネス戦略構想
国際線、「日本市場依存では伸びない」
ANAの中期戦略では、国内線が頭打ちになっている状況を
鑑みて、より伸びしろの大きい国際線にシフトしていくこと
に主眼が置かれている。更なる国際線ネットワーク拡充を戦
略とするANAだが、宮川部長はアジア→第3国という、アジ
アオープンスカイはカボタージュの戦略構想を、アジア戦略
室で研究していることを明らかにした。
宮川部長は「国際線であっても、日本市場に依存している
限りは伸びていかない。伸びているマーケットの需要をどれ
だけ取り込めるかが、今後の国際線展開の大きなポイントに
なる」と語る。
この戦略は、必ずしも日本中心の戦略ではなく、成長して
いる市場を如何に取り込んでいくかが、テーマだ。つまり、
日本を通らない部分について、アジアから第3国にいくような
ビジネス戦略を展開していくことを考えているようだ。
ANAではアジア戦略室を設置した。このアジア戦略室で
は、“アジアから日本を見る”という、これまでの日本から
アジアを見るという視点の切替を行った。
アジア戦略室では、当然、これまで言われているような
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LCCのような第2ブランド設立も研究されている。ただ、
「むしろLCCというのは(ANA本体として)コア・ビジ
ネスのターゲットには入っていないビジネス。あまり積極
的にはやりたくない」のだという。しかし、外航のLCC日
本進出も時間の問題だ。そこで、アジアのLCCを迎え撃つ
ためにも、A N A 本体が正面衝突するのではなくて、
「LCCのビジネスにはLCCで対抗するようなかたちで考
えている」のだ。つまり、LCC構想はANAにとって、
“ディフェンス”の経営戦略とも言える。
“オフェンス”面の経営戦略は、上述した“アジア→第
3国”の戦略展開などがこれにあたる。しかしながら旅客
輸送の3国間輸送は現在の航空協定の枠組みにより運航す
ることとはできない。アライアンスとは別に、路線毎に提
携を結ぶことなども検討されているという。
宮川部長は「ANAとしては使える生産財は限られてい
る。コアなところは自社でやるが、周辺の部分では他社の
力を借りる」と、限られたリソースを、自社のコアとなる
ビジネスに注力することで、より効率良いビジネス展開を
示唆した。国内線では、はっきりとそのかたちが示されて
おり、ANAでは新規会社らと積極的なコードシェア展開
を進めている。
また、国内線については、新幹線との競争が激化してい
る。さらに進められている整備新幹線だが、その関係も
あって「航空の国内需要は頭打ちの状況」だという。値上
げ効果があって、収益は対前年はクリアしているものの、
このままでは国内線は新幹線に押されるばかりだ。「国内
線の事業については、これからどうしていくか、プロジェ
クトチームを組んで、検討している。路線の見直しや、新
幹線に対して、どう競争していくか、国内マーケットをど
うしていくか、ということについて考えなければならない
という危機感はある」と国内線の今後の戦略に危機感を示
した。
【航空関連ニュース】
★関空の対岸りんくうタウン新校舎完成 航空保安大学、移転記念式典6日に開催
航空保安大学校は4月1日に関西空港の対岸のりんくうタ
ウンに移転し、新校舎の落成移転記念式典を4月6日14時
30分から同校で開催する。式典には冬柴大臣も出席する予
定。
羽田空港の校舎は狭隘で訓練施設も老朽化しいるため、
新校舎をりんくうタウンにPFlにより建設していたもの
で、訓練施設も充実し航空路管制、ターミナル管制、飛行
場管制は各シミュレーターを連接し統合した訓練が可能と
なり、これにより空港及び周辺空域の仮想空間の模擬、ま
た天候及び昼夜の時間帯も模擬して航空管制の実習を行
い、現実に即した教育が可能となる。また管制官の教育を
