居住空間における壁面の色に関する印象評価:その 2 ○崔紫薇・川端康弘 (北海道大学大学院文学研究科) キーワード:印象評価,中間色,居住空間 The impression evaluation about the color of the wall surface in the houseroom: 2 Ziwei Cui,Yasuhiro Kawabata (Graduate School of Letters, Hokkaido Univ.) Key Words: impression evaluation, intermediate color, living space 目 的 高ストレスの日常生活ではリラックスやヒーリング効果 が与えられる居住空間が求められている。居住空間は人にど のような感覚を与えるか居住空間の雰囲気と関係があると考 えられる。居住空間の雰囲気に関わるものの 1 つとして、そ のインテリアの色彩計画があるだろう。例えば、インテリア どんな壁面色でも玄関が最も派手に見えるということが分か った。相応しさに関しては(F(5,30)=38.05,p<.001)黄緑が部 屋に一番相応しいという結果だった(図 2)。また、相応しさ に関して各部屋と各壁面色の間に相互作用もあった (F(25,150)=1.92,p<.01)。青については浴室と玄関、寝室の 間に有意差があった。そして参加者の好みの色と相応しさの 間の一致率を計算した結果、両者の相関は低かった。 の基本の色は床、壁、天井などの色で、全体の約 70%を占 め、空間全体のイメージに大きな影響を与えている。本実験 は居住空間内の壁面色について調査した。本実験で、寒色 (青、緑)、中間色(黄緑、紫)、暖色(赤、黄色)6 つの色相を 部屋の壁面を使い、その部屋に対する印象評価を行った。 方 法 参加者:色覚正常の女性 10 名(平均年齢 24.6 歳)。 刺激:CAD 用の 3D ソフトウェアで 6 つの部屋(キッチン、 浴室、書斎、玄関、リビング、寝室)の画像が作成された。 各部屋にある家具は無彩色に近い色とした。刺激に適用した 色は以下の通りである。青(8.96cd/m²,CIE 図 1 各壁面色に対する印象評価 x=0.164,y=0.135)、緑(20.4cd/m²,CIE x=0.264, y=0.546)、 黄緑(29.6cd/m²,CIE x=0.352,y=0.482)、赤(7.21cd/ m²,CIE x=0.554,y=0.311)、黄色(23.9cd/ m²,CIE x=0.397,y=0.469 )、紫(14.2cd/ m²,CIE x=0.26,y=0.176)。6 つの色を各部屋の 壁面に用い、合計 36 枚の画像は作られた。 手続き:実験は人工照明のない実験室で行った。壁面色 が異なる部屋の画像(30.5×19.05cm)はパワーポイントで提 示した。参加者は画像から 30cm を離し、画像を見ながら、 各部屋について印象評価した。印象評価の質問紙は 10 対の 形容詞対で構成した。評価の最後には、画像を繰り返し見て もらい、提示された 6 つの壁面色の中で、部屋としての相応 しさを評価してもらい、その理由を聞いた。さらに個人の好 みの色も調査した。 結 果 各評価項目に対して被験者内2要因(部屋 6×壁面色 6) 分 散分析を行った結果、各評価項目において各壁面色の間に有 意差が見られた(図 1)。冷たさにおいて (F(5,30)=3.23,p<.05)青と赤、紫、黄、黄緑の間に有意差が 見られ、青が最も冷たいと評価された。そして、派手さにつ いて、部屋の間に有意差が見られ(F(5,30)=1.01, p<0.001)、 図 2 各壁面色における相応しさの評価 考 察 青は代表的な寒色で、寒々とした印象を与える。空間の 壁面に多く使われると部屋に冷たい雰囲気を与えると考えら れる。他の部屋と比べ、玄関の面積は比較的小さく、家具も 少ないため、色がより目立つように見えた可能性がある。中 間色の黄緑は柔らかく、気持よく感じさせ、自然に近いとい う印象があり、家に入る瞬間、落ち着けると感じさせるのか もしれない。参加者の好みの色と相応しさの間の一致率を調 べた結果、相関は低く、相応しさに関して各部屋と各壁面色 の間に相互作用があった。それは、各部屋の機能を考えた上 に、壁面色が部屋に与えた印象を評価したと考えられる。
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