知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会

い~な
あまみ
中 央
しらさぎ
さくら
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 2094 号 2014.9.7 発行
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意思に反して大便失禁
負担少ない電気療法に注目 仙骨神経を刺激し改善
日本経済新聞 2014 年 9 月 5 日
大便が本人の意思に反して漏れてしまう便失禁は、生命には直接関わらないものの生活
の質を大きく低下させる。国内に 500 万人以上の患者がいるとみられるが、恥ずかしさか
ら受診をためらって、病気を抱えたままの人も多いという。体内に埋め込んだ装置による
電気刺激で症状改善を目指す治療法が今年から保険適用になるなど、最近は治療法選択の
幅も広がっている。
大阪府寝屋川市に住む 60 代の
女性は、不意に大便が漏れる症状
に悩んでいた。家族にも相談しに
くく困っていたが度々漏れるよ
うになったため、思い切って関西
医科大学付属滝井病院(守口市)
を訪れた。便失禁との診断を受け、
半年ほど薬で治療すると、症状が
よくなり、以前の生活にほぼ戻る
ことができた。女性を診た吉岡和
彦副院長は「悩んで外出を控えた
りせず、まず大腸肛門科などの医
師を受診してほしい」と話す。
■高齢者に多い患者
便失禁は高齢者に多く、海外では 70 歳以上
のうち7~8人に1人が患っているとのデー
タがある。また、患者の大半が恥ずかしさなど
から医療機関を受診しないという国内の調査
結果もある。
便失禁の主な原因は肛門を締める筋肉であ
る「括約筋」の収縮力が弱まることだ。肛門は
この筋肉の働きで、通常はむやみに大便が漏れ
出ることはない。しかし、年齢を重ねるなどし
て筋肉が弱まってしまう。排便しようとしない
時でも、直腸内部の粘液や便が外に漏れ出す。
この結果、知らないうちにパンツを汚したり、
便意を感じたときにトイレまで間に合わずに
漏らしたりする。
加齢のほかに、出産や外傷、直腸がんなどの
手術で括約筋を損傷して発症するケースも多
い。脊髄などの病気が関係することもある。指扇病院(さいたま市)の味村俊樹排便機能
センター長は「受診する患者の約8割は女性だが、実際には男性患者もかなりの数に上る
だろう」と指摘する。
便失禁の症状改善で、まず候補となるのが患者の負担が比較的少なく、実施しやすい方
法だ。繊維分の多い野菜をとったり、アルコールやコーヒーの摂取を控えたりする。便が
硬くなり漏れにくくなるなどの効果が見込める。食事の後に必ずトイレに行くよう習慣づ
ける、トレーニングで括約筋を鍛える、といった手法も効果が期待できる。
便秘治療などで使う下剤の量を減らしたり、下痢止めなどの薬を服用したりすることも
多い。こうした治療で患者の約7割で症状が改善するという。
それでも十分に改善しない場合は外科手術を考える。例えば、傷ついた括約筋を縫い合
わせる。足から取った筋肉を肛門の周囲に移植して括約筋の働きを補ったり、人工肛門を
付けたりすることもある。ただ「大きな手術になると、感染などの合併症のリスクがある
ほか、大腿部などに傷が残る」
(吉岡副院長)。関西医大滝井病院でも、患者のうち手術に
まで至る例は1割以下にとどまるという。
■腰に装置埋め込む
そこで期待が集まるのが、今年4月から国の保険が利くようになった「仙骨神経刺激療
法」だ。外科手術の一種だが、体への負担や術後に残る傷が比較的小さくて済む利点があ
る。骨盤にあり、排便を調整している仙骨神経を電気パルスで刺激し、症状を改善する仕
組みだ。
