2011年18号

平成 23 年7月 20 日発行
第18号
発行責任者:茨城県央 CS @筧晴夫
里美CS:0294-82-2758
県央CS:0299-37-6377
県西CS:0297-27-1552
本県の6月の個乳定期検査の結果(※県内単純平均値)は、
乳脂肪分率3.84%、無脂乳固形分率8.67%、体細胞数20.9万個/
7月9日に関東地方が平年より12日早く梅雨明けしましたが、 ml、総菌数2.5万個/mlとなり、乳脂肪分率及び無脂乳固形分率
6月は空梅雨と思わせる日々が続きました。
は、昨年度同月の数値をやや上回る結果になりました。県内
連日、気温30度を超える真夏日が続いていますが、屋外で の会員別では、脂肪分率は下館・きぬ酪農が、無脂乳固形分
の作業や運動をされる方は、熱中症に注意していただきたい 率は美野里・茨城西部酪農が県内平均値を大きく上回り、現
と思います。また、睡眠中にも500ml~1ℓにも及ぶ汗の量を 段階では県全体での乳成分の大きな落ち込みは見られないよ
失うといわれていますので、寝ている間の脱水症と熱中症に うです。また、県全体の体細胞数は、昨年度同月の数値を僅
も注意して、十分な睡眠と水分や塩分を摂取していただきた かに下回る結果になり、5月に続いて関東域内でいちばん低い
いと思います。
数値になりました。県内では下館・さかえ酪農が県内平均値
7月も半ばとなり、東 を大きく下回り、安定かつ継続的な衛生的乳質の改善が図ら
日本大震災から4ヶ月が れていることが伺えます。
経ちました。
さて、これから夏本番となりますが、暑熱対策を講じてい
各地で大小の地震が発生 ただくことは勿論のこと、直近においても不注意による乳質
しておりましたが、最近 事故が発生していますので、搾乳時の乳質管理には十分にご
東北地方を震源とした大 注意いただきますようよろしくお願いいたします。
きな揺れが発生し、津波
(原文:県酪連生乳販売部ほか)
警報が発令されました。
一時避難をする様子が報
県内CS 6月の生産状況
道されましたが、避難さ
生産量(㌧)
前年対比(%) 前月数量差(㌧)
【古河市駒羽根の公園ネーブルパークのキスゲ】 れた方々の心のうちは計
里美cs
819
94.3%
△1.8㌧
り知れないものがあり、あの悪夢は二度と繰り返してほしく
県央cs
8,853
93.7%
△24.3㌧
ないと願うばかりです。
県西cs
3,469
87.7%
△10.7㌧
明るい話題としまして、関東生乳販連の第3回生乳品質改
計
13,141
92.0%
△36.8㌧
善共励会で、美野里酪農の伊藤金一さんが関東全体で第1位
に輝きました。関東全域の参加酪農家戸数3,157戸の頂点に
県内CS 6月の販売状況
立ったことは、伊藤さんの常日頃の努力のたまものであり、 里美cs
821
97.0%
△1.8㌧
茨城県内の酪農家にとっての誇りでもあります。県内におい 県央cs
8,873
95.6%
△24.1㌧
ては伊藤金一さんのほか、ひので酪農の海老沢 佐日出さん、 県西cs
3,468
93.5%
△12.2㌧
茨城西部酪農の橘修さんが最優秀賞となり、関東の上位100
計
13,162
95.1%
△38.1㌧
番には県内18名の酪農家の方々が優良賞に輝きました。その
※直送だった利根は、県央 CS、本新・JA 稲敷は、
努力と功績に対しまして、7月22日に東京で表彰式が開催さ
県西 CS へ 4 月 11 日から搬入しております。
れます。酪農家にとっては、日々の努力の積み重ねに対する
栄誉ある賞でございます。心よりおめでとうございます!
