第 11 回フランス日本語教育シンポジウム 2010 年フランス・リヨン 11ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Lyon France, 2010 ヨーロッパと東アジアにおける日本文化に対するイメージ 任榮哲(韓国・中央大学校) 1.はじめに 日本の国際交流基金が行ってきた『2009年海外日本語教育機関調査速報値』の結果によ ると、2009年現在、133ヶ国で、3,651,761人が日本語を習っているという。これは、1984 年の584,934人に比べ、6倍以上にも急増した数値である。その中で、ヨーロッパにおける 学習者数も99,145人に達し、かなりの増加を見せている。 日本語を習う目的は一概には言えないが、かつては日本経済の隆盛の影響もあり、日本 とのビジネスや情報の入手など、主に実用的な理由からであったと言えよう。しかし現在 は、テレビやラジオ、インターネットなどのメディアを通じて日本の漫画、アニメーショ ン、音楽、ファッションなどといったポップカルチャーに惹かれ、日本語を学んでいる若 者たちが増えているのが現状と言えよう。 そこで本研究は、日本文化の海外への発信およびその受容について考察し、その成果 を韓国文化の海外への発信政策の立案などに役立てようという目的で行われたものである。 研究の一環として、まず、日本や日本語、日本文化のイメージについて、2007年にフラ ンスの大学生、2008年にイタリアとスロベニアの大学生を対象として行ったアンケート調 査の結果を概略する。次に、韓日中3ヶ国の相互のイメージについて、2009年に韓日中で 大学生を対象として行ったアンケート調査によって得られた資料に基づいて分析する。こ れは歴史的、地理的に置かれた立場の異なる人々の日本に対するイメージを総合的に捉え られると考えたからである。 2.ヨーロッパにおける日本文化の受容 任・林(2010)は、日本文化がヨーロッパで、どのように受容されているかを調べるため、 2007 年にフランスのパリ大学とイナルコ大学の 94 人、イタリアのローマ大学の 97 人、ス ロベニアのリュブリャナ大学の 140 人、計 331 人の大学生を対象にアンケート調査を行っ た。 その結果を概略すると以下のようである。 2.1 日本に対するイメージ まず、「Q:日本に対するイメージはどうか」という問いでは、フランスとイタリアは 「とても良い」と「良い」の割合が 9 割を超えていることが図 1 から読み取れる。しかし、 スロベニアはフランスとイタリアに比べ「とても良い」と「良い」の割合がやや低く、約 77%にとどまっている。そして、 「他の国と変わらない」という割合が高いことが目に付 く。 202 第 11 回フランス日本語教育シンポジウム 2010 年フランス・リヨン 11ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Lyon France, 2010 図 1 日本に対するイメージ 2.2 日本文化の代表 次に、「Q:日本文化といえば何が思い浮かぶでしょうか」という日本文化の連想イメー ジについて、表 1 から見てみよう。様々な答えが出ているが、中でも「日本料理」の割合 が最も高く、 「着物」 「茶道」 「歌舞伎」 「漫画・アニメーション」などの順である。 順位 1 2 3 4 5 表 1 日本文化の連想イメージ(複数回答、単位%) フランス イタリア スロベニア 49.0 日本料理 40.2 日本料理 39.3 日本料理 30.9 茶道 30.0 漫画・アニメ 41.5 着物 29.8 茶道 26.8 着物 25.7 着物 22.3 三味線 22.7 歌舞伎 22.1 茶道 20.2 漫画・アニメ 21.7 漫画・アニメ 21.4 歌舞伎 2.3 最近接した日本の文化 そして、「Q:最近、接した日本のものにはどんなものがあったのか」に対する割合は、 表 2 の通り、 「漫画・アニメーション」 「日本料理」が最も高く、 「音楽」 「映画・ドラマ」 「ゲーム」などと続く。日常で接している日本文化は、若者文化であるポップカルチャー が多いということがわかる。 表 2 最近接した日本の文化 (複数回答、単位%) 順位 フランス イタリア 1 漫画・アニメ 47.9 漫画・アニメ 64.9 2 43.6 45.4 日本料理 日本料理 3 41.5 28.8 音楽 ゲーム 4 25.8 映画・ドラマ 39.3 音楽 5 23.4 19.6 ゲーム スポーツ また、3 ヶ国ともに「日本料理」の割合が高いが、これは スロベニア 48.5 日本料理 47.2 漫画・アニメ 40.7 電子製品 36.5 音楽 29.3 映画・ドラマ 1980 年代からヨーロッパに おいて日本料理店が多く登場しはじめ、今や健康食としてブームになっているからであろ う。