見直し、これまで高卒の管制科2年コースと大卒の半年間
コースに別れていたが、これを大学卆の1年間教育に改め
ている。
施設はPFl事業で、建設は大成建設、事業者はりんく
うカレッジサービス、規模は建設面積6,949,65 、延床
面積21,023,12 、校舎は基礎免震構造で地上3階、体育館
地上2諧、学生寮地上14階、高さ44m、建設期間18年11月
(2)
から20年3月、維持管理の運営期間は20年4月から35年3月。また
設計方針は国際性のある最高の訓練機器を導入し、運営や訓練機
器の変化に対応したフレキシビリティとゆとりの確保、血流認証
によるセキュリティと閉じつつ開く開放性の高いキャンバスの実
現、吹抜と中庭を中心に展開する効率的な立体的なコミュニケー
ションスペースなどが特色としてあげている。
★ATEC、20年度新規事業計画は6項目
航空輸送技術研究センターは20年度の事業計画を策定した。こ
の事業計画は継続事業及び新規事業からなり、新規は6項目、継
続事業は25項目で、うち新規として取り上げる項目は次のとお
り。
▼Tailored Arrivalに関する調査、▼我が国
のSMSの総合的推進の調査研究、▼航空機の修理・改造及び損
傷許容評価に基づく整備要件の調査、▼航空機システムの耐空性
強化プログラム/燃料タンクの安全性技術の調査、▼航空安全マ
ネジメントシステムの推進の実践的ハンドブック作成と実務者向
けのワクショップの開催、▼ATEC創立20周年記念事業準備
なお、継続事業は17年から実施している航空従事者の資格関係
のMPLの調査研究を引き続いて行う。
★関空2月、国際線外国人旅客と通過旅客が微増
関西国際空港がまとめた2月の運営状況の速報値を発表した。
1日の平均旅客数を見てみると、国際線が前年並みの87万5260
人、国内線が12%増の44万791人、内際線あわせて3%増の131万
6051人となった。
国際線の内訳を見てみると、日本人旅客は3%減の57万1200
人、外国人旅客は5%増の26万3860人、通過旅客は5%増の4万
200人と外国人旅客と通過旅客の微増が見られる。
発着回数の1日平均は国際線が前年同月比13%増の6361便、国
内線が20%増の4085便、計16%増の1万446回となった。国際線
の内訳の中では貨物便が36%増の1383回と大幅に便を増やし
た。
貨物扱量を見ると、国際貨物が17%増の6万3059トン、国内貨
物が31%増の4149トンの計17%増の6万7208トン。国際貨物は
積込が14%増の3万3020トン、取卸が20%増の3万39トンと国際
貿易が順調に伸びていることを表している。
★中部、空港島・対岸部の環境監視計画改定
中部国際空港会社(セントレア)と、愛知県企業庁はこのたび
「空港島及び空港対岸部に係る環境監視計画」を改定した。
「空港島及び空港対岸部に係る環境監視計画」は大きく空港島
等の存在に伴う鳥類の影響を把握するために実施される「空港島
等の存在に係る調査」と空港の供用に伴う航空機騒音等の影響を
把握するために実施される「空港の供用に係る調査」に分かれる
が、今回改定したのは「空港島等の存在に係る調査」。
海水の流れ、水質、底質、汀線、海域生物、カワウの生息数な
ど、及び海浜植物の調査を実施してきたが、2006年末までの調査
機関を終え、環境監査結果で存在に伴う環境への影響が認められ
なかったため、調査を終了した。
なおカモメ類等水鳥・カワウの出現状況の調査は2009年度末ま
でを目安に継続していく。
また水質・底質および汀線については環境変化の傾向を確認す
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るために補足調査を2年間実施する。水質調査は調査頻度を
月1回だったのを年4回に、底質については年4回を年2回に、
汀線については調査地域を大野〜内海だったのを大野〜野間
