12. 離婚後の諸問題

§1 子は鎹(かすがい)?
離婚によって生ずるプラスとマイナスの効果
現代家族論 2015
■ 身分上の効果
○ 再婚の自由
○ 制度的手続き →復氏(改姓)可能
○ 子の親権(+監護)問題
12. 離婚後の諸問題
■ 財産上の効果
○ 共有財産の分割・慰謝料・養育費の問題
■ 再婚後の問題
○ ステップファミリー化
■ 離婚後の病理的関係
○ 夫婦関係への執着
→DV, ストーカー
1
◆ 子どもの有無別離婚件数の推移
2
親権者と監護権について
● 未成年者は法律行為をするには父母(法定代理人)の同意を必要とする。
離婚をする場合には一方が親権者になることを決める必要
● 親権者にならなくても、話し合いにより、監護者になることができる。
● わが国では、親権者≒監護者であるが、家庭裁判所に係わる離婚では、
父親権者の93.9%、母親権者の99.8%が監護者となっている。
(H26年度司法統計)
(平成26年人口動態統計)
3
◆ 親権者が夫または妻の比率の推移
4
◆ 母子世帯になった理由
母子世帯になった理由の第1位は離婚によるものであり、
この比率は調査のたびに増大している。
平成26年人口動態統計
5
(H23全国母子世帯等調査)
6
§2
子育て世代の離婚の問題
(1) 離婚により生じた悩み
(2)母子家族と経済的困窮
(平成9年度社会経済面調査)
● 離婚によって母子世帯となった場合には、元の夫から子どもの
養育費を受け取ることができるが、現実にはそうした取り決め
をしているケースは多いとは言えない。
● 養育費の取り決めをしているケースは、<調停離婚>等場合
は7割を超すが、<協議離婚>の場合は3割程度にとどまる。
● それゆえ、母子世帯≒離婚≒貧困という相関が生じており、
離婚後の母子家族の状況は大きな社会問題でもある。
8
7
◆ 養育費の取り決めをしていない理由
財産分与・慰謝料
● 夫婦の共同生活中に築いた財産があれば「財産分与」を
請求できる。
● 相手が離婚原因をつくり(不貞や暴力などの有責行為)、
あるいは精神的な苦痛を与えた場合には、損害賠償として
慰謝料を請求できる。
● 実際に支払われる金額は、離婚に至る経過、婚姻期間、別居期間、
当事者の属性、社会的地位、結婚期間中の夫婦の協力の度合い、
子どもの有無、結婚生活の実態、離婚後の扶養の必要性など、
様々な条件が加味される。
(H23全国母子世帯等調査)
9
10
§3
熟年離婚の増加?
(3)母子家族の母の不安定就労
(1) 熟年離婚について
● 1960年頃から使われていたが、1970年代に再び脚光を浴び、
1980年代には<実年>という言葉も登場した(厚労省)。
2000年代にはTVドラマで「熟年離婚」という言葉が使われ、流行った。
↓
とくに統一的な定義があるわけではないが、多くは50~60歳代を指す
● 全国母子世帯等調査(H23)によれば、<母子世帯>の母親
の81.1%が就業しているが、「正規従業員」は39.6%に過ぎず、
「派遣社員」4.6%、「パート・アルバイト等」が47.3%と、
不安定な勤務形態で働いている。
● 他方、<父子世帯>では、父の 91.3 %が就業しており、
そのうち、 「正規従業員」が 67.2 %、
「自営業」が 15.6 %、
「パート・アルバイト等」が 8.0 %となっている。
「熟年離婚」は本当に増えている?
高齢化(高齢者人口の増大)が進むことによって、件数でも比率の上でも
「熟年離婚」が極端に増大しているように見える点に留意すべきである。
11
12
(2) 年金分割について
◆ 同居期間別離婚件数の推移
(厚生労働省年金局年金課)
(平成26年人口動態統計)
13
14
まとめ
年金分割制度の賛成論
離婚後の家族の諸問題
<子ども養育世代の問題>
現状をみると、高齢者単身女性世帯の貧困問題等が深刻になっ
ているので、これを救済するためにも離婚時に夫婦の間で年金
の分割ができる制度が望ましい。
● 経済的問題……共有財産の分割、年金の分割、慰謝料など
● 子どもの養育……養育費の取り決め、母子家庭の自立と支援
● 親子関係の継続……離別した親子の相互作用の確保
年金分割制度の反対論
●ステップファミリー
→家族関係の複雑化=今後の対応
<老後の問題(脱性別分業の狭間で・・)>
● どのような意見が考えられるか?
● 年金分割制度の問題……専業主婦の救済制度
→どう考える?
16
15