平成26年度物理学演習 IA(力学I 演習)

平成26年度 物理学演習 IA(力学 I 演習)
演習の方針
(1) 誰が解くかは毎回直前に乱数表を元に決める。4 限の力学 I 授業の最後にまず
数人指名するので、休み時間にあらかじめ解答しておくこと。
(2) 単位取得に必要な発表回数は 4 回(状況次第で 3 回又は 5 回)以上とする。
(3) 指名されたものの解けない場合は −1 回、出席さえしていない場合は −2 回と
数え、一度でも −4 回を下回った時点で単位は出さないものとする。
(4) 解けない人が複数(何人かはこちらが設定した難易度による)出た場合、自発
的に解く人を募る。この場合の発表点は当然高く設定する。
(5) 逆にあまりにも酷い発表は 0 回あるいは −1 回の扱いとする。基本的には 0.5
を単位として足し引きする。
(6) 問題は毎回原則として使い切る。解ける人がいなかった場合はレポートにす
る。ただし、状況次第では次回への持ち越しを許すこともある。
発表の心得、作法
(1) 学籍番号、名前を書くこと。発表開始前には名乗ること。
(2) 人前で発表するというのはいかなる時も要求される能力である。単に問題を解
くことだけが目的の授業ではない。自分が授業しているのだとういう意識を
持って、どのような発表をすべきかよく考えること。最低限「声の大きさ」と
「聴衆の目を見る」ことだけは心がけよ。
(3) 聞く方も会議の場にいるという意識をもつこと。積極的に質問し、また上記の
目的もあるので、お互いに発表の技術を磨く場であるとして、目についた点を
指摘してあげること。自分の欠点は分からないが、人の欠点はよく見える。授
業という場である以上指摘しないことこそが「失礼なこと」であると知れ。
(4) 問題が多いので、時間内に終わらせるためには自分がどれくらい時間をかけて
いいのか、問題の難易度に照らし合わせてよく考えること。「必要な情報を落
とすこと」以上に「不必要な情報を加えること」がやってはいけないことであ
ることと心得よ。配分が分からないうちは、単に問題を解くだけでなく、発表
の予行演習もしておくこと。
(5) 論理の展開、つまり何を前提として、どういう理由、理論に基づいて何を説明
するのか、ということに心を砕くべし。
1
(6) 問題を解くにあたって必要な情報を必ずしも全て与えてはいない。論理の展開
に必要な設定は自分で考えること。
その他
(1) 他人と相談するのは奨励。ただし、一方的に聞き役になることはないように。
(2) 教員、TA への質問も可。ただし、「答えを教わる」という態度は不可。(1) の
場合とも共通するが人に聞く場合でも最低限、「今、自分は何を考え、どこま
で理解し、何が理解できないのか」、を説明するよう心掛けよ。
(3) とにかく手を動かすこと。頭の中で下手に考えるより、何でもいいから書いて
みること。「下手な考え休むに似たり」。数式が言語である、という観点に立
てばすぐに分かるのではないだろうか。
(4) 世の中、自分から積極的に参加しないものにはとことん冷たい。高校までのよ
うに「先生」が手を差し伸べてくれることなどないと自覚せよ。
(5) 計算の方法を知ることと本質を理解することとは決定的に違う、ということを
実感できるようになろう。
(6) ネットで調べるのもいいが、その後で文献あるいは他のサイトを見るなどして
きちんと検証すること。ネットであろうと文献であろうと、意図的か単なるミ
スかはともかく、間違いが含まれている。学部レベルの物理や数学は論理さえ
理解できていれば、正しい内容を自分で導ける。ネットリテラシーの修得とい
う観点からも、単に見比べるだけでなく、自分で考えるということを通した検
証を心がけよ。
(7) 「明日からがんばるんじゃない・
・
・今日・
・
・今日だけがんばるんだっ・
・
・
・
・
・! 今日
をがんばった者・
・
・今日をがんばり始めた者にのみ・
・
・明日が来るんだよ・
・
・!」
(とある漫画から)
2
演習問題(第 1 回)
1
ax2 + bx + c = 0 を x について解け。
2
n
(1 + a) =
f
X
c k ak
(1)
k=i
において i, f, ck を求めよ。
3
(1)
d
(f g) = f ′ g + f g ′ f, g : x の関数(f (x), g(x) の略記)
dx
(2)
を証明せよ。
(2)
dn
(f g) f, g : x の関数(f (x), g(x) の略記)
dxn
(3)
を (1) と同様の形式で表せ。
4
◆ネイピア数(自然対数の底)e について
定義その1:
n
1
n:自然数
e = lim 1 +
n→∞
n
3
(4)
(1) 上に与えた定義を元に
t
1
e = lim 1 +
t:実数
t→∞
t
(5)
が成立することを示せ。
(2)
x
e = lim 1 +
n→∞
n
x
n
(6)
が成立することを示せ。
(3)
x
e =
∞
X
ak x k
(7)
k=0
の形に書く。(6) を用いて ak を導出せよ。
• 一般に、(7) の右辺の形に関数を表現することを冪展開と言う。また、関数 f (x)
が与えられたときに (7) のように
f (x) =
∞
X
ak x k
(8)
k=0
の形に書くことをテイラー展開 (この例の場合はより限定的にマクローリン展
開ということもある) という。テイラー展開の可能性や収束半径などの言葉は
自分で学習しておくこと。
5
初項 1、公比 x の等比数列を考える。
(1) 第 n 項までの和 fn を、和の記号
(2) fn を簡単な形に書き直せ。
P
を用いて表せ。
(3) 数列 fn は、x がある条件を満たす時、ある関数 f (x) に収束する:
lim fn (x) = f (x)
n→∞
その条件と f (x) を求めよ。
4
(9)
• ここでの結果を逆に解釈すると、(3) の条件が満たされているときに f (x) は
(1) で無限和をとったものとしてテイラー展開されたと見做すことができるこ
とに注意せよ。
• f (x) 自身は (3) で与えられた x の定義域より広い範囲で収束する。よって、(1)
で無限和をとった関数を逆に f (x) で定義できる可能性があると解釈できる。
実際、このように再解釈して定義域を広げることを解析接続という。これは複
素関数で出てくる重要な概念の一つである。
6
[a]n ?(∗) を、自然数 a を自然数 n で割った時の余りとする。
(1) [2100 ]5 =?
(2) [3100 ]5 =?
(3)
[2m + 3m ]5 = [0]5
(10)
を満たす m を (∗) の記号を用いて表せ。
なお、通常 [a]n の同値関係 [a]n = [b]n は、
• a ≡ b mod n
のように表す。合同式という名でよばれることも多い。”mod”は modulus を
意味する。例えば [8]5 = [3]5 = 3 は、
8 ≡ 3 mod 5
と表す。また、あらかじめ同値関係 (右辺でいう5の部分) が定義されている
時には、a ≡ b の代わりに a ∼ b のように表すこともある。
7
(1)
(
a ≡ a′ mod n
⇒
b ≡ b′ mod n
(
a + b ≡ a′ + b′ mod n
ab ≡ a′ b′
mod n
を示せ。
(2) 偶数 E(”E”ven の意)、奇数 O(”O”dd の意) をこの記号を用いて表せ。
5
(11)
8
次のような「数」を導入する。
z ≡ (x, y) (一般に zi = (xi , yi ) と対応させる)
(12)
ここで ≡ は「左辺を右辺で定義する」という意味の記号である。数学では違う記号
を用いることが多い。また、x, y は実数を表す。この数に対して演算規則 +, × を次
のように導入する。
z1 + z2 = (x1 + x2 , y1 + y2 )
(13)
z1 × z2 (= z1 z2 と略記) = (x1 x2 − y1 y2 , x1 y2 + x2 y1 )
(14)
ただし、右辺カッコ内の四則演算は通常の実数に対するそれである。さらに、実数
a との掛け算を
az = (ax, ay)
(15)
とする。
(1) I を任意の z に対し、
zI = Iz = z
(16)
を満たす“ 数 ”とする。I を求めよ。
(2) 逆数 z −1 (この段階では指数の部分まで含めて一つの記号であることに注意) を
zz −1 = z −1 z = I
(17)
を満たす“ 数 ”として定義する。z −1 を求めよ。また、z −1 が定義できない場
合はどのような場合か。
(3)
z+0=0+z =z
(18)
で 0 を定義する。0 はどのような数か。
(4)
z + (−z) = (−z) + z = 0
(19)
を満たす数として −z を定義する。−z はどのように与えられるか。ここでも
「−z 」で一つの記号であることに注意。
6
9
問題 8 で定義した数 z = (x, y) の指数関数を考える。
(1) 指数関数が満たすべき条件として
e z1 e z2 = e (20)
ez = ex (cos y, sin y)
(21)
がある。 を書け。
(2)
と置くと (1) の条件が成立することを示せ。
(3) 8(2) より
(ez1 )−1 = e−z1
(22)
が成立することを示せ。以上より、指数関数が定義できる。
(4) 一般の実数 a に対しては
a = elog a
(23)
であることを用いて、一般に指数関数が定義できることを示せ。
なお、大学で使う数学では、断りがない限り対数は自然対数を意味する。
10
初速度 v で上方へ質量 m の質点を打ち上げる。g を地表における重力加速度と
する。
(1) v, m, g の MKSA 単位系における単位を書け。
(2) (1) の知識を使って
(ア)mv (イ)mg (ウ)v/g (エ)g/m
の中から最高点に到達するまでの時間としてあり得ないものをその理由と共
に述べよ。
7
11
LCR 回路を考える。初めに、コンデンサに電荷 Q を蓄える。
(1) L, C, R, Q の MKSA 単位系における単位を書け。
(2) 放っておくと電流は流れなくなる。実質、電流が 0 になるまでの時間を減衰時
間というが、その時間の目安になる可能性がある量は次のうちどれか。理由を
と共に述べよ。
(ア)R/C (イ)LR (ウ)CQ (エ)LC
• 以上は高校の教科書にも出てくる次元解析の考えかたである。物理の本質が顕
われるので、よく理解しておくこと。また、単位というものについてもよく考
えること。
12
(1) 高校の教科書に出てくる、自由落下する質点の力学的エネルギー保存則を表す
式、を書け。
(2) この式に於いて仮定されている物理的状況は何か。
(3) この式から自由落下する質点の運動方程式を導け。
13
一方の端点が固定されたばねの、もう一方の端点に固定された質点に対して 12(1)
∼(3) と同じ問いに対する答えを求めよ。
• ここで行なった式変形は、解析力学、と呼ばれる理論形式 (力学をより理論的
に見通しのよい形に書き直した形式) の出発点となる考え方なので、単なる数
遊びと思わないこと。数式は言語なので、通常の言語同様「書き換え」によっ
て全く別の意味を見いだせるようになることがある。そしてこの二つの問題は
その典型例となっている。
8
演習問題(2 回目)
14
(1) 体の定義を書け。
(2) (1) の定義から、最小の体はいくつの元を含むか、推定せよ。
(3) (2) で推定した集合が体であるように、元の間の演算規則を定めよ。
15
(1) 問題 8 で与えた z の集合が体の定義を満たすことを示せ。
(2) また、これは一般に何と呼ばれる数になっているか
• 「体」というのは、通常の数という概念を抽象化したものである。言い方を
変えると、数という概念のうち本質的に必要な性質を抜き出したものである。
この先、これまでと違う様々な「数」を扱うことになるが、この本質の部分を
理解していればそれほどとまどうことなく理解できる。そうでないと、新しい
「数」が出てくるたびに、すべての性質を覚える必要が出てきてしまい、その
「数」を使いこなす前に考えるのがいやになる。
• 他のことについても同様で、本質は何か、そこから導ける性質は何か、これま
で当たり前だと思っていた性質はその本質に何を付加したものか、と言うこと
を常に意識すること。
• 実数が直線に対応しその直線を数直線と読んだように、問題 8 のように (2) の
答えになっている「*数」を平面に対応させることができその対応させた平面
を「*平面」と呼ぶ。これは見方を変えると、2 次元ベクトルに式 (14) で定義
させる「かけ算」を導入することにより「*数」が定義できる、と見なせるこ
と意味する。
16
2 次元実ベクトルを考える。2 つのベクトル A = (a1 , a2 ), B = (b1 , b2 ) から実数を
取り出す操作
(A, B) ≡ a1 b1 + a2 b2
を定義する。
9
(24)
(1) ユークリッド空間における長さの意味で、|A| =
p
(A, A) であることを示せ。
(2) (A, B) = |A||B| cos θ を示せ。ただし、θ は A, B の成す角を表す。
(3) A/|A| は単位ベクトル(長さが 1 のベクトル)であることを示せ。
(4) (A/|A|, B) はベクトル B の A に平行な成分を取り出す操作に対応することを
説明せよ。
17
(1) ベクトル空間の定義を書け。
(2) 数の組の集合 V = {(x, y)|x, y ∈ R}, a ∈ R に対して
(x1 , y1 ) + (x2 , y2 ) = (x1 + x2 , y1 + y2 )
(25)
a(x, y) = (ax, ay)
(26)