手術は2回に分けて実施する。まず仙骨神経を刺激するための細い電線を体内に埋め込
む。体外の装置で電気パルスを発生させ、電線を通じて神経を刺激し、1~2週間効果を
確かめる。これで症状改善がみられれば、心臓ペースメーカーに似た刺激用装置を腰の皮
膚の下に埋め込む手術をする。合わせて2~3週間の入院が必要だが、腰に小さな傷が残
る程度で済む。
「電気刺激によるピリピリとした感覚が出ない範囲で電圧を調整する」(吉岡副院長)。
刺激の強さは体外からリモコンで調節できる。装置の電池は3~5年で交換する。
電線部と刺激装置を体内に埋め込み、排便を制御する仙骨
神経を電気刺激する
国内で実施した臨床試験(治験)では 21 人に刺
激用装置を埋め込み、半年後に 18 人で便失禁の頻
度が半分以下になった。このうち4人は完治した。
米国では 120 人に埋め込み、88 人で失禁頻度が半
分以下になったという。「食生活の工夫やトレーニ
ング、薬の服用などで、効果がみられない患者は
従来の手術をするしかなかったが、新しい可能性
が開けた」と味村センター長は期待を込める。
実際にどの治療法を選ぶかは、医師と相談して決める。便失禁の頻度やタイミング、専
門の検査の結果などが判断材料になる。出産経験のある女性は、会陰を切開する処置を受
けたかどうかを医師に伝えるとよいという。
便失禁は治療すれば、治る可能性が高い病気だ。悩みを一人で抱え込まずに、勇気を出
して医師に相談することが得策だ。
(草塩拓郎)
高齢者もネットトラブルご注意
アダルトサイトなどで急増
神戸新聞 2014 年 9 月 6 日
兵庫県生活科学総合センターは、4~6月の消費生活相談を
まとめた。件数全体の約28%を占める高齢者(65歳以上)
からの相談では、アダルトサイトなどインターネットをめぐる
トラブルが前年同期の176件から247件に増加。健康食品関連を抜いてトップとなっ
た。同センターは高齢者保健福祉月間(9月)に合わせ、高齢者向けのチラシを作り、注
意を呼び掛けている。
(岡西篤志)
高齢者からの相談件数は前年同期の3707件か
ら3026件に減少。2013年度に急増した健康食
品をめぐるトラブルが広報による啓発もあり大幅に
減ったためという。
高齢者向けに兵庫県生活科学総合センターが作成したチラシ
一方、パソコンを扱う高齢者が増えたことなどに伴
い、ネットをめぐる相談は増え続けている。トラブル
を解決できないまま高額な料金を支払うケースが後
を絶たないという。
同センターによると、ある70歳の男性はアダルト
サイトを閲覧中に年齢確認表示が出たためクリックすると料金の請求画面が表れ、翌日に
なっても消えない、と相談を寄せた。
同センターは、請求画面を訂正できない場合は請求を無視する▽請求画面が消えないの
はウイルスが原因なのでIPA(情報処理推進機構)のホームページを参考に、復元や初
期化を行う‐などをアドバイス。
「名前や住所、電話番号などを業者に知らせるとさらなる
被害につながるので、絶対に業者に連絡しないで」としている。
チラシは市町の消費生活相談窓口などで配布している。同センターTEL078・303・0999
アートの秋
力作たわわ 読売新聞
2014 年 09 月 06 日
自身の作品「花と愛を受けて」に見入る久保さん(鳥取市のやま
びこ館で)
町に滞在し、制作した山本さんとその
作品(岩美町で)
◇鳥取 障害者の絵画50点/
岩美 滞在作家らが造形
芸術の秋、週末は美術作品にひ
たってみては――。鳥取市で障害
者の芸術作品が並ぶ「2014パラアートとっとり展」、岩美町で
は芸術家2人が滞在して制作・展示する「岩美現代美術展」が5日、
それぞれ開幕した。両会場では会期中、絵画や造形作品など様々な
作品やイベントを楽しめる。入場無料。
