学年間チューター制度・上級生オフィスアワー

2(2)学年間チューター制度・上級生オフィスアワー
4年生が採用試験を受けた際、音楽実技に関する問題を思い出してもらい、問題集を後
輩に残してもらうようにしている。そうすることで、就職への動機付けと具体的な実技試
験の内容を知ることができるようになっている。このことは、翌年に採用試験を受ける後
輩にとっては、大いに助かっている。特に実技は、すぐに能力ができるものではないので、
長いスパンで考えなければならない。特に最近の採用試験では、単にピアノが弾けるとい
うより、伴奏を即興的に弾きながら童謡を歌うことが重視されるようになってきている。
したがって、4年生の採用試験での経験は、後輩に極めて重要な情報をもたらしている。
この4年生による情報提供は、幼児教育講座の伝統となっており、就職率を高めることと
なっている。
音楽に関しては、3年生と4年生とが同時に履修している幼児音楽A・Bやピアノ実技
A・Bがある。この時間では、4年生の歌唱や弾き歌いやピアノ演奏が3年生に対して大
きな刺激となっている。特に、4年生は教育実習や保育所実習を終えているため、3年生
も4年生の演奏や話を聴くことは実際に有益である。
教育実習に関しては、私が附属幼稚園長をしているため、3年生の教育実習に際して、
4年生の教育実習の状況を話すことによって、3年生は大きな刺激と4年生に負けまいと
いう自負心をもつようになっている。また、4年生が3年生に対して教育実習の実情を話
すことによって、教育実習に真剣さがみられるようになっている。
(岡山大学:井戸和秀)
保育内容学ゼミナールでは、指導教員の論文指導と平行して、上級生が指導助言する方
式を採用している。
「教えることによって学ぶ」を標語に、上級生が下級生を指導する「学
年間チューター指導」の1年間の反省を以下に掲げる。
①チューター制のもとで、3年生2人の論文執筆の指導をしましたが、教育実習などで忙
しく、なかなか指導ができませんでした。しかし、少ない指導回数ながらも、良い経験が
できました。私は主に一太郎の操作法や、執筆の仕方を指導しましたが、人に教えるには、
まず自分がしっかりと理解し、自信をもっていなければいけないのだと実感しました。間
違いを教えられないという責任感や、頼りになる先輩でいたいという思いから、やる気も
でました。反省点は、3年生からの質問を待っていたことが多かったので、私からも働き
かけ、お互いに高めあっていこうという姿勢をもっともつべきでした。先輩の姿を見て、
それを基準にして、後輩達は次の後輩に関わっていくと思うので、ゼミの時間以外での指
導の充実を図って、ゼミの良い伝統を作っていくことが課題です。(4年生)
②指導とは、教える側がしっかりと知識をもっていないと成り立たないのだと実感しまし
た。今回3年生の指導をすることで、これまで自分の中で曖昧にしてきた事柄を改めて見
直すことができ、よかったと思います。ただ今回は、3年生の意思に任せきりでこちらも
声をかけることをせず、少し中途半端に終わってしまったようにも思います。この制度を
存分に活かし、お互いにとってよりよい環境作りのために努めたり、またこれから代がか
わり指導する側される側が代わってもチューター制の良さや基本的な指導形態などを引き
継いでいけるような、先を見通した指導を心掛けるべきでした。(4年生)
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③学年間チューター指導を行って、1∼2名に対して個別に指導を行うことで、卒論の進
め方や構成、形式(段組、文字ポイント等)などをより細かく指導することができ、同時に
自分自身も改めて確認することができました。また、先輩という立場から後輩を指導して
いくことの難しさと、ゼミでの発表の仕方や卒論の書き方を伝えていくという意味でも、
先輩後輩が卒論について話すことができる機会の大切さを学びました。(4年生)
④私は、直接担当した後輩がいなかったので、他の4年生の指導が円滑に進むように、指
導を受ける者の立場について指導を行った。後輩に対して自分が先輩から教わってきた礼