(右辺の () 内でのそれぞれの項の和、積は通常の実数の四則演算)で要素同士
の和と定数倍を定義する。この集合 V がベクトル空間をなすこと、つまり (1)
で与えた条件を満たすこと、を示せ。
18
(1) 内積の定義を書け。
(2) 式 (24) が内積の定義を満たすことを示せ。
• 「ベクトル」というと、高校では、長さと方向を持った量、と説明される。こ
れ自体間違いではないが、その本質は問題 17 で与えた定義に集約される。ま
た、内積にしても同様に問題 18 の定義に集約される。つまり、高校で習うベ
クトルや内積はその本質にさらに付加的な要素を加えたものに過ぎない。
• ベクトルを基底で分解する、と言う操作は行ったことがあると思うが、この基
底というのは内積が定義できるベクトル空間に固有のもので、ベクトルだから
といって必ずしも基底ベクトルが存在するというわけではない。つまり、ベク
トル空間にとっては、内積というのは付加的な条件であり、高校で習うように
一体となったものではない。
• この本質を理解すると、実は、学部1− 2年次に勉強する物理学に出てくる関
数はベクトルであることがわかる。しかも、内積が定義できるので「基底ベク
トル」(に相当する関数群) で関数を展開できることがわかる。いわゆるフーリ
エ展開と言われるものはその一例である。
10
• さらに、ベクトルを違うベクトルに変換する操作は、高校で習うベクトルに対
しては行列で定義されるが、実はこの考え方も一般化できる。たとえば、微分
というのを行列で書くことが出来る。したがって、微分方程式を解くというの
は、実は行列演算をする (逆行列を求める) ことに対応することになる、と言
うのがそのうち分かるようになる、· · · 、はず。
19
オイラーの公式
eiθ = cos θ + i sin θ
(27)
を示す。
(1) 複素数の絶対値の定義に従って |eiθ | = 1 を示せ。
(2) (1, 0) という点を有限な大きさの角 θ だけ原点周りに回転したとき得られる点
は何か。
(3) z = cos θ + i sin θ に対して偏角を δθ だけ増やす。δθ ≪ 1 として、増やした後
に得られる点に対応する複素数が z ′ = (1 + iδθ)z となることを示せ。ここで
≪ は「左辺が右辺に比べて十分に小さい」という意味の記号である。また、図
に示されているように、この回転で張られる弧の長さは δθ で与えられる。
(4) 有限な角 θ を非常に大きな数 n で分割する。そうすると、角度 θ の回転は、
角度 θ/n を n 回、回転したものとして近似できる。従って、このようにして
z = (1, 0) を回転して得られる結果と (2) の結果とは n → ∞ で一致するはずで
ある。このことから、オイラーの公式が成立することを示せ。
• ここで示されるオイラーの公式 (27) は、問題 9 にある式 (21) において x =
0, y = θ としたものに対応する。
11
• ここで行った式変形は、有限な変換 (変化) というのは無限小の変化を無限回
積み重ねたものとして得られる、という物理学の基本的な考え方の具体例の一
つ。そして、無限小変換を無限回行って有限の変化を引き起こす物理的操作を
「e」が表していると見なすことができる、ということを表している。
20
他の形でオイラーの公式 (27) を示す。
(1) 式 (27) の左辺が満たす 1 階の微分方程式と θ = 0 での値を求めよ。必要なら
問題 4 の結果を用いよ。
(2) 右辺が満たす 1 階の微分方程式と θ = 0 での値を求めよ。
(3) c を定数として、
f ′ (x) = cf (x)
(28)
と言う形の微分方程式は、初期値を定めれば一意に決まることを示せ。
(4) 以上の結果よりオイラーの公式が成立することを説明せよ。
21
問題 4 とオイラーの公式を用いて、以下の各問で i, f, ak を求めよ。
(1)
cos x =
f
X
ak x k
(29)
ak x k
(30)
k=i
(2)
sin x =
f
X
k=i
12
22
(1) e がいくつか調べよ。
(2) これまでの演習の結果を用いて、
e=
∞
X
an
(31)
n=0
の形に書け。
(3) (1) の結果を 1% 以内の誤差で再現するためには、第何項まで取ればいいか計
算せよ。また、0.1% ではどうか。
23
問題 4 の結果から、|x| が十分小さければ
ex ≃ 1 + x
(32)
と近似できることが分かる。
(1) 1% 以内の誤差でこの近似が成立するのは x がどの範囲にあるときか。
(2) 0.1% ではどうか。
(3) (1) の x の範囲で 0.1% 以内の誤差に収めるには、x の巾はどこまで取り入れる
べきか。
24
問題 21 の結果から、|x| が十分小さければ
cos x ≃ 1,
sin x ≃ x
(33)
と近似できることが分かる。それぞれに対して以下の問いに答えよ。
(1) 1% 以内の誤差でこの近似が成立するのは x がどの範囲にあるときか。
(2) 0.1% ではどうか。
(3) (1) の x の範囲で 0.1% 以内の誤差に収めるには、x の巾はどこまで取り入れる
べきか。
• このように、|x| が充分小さければ、簡単な多項式で元の関数を表すことが出
来る。一般的にはテイラー展開と言われる近似で、非常によく使う手法なので
その意味を理解し、慣れること。
13
25
f (x) = ex を
df (x)
= f (x) f (0) = 1
dx
(34)
を満たす関数として定義する。
ex =
∞
X
ak x k
(35)
k=0
と置いて、ak が問題 4 と同じになることを確かめる。
(1) a0 を求めよ。
(2) ak の間の漸化式を求めよ。
(3) ak を求めよ。
• ここで行ったことは、微分方程式を解く手法の一つとして、もっともよく使わ
れる方法である。
すなわち、(1) 解を式 (35) の形に置き、(2) 元の微分方程式にこれを代入し、
(3) 係数がどのような条件を満たすべきかを導き、改めて、式 (35) の係数がこ
の条件で与えられる係数である、とする形で解を決定するのである。
26
Z=
x −y
y x
!
x, y ∈ R
(36)
という行列を考える。和と積の定義は行列のそれとする。
(1) Z が複素数に対応することを示せ。
以下では、行列に対する演算(和、積、転置、トレース、行列式、など、要素を
直接操るのではない演算)、で定義せよ(できれば複数)。
(2) “ 複素共役 ”Z¯ はどのように定義できるか。
(3) 極形式の r を取り出すにはどのような定義が考えられるか。
• 問題文に書いた演算がどのようなものであるかは自分で調べること。必要があ
れば、代数および幾何、で簡単な解説をお願いする。
14
演習問題(3 回目)
27
前問に引き続き、
(1) “ 虚数単位 ”と“ I ”に対応する Z は何か。
(2) 実部、虚部を取り出す演算は何か。
(3) (x, y) は 2 次元ベクトルと見なせる。このことをヒントに、Z1 , Z2 の間の内積
を定義し、それが問題 18 の定義を満たすことを確かめよ。
28
複素数は 2 次元平面に対応させることができるので、平面の座標を極座標で書い
た形式も存在する。つまり、平面上の点を原点からの距離と x 軸から測った角度で
表す形式である。ただしこのときの角度は弧度法で表す。
(1) 次の複素数を弧度法で表した偏角を用いて表せ。
√
√
(ア)1 − i (イ)− 3 + 3i (ウ)2 + i 6 (エ)3 − i
(2) 大きさが 1、偏角が θ である複素数 z は z = cos θ + i sin θ と表せることを示せ。
29
月の上で体重を計ることを考える。
(1) 通常の体重計を使うと、減ったように見える。なぜか?定性的かつ定量的に説
明せよ。
(2) どのように計測すれば同じ数値が得られるか?また、それはなぜか?
30
(1) ユークリッド幾何学について説明せよ。
(2) 平行線の公理 (公準ともいう) を元に「平行線の同位角と錯角は等しい」を導
け。また、これにより三角形の内角の和が直線の為す角度 (180 度とか π とか
を普通は割り当てる) と等しいことを説明せよ。
(3) この公理をはずすと、内角の和が 180 度でない三角形が書けてしまう。身近な
例でそのような三角形を構成してみせよ。
15
31
(1) 東京電力管内のパチンコ店で消費される電力について考える。どのように見積
もればいいか考えよ。ただし、自分の考えをまとめるまでは以下の URL を見
てはいけない。
(2) 以下の URL にある情報を元に使用電力を見積もれ。
http://www.zennichiyuren.or.jp/assets/files/news/201101/2009 denki a.pdf
なお、くれぐれも電力と電力量を混同しないこと。
(3) 2011 年 3 月 24 日付の読売新聞では上記の URL を元に一日あたりの消費電力
量は 415 万 kWh と出していた。自分の結果と比べて、議論せよ。
(4) 自分の結果を元に、消費電力(電力「量」ではない!)が福島第一原子力発電
所の出力と比べて大きいのか小さいのか考えよ。
(5) もし日本からパチンコ屋が無くなったとすると、原子力発電所をいくつ廃炉に
できることになるか?
• フェルミ推定と言われる物の一種。フェルミという偉大な物理学者が、大学で
授業をするに当たって、物理的な考え方とはどういう物かを説明するために
「アメリカのシカゴには何人(なんにん)のピアノの調律師がいるか?」と言
う問題をまず出したそうです。
• メディアリテラシー、と言った場合ネットの情報の真偽のみを対象にするかの
用の言い方をすることも多いですが、新聞の記事も充分怪しいという例です。
• もっと新しいデータもあるようです。比較してみるのもおもしろいかもしれま
せん。
32
(1) さいたま市において長いストローで水を吸い上げる。気圧が 1 気圧だとする
と、原理的には何メートルまで吸い上げられるか。有効数字 4 ケタで答えよ。
(2) 同様な実験を札幌市で行ったとするとどうなるか?
16
33
(x, y) = (cos ωt, sin ωt) で表される質点の運動を考える。ただし、ω は一定である
とする。
(1) 等速円運動であることを示せ。
(2) どのような力を受けているか説明せよ。
34
(x, y) = (cosh ωt, sinh ωt) で表される質点の運動を考える。
(1) cosh x, sinh x の定義を述べよ。また、どんな性質があるか。
(2) どのような運動になるか述べよ。
(3) どのような力を受けているか説明せよ。
35
(x, y) = (t, at2 ) で表される質点の運動を考える。
(1) どのような曲線を描くかか答えよ。
(2) どのような運動か答えよ。
(3) t = 0 から t = t まで運動した時の質点の移動距離を求めよ。
36
−→
一辺の長さが6の立方体 EFGH-ABCD を考える。A を原点にとり AB 方向を x 軸
の方向とする。
(1) 右手系の座標を入れるとすると、y, z 軸はそれぞれどの辺に対応するか?
(2) 中心の座標 φ はどう与えられるか?
−→
(3) φ を通って Aφ 方向に垂直な平面を与える式を書け。
さて、点 P は t = 0 で速さ 2 で A を B へ向けて出発し B に到達後 F へと向かい、点
Q は t = 0 で速さ 1 で H を出発し G へと向かう、とする。
(4) P,Q の座標を t の関数として与えよ。
(5) 線分 PQ が φ を通る時刻を求めよ。
(6) (3) で求めた平面に、線分 PQ が平行になる時刻 t を求めよ。
17
37
前問の (2)-(5) を、特定の座標によることなく、ABCDEFGH の記号だけつまり、
−→
AB などだけ、を用いて表して求めよ。
38
x-y 平面上で考える。
二次元のベクトル r = (x, y) に対し、基底ベクトルを ex = (1, 0) ey = (0, 1)、内
積を式 (24) で定義する。
(1)
r = (ex , r)ex + (ey , r)ey
(37)
と表せることを示せ。
(2) ex は r = (x, y) において y を止めたときに x が増える方向を表す単位ベクトル
という意味を持っていると解釈できる。このことを説明せよ。
39
2 次元極座標 (r, ϕ) を考える。
(1) ϕ を r が x 軸の正の方向と成す角とする。また、r = |r| とする。このとき、次
の を埋め、r, ϕ の変域を示せ。
(
(
x = x(r, ϕ) = r = r(x, y) = ⇔
(38)
y = y(r, ϕ) = ϕ = ϕ(x, y) = (2) er , eϕ を問題 38(2) と同様に r が増える方向、ϕ が増える方向の正規ベクトル
とする。この定義を使って、
er = arx ex + ary ey
eϕ = aϕx ex + aϕy ey
(39)
の右辺の aij (i = r, ϕ; j = x, y) を求めよ。また、er , eϕ は定ベクトルではな
いことを確かめよ。
(3) r を er , eϕ と r, ϕ の関数で表せ。
18
演習問題(4 回目)
40
3 次元極座標を考える。ただし、
θ : r と z 軸の正の方向の成す角,
ϕ : r を x−y 平面に射影したベクトル u が x 軸の正の方向と成す角
とする。
(1) 0 ≤ ϕ < 2π とすると、0 ≤ θ < 2π ではなく 0 ≤ θ < π でよい理由を述べよ。
(2) 3 次元の場合に関して、前問の (3) と同様に次の を埋め、r, θ, ϕ の変域を示せ。