(安恒勇気)
パラアートとっとり展は、
「第14回全国障がい者芸術・文化祭
とっとり大会」
(読売新聞鳥取支局など後援)のイベントの一つ。やまびこ館(鳥取市上町)
で、21日まで行われる。
会場には国内外から絵画50点が集まった。東京都豊島区の久保貴寛さん(43)は「花
と愛を受けて」を出品。アゲハチョウや2輪の花を色鮮やかに水彩で描いた力作で、久保
さんは「他の作品も上手で勉強になる。ぜひ見に来てほしい」と話す。
午前9時~午後5時。8、16日休館。問い合わせは同大会実行委(0857・26・7157)
。
岩美町内で様々な芸術イベントを開催する、岩美現代美術展は今年で6回目。芸術家が
県内各地に滞在して作品を制作する、
「鳥取藝住祭2014」のオープニングイベントでも
ある。今年は、洪鉉旗さん(67)
(韓国)、山本修司さん(55)(兵庫県宝塚市)の美術
作家2人が参加し、旧岩美病院を改装した「Studio652」(岩美町浦富)で制作し
た作品などを展示する。
山本さんは、同町で集めた小石を使った造形作品や、水面にうつる木漏れ日を描いた絵
画などを、2階の部屋に並べた。
「ここまで作品作りに没頭させてもらうのは、初めての経
験。山陰の地で様々なイメージをもらいました」と笑顔を見せていた。
15日までの会期中、岩井温泉(同町岩井)と近くの水辺公園の屋外に、地元住民らの
美術作品が並ぶ。浦富海岸の「福乃家」では、これまで芸術家たちが滞在、制作した作品
を展示する。6日午後1時半から、町中央公民館で公開シンポジウム「アートによる地域
創造」も開かれる。
無休。「Studio652」は午前10時~午後5時、「福乃家」は午前10時~午後
4時。問い合わせは美術展実行委(0857・73・1416)
。
盛岡「カワトク」で福祉バンク大市
読売新聞 2014 年 09 月 06 日
リサイクル用品などを格安の値段で販売する「福祉バンク大市」が5日、盛岡市菜園の
デパート「カワトク」で始まった。障害者に働く場や生きがいを提供している社会福祉法
人「盛岡市民福祉バンク」の主催。
販売されているのは、ティーカップなどの食器や衣類など計8万点。未使用のものもあ
る。数百円の着物や、量り売り(1キロ当たり540円)の古本などが人気で、大勢の買
い物客でにぎわっていた。
同時開催している「もりおか福祉ブランドフェア」では、福祉施設で作られた菓子や雑
貨などが販売されている。
来場した盛岡市上太田の会社員八重樫麻純さん(40)は「気楽に立ち寄れる雰囲気。
掘り出し物を見つけるのが楽しい」と笑顔で話していた。
9日まで。午前10時から午後7時(9日は午後5時まで)。問い合わせは、カワトク(0
19・651・1111)へ。
湖南市教委、郷土の偉人や歴史題材に道徳用資料集を発行
滋賀
産経新聞 2014 年 9 月 6 日
湖南市教委は、地元の偉人や歴史を題材にした道徳教育用の資料集を発行した。小学校
の授業で活用できるよう平易な記述を心がけた。郷土の素材で道徳用の教材を制作するの
は珍しい取り組み。
資料集「伝えたい故郷の話」は、市教委が市内の9小学校の協力を得て、各校区の歴史
や偉人について、資料や伝承などを収集。これを基に、市教育委員長で詩人の野呂昶(さ
かん)さんが執筆した。
障害者福祉の発展に尽くし「社会福祉の父」と呼ばれる糸賀一雄さんをはじめ、荒れ山
の緑化に尽くしたり、藍染めの伝統を守り続けたりした地元ゆかりの人物を紹介。また、
94人の死者を出した江戸時代の土砂災害「妙感寺流れ」や、一揆の話なども掲載してい
る。
低学年、中学年、高学年とそれぞれが活用できるよう、文章表現や漢字表記に配慮して
書き分けた。AB判、本文66ページ。1700部を発行し、市内の全小・中学校に配布
