pdf file

応用物理
演習問題1 (2010) 解答
2010/11/25
1. 200 kg の物体を 1 m だけ静かに落下させることによって得られるエネルギーで断熱してある
温度 20 ℃の水 1kg をかき混ぜたところ,水が静止した状態後に温度を測定したら 0.47 ℃上
昇した。これより熱の仕事当量を求めなさい。ただし,水の比熱を 1.0 cal/g·K として計算し
なさい。
【解】物体の位置エネルギー E は
E = mgh = 200 × 9.8 × 1 = 1960 J
一方、1kg の水が 0.47 ℃上昇させるのに必要な熱量 Q は
Q = 1.0 × 0.47 × 1000 = 470 [cal]
したがって熱の仕事当量は
E
1960
=
= 4.17 [J/cal]
Q
470
2. ある銀のかたまり 525g に 2.46 kJの熱を加えたら 20..0K だけ温度が上昇した。銀の比熱を
求めなさい。
【解】
C=
2460
= 234 J/kg · K
0.525 · 20
3. 容積 5 m3 の変形しない断熱容器に圧力 20kPa,温度 27 ℃の窒素(分子量 28)が入っている。
以下の問に答えなさい。ただし窒素を理想気体とみなし,定積モル比熱 CV を 20.34 J/mol·K,
気体定数 R = 8.314 J/mol·K として計算しなさい。
(1) この容器内の窒素の重さとモル数を求めなさい。
【解】pV = nRT より、モル数 n は
n=
pV
20 × 103 × 5
=
= 40.1 mol
RT
8.314 × 300
窒素の重さ M は、
M = n × 28[g] = 1.123 [kg]
(2) 窒素に 50 kJ の熱を加えたときの温度を求めなさい。
【解】熱力学の第一法則より dU = dQ − pdV 、容積が変化しない(dV = 0)ので
dU = dQ が成り立つ。すなわち加えた熱量は内部エネルギーの増加になる。
dU = nCV dT = dQ = 50 × 103
より
dT =
dQ
50 × 103
=
= 61.3 (K)
nCV
40.1 × 20.34
したがって温度 T は
T = 300 + dT = 361.3(K) = 88.3 ℃
(3) 前問と同じ条件での窒素の圧力を求めなさい。
【解】pV = nRT より
p=
nRT
40.1 × 8.314 × 361.3
=
= 24.1 (kPa)
V
5
4. 圧力 1.2 MPa,温度 180 ℃の窒素 2 kg を等温膨張したところ,圧力が 0.12 MPa になった。
以下の問に答えなさい。ただし窒素を理想気体とみなし,分子量を 28 として計算しなさい。
(1) 窒素分子のモル数を求めなさい。
【解】n = 2000/28 = 71.4 (mol)
(2) 空気中の窒素分子の速度の平均二乗根
−27
1.66×10
√
v¯2 を求めなさい。ただし、原子質量単位を
kg とする。
【解】エネルギー等分配則 12 mv¯2 = 23 kT (並進運動の自由度 3 だけを考慮する)より
√
√
√
3kT
3 · 1.38 × 10−23 · (273 + 180)
¯
2
v =
=
= 560.7 (m/s)
m
28 · 1.66 × 10−27
(3) 等温膨張前後の空気の体積を求めなさい。
【解】pV = nRT より膨張前後の体積 V1 , V2 は
V1 =
71.44 · 8.314 · (273 + 180)
= 0.224 (m3 )
1.2 × 106
71.44 · 8.314 · (273 + 180)
= 2.24 (m3 )
0.12 × 106
(4) 膨張の際に気体がする仕事量を求めなさい。
V2 =
【解】外部にする仕事を W とする。pV = nRT より
∫ V2
∫ V2
dV
V2
pdV = nRT
= nRT ln
W =
V
V1
V1
V1
2.24
= 71.4 · 8.314 · (273 + 180) ln
= 619 kJ
0.224
5. 1原子分子 1 モルの理想気体について以下の問に答えなさい。
(1) この気体 1 モルの内部エネルギーをエネルギー等分配則から議論して U = 32 RT となる
ことを示しなさい。さらに,気体の定積モル比熱 Cv も求めなさい。
【解】1 自由度当たり 12 kT のエネルギーが分配される。1原子分子の自由度は3であ
るから
1
3
kT × 3 × NA = RT
(∵ R = k · NA )
2
2
3
dU
= R
Cv =
dT
2
(2) この気体の定圧モル比熱 Cp は Cp = Cv + R とあらわされることを示し,Cp を求めめな
さい。
U=
【解】エンタルピー H = U + pV で等圧変化(定圧変化)では dH = dU +pdV +V dP =
dU + pdV = dQ となり、熱量の変化 dQ はエンタルピー変化 dH に等しい。したがって
(
)
(
)
( )
∂Q
∂H
V
dU
R
Cp =
=
=
+p
= Cv + p ·
= Cv + R
∂T P
∂T P
dT
T P
p
Cp =
3
5
R+R= R
2
2
(3) この気体を 1 気圧のもとで温度が 100 ℃上昇させるのに必要な熱量 [cal] を求めなさい。
Q = Cp ∆T =
5
R · ∆T = 2.5 × 8.314 × 100 ÷ 4.186 = 497 cal
2
6. 1モルのファン・デル・ワールスの状態方程式の温度をパラメータとした p-V グラフを描き
なさい。
(
a )
p + 2 (V − b) = RT
V
【解】教科書参照のこと
7. 1モルのファン・デル・ワールスの状態方程式の変曲点(臨界点)C における VC , TC を a, b, R
を用いて表しなさい。
【解】ファン・デル・ワールスの状態方程式を
p=
RT
a
− 2
V −b V
と変形して
(
)
∂p
RTC
2a
=−
+ 3 =0
2
∂V TC
(VC − B)
VC
(
∂2p
∂V 2
)
=
TC
2RTC
6a
− 4 =0
(VC − b)3
VC
の条件から
VC = 3b ,
となる。
TC =
8a
27bR