 x = x(r, θ, ϕ) =  r = r(x, y, z) = ⇔
(40)
y = y(r, θ, ϕ) = θ = θ(x, y, z) = 

 z = z(r, θ, ϕ) =  ϕ = ϕ(x, y, z) = (3) 前問の (4) で定めた er , eϕ に加え、eθ を θ が増える方向を表す単位ベクトルと
する。これらの定義を使って、
er = arx ex + ary ey + arz ez
eθ = aθx ex + aθy ey + aθz ez
(41)
eϕ = aϕx ex + aϕy ey + aϕz ez
の右辺の aij (i = r, θ, ϕ; j = x, y, z) を求めよ。また、er , eθ , eϕ は定ベクトル
ではないことを確かめよ。
(4) r を er , eθ , eϕ と r, θ, ϕ の関数で表せ。
41
f (x, y) = x2 y 3 を考える。
(1) f (x, y) を x, y で偏微分せよ。
(2) y = 3 に固定したまま、x が変化する場合を考える。この条件の下、
(a) f (x, y) を x に関して偏微分せよ。
(b) f (x, y) を x に関して微分せよ。
19
(3) y が x が変化する時、同時に x に y = ex のように x に依存して変化する場合
を考える。この条件の下
(a) f (x, y) を x に関して偏微分せよ。
(b) f (x, y) を x に関して微分せよ。
(c) g(x) = f (x, ex ) を x で微分せよ。
42
半平面 (y ≥ 0) 上の点の位置 r を表すのに、x 軸上の 2 定点 (+ℓ/2, 0), (−ℓ/2, 0) か
らの距離 r1 , r2 を使うことができる。その代わりに
ξ = r1 + r2 ,
η = r1 − r2
(ξ ≥ ℓ, ℓ ≥ η ≥ −ℓ)
(42)
を用いてもよい。
(1) この ξ, η を用いると、デカルト座標 x, y は
1p 2
−ξη
(ξ − ℓ2 )(ℓ2 − η 2 )
, y=
x=
2ℓ
2ℓ
と表されることを示せ。
(2) 次の を埋めよ。
(
x = x(ξ, η) = y = y(ξ, η) = ⇔
(
ξ = ξ(x, y) = η = η(x, y) = (43)
(44)
(3) eξ , eη をそれぞれ ξ, η が増える方向を表す単位ベクトルとする。これらの定義
を使って、
eξ = aξx ex + aξy ey
eη = aηx ex + aηy ey
(45)
の右辺の aij (i = ξ, η; j = x, y) を求めよ。また、eξ , eη は定ベクトルではな
いことを確かめよ。
(4) r を eξ , eη と ξ, η の関数で表せ。
20
43
2 次元極座標 (r, ϕ) を考える。
(1) r を t で微分することにより、デカルト座標では
v=
dx
dy
ex + ey
dt
dt
(46)
と表されることを示せ。
(2) 極座標成分 r, ϕ を用いて r は
r = r cos ϕex + r sin ϕey
(47)
と表されることを示せ。また、この表示の r を t 微分した表式を求めよ。
(3) (2) の結果を問題 39(4) を用いて書き直すことで、
v=
dr
dt
(48)
を極座標に固有な量 (r, ϕ, er , eϕ ) のみを用いて表せ。
(4) 同様にして、
a=
dv
dt
(49)
を極座標に固有な量のみを用いて表せ。
44
3 次元極座標 (r, θ, ϕ) を考える。
(1) r を t で微分することにより、デカルト座標では
dr
dx
dy
dz
=
ex + ey + ez
dt
dt
dt
dt
(50)
と表されることを示せ。
(2) 極座標成分 r, θ, ϕ を用いて r は
r = r sin θ cos ϕex + r sin θ sin ϕey + r cos θez
(51)
と表されることを示せ。また、この表示の r を t 微分した表式を求めよ。
21
(3) (2) の結果を問題 40(4) を用いて書き直すことで、
dr
dt
を極座標に固有な量 (r, θ, ϕ, er , eθ , eϕ ) のみを用いて表せ。
(52)
v=
(4) 同様にして、
dv
dt
を極座標に固有な量のみを用いて表せ。
a=
(53)
45
2 次元極座標 (r, ϕ) を考える。
(1)
∂er
,
∂r
∂eϕ
,
∂r
∂er
,
∂ϕ
∂eϕ
∂ϕ
(54)
をこの座標系に固有な量のみを用いて表せ。
(2) (1) の結果と r = rer を用いて速度 v をその定義に則って求め、その結果をこ
の座標系に固有な量のみを用いて表せ。
また、この結果が問題 43(3) の結果と一致することを確認せよ。
(3) 同様にして、加速度をこの座標系に固有な量のみを用いて表せ。
(4) er (ϕ) と er (ϕ + dϕ) を図に書き、この図を元に er (ϕ) の ϕ での偏微分を求めよ。
46
3 次元極座標 (r, θ, ϕ) を考える。
(1)
∂er
,
∂r
∂eθ
,
∂r
∂eϕ
,
∂r
∂er
,
∂θ
∂eθ
,
∂θ
∂eϕ
,
∂θ
∂er
,
∂ϕ
∂eθ
,
∂ϕ
∂eϕ
∂ϕ
(55)
をこの座標系に固有な量のみを用いて表せ。
(2) (1) の結果と r = rer を用いて速度 v をその定義に則って求め、その結果をこ
の座標系に固有な量のみを用いて表せ。
また、この結果が問題 44(3) の結果と一致することを確認せよ。
(3) 同様にして、加速度をこの座標系に固有な量のみを用いて表せ。
22
47
(x, y, z) = (a cos ωt, a sin ωt, ut) で表される質量 m の質点の運動を考える。t は時
刻を表すものとし、また、ω, u は一定であるとする。
(1) a, ω, u の次元を求めよ。
(2) 速度を求めよ。
(3) どのような力を受けているか説明せよ。
(4) このような運動を何と言うか?
(5) 時刻 t = 0 から t = t までの間に進む距離を求めよ。
48
問題 33 で与えられる運動を 2 次元極座標で表そう。
(1) r と ϕ を求めよ。
(2) 問題 39 の式 ( 39) の形で、この運動を表す形で基底ベクトル er , eϕ を求めよ
(表現せよ)。
(3) この座標系では位置ベクトルは r = rer と表されることを用いて、速度ベクト
ルを速度の定義 (位置の変化率) に基づいて求めよ。また、この運動は等速円
運動であるが、この速度ベクトルをどのように読み取れば、これが理解できる
か、説明せよ。
49
問題 47 で与えられる運動を円柱座標で表そう。
(1) r, ϕ, z を求めよ。
(2) この運動を表す形で、基底ベクトル er , eϕ , ez を、直交座標の基底で展開せよ。
(3) この座標系では位置ベクトルは r = rer + zez と表されることを用いて、速度
ベクトルを速度の定義 (位置の変化率) に基づいて求めよ。また、この運動は
螺旋運動であるが、この速度ベクトルをどのように読み取れば、これが理解で
きるか、説明せよ。
23
50
問題 42 で与えられる座標で、問題 34 で与えられる運動を表そう。
(1) ξ, η を求めよ。
(2) この運動を表す形で、基底ベクトル eξ , eη を、直交座標の基底で展開せよ。
51
2 次元極座標を考える。2 点 (r, ϕ), (r′ , ϕ′ ) における r, ϕ 方向の単位ベクトルをそれ
ぞれ er (r, ϕ), er (r′ , ϕ′ ), eϕ (r, ϕ), eϕ′ (r′ , ϕ′ ) とする。
(1) 上で定義した 4 つの単位ベクトルの間の内積を求めよ。
(2) 2 つのベクトル r, r′ を 2 次元極座標で表し、それらの間の内積を求め問題 16(2)
の結果と一致することを確認せよ。
(3) 同様に、デカルト座標で表し、それらの間の内積を求め問題 16(2) の結果と一
致することを確認せよ。
52
3 次元極座標を考える。2 点 (r, θ, ϕ), (r′ , θ′ , ϕ′ ) における r, θ, ϕ 方向の単位ベクト
ルをそれぞれ er (r, θ, ϕ), er (r′ , θ′ , ϕ′ ), eθ (r, θ, ϕ), eθ′ (r′ , θ′ , ϕ′ ), eϕ (r, θ, ϕ), eϕ′ (r′ , θ′ , ϕ′ )
とする。
(1) 上で定義した 6 つの単位ベクトルの間の内積を全て求めよ。
(2) 2 つのベクトル r, r′ を 3 次元極座標で表し、それらの間の内積を求めよ。
(3) 同様に、デカルト座標で表し、それらの間の内積を求め (2) の結果と一致する
ことを確認せよ。
(4) r, r′ の成す角を α とした時、それらの間の内積が rr′ cos α と書けている、つま
り問題 16(2) の結果と一致していることを示せ。
24
演習問題(5 回目)
53
x = Ae−βt cos ωt で与えられる 1 次元運動を考える。
(1) x と t の関係をグラフに書け。また、A, β, ω の意味を書け。
(2) 速度と加速度を求めよ。
(3) (2) で求めた速度を積分することで与えられた x の表式が得られることを示せ
(積分の上限、下限の取り方にも注意を払うこと)。
54
v = v0 cos ωt で与えられる 1 次元運動を考える。ただし、時刻 t = 0 における位置
は x = 0 であるものとする。
(1) 時刻 t = t における位置はどこか。
(2) 時刻 t = 0∼t の間の総運動距離 (変位ではないよ) はいくらか。
55
3 × 3 行列を考える。


