2月号H27.2.27発行 - 認定こども園あかみ幼稚園

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せっかち 園長の
2015、2、27
ひとりごと
認定こども園あかみ幼稚園 園長 中山昌樹
もう3月・・・皆さんは何か“春”らしいもの(こと)を見つけましたか?
さて、キッズフェスティバルでは、保護者の皆さんと私たちとで、子どもたちの成長を共に喜び合えましたね。
子どもたちの成長・・・それは、私にとって、“春”らしい喜びです。・・・ここまで子どもたちが成長したのだという。
0・1・2歳の保護者の方(上のお子さんがキッズフェスティバルを体験していない方)は、これからキッズフェスティバルに
出会うわけですが、この行事は、子どもたちの一年間の成長の様子を、皆さんと私たちとで喜び合う場です。
入園して、一年一年の暮らしを、子どもたちは成長とともに積み上げていきます。そして私は、本当にそうだなと思うのですが、
0・1・2歳の育ちが土台となって、3歳 →4歳 →5歳と、子どもたちは育っていくのですね。
植物も含めて、すべての生き物がそうであるように、人間にとっても、その時その時の育ちを一つずつ積み重ねていくことが大切
なのですね。化学肥料をたくさんあげて、急いで枝葉を大きくさせても、大切な根が育っていなければ、枯れてしまったり、
風がちょっと吹けば倒れてしまう・・・子ども・人間も、同じではないでしょうか?
今回、キッズフェスティバルの懇談会では、DVD「21世紀型の保育実践」を観ていただきました。これが、上で述べた本園の一年間の
暮らしをお伝えするのに最適と考えて観ていただきましたが、学年の担当者からの説明とあわせると、ちょっと時間が長かったですかね。
私としたら、やっと完成した DVD を皆さんと一緒に喜び合いたいという気持ちもあったわけです。お疲れになった方もいたかと思いますが、
我が子の成長の現場を、少しだけかもしれませんが、知っていただけたと思いますし、何より今回だけの試みですので(来年の懇談会は、
また今までのやり方になります)
、どうぞお許しください。
3歳
4歳
5歳
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さて、まず、今年の窯たきについて・・・
今年も泥工房(でくのぼう)の皆さん、もり組はじめ保護者の皆さんのご協力、
そして職員のがんばりもあって、2月23日(月)に無事、火止めが行われました。
いつも言っていることの繰り返しですが、保護者の皆さんや地域の方たちと一緒に、
この活動を行えることは、子どもたちの育ちに大きなプラスになっています。
もちろん、子どもにとって一番大切なのは「遊び」です。
そしてそれに加えて、自分の親含めた“大人たち”が、いろいろな道具を使って、
力を合わせて、楽しみながら、何かを作り出している姿を見ることが、とっても
大切です・・・というか、縄文時代より以前から、子どもはそうやって育ってきた
ということです。今の時代、子どもが育ちにくくて、子育てがしにくいのは、親だけが(とくに母親だけが)家の中で子育てを
しなければならないからなのだ、と汐見稔幸先生はよく言います。
親自身が、新たな形で(昭和の時代に戻れないので)、何らかのつながりやコミュニティを作っていかないと、子育てがしにくいし、
結果的に子どもも育ちにくいのでしょう。
焼けたろう(窯の名前)の話になりますが、窯たきのプロセスには、子ども・人間の成長に似ているところがあります。
それは、一言で言うと、一直線の右肩上がりで温度は上がらない、ということ。下の図で言うと、A ではなくて B ということ。
A
B
例えば、300℃から400℃あたりは、完全に乾燥していない
作品が割れてしまうかもしれない温度帯です。
また、1,000℃周辺には壁があり、これを越えるのには、結構な
時間が必要になります。どういうことかというと、それ相応の
エネルギーが蓄積しないと、その温度帯より上に行けないということです。子どもの育ちの、たとえば 1 歳半の時期、3 歳の時期、
10歳、18 歳の時期というのは、窯たきのプロセスの300℃から400℃あたり、あるいは 1,000℃周辺にあたります。
↓続く
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というのは、これらの時期は、次の成長に向かうためにエネルギーをためなくてはならない時期で、外から見ていると、不安定
になっていたり、退行(赤ちゃん返り)しているような時期なのです。
発達心理学では、これらの時期を「発達の節目」あるいは「質的転換期」なんて言います。1 歳半、3 歳の時期には検診があり
ますね。10 歳の時期は算数の分数のような勉強をする時期で抽象的思考をし始める時期にあたります。さらに 18 歳というのは、
青年期・・・もちろん個人差はありますが、これらの時期は育ちが難しい時期、だけど子どもの育ちにとっては大切な節目になる
のです。
焼けたろう(窯の名前)の話の続き・・・「焼けたろう」と言っていますが、窯は本来、女性なのです。
それは、窯自体が母体であり、その中の作品は子どもたち・・・まさにそれは、命を生み出す営みに例えられる
生産行為だったのです。
私が窯作りや窯たきのことを習った職人さんが言っていました。縄文土器や弥生土器などは窯を使わず、野焼き
という焚火のようなやり方で焼いて、土器作りをする職人は女性だった。ところが、古代に窯の技術が今の中国や
韓国から伝わってから、そこで働く職人は男性になった。古代では、窯場は女人禁制だったと。
知れば知るほど、人間の営みというのは奥が深いですね。あかみ幼稚園の
年長組(もり組)が体験する窯たき・焼き物は、子ども文化(どろ粘土遊び)
と大人文化(陶芸)の接点です。
もちろん、俳句や茶道もすばらしい日本の文化だと思いますが、子どもから
すると距離がありすぎます。ところが、子どもは小さい時からどろ粘土で
遊びます。そしてその延長線上で、年長組(もり組)になると窯たき・焼き物
に出会います。それは、やらされるのではない、自然な出会いになっています。
窯たきの一連の作業では、窯詰めも子どもたちとやりました。窯の中は裸電球でうっすらと照らし出されていて、「すごい」
という子どもはいましたが、「こわい」という子どもはいませんでした(知る限りでは)。おそらく子どもにとって、窯の中は、
懐かしいような、落ち着く雰囲気だったのではないでしょうか?
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さて、もう一つの話題は・・・、
「アプローチカリキュラム」と「スタートカリキュラム」というものを作るという話題です。
これは、子どもたちが遊びで培った力を小学校以降の学びにつなげるために、赤見小学校と協働する取組みです。できあがった
カリキュラムが佐野市全体で共有されることを期待して、教育委員会の指導を受けながら進めます。
先日、プレスクールが開かれ、もり組の希望される保護者が参加されました。子どもたちはもちろん、保護者の皆さんも安心して
小学校生活を迎えたいですね。
テーマ「発達や学びの連続性をふまえ、『遊び』を『学習』に生かす、幼児教育の充実」
具体的な取組み
a「自発的な遊びとしての学び」と「自覚的な学び」についての共通理解を図るための研修
講師:栃木県幼児教育センター
b 上記共通理解に基づいた保育実践のエピソード化とその評価
講師:佐野市教育委員会 指導主事
c 幼稚園幼児指導要録、入学支援シート等を含む、小学校教諭と幼稚園教諭との「引き継ぎ」等の検証
講師:佐野市教育委員会 指導主事
d「スタートカリキュラム」を含む、授業・保育相互参観
講師:佐野市教育委員会
指導主事
期間
平成 27 年4月
から
平成 28年3月まで
体制
・幼・小教職員からなる研究委員会による
・佐野市教育委員会による指導助言