BRICS マンスリー・レター お客さま用資料 2012年4月号 筆者のご紹介 門倉 貴史 (かどくら たかし) BRICs経済研究所 代表 慶應義塾大学経済学部卒業後、1995年に浜銀総合研究所入社。 社団法人日本経済研究センター、東南アフリカジア研究所(シンガ ポール)出向、第一生命経済研究経済調査部主任エコノミストを経て、 2005年より現職。同志社大学大学院非常勤講師。専門はアジア やBRICs等の新興国経済のほか、多岐にわたる。 主な著書 「図説BRICs経済」(日本経済新聞社) 「『今のインド』がわかる本」(三笠書房) 「日本人が知らなかったVISTA株」(翔泳社) 「イスラム金融入門~世界マネーの新潮流」(幻冬舎新書) 「中国経済の正体」(講談社現代新書) 「世界を席巻するインドのDNA」(角川SSC新書)など多数。 投資信託は一般的に、株式、債券等様々な有価証券へ投資します。有価証券は市場環境、有価証券 の発行会社の業績、財務状況等により価格が変動するため、投資信託の基準価額も変動し、損失を 被ることがあります。また、外貨建の資産に投資する場合には、為替の変動により損失を被ることがあ ります。そのため、投資信託は元本が保証されているものではありません。 ご注意していただきたい事項について • 投資信託によっては、海外の証券取引所の休業日等に、購入、換金の申込の受付を行わない場合があります。 • 投資信託によっては、クローズド期間として、原則として換金が行えない期間が設けられていることや、1回の換金 (解約)金額に制限が設けられている場合があります。 • 分配金の額は、投資信託の運用状況等により委託会社が決定するものであり、将来分配金の額が減額されることや、 分配金が支払われないことがあります。 ファンドの諸費用について 投資信託では、一般的に以下のような手数料がかかります。手数料率はファンドによって異なり、下記以外の手数料 がかかること、または、一部の手数料がかからない場合もあるため、詳細は各ファンドの販売会社へお問い合わせい ただくか、各ファンドの投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。 投資信託の購入時:購入時手数料(上限3.675%(税抜3.5%))、信託財産留保額 投資信託の換金時:換金(解約)手数料、信託財産留保額(上限1.0%) 投資信託の保有時:運用管理費用(信託報酬)(上限年率1.995%(税抜1.9%))、監査費用(上限年間315万円(税抜 300万円)) *費用の料率につきましては、JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が設定・運用するすべての公募投資信託の うち、徴収するそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。 運用管理費用(信託報酬)、監査費用は、信託財産の中から日々控除され、間接的に受益者の負担となります。その 他に有価証券売買時の売買委託手数料、外貨建資産の保管費用、信託財産における租税費用等が実費としてかか ります。また、他の投資信託へ投資する投資信託の場合には、当該投資信託において上記の費用がかかることがあり ます。また、一定の条件のもと目論見書の印刷に要する実費相当額が、信託財産中から支払われる場合があります。 金融商品取引業者等について 投資信託委託会社:JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第330号 加入協会:日本証券業協会、社団法人投資信託協会、社団法人日本証券投資顧問業協会 本資料はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」といいます。)が、BRICS諸国の政治、経済、文化等の情報を提供するために、 BRICs経済研究所の協力により作成したものです。本資料は特定のファンドもしくは個別銘柄への投資勧誘を目的としたものではありません。ま た、当社が特定の有価証券の販売会社として直接説明するために作成したものではありません。本資料は信頼性が高いとみなす情報に基づいて 作成されていますが、当社およびBRICs経済研究所がその情報の正確性を保証するものではありません。また、当該意見・見通しは将来予告なし に変更されることがあります。また本資料に掲載されている個別銘柄については、その売買の推奨を意図したものではなく、また当社が運用する ファンドへの組入れを示唆するものではありません。 1 BRICS マンスリー・レター お客さま用資料 2012年4月号 今月のコラム 南アフリカ経済の拡大に貢献するカジノ産業 近年、新規雇用の創出や政府の税収の増加を目的に、世界各国でカジノ産業を合法化し、育成しようという動きが広がっ ている。