a11 a12 a13


A = a21 a22 a23 
a31 a32 a33
(56)
(1) A の行列式 (determinant; detA, |A| などと表記する) を A の成分を用いて表
せ。ただし、A の成分に対する四則演算の形で書くこと。
(2) A の小行列式の定義を書け。
(3) A の逆行列を求めよ。
(4) A˜ を


a21 a22 a23


A˜ = a11 a12 a13 
a31 a32 a33
25
(57)
としたとき、
det A˜ = − det A
(58)
det AT = det A
(59)
を示せ。
(5)
を示せ。
56
3 元の連立一次方程式



x + 3y + 2z = 10
を以下のようにして解く。
−2x + 4y + z = 5


3x − 2y + z = −1
(60)
(1) 式 (60) を
   
x
a
   
A y  =  b 
z
c
(61)
 
a
 
の形に書くとき、A,  b  は具体的にどのように表されるか。
c
(2) A−1 を求めよ。
(3) (1),(2) の結果を用いて式 (60) を解け。
57
ǫijk (i, j, k = 1, 2, 3)(ǫ123 = 1 かつ i, j, k のうち 2 つの入れ替えに関して完全反対
称な量)を考える。
26
(1) ǫijk が ǫijk = −ǫjik , ǫijk = −ǫikj を満たす時、次の関係が成り立つことを示せ:
ǫiik = 0,
ǫkji = −ǫijk ,
ǫkij = ǫijk .
(62)
これらの性質を完全反対称性という。
(2) 問題 55 の行列 A(56) の行列式を ǫijk を用いて表せ。
(3) (1),(2) の結果を用いて問題 55(4) を示せ。
58
2 つのベクトル A = (Ax , Ay , Az ), B = (Bx , By , Bz ) のベクトル積を
A × B = (Ay Bz − Az By )ex + (Az Bx − Ax Bz )ey + (Ax By − Ay Bx )ez
(63)
と定義する。
(1) ex × ey = , ey × ez = , ez × ex = をそれぞれ求めよ。
(2) A × B = −B × A を示せ。また、これを用いて A × A = 0 を示せ。
(3) 表記的に
Ax Ay Az
A × B = Bx By Bz
ex ey ez
(64)
と書けることを示せ。
(4) (A × B) ⊥ A, (A × B) ⊥ B を示せ。
(5) |A × B| = |A||B| sin θ を示せ。ただし、θ は A, B の成す角である。
(6) 2 つのベクトル e1 , e2 が |e1 | = |e2 | = 1, e1 · e2 = 0 を満たすとする。このと
き、e3 ≡ e1 × e2 とすると、e1 , e2 , e3 は右手系の基底を構成することを説明
せよ。
59
(1) 3 つのベクトル A = (Ax , Ay , Az ), B = (Bx , By , Bz ), C = (Cx , Cy , Cz ) に関して
Ax Ay Az
A · (B × C) = Bx By Bz ≡ (A, B, C)
Cx Cy Cz
を示せ。
27
(65)
(2) (1) と行列式の性質を用いて A ⊥ (A × B), B ⊥ (A × B) を示せ。
(3) (1) を用いて A · (B × C) = B · (C × A) = C · (A × B) を示せ。
60
(1) A × (B × C) = (A · C)B − (A · B)C を示せ。
(2) A, B, C が作る平行六面体の体積が A · (B × C) = (A, B, C) に一致すること
を示せ。
(3)
dA
dB
d
(A × B) =
×B+A×
dt
dt
dt
(66)
を示せ。
61
(1) 質点に対する角運動量の定義 L = r × p を微分することで
dL
=N
dt
(67)
が成り立つことを示せ。
(2) 力 F が中心力 (F// r) の場合、角運動量が保存することを示せ。
(3) 以上より、力が中心力であれば質点の運動は平面内で起こることを示せ。
62
原点を中心として半径 a の円上を角速度 ω で等速円運動している質点を考える。
(1) 質点の角運動量を求めよ。
(2) 質点の位置を r とし、これに垂直な方向を ez とすると、v = ω(ez × r) と書け
ることを示せ。
(3) (2) の結果とベクトル積に関する公式を用いて (1) を再現せよ。
28
63
Dirac の δ 関数 δ(x) を以下の性質を満たす「関数」(正確には超関数) とする。
Z x2
f (x)δ(x)dx = f (0)
x1 < 0 < x2
(68)
x1
x1 , x2 < 0 または 0 < x1 , x2
= 0
ここで f (x) は f (0) が定義されている任意の「常識的な (つまり物理学に通常出てく
るような)」関数であり、x1 , x2 は条件を満たしている限り任意の数であるとする。
(1)
Z
x2
但し x2 < 0 < x1
f (x)δ(x)dx
x1
を定義式から求めよ。
˜
(2) 次の条件を満たす関数 δ(x)
Z x2
˜
δ(x)dx
= 1
x1 < 0 < x2
(69)
x1
˜
δ(x)
= 0
x 6= 0
は δ(x) の満たすべき条件式 (68) を満たす、つまり δ 関数そのものであること
を確かめよ。
(3)
Z
x2
x1
f (x)δ(x − x0 )dx
を求めよ。
• δ 関数は上記の定義にあるように、積分が伴うという前提が数学的には入って
いる。が、物理ではあたかも関数であるかのように扱うことが多い。
64
階段関数 (人の名前を取って、へビサイドの、という修飾語を置くこともある) は、
θ(x) = 1
x>0
= 0
x<0
で定義される。
29
(70)
(1) この関数の微分は δ 関数の定義式 (69) を満たすことを確かめよ。
(2) 直接
Z
x2
f (x)θ′ (x)dx
(71)
x1
を計算することにより、階段関数の微分が δ 関数の定義式 (68) を満たすこと
を確かめよ。
(3) 以上より x = t, (t > 0) かつ x = 0, (t < 0) で定義される x を t で二回微分した
「関数」は δ 関数として振舞うことを示せ。
• 階段関数の微分は通常の関数の意味では x = 0 で定義されない (できない) が、
上記の計算に出てきた意味で (つまり積分の中で)、定義されていると見なす。
• (3) はグリーン関数の要諦を表す関係式である。グリーン関数は、物理学にお
いては、物理作用が空間的時間的に離れた二点の間を伝わるときの伝播を表す
関数で、高校でならった範囲では重力や電気の力を表す 1/r2 がその例になっ
ている。
65
a(> 0) を補助変数としてもつ関数 ga (x) を考える。
ga (x) =
a
exp (−a|x|)
2
(72)
˜
a → ∞ の極限で ga (x) は問題 63 にある δ(x)
を同じ性質を持つことを示せ。ただし、
積分を先に行い、その上で極限を取る物とする。
• ある種の極限状況を考えると、δ 関数で置き換えられる物理的状況というのは
実はよくある。点や、瞬間、と言う物を式で表わそうとするとどうなるか、考
えてみるとよく分かる。また、我々が物理量として考えている物は、実は充分
小さな領域における積分をした結果であることにも注意せよ。
• 他の例として
f (x) =
(
a (|x| ≤ a2 )
0 (|x| > a2 )
(73)
で a → ∞ を取る場合もある。これは、「点」という概念に一致することが分
かるであろう。他にも色々あるので、確かめておくべし。
30
演習問題(6 回目)
66
(1) 力が働いていない質量 m の質点の運動方程式を書け。ただし運動の方向を x
とする。
(2) 初期条件を x(0) = 0, v(0) = v0 として運動を求めよ。
(3) 次に、力が働いている場合を考える。初期条件が x(0) = 0, v(0) = 0 であり
ながら、(2) と同じ運動になったとする。どのような力が働いていたか、説明
せよ。
67
自然な長さが l、バネ定数が k のバネに質量 m の重りをつるす。バネが自然の長
さであるとき x = 0 となるように座標をとる。
(1) 重力とばねの力のみが重りに作用するとしてこの重りの運動方程式を立てよ。
(2) 重りが静止できる x を求めよ。
(3) (1) で立てた運動方程式は、上手に変数変換することで単振動の式になる。ど
のように変形すればよいか求めよ。
(4) (3) で得られた運動方程式を解いて、元の x に対する一般解を求めよ。
(5) 自然な長さからそっと手を離したときの運動を求めよ。
31
68
図のように、長さ l のひもの一端が固定され他端に質量 m の質点が固定されてい
る状況での質点の運動を考える。ただし、重力加速度を g とし、x, y 座標の正負は
図に従うものとする。
(1) 質点の x, y 座標を l, θ で表せ。
(2) 質点の速度を l, θ で表せ。
(3) 質点の原点周りの角運動量を求めよ。
(4) 張力(大きさを T とする)と重力の合力を x, y 座標でのベクトルとして表せ。
(5) (3) で定義される角運動量に対する運動方程式を求めよ。但し、質点には張力
と重力のみが働くものとする。
(6) 振れ角が充分小さいとして、t = 0 で振り子が静止できる位置から速さ v0 で振
動を開始した場合の解を求めよ。
69
問題 68 と同じ状況を考える。ただし、重力と張力以外にも速度に比例する抵抗力
(比例係数を α とする) が働くものとする。
(1) 張力(大きさを T とする)と重力と抵抗力の合力を x, y 座標でのベクトルと
して表せ。
(2) 原点周りの角運動量に対する運動方程式を求めよ。
(3) 振れ角が充分小さいとして、(2) の解を求めよ。
(4) (3) の答えは、パラメタの取り方によって解の振るまいが変わる。これについ
て説明せよ。分かりやすく図示もすること。
(5) 触れ角が小さいとして、t = 0 で振り子が静止できる位置から速さ v0 で振動を
開始した場合の解を求めよ。
32
70
問題 67 と同じ状況を考える。
(1) 重力とばねの力に加え、速度に比例する抵抗力 (比例係数を α とする) が重り
に作用するとしてこの重りの運動方程式を立てよ。
(2) (1) で立てた運動方程式に対し、問題 67(3) と同じ変数変換を行なえ。
(3) (2) で得られた運動方程式を解いて、元の x に対する一般解を求めよ。
(4) パラメタに応じて、一般解はいくつかの解に分類出来る。その分類を行え。ま
た、問題 53 に対応するのはどの場合か?