儀について基本的なことであるが、指導を受ける前に予約をとることや時間を守ることを
大切にした。後輩に指導する際には、自分はしっかり守れているだろうかという緊張感を
持っていたので、学年間のチューター制によって自分も成長することができた。
(4年生)
⑤3年生からゼミに入ることになり、何も分からない状態だったが、ゼミとはどういうも
のなのか、何をするのかなどの疑問質問を、学年間のチューター制があることで、担当の
先輩がいて相談することができたので、とてもよかった。具体的に、卒論のテーマをどの
ように決めるのか、卒論の書式の書き方はどうするのか、また、ゼミにおいての礼儀やマ
ナーという大切なことも教えていただいた。ゼミの中でも4年生としての姿勢を学ばせて
いただいた。(3年生)
⑥今年から卒業論文を書くにあたって、初めは分からないことだらけで何をどうしたらよ
いか全然分かりませんでした。一太郎の使い方もよく分からず、2段組や文字置換などの
やり方などを教わりました。また、執筆に関することだけではなく、ゼミでのルールやマ
ナー、態度なども教えていただいて、始めに比べると、いくらかは良くなったのではない
かと思っています。ただ先輩に助言をもらうときに、忙しいだろうと気を遣ってしまって、
一歩ひいていたと思います。(3年生)
⑦ゼミに入った当初は、何から手をつければよいのかわからない状態でした。しかし、先
輩方に指導して戴くことで、卒論の書き方も学べましたし、信頼関係ができたお陰で、色
々とお話を聞く機会が持てました。卒論の書き方については、研究室のパソコンで実際に
2段組にする方法などを見せて戴きました。最初は、2段組という言葉の意味さえ分から
なかった私でしたが、丁寧なご指導のお陰でなんとかやり方を覚えることができました。
チューター制によって縦のつながりの中で学ぶことができたように思います。(3年生)
⑧学年間のチューター制で先輩から学んだことは論文の書き方です。註の書き方では本文
のどこに註をうてばいいのか、論文抄録に載っている論文の場合の註はどのように書けば
いいのかなどを教えていただきました。また、表記として不適切なところを指摘いただく
なかで、論文特有の表現の仕方についても学ぶことができました。自分が当たり前に書い
た文章や表現が伝わりづらい場合もあることにも指導を受けるなかで気付くことができ、
相手に伝わる文章を書くようにより意識することができるようになりました。(3年生)
⑨卒論の書き方や段組などだけでなく、ゼミ中の態度についても指導してもらいました。
最初の発表で何を書いていくのか指導してもらったり、書いたものの確認もしてもらった
りしました。その内、ゼミに慣れてきてから態度について指導してもらいました。これら
指導してもらったことが学んだことの多くだと思います。大学での講義とは全く違うゼミ
で、右も左も分からない状態の僕には先輩の存在は有り難かったです。(3年生)
(岡山大学:高橋敏之)
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ここでは、幼児教育講座内の教務・教育実習に関する事柄について報告する。
平成 18 年度には、それまでの教育実践に新たな試みを追加した。昨年度報告したよう
に、特に問題は生じていない。従来行ってきたことの継続と平成 18 年度に行った新たな
試みを生かすこととが、平成 19 年度の教育実践となった。
4月のオリエンテーションで、例年通り、授業の履修と単位の修得に関する留意事項を
解説した。その際、『学生の手引』をまず自分で学び、友人と学び合い、その上で、先輩
に尋ねるように指導した。自学自習を基本としながら、主体的に先輩に尋ねるように促し
ている。当然、名簿(部外秘)は4月中旬にはできあがっており、歓迎会も催される。た
とえ教務上の問題があったとしても、教員が最終的に対処する体制になっている。特に問
題はないと考えられる。
昨年度から、学外で保育士資格試験を受けた4年生に問題集や勉強の仕方などについて
のレポートを残してもらっている。4月には、同様に学外で保育士資格試験を受ける予定