に変更した。
また「空港の供用に係る調査」では引き続き(1)大気質
の常時・定期監視(2)航空機騒音の常時・定期監視(3)航
空機による低周波音(4)タカ類などの渡りを調査してゆ
く。
★セントレア、緊急地震速報の提供開始
中部国際空港(セントレア)は昨年10月から始まった気象
庁による緊急地震速報提供に伴い、同速報を活用し中部国際
空港ターミナルの利用者に館内放送にて緊急地震速報を提供
する。非常放送設備や、屋外緊急通報システムなど既存シス
テムを使用した自動放送で情報提供を行うもので、震度5弱
以上が想定される場合に、チャイム音の後に「緊急地震速報
です。強い揺れに警戒してください。Thisisearthquake
alarm.Pleaseremaincalm.」のアナウンスが流れる。
一般の利用者への提供開始は21日からとなっている。
★セントレア、商業施設新規店舗オープン
名古屋名物手羽先専門店「世界の山ちゃん」など
中部国際空港(セントレア)旅客ターミナルビル4階にて
このたび新規4つ、1つがリニューアルの計5店舗がオープン
する。
旅客ターミナルビル4Fスカイタウン、レンガ通りに4日
オープンするのは衣料品店「ユニクロ」、旅客ターミナルビ
ル4Fスカイタウンちょうちん横町に11日オープンするのはテ
イクアウト専門店「柿安柿次郎」、同日旅客ターミナルビル
4Fスカイタウン、レンガ通りにオープンするのはカフェ、
「カフェ・ド・クリエプラス」。
名古屋名物手羽先テイクアウト専門店「世界の山ちゃん」
は18日旅客ターミナルビル4Fスカイタウンちょうちん横町に
オープン。同日旅客ターミナルビル4Fスカイタウンちょうち
ん横町にリニューアルオープンとなるのは揚げたてはんぺん
が有名な「ねりもの家」となる。
★JALUX、羽田1PTBに「BLUE SKY DINER」オープン
台湾で人気の「京鼎樓(シンディロウ)」が搭乗
JALUXは、羽田空港第1ターミナル南ウィング1番出口前
に、新店舗「BLUESKYDINER」をオープンした。新店舗
は羽田空港第1ターミナル内到着ロビーの既存カフェレスト
ランを改装しリニューアルオープンしたもので、総店舗面積
は192平方メートル。デリコインターナショナルが運営する
もので、人気の「京鼎樓(シンディロウ)」の小龍包をはじ
め、料理意外にもカクテル、カクテル、デザートを取り揃え
た。
この「京鼎樓」は台湾で行列のできる店として有名で、現
在日本においても恵比寿、横浜、千葉に展開している人気
店。空港内での展開は今回のJALUXが初めてとなる。
(3)
★JALUX「トラベルメディスン」教育実施
JALUXは昨年12月より、添乗員を対象に日本渡航医学会・
教育普及委員会監修の教育プログラム「トラベルメディス
ン」を開始しているが、このほど3月にジャルパック専属ツ
アーコンダクターを対象とした教育を終了、旅行業界初の
「旅行健康管理者(トラベルスマネージャー)」資格取得に
協力した。これにより94名が資格を取得した。
「トラベルメディスン」は1960年代欧米で発祥した渡航者
の健康面を幅広くサポートする医療分野のこと。日本では日
本渡航医学会・教育普及委員会の各分野の第一線で活躍する
専門医により、「トラベルメディスンプログラム」教育プロ
グラムとして開発された。
JALUXは、昨年12月から旅行業界の人々が「トラベルメ
ディスン」の知識をもつことで旅行中の健康トラブルを減少
させることが出来るとし、「健康で安全な旅行作り」を目的
に教育普及委員会監修のもとで資格コースJLSS(JapanLife
SavingSupport)という新たな教育プログラムを設定した。
JLSSでは「トラベルメディスン概論」などのベーシック課
程講習をはじめ、感染症の知識取得などを組み込んだアドバ
ンスコース講習課程、AEDの使用法などを学ぶ実技講習を受