(5) 自然な長さからそっと手を離したときの運動を求めよ。
71
重力以外に速度に比例する抵抗力が働く質量 m の質点の運動を考える。比例定数
を γ とする。
(1) 重力方向の運動方程式を立てよ。
(2) (1) 一般解を求めよ。
(3) 高さ h から初速=0 落下させる場合、地面につくまでの時間を求めよ。
(4) 高さ x0 、初速 v0 で投げ上げる場合、最高点に到達するまでの時間、最高到達
点の高さ、地面に落ちるまでの時間、を求めよ。
(5) m = 100g,g = 9.8m/s2 , x0 = 0 として、γ を {0.03,0.05}kg/s 初速を {10, 25, 40}
m/s ととって、それぞれの組み合わせ (全部で 2*3=6 通りにたいし、最高到達
点に達するまでの時間、最高到達点、地面に落ちるまでの時間、を有効数字二
桁で求めよ。
72
重力以外に速度の二乗に比例する抵抗力が働く質量 m の質点の運動を考える。比
例定数を γ とする。
(1) 重力方向の運動方程式を立てよ。
(2) 一般解を求めよ。
33
(3) 高さ h から初速=0 で落下させる場合、地面に着くまでの時間を求めよ。
(4) 高さ x0 、初速 v0 で投げ上げる場合、最高点に到達するまでの時間、最高到達
点の高さ、地面に落ちるまでの時間、を求めよ。
(5) m = 100g, g = 9.8m/s2 , x0 = 0 として、γ を {0.0005,0.001}kg/m 初速を
{10, 25, 40}m/s ととって、それぞれの組み合わせ (全部で 2*3=6) 通りに対し、
最高到達点に達するまでの時間、最高到達点、地面に落ちるまでの時間、を有
効数字二桁で求めよ。
73
質点に対し重力のみが働いているとする。水平方向に x 軸を垂直方向に y 軸を取
る。地面のある点に原点を取り、原点から時刻 t = 0 に仰角 θ、初速 v0 で打ち出す
場合を考える。
(1) 解を求めよ。
(2) 最高点の高さと、そこに達する時間を求めよ。
(3) 着地点と、そこに達する時間を求めよ。
(4) 一番遠くまで届くのは仰角何度で打ち上げた時か?特に初速を 40m/s,g =
9.8m/s2 とした時の最長到達点を求めよ。
74
質点に対する作用が、問題 71 と同じ状況を考える。ただし、今度は水平方向に x
軸を垂直方向に y 軸を取る。地面のある点に原点を取り、原点から時刻 t = 0 に仰
角 θ、初速 v0 で打ち出す場合を考える。
(1) 時刻 t = t における質点の位置を求めよ。
(2) 最高到達点に達する時刻を求めよ。
(3) どれだけ先まで届くか?
(4) m = 100g,g = 9.8m/s2 , v0 = 40m/s,γ = 0.04kg/s、として到達点 (地面に着地
したときの x の値) を仰角の関数として図示してみよ。また、最長距離を与え
る仰角はいくつか読み取れ。γ = 0.02kg/s ではどうか?
34
演習問題(7 回目)
75
平面上の質点の運動を考える。原点から距離に比例する中心力 (比例定数を k と
する) が働くとする。
(1) 一般解を求めよ。
(2) 運動は必ず楕円 (細くなった極限としての線分を含む) になることを示せ。
(3) (1) で求めた一般解に対して角運動量を計算し、それが保存量であることを
示せ。
76
3 次元空間を運動する質点を考える。
(1) 質点に対する作用がないとして、初期位置 r0 ,初速度 v0 としたとき、質点の
運動方程式を解け。
(2) (1) の結果から t を消去し、運動の軌跡を求めよ。
77
円周に沿って落下する物体に重力が行う仕事を求める。水平方向に x 軸を、垂直
方向に y 軸を取る。始点を (0, a) 終点を (a, 0) とする。
(1) この経路を一変数で媒介変数表示せよ。
(2) 重力がなした仕事を求めよ。仕事は媒介変数による積分の形で求めること。ま
たこの結果を (0, a) → (0, 0) → (a, 0) と移動させたときの結果と比べよ。
78
(1) 仕事の定義から、仕事の次元がエネルギーの次元と同じになることを示せ。
(2) 体重 60kg の人がある高さから 20m だけ登ったとすると、最低どれだけのカロ
リーを消費することになるか?ただし、g = 9.8m/s2 とする。
(3) 静止した 1t の車を 10 秒で 288km/h の速さまで加速したとする。この加速力
の仕事率と全仕事量を求めよ。
35
79
問題 68 と同じ系を考える。t = 0 で、θ = θ0 からそっと運動を開始させたとする。
(1) 最初に θ = 0 となるまでに張力(大きさを T とする)と重力が質点に対してな
した仕事を求めよ。
(2) 実は (1) で張力は仕事をしていない。なぜか?
(3) (1) で質点に対してなされた仕事は運動エネルギーに転化している。この事を
確かめよ。
(4) 一度 θ = 0 を通り過ぎた後、二度目に θ = 0 となるまでに重力がなした仕事を
求め、(1) の結果と同じになることを確かめよ。
80
問題 67(5) と同じ状況を考える。
(1) 質点が、問題 67(2) で与えられる位置まで最初に移動する際に、重力およびば
ねからなされる仕事を求めよ。
(2) (1) で求めた仕事が質点の運動エネルギーに転化していることを確かめよ。
(3) ばねの自然な長さの位置から一番下まで行く間に重力及びばねが質点に対し
てなす仕事を求めよ。
(4) 何周期目であっても、質点が問題 67(2) で与えられる位置にある時までに重力
及びばねがなした仕事は (1) で得られた値に等しい。このことを示せ。
81
点電荷に働くローレンツ力について考える。必要な量は各自で定義すること。
(1) ローレンツ力とは何か?言葉で説明せよ。
(2) ローレンツ力を外積の形で表せ。
(3) ローレンツ力は仕事をしないことを示せ。
36
82
問題 74 と同じ状況を考える。
(1) 抵抗力が単位時間に行う仕事を式で表せ。
(2) この単位時間に行う仕事の分だけ、力学的エネルギーが減ることを示せ。
(3) m =100g, g =9.8m/s2 ,v0 =40m/s,γ = 0.04kg/s というパラメタをとり、仰角
を π/4 として打ち上げたとする。この場合に、最高点に達するまでの時間に
抵抗力が行う仕事を求め、それが確かに力学的エネルギーの減少と一致するこ
とを数値的に確かめよ。
83
水泳を一時間行うと 1000kCal 消費するそうである。
(1) 水が行う仕事率を推定せよ。
(2) そこから、水の抵抗力を推定せよ。
(3) 抵抗力が速さに比例するとした場合、その比例係数はいくつと見積もれるか?
(4) 抵抗力が速さの二乗に比例するとした場合、その比例係数はいくつと見積もれ
るか?
(5) 抵抗力が速さの二乗に比例するとした場合、単純な形の物体であれば、その比
例係数は、進行方向に垂直な部分の面積 × 水の密度に 0.1 ∼ 1 の係数を掛け
たものになることが知られている。これが成立しているかどうか考えよ。
(6) 以上の見積もりに対して補正を加えるとすれば、どのような補正があり得る
か、考えを述べよ。
84
(1) 体重が 65kg 重の人を一階から五階まで持ち上げるのに最低必要なエネルギー
はいくらか?
(2) この人をエレベーターで持ち上げる場合に必要なエネルギーを推定せよ。ま
た、その場合に必要な電力量はいくらか推定せよ。
(3) 三人乗っている場合はどれだけの電力量が必要と見積もれるか?
37
(4) 理学部一号館でエレベーターを動かすのに必要とされる電力量は一日あたり
いくらか見積もれ。
(5) 埼玉大学全体ではどれくらい必要と見積もれるか。また出力に置き換えるとど
れくらい必要か。
(6) 首都圏の鉄道駅のエスカレーターを全て止めたすると、どれくらい電気の節約
になるか見積もれ。
85
地表のある点を原点とし、鉛直下向きに x 軸,水平方向に y 軸をとり、t = 0 にお
いて位置 (−h, 0) から速度 (0, v0 ) で質点(質量 m)を放出したとする。ただし、質
点に働く力は重力のみであるものとする。
(1) 時刻 t における位置 (x(t), y(t)) を求めよ。
(2) 質点の通過距離 s と t の関係を表す式を求めよ。また、特に、h = 20m,v0 =
20m/s とした場合の図を描け。
(3)
dt
ds
を求めよ。
(4) ( dx
, dy ) は単位ベクトルであることを確かめよ。
ds ds
• 方向余弦の例。今まで、基底ベクトルがその変数が増える方向を表すベクトル
として与えられる、というのをさんざん見てきたが、これは結局基底ベクトル
は方向余弦として与えられている、と言い換えても良い、ということを意味し
ている。
86
問題 85 と同じ状況を考える。
(1) 着地点の座標 (0, yf ) を求めよ。
(2) 着地するまでに重力が質点になした仕事を求めよ。
(3) 着地した時に (2) で求めた仕事が運動エネルギーに転化していることを示せ。
c
c
2
1
(0, yf ) と移動するとき、質点になされる仕事を求めよ。
(0, 0) −→
(4) (−h, 0) −→
ただし、c2 では摩擦はないものとする。
(5) (4) と同じ経路で c2 において摩擦がある場合、質点になされる仕事を求めよ。
38
演習問題(8 回目)
87
円錐曲線を考える。焦点を F (c, 0), F ′ (−c, 0)、任意の点を P (x, y) にとり、P F =
r, P F ′ = r′ とする。r + r′ = 2a = 一定 が成り立つ場合に関して以下の問題に答
えよ。
(1) 上記の条件を満たす点 P の集合は楕円を描くことを示せ。
(2) 離心率はいくつか?また、その絶対値につく条件は何か?
(3) F を原点とする極座標において、r と ϕ の関係を求めよ。
88
引き続き、円錐曲線を考える。ただし、点 P は r − r′ = 2a = 一定 を満たすもの
とする。
(1) 上記の条件を満たす点 P の集合は双曲線を描くことを示せ。
(2) 離心率はいくつか?また、その絶対値につく条件は何か?
(3) F を原点とする極座標において、r と ϕ の関係を求めよ。
89
引き続き、円錐曲線を考える。
(1)
x2 y 2
+ 2 =1
a2
b
とし、原点を (a, 0) に移す。このときの楕円の方程式を示せ。
(2)
2
a
= = 一定
2
b
k
としたまま a, b → ∞ とすると放物線になることを示せ。
39
(3) (1) と同様に、
x2 y 2
− 2 =1
a2
b
とし、原点を (a, 0) に移す。このとき、
2
a
= − = 一定
2
b
k
としたまま a, b → ∞ とすると放物線になることを示せ。
90
惑星は楕円軌道を描くのに、地表で投げた物体が放物線を描くのはなぜか。
91