した。市教委は「公のため、人のために尽くした郷土の人物を知って心のつながりを学び、
後世にそのバトンをつないでほしい」と話している。
手つなぎ人数、ギネス挑戦 あす青森で
読売新聞 2014 年 09 月 06 日
手をつなぐ人数の世界記録に挑戦するイベントが7日、青森市浦町の「青い森セントラ
ルパーク」で行われる。年齢や障害、病気の有無にかかわらず、みんなが心を一つにして
理解し合うのが目的で、青森市の医師会などでつくる「手をつなぐ青森市民の会」の主催。
同会は「みんなで協力して世界記録を達成しよう」と、参加を呼びかけている。
同会によると、現在のギネス記録は北海道函館市で6月に樹立された1479人。参加
者は手をつないで何重もの輪を作り、その直径は最大100メートルほどになるという。
挑戦後は福引などのイベントもある。
受け付けは午前8時から。予行練習を行った後、午前11時に記録に挑戦する。無料。
青森市内の学校や企業などから広く参加者を募っており、当日参加も可能。
韓国1位の自殺者割合、日本は4位…高所得国で
読売新聞 2014 年 9 月 5 日
世界保健機関(WHO)は4日、自殺防止に関する報告書を公表した。
それによると、2012年の1年間に自殺した人の推定数は、日本は人口10万人あた
り18・5人で高所得国の中では4番目に多かった。
世界全体で同年に自殺した人の推定数は80万4000人に上り、10万人あたりの平
均は11・4人だった。
全体として、人口あたりの自殺者の割合は70歳以上の高齢者が最も高く、15~29
歳の若年層では交通事故に次ぐ2番目の死因となった。男子の自殺者の割合は女子の約2
倍だった。
報告書では、国ごとの自殺者数の推定にあたって、世界人口の標準的な年齢構成に直し
た場合の数値を算出した。人口30万人以上の加盟172か国のうち、10万人あたりの
自殺者の割合が最も高かったのは南米のガイアナ(44・2人)で、北朝鮮(38・5人)、
韓国(28・9人)と続いた。日本は全体では18番目だったが、高所得国では韓国、リ
トアニア、ロシアに次いで高かった。(ジュネーブ支局 石黒穣)
生活保護法「改悪」に警鐘 本紙・上坂記者受賞 貧困ジャーナリズム賞
東京新聞 2014 年 9 月 5 日
本紙・上坂修子論説委員
貧困問題に関する優れた報道を表彰している市
民団体「反貧困ネットワーク」
(代表世話人・宇都
宮健児元日本弁護士連合会会長)は四日、今年の
「貧困ジャーナリズム大賞」を発表し、都内で授
賞式を開いた。
生活保護法改正案の問題点を報じ続け、政府の
法案修正につなげた東京新聞(中日新聞東京本社)
の上坂修子(うえさかなおこ)論説委員に貧困ジ
ャーナリズム賞が贈られた。
上坂氏は今年七月まで在籍した政治部で主に社会保障問題を担当。生活保護の不正受給
防止を理由に厚生労働省が進めようとした生活保護法の見直しは、生活保護を受給できな
くなる家庭を増やし、貧困の拡大につながると指摘し続けた。
大賞にはインターネット上で生活保護制度の問題点を指摘し続けたジャーナリストのみ
わよしこ氏、貧困の現場を丹念に歩いて報じた下野新聞社の「子どもの希望」取材班が選
ばれた。
◆困窮者の視点に立ち報道
四日に都内で開かれた「貧困ジャーナリズム大賞」の授賞式で、選考に携わった水島宏
明法政大教授は、本紙の上坂修子論説委員の生活保護法見直しをめぐる報道について「改
悪だと明確にし、一面に次々と記事を掲載して多角的な視点で報道した」と述べた。
授賞理由は「生活保護の不正受給防止に偏重する(厚生労働省の)『改革』が、困窮者に
与えるマイナス影響を繰り返し警告した」こと。
上坂氏は授賞式とその後のシンポジウムで「生活保護の政策決定で、信じられないぐら