有力新興国グループのBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の一角を占める南アフリカは、早い段 階からギャンブル関連産業が発達していた国のひとつで、民主的な新政権が発足した1994年にはオンライン・カジノを除く すべてのギャンブルが合法化された。 南アにはビンゴや宝くじ、競馬など様々なタイプのギャンブルが存在するが、売上高の構成比が大きいのはカジノ産業で ある。では、南アのカジノ産業はどれぐらいの規模になっているのか。「国立ギャンブル委員会」の統計によると、南アにおけ るカジノの取引総額(カジノで動いたお金の総額)は、2001年度(2001年4月から2002年3月まで)の762.3億ランドから 2010年度(2010年4月から2011年3月まで)には2096.3億ランドへと、9年間で約2.7倍の規模に膨らんだ(図表1を参照)。 また、カジノの総収入(カジノで動いたお金の総額からカジノの賞金を差し引いた金額)についても、2001年度の52億ランド から2010年度には140億ランドへと大幅に拡大している(図表2を参照)。 2009年における南アの成人のカジノへの参加率(調査年の1年間にカジノで遊んだ人の割合)は6.3%と、2003年調査の 19.3%に比べて大きく低下しているため、近年のカジノ収入の多くは欧米やアジアから訪れる外国人観光客によってもたら されていると考えられる。 カジノは南ア各地に点在するが、世界的にその名を知られているのが1979年にオープンしたサンシティー・リゾートである。 サンシティー・リゾートは、ヨハネスブルクの北西約130キロメートルに位置しており、米国のラスベガスを彷彿とさせる大型 のカジノを持つ。実は、サンシティー・リゾートのカジノは、1990年代には収益の悪化に苦しんでいたのだが、2000年代以降 業績が大幅に改善するようになった。 業績が改善したのは、警察当局が周辺地域に広がっていた違法カジノの取り締まりを徹底したことやサンシティー・リゾー トの運営会社が大胆なリストラ(リゾートで働く全従業員の3割近くを削減した)を実施したことの影響が大きい。また、サンシ ティー・リゾートは、カジノに大きく依存していたそれまでの経営を改め、エンターテインメントやコンベンション、スポーツ、サ ファリパーク、レストランなどカジノ以外のサービスをより拡充するようにした。レジャー、ビジネス、コンベンション、カジノと顧 客のあらゆる目的に対応できる体制を整えたことが人気の再燃につながったという事情もあるだろう。 サンシティー・リゾートをはじめとする南アのカジノ産業の拡大は、ホテルやレストラン、ショッピングモールなど周辺産業の 雇用創出や、政府の税収増加に少なからず貢献している。先ほど紹介した「国立ギャンブル委員会」の統計によると、2010 年度はカジノ産業が政府に13億ランドもの税収をもたらしたという。南アのGDP(国内総生産)に対するカジノの貢献度も 1%近くに上る。 図表1 南アフリカのカジノ取引総額の推移 図表2 南アフリカのカジノ総収入の推移 (千億ランド) 2.5 (百億ランド) 1.6 1.4 2.0 1.2 1.0 1.5 0.8 1.0 0.6 0.4 0.5 0.2 0.0 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 (年度) (出所)南アフリカ国立ギャンブル委員会資料よりBRICs経済研究所作成 2 0.0 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 (年度) (出所)南アフリカ国立ギャンブル委員会資料よりBRICs経済研究所作成 本資料はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が、BRICS諸国の政治、経済、文化等の情報を提供するために、 BRICs経済研究所の協力により作成したものです。本資料は特定のファンドもしくは個別銘柄への投資勧誘を目的とした ものではありません。また、当社が特定の有価証券の販売会社として直接説明するために作成したものではありません。 本資料は信頼性が高いとみなす情報に基づいて作成されていますが、当社およびBRICs経済研究所がその情報の正確 性を保証するものではありません。また、当該意見・見通しは将来予告なしに変更されることがあります。また本資料に掲 載されている個別銘柄については、その売買の推奨を意図したものではなく、また当社が運用するファンドへの組入れを 示唆するものではありません。 