(1) 二次元のナブラ演算子のデカルト座標での表示
∇ = ex
∂
∂
+ ey
∂x
∂y
(74)
を式 38,39 を用いて二次元極座標で表せ。
(2) 二次元のラプラス演算子
△ ≡ ∇2 =
∂2
∂2
+
= div · grad.
∂x2 ∂y 2
(75)
を、同様の変形で二次元極座標で表せ。
(3) (1) の結果とラプラス演算子の定義 △ ≡ ∇2 を使ってラプラス演算子の極座標
での表現を求めよ。
92
引き続き二次元で考える。ベクトル場を A(r) とする。
(1) ベクトル場の回転
∇ × A(r)
(76)
をデカルト座標で表した式を書き、それを問題 91 (1) と同様の変形を行うこ
とで二次元極座標での表式を導け。
40
(2) ベクトル場もナブラ演算子も二次元極座標で表し、それに対して定義通りに回
転を計算することにより、回転の二次元極座標形式での表式を導き、(1) での
導出と一致することを確かめよ。
(3) 上記の (1)(2) をベクトル場の発散に対して行え。
• 問題にはしませんが、各自、ベクトル場にラプラス演算子を作用させた場合ど
のようになるか、デカルト座標の表式と極座標の表式の見かけ上の大きな違い
に注意しながら導いてみること。基底ベクトルが動くので、デカルト座標の時
の単純でわかりやすい式とはかなり形が変わります。
93
(1) 三次元のナブラ演算子のデカルト座標での表示
∇ = ex
∂
∂
∂
+ ey
+ ez
∂x
∂y
∂z
(77)
を式 40,41 を用いて三次元極座標で表せ。
(2) 三次元のラプラス演算子
△ ≡ ∇2 =
∂2
∂2
∂2
+
+
= div · grad.
∂x2 ∂y 2 ∂z 2
(78)
を、同様の変形で三次元極座標で表せ。
(3) (1) の結果とラプラス演算子の定義 △ ≡ ∇2 を使ってラプラス演算子の極座標
での表現を求めよ。
94
引き続き三次元で考える。ベクトル場を A(r) とする。
(1) ベクトル場の回転
∇ × A(r)
(79)
をデカルト座標で表した式を書き、それを問題 93 (1) と同様の変形を行うこ
とで三次元極座標での表式を導け。
(2) ベクトル場もナブラ演算子も三次元極座標で表し、それに対して定義通りに回
転を計算することにより、回転の三次元極座標形式での表式を導き、(1) での
導出と一致することを確かめよ。
41
(3) 上記の (1)(2) をベクトル場の発散に対して行え。
• 問題にはしませんが、各自、ベクトル場にラプラス演算子を作用させた場合ど
のようになるか、デカルト座標の表式と極座標の表式の見かけ上の大きな違い
に注意しながら導いてみること。
95
(1) ストークスの定理
Z
S
∇ × A · dS =
Z
∂S
A · ds,
(80)
を証明せよ。
ここで、S は積分する二次元領域、∂S はその縁 (∂ はこの場合、「表面」領域
を切り出す、という操作を表す) を表す。また中点 · は内積を表す。
(2) A が
∇×A=0
(81)
を満たすことと、ある関数 φ を用いて
A = −∇φ
(82)
と書けることは同値であることを示せ。
(3) 以上より、保存力 f (r) に対してはポテンシャル φ(r) が存在して
f (r) = −∇φ(r)
(83)
と書けることを説明せよ。
(4) A が式 (81) を満たす時、渦がない、という言い方をする。(2) で示したことも
使って、これを直感的に説明せよ。
42
演習問題(9 回目)
96
(1) ガウスの定理
Z
V
∇ · A dV =
Z
S
A · dS,
(84)
を証明せよ。
ここで、V は積分する三次元領域、S = ∂V はその表面 (∂ はこの場合、表面
領域を切り出す、という操作を表す) を表す。また中点 · は内積を表す。
(2) A が
∇·A=0
(85)
を満たすことと、ある関数 B を用いて
A=∇×B
(86)
と書けることは同値であることを示せ。
(3) A が
∇·A=0
(87)
を満たす時、湧き出しが無い、という言い方をする。(2) で示したことも使っ
て、これを直感的に説明せよ。
97
中心力が保存力の条件を満たすことを以下の通り示せ。
(1) 二次元運動をすることを使って、二次元極座標のナブラ演算子を使う。力も、
この座標系で表現すること。
(1) 一般に、三次元極座標のナブラ演算子を使う。力も、この座標系で表現する
こと。
43
98
太陽と地球の二体系を考える。
(1) 太陽と地球の質量を調べ、有効数字三桁で答えよ。
(2) この二体系の換算質量を求めよ。
(3) 太陽の中心から地球の中心までの距離を調べよ。
(4) 太陽の中心から二体系の重心まで距離を求めよ。これは、太陽の半径の何倍か?
99
陽子と陽子の散乱を考える。
(1) それぞれの陽子の運動方程式を建てよ。
(2) 相対座標と重心座標の運動方程式に書き直せ。
(3) 相対運動の方程式を解け。
(4) この結果は楕円運動を含まない。なぜか?
100
水素原子 (水素原子核、つまり陽子、と電子の二体系)
(1) 陽子と電子の質量を調べて有効数字三桁で書け。
(2) この二体系の換算質量を求めよ。
(3) Bohr 半径を調べよ。
以下、相対運動はこの Bohr 半径に等しい半径を持つ円運動とする。
(4) 陽子と電子の間に働く重力と電気力 (クーロン力) を計算し比較せよ。
(5) 陽子の中心から二体系の重心までの距離を求めよ。
44
101
l > 0, ε > 1 として、
l
l
, b) r =
,
−1 + ε cos ϕ
−1 − ε cos ϕ
l
l
c) r =
, d) r =
,
1 + ε cos ϕ
1 − ε cos ϕ
a) r =
(88)
は、いずれも双曲線を表す。
(1) それぞれどのような双曲線か? また、ϕ の定義域はどうなるか?
(2) 問題 88 において、a > 0 に対応する曲線はどれか?a < 0 であればどうか?
102
以下の問はは有効数字三桁で求めよ。
(1) 地球を半径が平均半径に等しい球であると仮定し、地表の物体が地球の重力圏
から脱出するのに必要な地球中心に対する速さを求めよ。
(2) 赤道上に置かれた物体の地球中心に対する速さを求めよ。
(3) 赤道上からロケットを打ち上げるとして、地球の重力圏から脱出するために必
要な地球に対する速さはいくつか?
(4) 北極点から打ち上げる場合に関して (3) に答えよ。
103
(1) 一様な球殻 (面密度を ρ、半径を R とする) が球殻の内外に作るポテンシャル
を求めよ。
(2) 地球の中心を通り、地球の正反対を直線で結ぶ穴を掘ったとする。この穴の中
に置かれた物体の運動方程式を (1) の結果を使って導け。また、この運動方程
式から、どのような運動になるか述べよ。
45
104
1
1
∆ = ∇ · ∇ = −4πδ(r)
r
r
(89)
を示そう。
(1) r 6= 0 では式 89 の左辺は 0 になることを確かめよ。
(2)
1
1
∇ = − 2 er
r
r
(90)
を示せ。
(3) さて、原点を囲む半径 ǫ の小さな球状の領域内で式 89 の左辺を積分する。ガ
ウスの定理を使って
Z
1
(91)
∆ dV = −4π
r
ǫsphere
を示せ。ここで、ǫ spehre は半径 ǫ の球である。また、式 84 との対応でいえ
ば、V が半径 ǫ の球で、S が半径 ǫ の球面となる。
(4) 問題 63 の結果を使うと、(1)(3) より式 89 が示せたことが分かる。以上から、
単位質量当たりの重力ポテンシャル U (r) が、密度を ρ(r) として、
∆U (r) = −4πGρ(r)
となることを示せ。
46
(92)
演習問題(10 回目)
105
原点に固定されている陽子に、電荷を持った粒子を入射する。
(a) 粒子が陽子であるとする。
(1) 無限遠 (充分遠く) からもう一方の陽子が二つの陽子を結ぶ直線上を速さ
3.00×107 m/s で突っ込んできたとして、最接近した時の距離を求めよ。
(2) 初速を (1) と同じに設定する。衝突パラメタの関数として、散乱角を図示
してみよ。
(3) 初速を 1.50×108 m/s として、(2) と同じことをしてみよ。
(b) 入射粒子を電子として、(a)-(2)(3) を繰り返せ。
106
(1) 近日点と遠日点において、太陽の重力から脱出するのに必要な速さを求めよ。
(2) 近日点と遠日点における地球の太陽に対する速さを求めよ。
(3) それぞれの点において、地球重力の影響がないとして太陽の重力圏からロケッ
トが脱出するためには地球に対してどれだけの速さが必要か?
(4) 地球の重力を考慮すると、それらの速さはいくつになるか?
107
(1) 離心率ベクトルの定義を述べよ。
(2) 離心率ベクトルが一定であることを示せ。
(3) 離心率ベクトルの大きさが確かに離心率を与えることを示せ。
(4) 離心率ベクトルが一定であることありがたみを考えよ。
108
r3 に逆比例する中心力を考える。どのような運動になるか議論せよ。
47
109
長さ l のひもの一端が固定され他端に質量 m の質点が固定されている状況での質
点の運動を考える。ただし、平面内の運動ではないものとする。座標は、重力方向
を z 軸方向、それに垂直な面を x − y 平面とし、質点の静止する位置を原点とする。
また、位置エネルギーの原点も同様にとる。
(1) 質点の位置 (x, y, z) の間に成立する関係を求めよ。
(2) 質点の位置エネルギーを求めよ。
(3) 質点の運動方程式を書け。
(4) 質点の運動がどのようなものか説明せよ。
110
2 つの荷電粒子 1,2 (質量:m1 , m2 電荷:e1 , e2 位置:r1 , r2 )が t = 0 で充分に離
れているとし、その後の運動を考える。ただし、初期条件は
r1 (0) = 0,
dr1 (0)
= 0,
dt
dr2 (0)
r1 − r2
= v∞
dt
|r1 − r2 |
(93)
とする。衝突パラメータを b、電気的な作用のみ存在するとして以下の問いに答えよ。
(1) 重心 rG とその運動を求めよ。
(2) 相対座標 r = r2 − r1 の運動を求めよ。
(3) 相対座標における散乱角を求めよ。
(4) 重心系から見た荷電粒子 1,2 の運動を求めよ。
(5) 重心系における散乱角を求めよ。
(6) 元の座標系における散乱角を求めよ。
以下の二問は具体的に数値を入れられる部分は入れて答えよ。
111
(1) 問題 110 において、2 つの荷電粒子を共に陽子として (1)∼(6) に答えよ。
(2) (1) で求めた結果は 1 の陽子を固定した場合に比べてどの程度ずれるか。
48
112
(1) 問題 110 において、荷電粒子 1 を陽子、2 を電子として (1)∼(6) に答えよ。
(2) (1) で求めた結果は陽子を固定した場合に比べてどの程度ずれるか。
113

