两代留日作家与中国 代文学的 生

平成 21 年度 日本大学文理学部個人研究費研究実績報告書
中国語中国文化学科・姜 濤
研
究
課
題 两代留日作家与中国现 代文学的发 生
研究目的
および
研究概要
報
告
研 究
の
の
概
結 果
中国現代文学の成立は日本と密接な関係を有している。所謂「新文学」の最初期の唱導者・実践者の多く
は日本に留学した経験を持つ。周樹人(=魯迅)
・周作人・周建人の三兄弟はまず日本において文学活動を始
め,郭沫若・郁達夫等の「創造社」同人作家の出世作も日本で執筆されている。伊藤虎丸教授は「創造社と
日本文学」において,魯迅の日本留学期は明治時代であったが,創造社の同人達は大正時代に日本に留学し
ており,異なる二つの時代の思想環境と文芸思潮が,彼らに異なる影響を及ぼしていることを指摘している。
本研究は,伊藤教授の見解に沿って,魯迅・周作人を代表とする「新青年」グループと郭沫若・郁達夫を代
表とする「創造社」グループを,
「新文学」の成立に関与した二つの世代と見なした上で,彼らの留学期の時
代や環境の違いが彼らに対して異なる影響を与えたのみならず,彼らの「新文学」に対する構想と関与のあ
り方にも顕著な違いをもたらしたことを扱う。具体的には,彼らの留学期における文学上・社会上の実践,
及び帰国後の「新文学」に対する異なった態度での関与を詳しく考察することにより,五四期新文学運動の
源流とそれに内在する推進力を探っていく。本研究が一般的な「影響関係」を論ずる研究と異なる点は,日
本と中国という具体的な背景を踏まえつつ,日中両文化の相互関係の視点から「現代」文学の起源を考察す
るところにある。
要
本研究の狙いは,魯迅・周作人を代表とする「新青年」グループと郭沫若・郁達夫を代表と
する「創造社」グループを,「新文学」の成立に関与した二つの世代と認定し,その留学期の
時代や環境の違いが異なる影響を形成しただけでなく,国民文学概念として機能する「新文
学」に対する構想と関与のあり方にも違いをもたらした経緯を解明することであった。この
点で言えば,それが集中的に表れるのが五四新文学運動である点,更に差異そのものがむし
ろ五四新文学運動の内包形成に寄与したのではないかという仮説を集中的に考察してみた。
そのために,五四新文学以降の,とりわけ 1920 年代文学において,その差異がどのように分
岐していくかを考察することになった。二世代の日本留学作家の比較から,文学におけるモ
ダニティが東アジアという枠組みの中でどのように形成されたかを探ることの重要性を認識
したので,今後はその点を中心に更に研究を深めていきたい。
研 究
の
考 察
・
反 省
研究発表
学会名
発表テーマ
年月日/場所
研究成果物
テーマ
誌名
巻・号
発行年月日
発行所・者
現時点での研究は,全般的な文学関係資料収集・解読・分析にとどまっている。これを思想
レベルまで関連させて研究を進めるためには,個別事例に関して,具体的かつ詳細な研究を
進める必要がある。特に中国国内ではなく,日本の中国現代文学研究者の豊富な研究成果か
ら学ぶことの必要性を痛感しているので,今後はその方面の資料収集・解読・分析に力を注
ぎたい。
《革命动员中的青年与文学》,《中国现代文学研究丛刊》,2009 年第 4 号,中国现代文学馆,2009
年 8 月。
《“菜园”体验与五四时期文学“志业”观念的发生》,
》《中国语中国文化》第 7 号,日本大学
文理学部中国语中国文化学科,2010 年 3 月。