講すると、「旅行健康管理者」の修了証が発行される。
【海外メーカーニュース】
★ボーイング、グローバル・アエロノーティカに出資
ヴォート出資分を取得し、アレニアと折半出資に
米サウスカロライナ州で、ボーイング787の胴体組立を実
施しているヴォート社とアレニア・ノースアメリカ社の合弁
企業「グローバル・アエロノーティカ」社の株式の半分を、
ボーイング社が取得することで、三社が合意した。
ヴォート・エアクラフト・インダストリーズ社の出資分
を、ボーイングが取得し、グローバル・アエロノーティカ
は、ボーイングとイタリアのアレニア(フィンメカニカ・グ
ループの1社)の米法人アレニア・ノースアメリカが50%ず
つの株式を保有する合弁会社となる。
なお、ヴォートは、引き続きB787の後部胴体の製造を継続
し、ノース・チャールストンにあるグローバル・アエロノー
ティカの工場に供給していく。
株式の移動は公的な認証を得て正式に発効する。また、
ボーイングのサプライチェーン組織に変更はなく、日本の川
崎重工(中胴の一部と主脚収納部)、富士重工(中央翼)な
どが製造しているB787の胴体部位は、引き続きグローバル・
アエロノーティカに納入され、胴体に組み込まれる。
今回の株式の移動について、ボーイングとヴォートは、
ヴォート社が担当している複合材製787後部胴体の製造に専
念することで、一層サプライチェーンを強化することにな
る、としている。
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【海外エアラインニュース】
★SIA、大阪―バンコク間を5月17日より運休
アジア内とオセアニア方面でスケジュール変更
シンガポール航空(SIA)は、アジアを中心とする近距離
国際線およびオセアニア路線のスケジュールを一部変更す
る。まず、アジア路線では現在週5便運航しているシンガポー
ル—バンコク—大阪線を5月17日(日本発は5月18日)より運
休する。ただし、シンガポール—バンコク線は週39便から週
41便に増便する。また、現在週4便運航しているシンガポー
ル—台北—ロサンゼルス線は10月1日より運休する。
増便する路線については、シンガポール—ベトナム・ホー
チミン線を週21便に増便するほか、シンガポール—ハノイ線
を7月2日より週10便に増便する。シンガポール—上海線は、
3月30日より1日5便の週35便に増便した。また、インド方面
ではシンガポール—チェンナイ線を週10便から週11便に増
便、シンガポール—デリー線は3月30日より週9便体制にし、
さらに今後週14便まで増便する計画。
オセアニア路線については、シンガポール—ブリスベン線
を4月3日より週3便増便し週17便に、さらに7月2日からは週
21便に増便する。シンガポール—シドニー線は、4月8日から
週24便んい増便、6月から1日4便の週28便体制とする。
一方、欧州・中東路線については、シンガポール—チュー
リッヒ線を3月31日より週14便に増便した。また、シンガ
ポール—ドバイ線は現在の週10便を5月18日から週14便に増
便する。
★エーフランス/KLMがアリタリアの買収断念
エールフランス航空(AFR)/KLMオランダ航空グループ
によるアリタリア航空(AZA)の買収交渉は4月2日(現地時
間)、買収条件の一つとなっていたAZA労組の合意が得られ
ず決裂、AFR/KLMは買収を断念した。買収を交渉を進めて
いたAZAのマウリツィオ・プラート会長は辞任、急遽臨時取
締役会を開いて善後策を検討する。
AFR/KLMはアリタリアの再建にはリストラが不可欠で、
そのためにはアリタリア労組の協力が必要だったが、数回の
交渉を重ねた結果、4月2日の期限までに労組の合意が得られ
ず、AFR/KLMはもはや交渉の余地はないとしてアリタリア
の買収を断念した。
★NWAのGW特別運賃、グアム5.5万、ハワイ6.2万円