通勤途中に・・・
クジャク(孔雀)はキジ科の鳥類で、中国から東南アジア、
6月分計画生産状況
南アジアに分布する。属 2 種とアフリカに分布するコンゴク
県内の6月単月の出荷量は13,162トン、計画対比で91.2%、 ジャク属 1 種から成る。雄は大きく鮮やかな飾り羽を持ち、
前年対比91.9%。6月24日には埼玉県熊谷市で39.3度を記録し、 それを扇状に開いて雌を誘う姿が有名である。一般的に日本
6月の国内観測史上の最高記録を20年ぶりに更新したとの報 では「インド孔雀」のこ
道がありましたが、本県においても例外なくここ近年ではま とを、孔雀と呼んでいる。
れに見る生産量の落ち込みとなり、1日当たりの平均出荷乳 と書いてありました。
量は、5月実績の461トンから439トンと4.9%(乳量で△22㌧/
この写真は、県央 CS
日)の大幅な減少を示しました。
の北側約 2 ㎞の鳥やさん
会員別に見ると、1会員を除く11会員が前年比を下回り、 (採卵鶏舎)の脇で飼わ
中には昨年度実績を大きく下回った会員も散見されました。 れているもので、私が通
計画比についても同様に大き
る時間帯に毎朝羽を広げ
な乖離が生じており、第1四半
ており、一瞬目を奪われ
期を終了した時点ですが、計
る景色です。毎朝通るた
画生産目標数量の見直しが必
びに気にはかけていたのですが、今朝は初めて車を降りて近
要になるかと思います。
づいてみました。私の姿を見ると、広げた羽を振るわして「威
本県における加工向け販売
嚇」をしてました!少なくても、私を誘ってる様子ではなか
数量は、前年比100.1%と前年
ったですネ(^o^) 因みに鳴き声って聴いたことありますか??
並みとなり、加工発生比率は5.
「ネェー、ネェー」と鳴くんですよ(^_^;) (K)
52%で昨年の5.07%に比べて0.
45%と若干の増加となりまし
た。また、県内乳業者への販
県 内 情 報
売比率は80.4%となり、5月に
【県フラーワーパークのオニユリ】
6月末の集乳戸数
477戸(前月-2戸)
続き80%を越え、昨年度同時期より高水準を維持しています。
【休止中含む・アウト8件除く】
県酪連ホームページアドレス
http://www.ibarakuren.or.jp/
畜産技術情報
何だか梅雨らしくない梅雨があっという間に過ぎてしまい、連
日のように猛暑日が続いておりますが、今年は昨年以上に熱中症
で倒れる方が増加しており、昨年は 1,718 名の方が熱中症で亡く
なっていますが、節電対策でエアコンを使わないと昨年の二の舞
になるのではと心配されております。
先日、NHKの「ためしてガッテン」で熱中症対策が取り上げ
られておりましたが、その内容は我々の酪農業界にとって、消費
拡大に繋がるのではないかと思う内容でした。
その内容は、汗をかいて体温調整が出来る体になると熱中症に
なりにくくなるという内容でした。
この内容のどこが消費拡大に繋がるの?と思うでしょうが、実
は汗をかきやすくするためには、血液量(汗の材料)を増やすこ
とが重要で、
【牛乳を飲むと、その血液量が13%アップ】
すると紹介されておりました。
乖離
夏場に血管がくっきり見えるのは、皮膚の表面の血流量を増や
して汗をかいて、体温を上げないようにしている為らしいです。
夏場の飼料給与の注意点について述べます。
①無駄な熱発生量を少なくするために・・・
『分解性蛋白質を過剰給与しない』
分解性蛋白質は、炭水化物や脂肪と比べて、熱発生量が
大きく体温上昇に繋がります。
また、ルーメン内でアンモニアが過剰に生産されると、
肝臓で尿素に解毒するのですが、この時に余分なエネルギ
ーが使われてしまいます。
エネルギーが非常にもったいないので、MUNが高い数
値を示しているときは、分解性蛋白質の給与を減らすこと
も必要になります。
粗さ日
また、蛋白質濃度を下げたくない場合には、非分解性蛋
白質の増給で対応が可能となります。
②ルーメンphを安定させるために・・・
ルーメンアシドーシスを防ぐ方法としては、重曹を給与
することが推奨されております。
