（１９）四季報平成１９年７月９日（月４回・月曜日発行）週刊平成６年１１月２４日第三種郵便物認可第５３３号ビル業界四季報井上定株式会社大阪府大阪市中央区淡路町２―６―５代表ビル概要 " 柏ビル第１代表取締役井上洋創業昭和２０年設立昭和２５年事業内容貸ビル業、マンション経営、アミューズメント場経営会社概要会社概要井上ビル " 有限会社柏実業東京都墨田区緑４―１６―８柏ビル第１代表取締役高橋てる子設立昭和５０年事業内容貸ビル業代表ビル概要名称井上ビル所在地東京都千代田区岩本町１― １―６延床面積１０３８．５７敷地面積２０９．２５規模地上６階地下１階構造 RC 造竣工昭和４４年１月 ! ! ! ! 入居テナント FA&FAR JAPAN、TRB タップダンススタジオ、イ・プロス、エヌエス不動産、エヌティコープン、環境技術情報センター、キャリアートゥワン、金海情報システムズ、グランマガジン社、シャナ・ビジネス・コンサルティング、ジャムビジネスサポート、セントラルテクノ、タイムコミュニケーションズ、南北産業、日本豆腐協会、豊栄産業、大和商会、ユニタイト、リアライズ、ワタゲン沿革井上定の創業は昭和２０年。先代が大阪市中央区淡路町で毛織物の卸売りを事業目的として立ち上げた。名古屋市内に独自の生地テキスタイル工場を設け、輸入輸出業も行うなど、順調に経営を行っていた。だが、日米繊維摩擦とオイルショック後の反動、繊維業界は全体的な不況という背景から、同社は多角経営を目指して一ノ宮と寝屋川でボーリング場「ボーリングバロン」の経営を開始。昭和４４年には東京にもビルを建設し、兵庫県と奈良県で１R マンションの賃貸を開始。アミューズメント分野も、ボーリング場に加えてバッティングセンターの経営も開始。平成元年より貸ビル業を担うリアルエステート部が設立された。名称柏ビル第１所在地東京都墨田区緑４―１６―８延床面積約５９４敷地面積約２６４規模地上６階構造 RC 造竣工昭和５０年施工岡本工務店ビル経営昭和４４年竣工の「井上ビル」の経営・管理を行う専務取締役の井上暎雄氏によると、ここ岩本町近隣のオフィスは３〜４年前は空室が深刻で、大手オフィスビルは若干回復してきたものの、中小ビルの景気回復はまだ見込めていなかった。そこで、井上氏は６０坪あるフロアの２階と３階部分を１０坪前後のレンタルデスクとして改装。多額の費用はかかったものの、工事中から見学者が来るなどして評判となった。「仲介業者にもアドバイスをしてもらいながらレンタルデスクを開始したのですが、ポイントは家賃を１０万円以下に抑えることです。小割りにすれば総額賃料が低いためテナントも使いやすいですし、オーナー側の収益賃料も通常の賃貸と変わりません」（井上氏）５階では３坪と２坪のレンタルデスクとなっており、ベンチャー企業などが利用しいつも満室の状態。テナントが退去しても、６カ月前の解約予告中に次の入居者が決まる。平成５年にはビルを全面改装。改装の際には、入居テナントの女性ワーカーにアンケートをとり、意見をすべて取り入れて工事を行った。トイレを男女別にし、内部も改修。特に小物を保管する棚と洗面台正面とドアに設置されている大型の姿見は、女性ワーカーへの心配りが現れている設計となっている。東京メトロ日比谷線「小伝馬町」駅徒歩３分交通アクセス都営新宿線「岩本町」駅徒歩４分入居テナントアベックファシリティーズ、大達土木、かたらいの木、産経住設沿革もともとは、高橋てる子氏の夫が柏ビル第１、第２を経営していた。また、柏ビルが建つ前には柏館と呼ばれる旅館があり、高橋氏の夫の祖父がこの旅館を建てたのだという。高橋氏からみると、義理の祖父にあたる人物だが、この人物の出身地が千葉県市川市柏井町だった。柏館という旅館の名称は、その出身地にちなんで名づけられた。旅館は３階建てで、明治４年の創業となる。その後実に１００年以上、つまり柏ビルが建てられる１年前まで、この旅館は営業されていたことになる。現在でも緑町には数件の旅館があり、格子窓など、ノスタルジックなたたずまいのまま残っているものもある。「この辺りは今でも義理人情があつく、下町の良い雰囲気を残しています。古い旅館が残っているのも、そのような町の性格と無関係ではないと思います」（高橋氏）ビル経営現在の柏ビル第１では、事務所使用と住居使用の複合ビルとなっている。最近の空室問合せは、事務所使用よりも住居使用のほうが圧倒的に多いという。築後３２年が経過し、大幅なリニューアルなどもしていないため、事務所使用とするには設備面での競争力が劣るためだ。また、立地条件もやや不利である。総武線「錦糸町」駅から徒歩１０分とやや遠く、都心から千葉方面へ伸びる国道１４号線からも、少し入る立地となっている。周囲は住宅が多く、オフィスビルとしての需要は今後も増えそうにない。同ビルでは、事務所使用の場合は賃料を坪７０００円に設定しており、今後も値上げは考えていないとのことである。「設備や外観の古さは否めませんが、入居してくれているテナントには、気持ちよく業務に励んでもらえるように努力しております。ビル内を清潔に保つのはもちろんのことですが、季節の折々に、時候の挨拶とともに手紙を持っていきます。私はもと教師でしたので、手紙を書くのは苦になりません」（高橋氏）いかにも下町情緒らしい心配りだが、家族や周りからは、完全な住宅用途への変更も含めビルの建て替えを勧められている。同氏は現段階では迷っているとのことだが、今後ビル経営そのものも含め、検討する時期にきているという。 JR 総武線「錦糸町」駅徒歩１０分交通アクセス