4月平日運賃、LA4.9万円、NY5.7万円、WDC6.2万円
ノースウエスト航空(NWA)は4月3日、ゴールデンウィー
ク中の各方面行きの特別割引運賃を発表した。それによる
と、グアム5万5000円、サイパン6万2000円、ホノルル8万
4000円、コナなど8万4000円からとなった。
また、米本土線は4月1-24日の平日運賃が、サンフランシ
スコ・シアトル・ポートランド・ラスベガス・ロサンゼルス
が4万9000円、アトランタ・クリーブランド・シカゴ・シン
シナティ・ニューヨーク、フィラデルフィア・ピッツバーグ
が5万7000円、オーランド・ダラス・ニューアーク・ヒュー
ストン・ワシントンDCなどが6万2000円からとなっている。
(4)
★07年度NY主要空港旅客数1.1億人と記録更新
NYNJPA、航空機遅延削減へ新たに誘導路追加
ニューヨーク・ニュージャージー・ポート・オーソリ
ティー(NYNJPA)によると、ジョン・F・ケネディ国際空
港(JFK)、ニューアーク・リバティ国際空港(EWR)、ス
チュワート国際空港(SWF)、ラガーディア空港の2007年度
総合旅客数は、前年より5%増の1億998万3372人を記録し
た。
2007年の空港別の旅客数は、JFKが前年比12%増の4770万
人、EWRが2%増の3640万人、LGAが3%減の2500万人、
SWFが195%増の91万4000人。NYNJPAが昨年11月に正式
に取得したスチュワート空港の旅客数を除く、NY都市圏の3
空港の旅客数は2006年より500万人以上も増え、全米の伸び
率の3倍以上を示している。
今後も旅客需要の増加は続くとみられ、NYNJPAでは、そ
れに対応する取り組みを進めている。
例えば、JKFでの誘導路の渋滞による遅延を緩和し、効率
化を図るため、誘導路と滑走路のアクセスプログラムの開発
に資金を投入する。JFK空港は1億5000万ドルで滑走路のア
クセス改善とJFK遅延削減プログラムを実施するが、誘導路
と滑走路のアクセスプログラムは、その一部として500万ド
ルが投入される。
新しい誘導路と滑走路アクセスプロジェクトは、待機中の
飛行機に対して、スペースを提供して迅速で効率的な出発を
促すとともに、出発機の足場を改善する。
滑走路アクセスプログラムは、空港の収容能力強化、遅延
削減、カスタマーサービスの改善のための計画案を作成する
NYNJPAのフライト遅延対策委員会の100以上ある計画の一
つ。
NYNJPAは60億ドル以上をかけて、JFKの滑走路アクセス
改善のような短期プログラムや空港の長期計画を進めてい
る。
★アエロフロート、新規導入A330型機を成田線に投入
アエロフロート・ロシア航空(AFL)は、A330-200型機
合計10機を今後リースで導入、同機材を成田—モスクワ線に
も投入する計画だ。受領時期は今年10月から2010年4月ま
で。2クラス制で、座席数はビジネスクラス34席、エコノ
ミークラス207席となる。また全座席に液晶モニタ及び衛星
電話を搭載、ビジネスクラスにはライフラット型座席を導入
するなど、サービス面でのグレードアップも図る。
新機材導入決定にあたり、同社CEOのヴァレリー・オクロ
フ氏は「A330型機は、長距離路線における我々のポテンシャ
ルを大きく高め、アジア及び極東の戦略的市場における当社
の占めるポジションを拡張してくれるだろう。これは路線網
の拡大のみならず、高品質な乗客サービスについても言える
ことだ」と説明した。
★CPA、子会社が香港空港の新貨物ターミナル受託
キャセイパシフィック航空(CPA)はこのほど、子会社の
キャセイパシフィック・サービスが香港空港公団から香港国
際空港の新しい貨物ターミナルの投資、デザイン、建設と運
営担当を受託しことに歓迎の声明を発表した。キャセイパシ