いのずさんさに不信感が募った」と述べた。さらに「弱い立場の人々の側に立った報道を
心掛けていきたい」と語った。
対象となった報道は二〇一三年五月、生活保護法改正案の閣議決定を前に、厚労省が申
請手続きの厳格化を改正案に盛り込んだ事実を指摘。生活保護を受給できなくなる家庭が
続出すると指摘し続け、与野党による法案修正につなげた。
法案成立後の一四年三月には、与野党の修正内容を無視して、同省が省令案にあらため
て申請手続きの厳格化を盛り込んだと報じた。同省には千百件を超えるパブリックコメン
ト(意見公募)が寄せられ、政府は省令案を見直した。
<受賞一覧> みわよしこ氏、下野新聞社「子どもの希望」取材班、上坂氏のほか、受賞
した団体、個人は次の通り。
貧困ジャーナリズム特別賞 さいきまこ(漫画家)、NHK「ハートネットTV」取材班
▽貧困ジャーナリズム賞 陸田元一(NHK)、秋山浩之(TBS)
、米沢秀敏(山陽放送)、
蒔田備憲(毎日新聞)
、今村優莉(朝日新聞)
、竹次稔(西日本新聞)、横田増生(ジャーナ
リスト)
、野村明弘(週刊東洋経済)=敬称略、複数人で受賞の場合は筆頭者のみ
車いす使用者の外出、福祉車両で乗降スムーズ
読売新聞 2014 年 09 月 05 日
スロープで乗降するタイプの車いす仕様車
車いすを使っている高齢者と一緒にマイカーで外出
する機会が多いなら、乗り降りしやすい福祉車両を検討
してはどうだろう。
購入の際は、安全に乗降できるか、介助者がスムーズ
に操作できるかなどを確認することが重要だ。
埼玉県所沢市の男性(67)は、手足にまひがあり、外出に車いすを
使う。2年前、後部からスロープで車いすごと乗車できるワンボックス
カーを購入した。家族は「これまでは、車に乗る際に私たちが体を支え
るなどして介助していたが、その労力が減った。一緒に外食に出かける
機会が増えました」と喜ぶ。
車外に座席がせり出すタイプの乗降補助装置付車。車いすからの乗り移りが楽にな
る(神戸市のトヨタハートフルプラザ神戸で)
福祉車両は、車いすの利用者が乗り降りしやすいように、通常の乗用
車の一部を改造した車だ。自動車メーカー各社が取り扱っている。
国立障害者リハビリテーションセンター副理学療法士長の岩崎洋さ
んによると、車いす仕様車と乗降補助装置付車の2種類に大別される。
車いす仕様車は、後部から車いすのままスロープやリフトで乗降でき、車いすから自動
車に乗り移るのを介助したり、車いすを車内などに収納したりする手間が省ける。走行中
は車いすをフックで固定するが、車の座席よりも揺れが伝わり、体に負担が大きい。長時
間の移動には向かない。
乗降補助装置付車は、助手席や後部座席が回転したり、回転して車外にせり出して昇降
したりする。車の座席に座るので快適で安全性も高い。ただ、座席の耐荷重は100キロ
以下で、頭上や足元の空間は狭い。体重の重い人、首やひざなどの関節が曲がらない人は
使えない。
それぞれ一長一短があるので、
「高齢者の体の状態や介助者の使い勝手などを考え、実際
に乗り降りを試したうえで選んでほしい。かかりつけの医療機関があれば、理学療法士や
作業療法士に相談を」と岩崎さんは助言する。
操作の確認には、福祉車両を用意したショールームなどに出向く。トヨタ自動車の福祉
車両の乗降や操作を試せるショールーム「トヨタハートフルプラザ神戸」
(神戸市中央区)
の店長、大国雅弘さんは「普段使っている車いすやつえなどを持って高齢者と一緒に来て
ください」と話す。
中、小型車の車いす仕様車の中には、開口部が狭いものもあり、車いすの大きさや乗せ
る人の体格によっては、その人を乗せられないことがあるので注意したい。車いすにフッ
クがきちんとかけられるかなども確認する。
乗降補助装置付車も体格によって、乗降時に車体に体がぶつからないよう、膝を曲げた