という行列に対し

0 0 0


Tx ≡  0 0 −1 
0 1 0
gx = exp(αTx )
(94)
(95)
という行列を考える。ここで、exp x は式 (7) で定義されていて、x が行列の場合に
も成立するとする。
(1) Txn を求めよ。
(2) (1) の結果を元に式 (95) を計算すると x 軸周りの角度 α の回転を表す行列にな
ることを確かめよ。
(3) α = α(t) として
α(0) = 0,
dα
(0) = ω
dt
(96)
を満たすとする。ベクトル r が x 軸周りに gx (t) で与えられる回転をしている
とする。つまり、成分の間の関係として、
r(t) = gx (t)r(0) = exp(α(t)Tx )r(0)
(97)
が成立しているとする。この時
dr
→
(0) = (ωTx )r(0) = −
ω × r(0)
dt
→
−
ω ≡ ωex
を示せ。
49
(98)
(99)
114
r=
l
−1 + ǫ cos φ
で与えられる質量 m の質点の運動を考える。力の中心が原点にあるとする。
(1) この力は引力か斥力か?
(2) r → ∞ でこの双曲線は y = tan Φ x, Φ = cos−1 (1/ǫ) で与えられる直線と平
行になることを示せ。また、その距離はいくつか?
(3) 力学的エネルギーを E とすると、この質点の角運動量はいくつになるか。
(4)
r=
l
1 − ǫ cos φ
の場合に、(1)-(3) を繰り返せ。
115
大きさを持った物体が存在する時、位置 r にある質量 m の質点は
Z
Gmρ(R)
U (r) = −
dV
V |r − R|
(100)
の位置エネルギーを持つ。
(1) 物体が質量 M の質点であるとする。この物体の密度はどのように表されるか。
ただし、物体は R0 にあるとする。
(2) この物体が作る位置エネルギーは質量 M の質点のそれに等しいことを示せ。
(3) 物体が球形であるとし、その中心を原点とする。
(a) 質量が球対称である場合、その密度はどのような関数形を持つか?
(b) 全質量 M とその密度の間に成り立つ関係式を求めよ。
(c) この物体が位置 r(ただし、球の外) にある質量 m の質点に与える位置エネ
ルギーを求め、それが、原点にある質量 M の質点が作る位置エネルギー
と同じであることを示せ。
50
演習問題(11 回目)
以下の三問では惑星の近くを通過する宇宙船の運動を考える。惑星は半径 a の球
状物体で、質量 M(質量分布は球対称) とする。宇宙船は質量 m の質点として扱う。
また、M >> m とする。
116
観測者は惑星が静止している慣性系にいるとする。
(1) M >> m という条件から、換算質量、重心座標、相対座標について言えるこ
とは何か?
(2) 宇宙船の従う運動方程式を書け。
(3) 惑星から十分遠方で宇宙船の速さは vi であり、衝突パラメタ b で惑星に近付い
ているとして (2) の運動方程式を解け。
(4) (3) の解の様子を図示せよ。図を特徴づける量はきちんと書きこむこと。
(5) 角運動量を、ここまでに出てきたパラメタで表せ。
(6) 離心率の二乗をここまでに出てきたパラメタで表せ。
(7) 今、衝突パラメタが、自由に変えられるパラメタだとする。この時、宇宙船が
惑星に衝突しないために衝突パラメタが満たすべき条件を求めよ。(「かなり」
すっきりした形で書ける)
117
惑星が速度 V で動いているように見える系での宇宙船の運動を考える。
(1) この系で宇宙船は速度 v で惑星に近づくとすると前問 (3) の vi はどのように表
されるか?
(2) 惑星の大きさが充分小さく無視できる場合、惑星の横を通過した後の宇宙船の
最大の速さを求めよ。
(3) (2) の「充分小さい」というのはどのような条件式で表せるか?
• (2) で宇宙船が加速されることが確かめられるが、これがスイングバイと言わ
れる宇宙船加速の原理である。
51
118
惑星を土星とする。但し、球状であると近似する。また、宇宙船は、太陽を原点
とし、土星の軌道を含む面を xy 平面とする二次元極座標の動径方向を進んでいると
する。土星に近づく時の速さを 10.0km/s として、以下の問いに答えよ。
(1) 土星が太陽に対して平均半径の円運動を行なうものとして、太陽に対する速さ
を求めよ。
(2) 土星の大きさを無視できる場合、宇宙船が土星近傍を通過した後の最大の速さ
はいくつか?
(3) 土星の大きさを調べ、土星にぶつからないという条件から、衝突パラメタの範
囲を求めよ。
(4) 衝突パラメタの関数として、土星を通過したした後の宇宙船の太陽に対する速
さを図示せよ。
(5) 太陽系からの脱出速度に達し得るか?
(6) 以上の計算 (モデル) の持つ誤差、裏を返せば改善点、について議論せよ。
119
回転を表す行列

を考える。

g11 g12 g13


g ≡  g21 g22 g23 
g31 g32 g33
(101)
(1) 微小な回転であれば、


1 g12 g13


g ≡  g21 1 g23 
g31 g32 1
(102)
の形に書けることを説明せよ。
(2) したがって、回転角が小さい時


1 −φ3 φ2


1 −φ1 
 φ3
−φ2 φ1
1
(103)
の形で書けることを、式 102 の形から出発して示せ。ただし、|φi | ≪ 1 とする。
52
120
(1) 問題 119 の結果から、微小回転を行うことにより


φ1
→ 
−

φ ≡  φ2 
φ3
(104)
を用いて
→
−
r → r′ = r + φ × r
(105)
|r| = |r′ |
(106)
と書けることを示せ。
(2) |φi | ≪ 1 を使って
を示せ。
→
−
→
−
(3) φ は、回転軸がこれに平行で、大きさ | φ | の微小回転を表すことを示せ。
121
半径 a の円盤の上に細いパイプを取り付け、その中を大きさを無視できる質量 m
の質点が通過する際の運動を、円盤に乗っている人の視線で考える。円盤は水平に
置かれており、角速度 ω = 一定で動いているものとする。
(1) パイプ方向を x 軸、それに垂直な方向を y 軸と見立て、運動方程式を建てよ。
(2) t = 0 で、x(0) = x0 ,vx (0) = v0 0 とする。質点が円盤を出て行くまでの運動を
求めよ。
(3) (2) の条件の下コレオリの力はどのように与えられるか答えよ。
(4) パイプが質点に及ぼす力はどのような寄与をするか答えよ。
122
地球を真球とし、地球の回転軸を北極側を正として z 軸とする三次元極座標系を
とる。地球の角速度は ω = 一定とする。また、地球の半径を R とする。
θ, ϕ の位置にいる人が見る質量 m の物体の運動を考える。θ, ϕ, r 方向を、それぞ
れこの観測者にとっての x, y, z 軸であるとして、以下の問いに答えよ。
53
(1) この座標系で、角速度ベクトルはどのように書けるか?
(2) コレオリの力を求めよ。
(3) 遠心力を求めよ。
(4) 外力 f (r) が働いてるとして、この物体の運動方程式を書き下せ。
123
引き続き問題 122 の状況を考える。フーコーの振り子がなぜ自転の証拠となるの
かを見る。
(1) 質点に原点からの距離に比例する力 (比例係数 k) が働くとする。この場合の運
動方程式運動方程式を記述せよ。
(2) 復元力が充分強いと仮定し、始め x 軸に平行に動いていたとした場合、この質
点が動く方向がどのように変化するか、求めよ。
(3) 北緯 45 度東経 135 度にいる観測者からすると、どれだけの時間が経つと質点
が下の方向を向くようになるか、求めよ。
(4) 北極で観測するとどうなるか?
124
引き続き問題 122 の状況を考え、ナイルの放物線と呼ばれる軌跡を導く。これは
自由落下する物体に働くコレオリの力の影響として理解できる奇跡である。
なお、問題を簡単にするため、必要に応じて遠心力の影響は鉛直方向の見かけの
重力を変えるだけとしてよい。
(1) 初期条件はどのように設定すればよいか?
(2) (1) の初期条件の下、運動方程式を解け。
(3) 地上に落ちた時、物体はどこにあるか?
(4) スカイツリーの一番上からものを落とした時どこに落ちるか具体的な数値で
答えよ。
54
演習問題(12 回目)
125
• 静止衛星の原理
引き続き問題 122 の状況を考える。
(1) 外力として地球による重力のみが働いてるとすると、物体が宇宙に静止する可
能性があるのは、赤道上空のみであることを示せ。
(2) 物体が静止するための具体的な条件を求めよ。地球の質量などは自分で調べる
こと。
(3) 静止衛星の安定性について議論せよ。
126
• 静止軌道の安定性について考える。色々な考え方はあるので、各論の部分は各
自の考えと違うかもしれない。どう違うか、について自分なりによく考えるよ
うに。
• ここで言う安定性とは、衛星が静止軌道からずれた時引き続き静止軌道にとど
まるのかどうかを問題にしている。
原点を静止位置に取り、東西方向に x、北南方向に y 、高さ方向に z 軸を取る。
(1) これらの軸方向の単位ベクトルを、問題 122 の極座標の基底を用いて表せ。
(2) この座標系における衛星の運動方程式を求めよ。ただし、回転は時間によらず
一定であるとして良い。また、地球の中心から静止軌道までの距離に比べて、
原点付近での変位は小さいとして良い。
(3) y 方向の運動は単振動になることを示せ。また、単振動の周期はいくらか。
(4) x 方向へ平行移動した点も、静止軌道となっていることを (2) の運動方程式の
立場から示せ。
(5) (a) z 方向の変位に対してはどう考えればいいか? x 方向との連立方程式にす
ると一般解が得られる。その一般解を求めよ。
(b) この一般解の中に、(4) の状況も含まれていることも確認せよ。
(c) t = 0 で z = z0 で他の初期条件は 0 とすると、どのような解が得られる
か? また、それはどのような運動になっているのか答えよ。
55
127
静止軌道を揺籃する原因をいくつか考えてみよう
(1) (a) 問題 126 (2) で求めた運動方程式に出てくる z 方向の力と、月の引力を比
べてみよ。
(b) 月の回転は充分遅いので、衛星が一周する間地球に対しては静止してい
て、さらに赤道面に位置すると近似して、月が衛星に与える力積を求めよ。
(c) この力積を周期的に与えられる瞬間的な力だと近似して、衛星の運動が
どのようになるか求めよ。
(d) 具体的に数値を入れてどの程度の影響になるか定量的に見積もってみよ。
(2) 太陽の引力の影響はどうか?(1) と同様のことを考えてみよ。
(3) Wikipedia によると、東南アジア上空の静止衛星はインド方向に引っ張られる
そうである。なぜか、考えてみよ。
128
以下の 2 問でスペースコロニーの原理について考える。
半径 R(同じスケールの大きさを大文字で表す) が、人の大きさ (a, b などとこの程
度の大きさのものを小文字で表す) に比べて格段に大きい、R ≫ a、円柱があり、こ
れが円柱の軸を回転軸として一定の角速度 ω で回っているとする。
さて、このような条件の下では円筒側壁内部 (以後、地表、と呼ぶ) にいる人にとっ
ては人工重力が発生しているように見える。また、コレオリの力や遠心力も観測で
きる。これを以下の二通りの方法で確かめる。
なお、必要に応じて R ≫ a の条件は使って良い。
人が立っている場所を原点とし、円柱軸方向に x 軸、そこから円柱の中心方向に
z 軸を採る。
(1) 右手系を採るとして y 軸の方向はどちらを向くか?
(2) 角速度ベクトルはどう書けるか?
(3) この系から見た物体の運動方程式を建てよ。
(4) 地上に立つ人が、地球の表面と同じ「重力」を感じるための条件を求めよ。
(5) 高さ h から質点を自由落下させたとする。この質点がどこに落ちるか求めよ。
56
129
引き続き同じ円柱の内部での運動を考えるが、今度は円柱の外にいる慣性系で運
動を記述し、それが地表にいる人にどのように見えるかを考える。
慣性系の座標軸を以下のように設定する。まず、円柱軸方向を z 軸とし、角速度
ベクトルが
 