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(5)
フィック・サービスは、他の航空会社も利用可能な新貨物
ターミナルを20年間運営する。
CPAでは、年間260万トンの航空貨物処理能力を有する新
しい貨物ターミナルの設計、建設コストとして約48億香港ド
ルを投資する。新貨物ターミナルビルは2001年後半にオープ
ンする予定。
香港空港公団の2007年統計資料によると、香港国際空港の
貨物取扱量は前年比4.5%増の374万トン。CPAと子会社の香
港ドラゴン航空(HDA)2社合計の貨物取扱量は、2006年は
前年比3.2%増の167万トン。HDA分は10月以降分のみ。
1858人、仙台空港が7.3%減の9万4757人、福岡空港が3.3%
減の67万9279人、那覇空港が3.4%減の4万9050人など、軒
並み減少した。
その他の地方空港については、法務省からは実績が公表さ
れていないが、国際観光振興機構(JNTO)が近く発表予定
の2007年訪日外客数・出国日本人数報告で、その他の地方空
港についても実績が公表される予定だ。
【旅行関連ニュース】
一方、年齢別・性別にみると、2007年は女性が1.8%減
(13万6190人減)の748万2892人と、2年連続で減少。男性
も1.0%減(10万3440人減)の981万2043人と、マイナスに
転じた。
年代別では、40代および60代以上は男女ともに増加した反
面、それ以外の世代では男女ともに軒並み減少しており(男
性10〜14才除く)、需要不振の根が深いことを感じさせる。
まず、女性をみると、20〜34才台のいわゆるF1層の落ち込
みが大きく、5%以上減少した。20〜24才は5.9%減、25〜29
才は5.5%減、30〜34才は6.0%減。また、25〜29才は女性で
唯一、2006年まで100万人超の出国規模を保っていたもの
の、2007年は94万9336人と大台を割り込んだ。
これにより、女性20〜34才のF1層だけで、年間15万9345
人もの需要が失われた。0才〜39才台までの合計では、年間
17万9077人の需要が失われいる。さらに、団塊世代を含む50
代も減少しており、50代では前年より6万327人減少した。
一方、60代以上のシニアは引き続き好調で、60〜64才は
7.2%増、65〜69才は3.8%増、70才以上は5.8%増。これによ
り、60代以上では、前年より実数で7万2134人分増加した。
また、40代も好調で3万1080人分上乗せした。
しかし、0〜39才代と50代の減少分(実数)である−23万
9404人の穴を、40代と60代以上の増加分である+10万3214
人で埋めきれず、差し引き13万6190人分減少する結果となっ
た。
★07年の日本人出国者数、1.4%減の1729万4935人
法務省が確定値発表、成田からの出国者も減少
法務省入国管理局がこのほど発表した2007年(1〜12月)
の日本人出国者数(確定値)は、前年比1.4%減(23万9630
人減)の1729万4935人となり、SARS問題で約2割減少した
2003年以来4年ぶりに減少に転じた。海外での大規模災害発
生など、海外旅行を控える原因となる事象の発生は見当たら
なかったものの、原油価格の高騰による航空機代金の上昇が
影響したのではないかとの見方もある、と法務省では分析し
ている。
減少幅自体は1.4%減と小幅な落ち込みに留まっているもの
の、日本人出国者数を住所地別にみると、東京、沖縄、外国
在住者を除き、全ての道府県で前年実績を下回っており、ア
ウトバウンド市場の先行きに影を落としている。
ここ数年の経過をみると、2004年はSARSによる反動増
で、全都道府県で出国者数が増加したが、2005年は、九州全
県や東北の一部等でマイナスに転じ、さらに2006年は、減少
に転じる道県が拡大していたが、それでも東名阪を中心とし