そして、日本料理といえば、どことなく高級というイメージが強かったが、最近はラ ーメンやうどんなど大衆的な店が増え、若者が普段から日本料理に接する機会が増えてい るためであろう。 203 第 11 回フランス日本語教育シンポジウム 2010 年フランス・リヨン 11ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Lyon France, 2010 2.4 日本文化に関する情報源 最後に、 「Q:日本文化に関する情報はどこから得るのか」について、図 2 から見てみよ う。日本文化に関する情報は、主に「漫画・アニメーション」 「インターネット」を通じ て得ていることがわかる。このような結果から、ヨーロッパの若者の間に日本の漫画やア ニメーションが広く浸透している点と、インターネットを通じた迅速かつ正確な情報の提 供や交流が重要だという点が窺える。 図 2 日本文化に関する情報源(複数回答、単位%) 一方、 「文化交流プログラム」を通じて情報を得るという答えは、3 ヶ国ともに 1 割 にも満たないことがわかる。ちなみに、日本語学習者のみの結果を見ると、 「日本語の授 業」を通じて情報を得ていると答えた割合が高く、特にスロベニアの学習者では 7 割弱で、 その割合が最も高い。 上記からその結果をまとめると、以下のようになる。 (1) 日本に対するイメージはとても良い。 (2) 日本文化と言えば、日本料理、着物、茶道、漫画・アニメなどが連想される。 (3) 日本文化との接触分野は、漫画・アニメーションや映画・ドラマなどの日本のポッ プカルチャー、そして日本料理などである。 (4) 日本文化の情報源としては、漫画・アニメーションやインターネットが多く、 「文化 交流プログラム」を通じて情報を得るという例は非常に少なかった。 3.韓日中 3 ヶ国の相互イメージ ここでは、韓日中 3 ヶ国の相互イメージについて考察することにする。資料は、2009 年に中国(北京外国語大学で 380 人)と韓国(中央大学校で 416 人) 、日本(明海大学、 首都大学東京などで 115 人)で行われたアンケート調査によって得られたものである。以 下では、各国の文化に対する相互イメージと、各国の文化に対する連想イメージについて 調査・考察する。 3.1 各国の文化に対する相互イメージ評価 表 3 および図 3~5 は、韓日中 3 ヶ国の相互のイメージ評価をまとめたものである。 204 第 11 回フランス日本語教育シンポジウム 2010 年フランス・リヨン 11ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Lyon France, 2010 表3 評価 韓日中 3 ヶ国の文化に対する相互イメージ とてもよい % 人 少しよい 普通 % 人 人 少し悪い % % 人 とても悪い 人 % 日本文化 日本人 35 44.3 29 36.7 13 16.5 2 2.5 0 0.0 に対する 中国人 35 7.1 198 40.4 187 38.2 49 10.0 21 4.3 イメージ 韓国人 35 8.6 177 43.3 136 33.3 52 12.7 9 2.2 中国文化 日本人 7 6.2 12 10.6 46 40.7 32 28.3 16 14.2 に対する 中国人 163 62.7 77 29.6 17 6.5 2 0.8 1 0.4 イメージ 韓国人 12 2.9 33 8.1 133 32.5 180 44.0 51 12.5 韓国文化 日本人 15 13.2 36 31.6 50 43.9 10 8.8 3 2.6 に対する 中国人 8 2.1 75 19.9 164 43.6 74 19.7 55 14.6 イメージ 韓国人 22 9.2 104 43.3 90 37.5 20 8.3 4 1.7 図3 日本文化に対す るイメージ 50 70 60 50 40 30 20 10 0 40 30 20 10 0 1 2 3 4 5 . . . . . とす普少と てこ通して もし 悪も 良良 い悪 いい い 日本人 韓国人 図4 中国文化に対 するイメージ 50 40 30 20 10 0 1 . と て も … 中国人 図5 韓国文化に対 するイメージ 2 . す こ し … 3 . 普 通 4 . 少 し 悪 い 1 2 3 4 5 . . . . . とす普少と てこ通して もし 悪も …… い… 5 . と て も … 日本人 韓国人 日本人 中国人 中国人 韓国人 まず、日本文化に対するイメージでは、日本人の肯定的な評価のほか、韓国人と中国 人の「とても良い」や「少し良い」の割合がかなり高く、日本文化について好感を持って いることが窺える。次に、中国文化に対するイメージでは、中国人の自国文化に対する 「とても良い」の比率が 60%以上であることが特徴的である。しかし、韓国人と日本人 の評価は、「とても良い」や「少し良い」の比率が「少し悪い」や「とても悪い」を下回 る結果となっている。