BRICS マンスリー・レター お客さま用資料 2012年4月号 今月のコラム ビッグ・イベントを控えて拡大が予想されるロシアの観光産業 近年、世界的にロシア観光に対する注目度が高まっている。たとえば世界観光機関(UNWTO)の資料によってロシアの 観光収入の推移を見ると、2000年代に入ってから急激な伸びを示すようになっており、2000年の約34.3億ドルから2010年 には約89.9億ドルへと、10年間で2.6倍の規模に膨らんだ(図表1を参照)。 2008年9月のリーマン・ショック以降は、世界景気の落ち込みの影響を受けて観光収入が伸び悩んでいるが、これは一 時的なもので、2014年のソチ冬季オリンピックや2018年のサッカー・ワールドカップといったビッグ・イベントの開催を控えて インフラ整備が急ピッチで進められる中、ロシアを訪れる外国人観光客数は中長期的に増加を続けるとみられる。それに 伴って、観光収入も拡大基調で推移していくだろう。 中国人観光客のロシアへの流入も観光収入増加の追い風となる。ロシア政府は2005年以降、中国人団体観光客のビザ を免除する措置をとっており、それ以降ロシアを訪れる中国人観光客の数が急増するようになった。将来的に、中国人観光 客の増加がロシアの観光収入を支える大きな要因になると予測されている。 ただし、ロシアの観光産業が健全に発展し、経済成長に貢献していくためには、克服すべき課題も山積している。ひとつ は治安の改善だ。チェチェン共和国の独立派を中心とした武装集団による学校占拠事件が発生した2004年には、外国人 ツアーのキャンセルが相次ぐ事態となり、それによって観光関連産業が大きな打撃を受けた。また2011年1月にはモスクワ 南部郊外にあるドモジェドボ国際空港で爆弾テロが発生するなど、ロシアではこれまでに大規模なテロ事件が何度か発生 している。このまま「危険な国」というイメージが定着すれば、観光客のロシア離れが発生する恐れがある。 もうひとつの課題は、ホテルを中心とした宿泊施設の整備だろう。ロシアには約4500軒のホテルが存在するが(2010年 時点)、これまでロシア観光庁の格付け制度に基づいて、公式に星を認定されていたホテルはわずか471軒に過ぎなかっ た。残りの大半のホテルは、政府の認定を受けずに勝手に星を掲げていたため、それがロシアを訪れる外国人観光客を混 乱させる要因になっていた。「三つ星」を掲げているにもかかわらずバスルームのお湯が出ないといったホテルもあった。 このような問題を解決し、外国人観光客がロシア国内のホテルを利用しやすい環境を整えるため、ロシア政府は2010年 秋にすべてのホテルとリゾート施設に対して格付けの取得を義務づけることを決定した。さらに、外国人観光客を呼び込む には、手ごろな価格で宿泊できるホテルの数をもっと増やす必要があるだろう。オンラインのホテル予約サイト「Hotel.info」 の調査(2011年時点)によると、モスクワのホテルの平均宿泊料金は、世界主要都市でニューヨークに続く第2位の高さと なった(図表2を参照)。 モスクワには外資系のホテルが相次いで進出しているのだが、いずれも1泊4万円程度の高価格帯の高級ホテルで、手 頃な価格で適度なサービスを提供する中堅クラスのホテルが少ないというのが実情だ。 図表1 ロシアの観光収入の推移 図表2 主要都市のホテル料金(一泊、2011年) (10億ドル) 14 (ユーロ) 200 180 12 160 10 140 120 8 100 6 80 60 4 40 20 2 アムステルダム コペンハーゲン 10 (年) 東京 (出所)米国「コムスコア」資料よりBRICs経済研究所作成 09 シンガポール 08 ロンドン 07 ストックホルム 06 チューリッヒ 05 オスロ 04 モスクワ 03 ニューヨーク 0 0 (出所)「Hotel.info」資料よりBRICs経済研究所作成 本資料はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が、BRICS諸国の政治、経済、文化等の情報を提供するために、BRICs経済研究所の協力により 作成したものです。本資料は特定のファンドもしくは個別銘柄への投資勧誘を目的としたものではありません。また、当社が特定の有価証券の販売会 社として直接説明するために作成したものではありません。本資料は信頼性が高いとみなす情報に基づいて作成されていますが、当社およびBRICs経 済研究所がその情報の正確性を保証するものではありません。また、当該意見・見通しは将来予告なしに変更されることがあります。また本資料に掲載 されている個別銘柄については、その売買の推奨を意図したものではなく、また当社が運用するファンドへの組入れを示唆するものではありません。 3
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