0
 
→
−
ω = 0
(107)
ω
となるように方向を定義する。次に、t = 0 で円柱中心と地表に立つ観測者を円柱軸
方向に垂直に結ぶ向きを x 軸とする。また、座標原点はこの x 軸と z 軸の交点とす
る。最後に y 軸は右手系を構成するように方向を決める。
(1) この座標系を絵に描いてみよ。
(2) t = 0 で、問題 128 の言葉でいうと地表から高さ h のところから質点を自由落
下させる状況を考える。
(A) 慣性系の観測者にとっての運動の初期条件を書き下せ。
(B) 質点には外力は働いていないとして、充分小さい時間が経った t = δt で
の質点の位置を求めよ。
(3) t = δt で地表にいる人はどこにいるか求めよ。
(4) 以上より、t = δt で、地表にいる人にとって質点はどの位置にあるか、問題
128 の座標系で求めよ。
(5) (4) の結果を使って、地表にいる人にとって、質点はどのような加速度を持つ
か求めよ。また、それが問題 128 の結果と一致することを確かめよ。
(6) ある時間が経つと、質点は円柱の壁にぶつかる。このぶつかった位置が、地表
にいる人から見てどの位置にあるか求めよ。また、その位置は問題 128(5) と
一致することを確かめよ。
130
ラグランジュポイントを以下の簡単化した系について求める。
球形の物体 1,2,3 が存在する。質量、位置ベクトル、半径を mi , ri , Ri , i = 1, 2, 3 で
表す。それぞれの物体の間には重力のみが働いているとする。m1 , m2 ≫ m3 とする。
まずは、物体 1,2 のみが存在するとする。
57
(1) 作用・反作用の法則を確かめよ。
(2) 重心運動と相対運動に分離せよ。
(3) 重心の速度は 0 と見なせる。理由を述べよ。
(4) 相対運動が半径 a の等速円運動になっているとする。このときの角速度 ω を求
めよ。
(5) それぞれの物体の運動は、重心周りに角速度 ω で回転しているとみなせる。も
ちろん、この回転運動の駆動力は相手の物体の作る重力である。
これを相対運動の運動方程式を変形することで示せ。
(6) 物体 1,2 をそれぞれ地球と月とした時、重心と地球の距離と地球の半径を比べ
てみよ。厳密には円運動ではないのでそのあたりは適宜近似せよ。
131
問題 130 の系に物体 3 を導入する。物体 3 は充分小さい質点として扱う。また、物
体 3 の物体 1,2 に対する重力相互作用は考えなくていいものとする。
(1) 物体 1 と物体 2 を結ぶ線上に物体 3 を置く。
(A) 物体 3 に働く重力を求めよ。
(B) 置く位置を選べば、物体 3 は物体 1,2 と同じ角速度 ω で重心に対して回転
する。つまり、物体 1,2,3 の相対位置は変わらない。どこに置けばいいか。
(C) 物体 1,2 が地球と月であるとして、それぞれどの位置になるか、具体的な
数値を求めよ。
(2) 回転軸に垂直な平面内にはもう二点物体 3 が物体 1,2 に対して静止できる点が
存在する。この点は 1,2 を結ぶ線に対して対象の位置にあるので、片方だけ求
めればよい。
(A) 物体 1,2 の重力の合力が物体 1,2 の重心を向くための条件を求めよ。
(B) さらに、物体 3 が角速度 ω で重心に対して等速円運動するとして、この
遠心力と合力が釣り合うという条件が成立する点を求めよ。
(C) (B) で求めた位置は、r2 − r1 を底辺とする正三角形のもう一つの頂点に
なっている。これを示せ。
(D) 物体 1,2 が地球と月であるとして、具体的な位置を求めよ。
58
演習問題(13 回目)
軌道エレベータとは地球と宇宙空間を結ぶエレベーターで、その力学的特性によっ
て安定的に、つまり地上にいる人から見ると静止して、存在することが出来る。そ
の条件を以下のように色々なやり方で求めていく。なお、通常の説明では静止衛星
軌道上に宇宙ステーション (A とする) を置き、その上下にエレベータが設置される
ことになっているが、実は宇宙ステーションが必要ないことも確かめよう。
ただし、話を簡単にするために、軌道エレベーターの設置場所は赤道上空とする。
また、エレベーターの強度などは無限大であり、線密度が ρ で与えられるワイヤー
であるとモデル化する。
132
地上の観測者から見たエレベータの状態を考える。ただし、座標は鉛直上向きに
z 軸を取り、原点は地上に置く。地球の半径を R、地球の角速度を ω, 静止軌道の高
さを h、エレベーターの高さを zmax とする。
a. ワイヤーの線密度が一定 (= ρ) であるとする。
(1) ワイヤーにかかる張力を T (z) とすして、z と z + dz の部分の力の釣り合
いを表す式を書き、そこから T (z) が満たす微分方程式を書け。
(2) 微分方程式を解け。ただし、原点での張力は T (0) とする。また、ワイヤー
がたわまないという条件から張力に対して制限がつく。その制限を書け。
(3) 宇宙ステーション A は、それより下のワイヤーから下向きに引っ張られ
ている。どれだけの力で引かれているか?また、その力の最小値はいく
つか?
(3) から分かるように、ワイヤーを付けることで、宇宙ステーション A には余
計な力がかかることになり、そのままでは静止できなくなる。そこで、ステー
ションの上方にもワイヤーをのばしそのワイヤーによって上方へ引き上げて貰
う必要だ出てくる。
(4) 上方のワイヤーに働く張力に対する微分方程式を書き、それを解け。な
お、境界条件はワイヤーの上端は何者とも接触していないことから一意
に決まるのでそれを用いること。
(5) (3) の結果と合わせると、zmax の下限が決まる。それを与える式を書き、
具体的に数値を求めよ。
59
(6) 下部のワイヤーによる張力を相殺するためであれば、必ずしも上方にワ
イヤーを設置する必要はない。そこで、上方のワイヤーの代わりに質量
0の仮想的なワイヤーに質量 MB のもう一つのステーション B を接続さ
せてみる。このとき MB とステーション B の位置 zmax に要求される条件
を求めよ。また、zmax をある値に取ったとするとそれに応じて最小の M
が決まる。それを求める式を与えよ。
(7) ステーション B に接続するワイヤーがステーション A の下部に接続され
ているワイヤーと同じ線密度であった場合に (6) の条件はどのように変更
されるか?
(8) ステーション A の上空 30000km にステーション B を置くとして、エレ
ベータの質量の何倍の質量に取ればいいか?また 100000km であればど
うなるか?
(9) ここまでの議論から、ステーション A が存在しなくても軌道エレベーター
は存在できることが分かる。このことをここまでの議論を使って説明し、
特に (7) の条件下でステーション B の質量 MB とその位置 zmax につく制
限を求めよ。
– ある種の極限を考えればほとんど自明ですね。
b. 線密度が高さによるとする。すなわち ρ(z) で与えられるとする。この場合に
a.(1)-(8) はどのように変更されるか?
– b. の一般論を計算した後に a. をやっても良いですが、その場合はその対
応が明確になるように記述すること。(5) の数値を求める部分はやらなく
て良い。また、(6)(7) との対応はこちらが何を要求しているのかきちんと
読み取るように。
c. ステーションの大きさ (高さ) はエレベーターの長さに比べれば充分小さい。
従って ρ(z) → ρ(z) + MA δ(z − h) + MB δ(z − zmax ) と置き換えて考えること
で、ステーション A の上下を分けて考えることなくエレベーターの安定性に
対して議論でき、a.(8) の解答を導き出すことが出来る。
δ 関数の取り扱いに注意して、これを示せ。
– とある理由から、ステーション A の上下を分けて考えた方が理解しやす
い (と思われる。) 実際、ネットで見つかる説明はたいてい分けている。
その理由は理解できたでしょうか?c. にあるように一気にやった方が分
かりやすい、と言う人も多いのではないかという気もするけど。
– 問題にはしませんが、
「地球の中心が慣性系にあるとして、ある慣性系か
ら軌道エレベーターの運動を観測する。」として問題を設定しても同じ式
が得られます。当たり前のことですけどね。スペースコロニーの話と対
応させて考えてみてください。せめて夏休みにはやってみてください。
60
133
次に、軌道エレベータを剛体だと考えて運動方程式を建てよう。
a. まずは、ステーション A の上部エレベータと下部エレベータそれぞれを別の
剛体だとする。ここでは剛体だと見なすので、エレベータ内に働く力に関す
る知識は必要ない。ただエレベータの地球との接点やステーション A がエレ
ベータを引く力は必要になる。
(1) これらの引く力はは、張力の言葉を使うとそれぞれ T (0), T (h) で表され
る。なぜか?
(2) 下部エレベータの重心に対する運動方程式を求めよ。
(3) 重心が角速度 ω の等速円運動をしていることから従う式を書き、それが
A.-b.(2)(あるいは (3)) で出てくる式と同じになることを確認せよ。
• 線密度が z に依るとする場合が難しいと思うのであれば、まずは一
定の線密度であるとして問題を解き A.-a. との対応を見ること。
(4) 上部エレベータに対して (2)(3) と同じことをせよ。ただし (3) の問題文は
適宜読み替えること。
• これも、いきなり一般論が難しいと思うのであれば、まずはステー
ション B が無い状況を考えること。
134
質点系において、運動エネルギー K は重心の運動エネルギー KG と重心周りの運
動エネルギー K ′ の和の形 (K = KG + K ′ ) で書けることを示せ。
135
質点系の角運動量を考える。各質点 j に働く外力を Fj とする。全角運動量を L と
して以下の問に答えよ。
(1) 全角運動量の時間変化率 (運動方程式) が
X
d
L=
rj × Fj
dt
j
(108)
と書けることを示せ。
(2) 角運動量は、重心の角運動量 LG と重心周りの角運動量の和で書けることを
示せ。
61
P
(3) 重心の角運動量の運動方程式は、重心に各質点に対する合力 F ≡
fj が作用
しているしているとした時の力のモーメントを用いて表されることを示せ。
(4) 重心周りの角運動量の従う運動方程式を導け。
136
斜度 θ の斜面を転がる質量 M 、半径 a の一様な剛体球の運動を考える。静止摩擦
係数を µ、動摩擦係数を µ0 とする。
(1) 球の慣性モーメントを求めよ。
(2) 初めに球が静止している場合を考える。
(a) 重心の運動方程式を建てよ。
(b) 重心周りの回転に対する運動方程式を建てよ。
(c) 滑りがないとすると、角速度と球の速さの間に関係がつく。それも使っ
て (a)(b) で建てた式から摩擦力の影響を消去し、v の時間変化を与える
式を導け。
(d) どのような運動が得られるか?
(e) 運動エネルギーの変化量が位置エネルギーの変化で与えられることを示
せ。また、このことから摩擦力について何が言えるか?
(3) 次に斜面に沿って初速 v0 で転がすことを考える。
(a) t = 0 での角速度 ω0 が 0 の場合を考える。
(α) t が充分小さい内に成立する重心に対する運動方程式と、重心周りの
角速度に対する運動方程式を書け。
(β) 運動方程式を解き、この運動方程式がどの時刻まで成立するか、そ
れはなぜかも含めて説明せよ。
(γ) 球の力学的エネルギーについて議論せよ。
(δ) その時刻を過ぎてから成立する運動方程式はどのような物になるか?
(b) 一般の ω0 について議論せよ。
• 常識的に考えれば場合分けは出来ると思います。
62