た都市部では増加を維持していた。
それが今回、2007年は、東京都が0.3%増、沖縄県が0.6%
増と、かろうじて前年並みを維持し、外国在住者が6.8%増と
伸びた以外は、いずれの道府県も前年実績を下回る結果と
なった。主要なところでは、愛知県は0.1%減と微減に留めた
ものの、大阪府は2.8%減。首都圏では、神奈川県が1.0%
減、千葉県が2.0%減、埼玉県が2.1%減などといずれも減少
に転じている。
次に、日本人出国者数を空港別にみると、成田空港は0.9%
減の954万7579人と、減少に転じた。成田は05年に1.2%増、
06年は0.6%増、07年は0.9%減で推移、伸び率が年々縮小し
てマイナス局面に入った。一方、羽田空港は、10.1%増の
46万5695人で、引き続き2桁増を維持したものの、増加幅は
縮小してきている。
この結果、成田と羽田を合わせた首都圏2空港合計では、
0.5%減の1001万3274人となり、こちらも減少に転じた。ち
なみに、首都圏2空港から海外に出かけた人は、日本人出国者
数全体の57.9%を占めており、5人中3人が首都圏から出発し
ている。
関西国際空港も、2006年は横ばいの水準を維持していた
が、2007年は4.5%減の368万7939人と減少に転じた。一
方、中部国際空港は、2.5%増の197万3782人とプラス成長を
確保し、中部圏の需要の底堅さを示している。
このほか、主な地方空港では、新千歳空港が7.7%減の10万
20〜34才の女性F1層だけで約16万人の需要失う
40代と60代以上のみ増加、若年不振カバーできず
男性は30代と50代の落ち込み大きく、シニア好調
男性もほぼ同様の傾向で、40代と60代以上は増加、若年層
では唯一10〜14才代のみ0.6%増と微増したものの、残る世
代はいずれも減少した。
男性20〜34才のいわゆるM1層は、実数で11万4215人減少
している。ただし、男性の場合、20代よりも30代および50代
の方が落ち込みが大きく、30〜39才で10万4836人減少、50
〜59才で9万9172人減少している。これには業務渡航の手控
え傾向も影響していることが考えられる。
また、60才以上のシニア層では、女性よりも男性の方が伸
び幅が大きいことは注目される。一般的にはシニア世代で
も、女性の方が旅行ニーズが旺盛と捉えがちだが、人数規模
および増加分(実数)のいずれを見ても、男性が上回ってお
り、男性シニア世代の旅行意欲が旺盛なことが伺える。
60才以上の出国者数は、男性で170万2064人、女性で132
万1231人。また、増加分の実数は、男性で11万4918人、女
性で7万2134人となっており、男性の方が伸びている。伸び
率でみても、60〜64才の男性は唯一、10.3%増と二桁増を記
録している。
WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 第1643号 2008年(平成20年)04月04日(金曜日)
ここまで見てきたように、2007年のアウトバウンド市場
は、地域別にみても、地方に限らず都市部まで不振の波が広
がりつつあるほか、年齢別・性別にみても、30代以下の若い
世代がおしなべて減少するなど、非常に厳しい市場環境にあ
ると言わざるを得ない。
2008年より、2010年の海外旅行者2000万人実現に向けた
ビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)が開始される
が、この逆風をいかに突破していくのか、現状を冷静に見極
めた上で、戦略を立案していく必要性があるものと思われ
る。
※表=2007年の日本人出国者数の詳細
http://wingnews.net/t-daily/data.html
★2007年の外国人入国者数、12.9%増の915万人超
新規入国者数は772万人、ともに過去最高記録