そして、韓国文化については、韓国人の自国文化に対する「とても 良い」の比率より「少し良い」の比率が高いことが興味深い。日本人および中国人は韓国 文化について主に「普通」という評価をしている。 以上のことから、次のようなことが言えよう。 (1) 韓日中 3 ヶ国は、自国文化に対しての好感度が高く、反対に他国に対する好感度は 205 第 11 回フランス日本語教育シンポジウム 2010 年フランス・リヨン 11ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Lyon France, 2010 相対的に低い。 (2) 自国文化に対する好感度に関して、中国人の評価は絶対的に良いものであり、日本 人も自国文化を積極的に評価している。一方、韓国人は自国文化について相対的に 低い評価を下している。 (3) 韓日中 3 ヶ国の文化の相互的なイメージに関する評価は、日本文化>韓国文化>中 国文化の順に好感度が高かった。 3.2 各国の文化に対する連想イメージ 次に、表4~6に韓国人・日本人・中国人の各国の文化に対する連想イメージを示した。 連想イメージは「政治・経済・国際関係」 「伝統・歴史・歴史問題」 「文化・文化的シンボ ル」「自然・人口・地名」「道徳・秩序」「社会的な評価・判断」「社会性・価値観」「習 慣・社会問題・雰囲気」 「食文化」 「衛生・外様」 「大衆文化」 「パーソナリティ・言語行動」 の12項目に分類した(表には 部分の5つのみを掲載) 。 3.2.1 日本人の3ヶ国の文化に対する連想イメージ まず、表4は、日本人の3ヶ国の文化に対する連想イメージをまとめたものである。全体 的に「パーソナリティ・言語行動」に関するイメージが多く、韓国や中国に関しては「社 会性・価値観」「社会風俗・社会問題・雰囲気」などに関するイメージが多かった。そし て、自国文化については、 「勤勉」 「優しい」などの肯定的なイメージが多く、中国に対し ては「気が強い」「攻撃的」「うるさい」 「食材問題」などという否定的なイメージが強か った。 一方、韓国については、 「礼儀正しい」 「肌がきれい」などの肯定的なイメージと、 「お せっかい」 「怒りっぽい」などの否定的なイメージを持っていることが窺える。 表 4 日本人の各国の文化に対する連想イメージ 政治・経済・国際関 係 日本および日本人に 中国および中国人に 韓国および韓国人に 関する連想語 関する連想語 関する連想語 3 先進、鎖国大好き 14 工業国、大量生産、 15 貧富の差、反日 歴史や文化を重んじ 伝統・歴史・歴史問 題 日本とすごく仲良 経済大国、先進国、 4 にはない意識、母国 10 い、歴史が長い、歴 愛国心が強い、起源 4 史的 意識が薄い 鮮、領土問題、敵 視、反日 古代中国はすばらし る、神社・寺、外国 し、一部反日、北朝 を主張するのが好き 丁寧、礼儀正しい人 道徳・秩序 9 礼儀正しい、丁寧 13 もいる、マナーが悪 6 礼儀正しい い 協調性がある、個人 社会性・価値観 10 より団体、保守的、 同じでなければ安心 3 できない 206 弱肉強食、上下関係 がすごくある 学歴社会、教育、保 15 守的、年功序列に厳 しい 第 11 回フランス日本語教育シンポジウム 2010 年フランス・リヨン 11ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Lyon France, 2010 パーソナリティ・言 語行動 96 勤勉、まじめ、やさ まじめ、明るい、パ おしとやか、明る しい、Shy、おとな ワフル、気が強い、 い、やさしい、熱 しい、遠まわしに言 はっきり言う、短 69 64 い、はっきり言う、 う、消極的、気難し 気、攻撃的、うるさ おせっかい、怒りっ い、はっきりしない い ぽい、自己中心 3.2.2 中国人の3ヶ国の文化に対する連想イメージ 次に、表5は、中国人の3ヶ国の文化に対する連想イメージをまとめたものである。全体 的に「パーソナリティ・言語行動」に関するイメージが多い。自国文化については、 「勤 勉」「知恵」 「聡明」などの肯定的なイメージが多く、日本に対しては「まじめ」 「礼儀正 しい」という肯定的なイメージと、 「卑劣」 「二重性」などという否定的なイメージがあっ た。韓国については、 「民族的な誇り」 「礼儀」という肯定的なイメージと、 「見栄を張る」 「文化盗用」などの否定的なイメージもあった。 