また、汗をかくと体内から塩分が出ていきますので、塩分補給 尚、夏場には150g~200gの重曹を給与します。
も必要となりますが、
【牛乳にはスポーツドリンクと同程度の塩
更に、酸化Mg(血液から乳腺への脂肪合成を助ける役
分が含まれておりますし、糖分も含まれており】塩分補給にも役 割がある)を50g~70g程度を併用して給与すると、
立つし、塩分と糖分を一緒に摂ると水分の吸収が速くなりますの より効果が高まります。
で、牛乳は夏場には最も適した飲み物だということをアピー
反芻による、唾液の分泌も必要ですので、粗飼料の摂取
ルしていきたいですね。
量を増やす為には、切断長を短くすることも有効です。
また、基本的なことですが、給与回数を増やすことで、
ルーメンphの低下を防ぎ、摂取量の低下も防げます。
暑熱ストレスについて
★現在、当会では重曹のキャンペーンを実施してます。
①何故、牛は暑さに弱いのか・・・
キャンペーン期間は、7月末迄ですので、お早めにご注
牛は、体内で大量の熱を発生するルーメンを持っていることと、 文されますことをお勧め致します。
熱の放散(体表面からの蒸散)が不得意であるので、暑さに弱い
体質です。
③熱発生量を抑えながらエネルギーを給与するために・・
また、体温調整の蒸散も、湿度が高いと汗の蒸散が鈍り、体温 ルーメンで発酵しない為に、ルーメン微生物に影響を与
を上昇させてしまいます。
えず、そして発酵熱のない『バイパス油脂』も夏場には適
した飼料です。
②体温が上がると・・・
但し、牛乳生産へ回るエネルギーが増えることにより、
通常の2倍近く飲水量が増えます。
乳量が増えて、乳脂肪を低下させることもあります。
それから、発汗と呼吸を速めて体内の熱を放出しますが、
『発
全酪連では、ルーメンバイパス油脂(飽和脂肪酸)と
汗によりカリウムやナトリウム』も失われてしまい、代謝性アシ ルーメンバイパス蛋白(リジン・メチオニン)と酢酸の補
ドーシスに陥りやすくなります。
給にビートパルプを加えたサプリメントの供給を開始致し
呼吸が速まると、唾液が流出し唾液に含まれる重曹も失われま ました。製品名は【エナジーショット】です。
す。非常にシンプルですが、呼吸が速まるとエネルギーを消耗し、 夏場にエネルギー補給をしたい方や、乳脂肪を高めたい
乳生産へのエネルギー分配が制御されるので、乳量が低下します。 方、また乳量を伸ばしたい方にはお勧めです。
③体温調整の為に、飼料摂取量が減少すると・・・
特に、熱発酵の高い粗飼料の摂取量が減少するので、相対的に
濃厚飼料の割合が大きくなり、唾液の分泌が減少しルーメンph
が下がります。
飼料摂取量が減少すると、潜在性ビタミン欠乏症を引き起こし
『免疫機能低下』と、高温多湿で乳房炎起因菌が増殖するので、
乳房炎感染リスクが大幅に増加します。
そして、反芻が減少し、唾液(重曹)の分泌量が減少するので、
ルーメンphを中和出来ずに、ルーメンアシドーシスになりやす
く、センイ分解菌の死滅に繋がり、乳脂肪の低下を招きます。
(ヒスタミン分泌による蹄葉炎にも注意)
秋頃に蹄を痛めた牛を見つけた場合には、ヒスタミンが分泌さ
れたことを疑って下さい。
④トランス脂肪酸の乳脂肪合成阻害を防ぐために・・・
唾液の分泌が減少しルーメンphが下がると、多価不飽
和脂肪酸(C18:2 リノール酸等)がトランス脂肪酸に変
化する場合があります。
このトランス脂肪酸は、乳腺組織で乳脂肪の合成を阻害
する働きがあります。
トランス脂肪酸の発生を防ぐ対策としては、ルーメンp
hを下げないことが重要(重曹や酸化Mgの給与)であり、
また C18:2 等を多く含む綿実・加熱大豆・醤油粕等の過
剰給与に注意して下さい。
がんばっぺ・酪農
生産されるVFAは乳脂肪の原料となる『酢酸』です。
ビートパルプは、ルーメンphを下げない特徴もあるの
で、夏場には適した飼料であります。
情報提供【生産指導部・購買課】
⑤水溶性繊維による乳脂肪の改善として・・・
水溶性繊維としては、ビートパルプに含まれるペクチン
やβグルカンで、発酵速度はデンプンとほぼ同じですが、