法務省入国管理局がこのほど発表した2007年(1〜12月)
の外国人入国者数(確定値)は、前年比12.9%増(104万
4223人増)の915万2186人となり、初めて900万人の大台を
突破して過去最高を記録した。
このうち、再入国者数を除いた新規入国者数は、前年比
14.7%増(98万7673人増)の772万1258人となり、初めて
700万人を突破した。
ここでいう再入国者とは、日本で就労・勉学等で中長期に
わたり在留している外国人で、里帰りや観光・商用で一時的
に日本を出国し、再び入国した外国人のことを指す。
2007年は、アジア地域からの観光客等の入国者数が昨年に
続き増加しており、外国人入国者数の増加は、観光立国のた
めの諸策の効果が一因と考えられる、と法務省では分析して
いる。
なお、政府が1000万人の目標を掲げる「訪日外客数」と
は、法務省集計による外国人正規入国者数から、日本を主た
る居住国とする永住者等の外国人を除き、これに外国人一時
上陸客等を加えた入国外国人旅行者のことで、国際観光振興
機構(JNTO)から近く別途発表される予定。
【組織・人事】
★航空局人事(つづき)
▼辞職(成田空港事務所総務部長)樋口清司
▼成田空港事務所総務部長(中部空港事務所総務部長)片
野善夫
▼中部空港事務所総務部長(大阪航空局総務部経理課長)
新田淳二
▼大阪航空局総務部経理課長(独立行政法人航空大学校事
務局会計課長)柳瀬一二
▼辞職・3月31日付 独立行政法人航空大学校事務局会計
課長(航空局飛行場部成田国際空港課専門官)若松久晃
▼航空局飛行場部成田国際空港課専門官(東京航空局総務
部航空保安対策課長補佐)上田隆
▼辞職(東京空港事務所空港安全対策官)増田守
▼東京空港事務所空港安全対策官(航空局技術部運航課長
補佐)吉澤司
▼航空局技術部運航課長補佐(那覇空港事務所管制保安部
(6)
先任航空管制運航情報官)松井雅彦
▼辞職(福島空港主張所長)茂谷広志
▼福島空港出張所長(松本空港出張所長先任航空管制運航
情報官)実川貴志
▼辞職(松本空港出張所長)横山義正
▼松本空港出張所長(大分空港事務所先任航空管制運航情
報官)高橋徳志
▼秋田空港・航空路監視レーダー事務所長(新潟空港事務
所先任航空管制技術官)坂本貢雄
八丈島空港・航空路監視レーダー事務所次長(松本空港出
張所先任航空管制技術官)斉藤康治
▼函館航空路監視レーダー事務所長(秋田空港・航空路監
視レーダー事務所先任航空管制技術官)木暮秀樹
▼石巻航空路監視レーダー事務所長(いわき航空路監視
レーダー事務所先任航空管制技術官)桜井清
▼八戸航空路監視レーダー事務所長(花巻空港出張所先任
航空管制技術官)木元八十吉
▼大和航空路監視レーダー事務所長(青森空港出張所先任
航空管制技術官)田上光作
▼浜松航空無線標識所長(長岡航空路監視レーダー事務所
主観航空管制技術官)堀越明
▼友部航空無線通信所長(いわき航空路監視レーダー事務
所主幹航空管制技術官)大友信明
▼坂戸航空無線通信所長(大館能与空港出張所主幹航空管
制技術官)高澤直樹
▼辞職(常陸太田航空衛星センター所長)富田吉郎 ▼常陸太田航空衛星センター所長(福岡区校事務所管制保
安部先任航空管制技術官)五嶋茂夫
▼辞職(大阪航空局総務部航空保安対策課長)稲村良明
▼大阪航空局総務部航空保安対策課長(近畿運輸局交通環
境部消費者行政・情報課長)橋元正己
▼近畿運輸局交通環境部消費者行政・情報課長(関西空港
事務所総務部会計課長)板東誠
▼辞職(大阪航空局飛行場部補償課長)山田正樹
▼大阪航空局飛行場部補償課長(広島空港事務所総務課
長)岡部治
▼大阪空港事務所管制保安部次席航空管制官(航空局飛行
部関西国際空港・中部国際空港管理官)稲村直人
▼航空局飛行場部関西国際空港・中部国際空港監理官付専
門官(大阪航空局保安部管制課航空管制調査官)上西克典
(続く)