表 5 中国人の各国の文化に対する連想イメージ 日本および日本人に関する 中国および中国人に関す 韓国および韓国人に関す 連想語 る連想語 る連想語 高効率性、技術先進 政治・経済・国際関 係 国、富裕、残業、政 8 府が強力、政府が戦 親米、親日、商業 強大国、貧困、勢力 5 が弱い 7 で詐欺を働く 争に熱中 題 民族的誇り、愛国 愛国、侍精神、伝統 伝統・歴史・歴史問 49 的、侵略性、血の匂 古い歴史、古代文明 22 い、歴史歪曲 礼儀正しい、親孝 親孝行、建前では礼 100 儀正しい、機械的な 18 団 結 、 革 新的 、 信 強食、規律遵守、抑 45 まじめ、卑劣、見栄 団結、保守的、急進 58 勤勉、誠実、まじ め、優しい、感情 的、簡単に満足、単 448 を張る、二重性 純、傲慢、盲従、利 己的 207 的、序列を重視、階 級的、男性優越主義 勤勉、忍耐、楽天 勤勉、忍耐、謙遜、 454 く、目先の利益を追 親孝行、伝統的な道 徳観、礼儀がない う の空論 語行動 57 保守的、融通が利 圧的、性差別、卓上 パーソナリティ・言 行、公衆道徳を守ら 団結、信用を守る、 用、教育重視、弱肉 118 文化尊重、文化盗 礼儀、礼節、丁寧、 ない 礼儀、不道徳 社会性・価値観 の発祥地 心、民族主義、伝統 101 用、歴史歪曲 丁寧、礼儀正しい、 道徳・秩序 的、貧困、山東地域 310 的、大胆、自尊心が 強い、見栄を張る、 卑劣、傲慢 第 11 回フランス日本語教育シンポジウム 2010 年フランス・リヨン 11ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Lyon France, 2010 3.2.3 韓国人の3ヶ国の文化に対する連想イメージ 最後に、表6は、韓国人の3ヶ国の文化に対する連想イメージをまとめたものである。こ こでも「パーソナリティ・言語行動」に関するイメージが多く、中国や日本については 「衛生・外様」「政治・経済・国際関係」などに関するイメージが多かった。自国文化に ついては、 「団結」 、 「情が深い」などの肯定的なイメージや、 「多血質」 、 「短気」という否 定的なイメージがあった。そして、日本については、 「勤勉」 「まじめ」などの肯定的なイ メージと、 「野卑」 「二重性」などの否定的なイメージを持っていることが窺える。 一方、中国に対しては「発展可能性」「急成長」などを言及し、さらに「偽もの」「食 材問題」などという否定的なイメージも強かった。 表 6 韓国人の各国の文化に対する連想イメージ 日本および日本人に関す 中国および中国人に関す 韓国および韓国人に関す る連想語 る連想語 る連想語 政治・経済・国際関 71 係 発展可能性、急成 先進国、高度の技 術、極右、高い、 IT 強国、漢江の奇 長、工場、貧富格 74 韓国と仲が悪い 差、遅れている、 11 跡、保守、富、サ ムスン、IMF 後進国、貧困 愛国的、自負心、 伝統、独島(竹 伝統・歴史・歴史問 23 題 島)問題、神社参 自負心が強い、愛 59 拝、侵略、歪曲、 国、共産党、古い 愛国、白の民族、 17 歴史、歴史歪曲 分断国、休戦国 反省を知らない 丁寧、礼儀正し 道徳・秩序 45 い、行き過ぎた礼 非礼、マナーがな 8 儀 開放的、少数エリ 社会性・価値観 34 ート主義、全体主 団結、男女平等、 37 義、閉鎖的 勤勉、親切、まじ パーソナリティ・言 語行動 469 め、慎重、二重 い、非倫理的 礼儀、礼節、親孝 12 多様性、大陸気 団結、力動的、教 49 性、野卑、消極的 育熱、集団主義、 質、市民意識不足 学縁、地縁 勤勉、活気、華 勤勉、情熱、情が 麗、大胆、多血 241 行、非道徳、汚職 質、個人主義、野 深い、多血質、勝 327 卑、利己的 負強い、短気、感 情的 以上のことから、次のようなことが言えよう。 (1)まず、日本について、日本人・韓国人・中国人の一致するところは、 「礼儀正しい」 「まじめ」などという「道徳・秩序」に関するイメージが強い。 (2)韓国および中国において日本との政治問題や歴史問題が起こることがあるが、「反 日」、 「歴史問題」などに関する連想語は多くない。政治、歴史的な論点は、文化のイ メージに影響しないと言えるかも知れない。 (3)日本人は、韓国人と中国人について共通して「意見をはっきり言う」というイメー 208 第 11 回フランス日本語教育シンポジウム 2010 年フランス・リヨン 11ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Lyon France, 2010 ジを持ち、中国人は韓国人と日本人について共通して「見栄を張る」というイメージ を持っていることがわかった。このことは、各国の文化的イメージは、自国との対比 から捉えられたものであるということを示している。 4.おわりに (1)フランス、イタリア、スロベニアの日本に対するイメージはとても良く、日本文化と 言えば、日本料理、着物、茶道、漫画・アニメなどが連想される。そして日本文化との 接触は、漫画・アニメーションや映画・ドラマなどのポップカルチャーなどで、情報源 としては、漫画・アニメーションやインターネットが多い。 (2)韓日中 3 ヶ国は、自国文化に対しての好感度が高く、反対に他国に対する好感度は相 対的に低い。そして、中国人の自国文化の評価は絶対的に良いものであり、日本人も自 国文化を積極的に評価しているが、韓国人は自国文化に対して相対的に低く評価してい る。 (3)日本について、日本人・韓国人・中国人の一致するところは、「礼儀正しい」 「まじめ」 であるというイメージが強く、「反日」や「歴史問題」に関する連想語は多くない。この ようなことから政治、歴史的な論点は、文化のイメージに影響しないと言えるかも知れ ない。 (4)日本人は、韓国人と中国人について共通して「意見をはっきり言う」というイメージ を持ち、中国人は韓国人と日本人について共通して「見栄を張る」というイメージを持 っていることが窺える。このことは、各国の文化的イメージは、自国との対比から捉え られたものであるということを示している。 <参考文献> 任栄哲・林之賢(2010)「ヨーロッパにおける日本文化の発信と日本語教育」『ヨーロッパ 日本語教育』14 ヨーロッパ日本語教師会 国際交流基金実務実績報告書 (2003~2007 年度) http://www.jpf.go.jp/about/outline/result/br/intex.html (2010 年 10 月 15 日) 209 第 11 回フランス日本語教育シンポジウム 2010 年フランス・リヨン 11ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Lyon France, 2010 The image of Japanese Culture in Europe and East Asia Yim Young Cheol (Chung-Ang University) In this paper, we analyze some aspects of the diffusion and the acceptance of Japanese culture abroad. It is expected that the results of this survey will help the promotion of Korean culture in foreign countries. The general findings of the survey in the European countries above can be summarized as the following: (1) The image of Japan is very positive. (2) In general, Japanese culture is associated with traditional food, kimono and tea ceremony. (3) Contact with Japanese culture is made through pop culture, especially through cartoons (manga and anime), movies and soap operas. Japanese food was also mentioned. (4) As the main sources of information about Japanese culture, the majority of the subjects mentioned manga and anime. Only a small part of them mentioned the “programs of cultural exchange”. The results of the survey in the three East Asian countries are the following: (1) In all the three countries, it was observed a strong sympathy towards their own culture. In comparison, sympathy towards other countries cannot be considered strong. (2) Concerning the sympathy towards their own countries, Chinese showed the highest scores followed by the Japanese. The scores of Koreans evaluation were relatively low. (3) The reciprocal evaluation of each other showed that the sympathy is stronger towards Japan, followed by Korea in second place. China had the lowest scores. 245
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