の学生達が、そのレポートを今後の勉強の参考資料にした。
5月には、2泊3日の合宿が行われ、2日目の午後に1時間半1∼4年の縦割りグルー
プによるディスカッションが行われた。その際、教育実習や諸々の疑問点もテーマにあげ
られている。この時間にも、後輩が先輩に教務関連のことを質問できるようになっていた。
3年生以降ではゼミがあり、ゼミ行事もある。ゼミ内で3年生と4年生の交流が図られ、
後輩が先輩に質問しやすいような関係作りもなされている。
(岡山大学:横松友義)
岡山大学教育学部幼児教育講座では、毎年、就職・学生連絡委員(講座教員)が中心と
なり、採用試験を受けた学生による、地域別に復元された試験問題を保存している。毎年、
4年生は後輩のために、できるだけ詳細な復元問題を作成するよう努力する。就職・学生
連絡委員、4年生が作成した原稿をストックし、在校生は自分が受験しようとする地域の
過去問を見に来るが、原則として、貸し出しは不可能とし、閲覧およびコピーのみ許可し
ている。在校生達からは、採用試験の勉強にとても役立つと好評を得ている。
また、学外合宿研修の担当委員になった学生は、3年生を中心に、2年生を協力要員と
して導きながら合宿の企画・運営を行うなど、2学年の結束は高まった。これは、代々継
承されるこの2学年間の体験として全学年の学生に認知される意義深いシステムである。
一方、卒論指導を行う片山ゼミでは、3・4年生合同で毎週のゼミを行うことにより、
3年生は卒論執筆の経過を学ぶとともに、自分達がどのような研究をするかを考える重要
な学びへとつながる。4年生は自身の卒論の進捗状況を課題とともに発表する機会がある
が、他の4年生のゼミ生はもちろん、3年生も疑問をぶつけるなど、研究上の深まりにも
つながった。
また、3年生は 11 月初旬にテーマ発表をするが、その際、4年生から質問や助言を得
ることにより、自身の課題が深まることとなる。また、卒論実施に際して、日常から協力
していただく幼稚園や保育所の実践現場とボランティア活動等を通じて交流することの大
切さを先輩から学ぶとともに、実際のボランティア活動を受け継ぐなど、学年間での連携
協力体制が構築されつつあり、教員として喜ばしい。
(岡山大学:片山美香)
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本学科は今年度が完成年度であり、1年生から3年生までがはじめて全員そろった最初
の年となったため、有意義な活動ができた。
まず年度当初4月の新入生オリエンテーションでは、上級生の代表者が学校生活に関す
るガイダンスや、手遊びといった手軽な保育技術を発表する茶話会を行った。上級生は下
級生に学校生活やカリキュラムに関するガイダンスを自らが行うことで、逆に自己の学校
生活や学則を振り返る機会となった。また、新入生にとっては教員と立場の異なる先輩が
優しく率直に学校生活のガイダンスをしてくれ安心した様子であった。教員には聞き辛い
選択授業の選択方法のコツなどもリラックスした雰囲気で聞くことができたようである。
また、本学科ではカリキュラム上1年次は学外実習がなく、2年次の6月にはじめて必
修の保育実習が展開される。そのため1年次は座学中心の学内学習、2年次は実習を中核
としたコア・カリキュラム、3年次は選択コース(発達障害児コース、病児保育コース)
と学年別の学習内容の違いが比較的明確になっている。そのため各学年が交流する活動を
定期的に導入している。例えば、2年生が6月からはじまる実習に出る前に、「実習開始
式」を挙行した。式には実習生である2年生全員と実習生を見送る1年生全員が参加した。
2年生にとっては1年次に無事単位を取得し実習に出る誓いを立てる意味があり、1年生
には頑張って単位を取得すれば先輩のように実習に出ることができると気持ちを新たにす
る機会となった。
今後もこれらの活動を発展させるとともに様々な機会を提供していきたい。
(川崎医療短期大学:中原朋生)
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