ROCKY NOTE ： http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html 耳垢閉塞（080801）急性発症の左聴力低下の高齢女性。耳鏡で観察すると、耳垢で鼓膜が観察できない。というか、耳垢で外耳道が完全閉塞している。おそらく、今回の聴力低下の原因と思われた。耳垢をとるのに非常に苦労したので耳垢閉塞について勉強してみた。参考文献１によると、無症状のことも多いが、完全閉塞の場合には耳閉感、難聴、耳鳴、自声強調（自分の声が大きく聞こえる）などを認めることがあるという。入浴や水泳をきっかけに、水分を含むことで耳垢が膨張し、急性の症状を呈することもある。鑑別として、耳漏、外耳道異物、外耳道湿疹、外耳道真珠腫、外耳道真菌症などが挙げられるという。必要に応じて、投薬や処置が必要である。余りにもひどい耳垢閉塞の場合には真珠腫などの基礎疾患がある場合もあるので、耳鼻科の先生と相談してもいいかもしれない。治療方法は耳垢鉗子や耳用摂子などの耳用小器具で軽くつまんでゆっくりと取り出すと一塊として摘出することが出来るという。軟性耳垢は吸引器で吸引除去するのが良い。ただし、外耳道に硬く充満している場合には摘出が困難で、痛みを伴うことが多い。この場合、耳垢水あるいはワックスネート（現在は生産中止）を自宅で 1 日数回 2～3 日点耳してもらい、やわらかくしてから除去するのが良い。慢性中耳炎で鼓膜に穿孔のある場合には使用できない。耳垢水の作り方は地域によって若干の差はあるようだが、大体は以下のような作り方である。耳洗浄による耳垢除去も行われる。耳洗用水銃あるいは留置針の外套を装着した注射器で体温に暖めた温水を外耳道に注入する。この処置も、慢性中耳炎などで耳漏や鼓膜穿孔のある場合には行わない。また、直接鼓膜に当たらないように、外耳道の壁に沿わせるように注入することと、耳の牽引をしっかりと行って屈曲を正すことがコツと耳鼻科の先生に聞いたことがある。参考文献 2 によると、鈍なキューレットかループで耳垢を出すか、柔らかいチューブで吸い出して取り除く方が、より速く面倒も少なく、一般により安全で、患者にとっても気持ちがよいと記載されている。まあ、程々のサイズの耳垢であればその方が簡単。耳垢水は重曹 1、グリセリン 5、蒸留水 10（15 としているものもある）の割合で混合したもの。ていねい水とも言われる。耳垢除去は夢中になってしまうことがあるが、命にかかわるような処置ではないので、一般診療所では無理をすることなく、（耳垢水などを用いながら）何回かに分けて処置してもいいと思う。また、外耳は敏感な場所なので、丁寧に扱うことが必要である。医原性に外傷や皮膚炎を起こさないように注意を払うことが必要と思う。慢性中耳炎や真珠腫がある場合には専門医にも相談した ROCKY NOTE ： http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html ROCKY NOTE ： http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html ほうが良い場合もある。まあ、無理は良くない。参考文献 1. 中尾善亮.耳垢栓塞.小児科臨床, 54(12) : 2338-2339, 2001. 2. 外耳閉塞.メルクマニュアル 17 版. http://merckmanual.banyu.co.jp/ ROCKY NOTE ： http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html