り身をかがめたりしなくてはならない場合がある。無理な動作をせずに乗り降りできるか
をチェックする。
大国さんは「安全で快適に移動するために、納得いくまで装備を確認してほしい。要望
に応じ、足置きなどのオプションを取り付けることもできます」と話す。
福祉車両は通常、同型の一般車より10万~150万円ほど割高だ。一方、大半の車が
消費税は減免される。自動車税、自動車取得税などは自治体によって異なるので、都道府
県税事務所などに問い合わせるとよい。
東京五輪準備や危険ドラッグ対策
県補正予算案152億円
東京新聞 2014 年 9 月 6 日 千葉
県は五日、本年度の一般会計を百五十二億一千九百万円増額する九月補正予算案を発表
した。二〇二〇年の東京五輪・パラリンピック大会に向けた準備や、危険ドラッグ対策な
ど新規事業を展開するための経費を盛り込んだ。(村上一樹)
県は東京五輪・パラリンピックに向け、今後、官民一体となった推進本部を設立。キャ
ンプ誘致や観光振興など、推進本部事業に千五百万円を計上した。このほか、パラリンピ
ックのモデルキャンプ実施に一千万円、通訳ボランティア養成に五百万円を充てた。
全国で事件や事故が相次ぐ危険ドラッグ対策には、三千万円を計上。検査体制の充実と
ともに、危険性を訴える映画館・ラジオCMを新たに作る。
このほか、五千六百九十二万円をかけて、銚子警察署の改修工事に新たに着手。袖ケ浦
市の県立障害者支援施設「袖ケ浦福祉センター」の虐待問題では、第三者検証委員会の最
終報告を踏まえ、居住環境改善のため、七千五百万円かけて施設改修をする。
財政調整基金などへの積み立てにも七十六億円を計上した。二〇一三年度の決算見込み
で「実質収支」が九十一億円の黒字になったことから、半分にあたる四十六億円を財政調
整基金に、三十億円を災害復興・地域再生基金に積み立てる。
補正予算案は十八日開会の県議会九月定例会に提案する。
<社説>無料塾補助半減 貧困で教育の機会奪うな
琉球新報 2014 年 9 月 6 日
県内11市町で実施されている生活保護世帯の児童・生徒への無料塾という学習支援事
業が来年度以降は事業縮小もしくは実施できなくなる懸念が出ている。国の制度変更で補
助率が全額補助から2分の1補助に引き下げられるためだ。2011年度に始まったこの
事業が県内で広がり、着実に効果を上げている。貧困の連鎖を断つためにも、国の補助減
額で事業が頓挫する事態は避けなければならない。
無料塾に通う小中学生は今年6月現在、238人おり、県内の生活保護世帯の全児童生
徒2400人の約1割を占める。支援を実施している11市町のうち7市町は支援を受け
た生徒の高校進学率が100%に達している。この事業が効果を上げていることの証しだ。
事業はこれまで名護市を除いては国の「緊急雇用創出事業臨時特例基金」を利用して実
施してきた。この制度が本年度で終了し、来年度からは「生活困窮者支援法」の枠組みに
引き継がれる。対象が生活保護世帯だけでなく、生活困窮者世帯にも広げられる。支援範
囲が拡大することは喜ばしい。問題なのは国の補助額が全額から2分の1に減額されるこ
とだ。なぜ減額する必要があるのか。
昨年6月に成立した「子どもの貧困対策推進法」は「子どもの将来が生まれ育った環境
によって左右されることのない社会」を実現することが目的だ。国と地方自治体が協力し、
そのための対策を実施する責任があることを明確にしている。国の補助減額は推進法が定
めた趣旨に反していないか。減額方針の再考を求めたい。
本年度まで国が全額補助していたにもかかわらず、県内の30市町村が無料塾の事業自
体を実施していなかったことは驚きだ。住む場所によって対象児童生徒の学ぶ機会を奪う
ことがあってはならない。全市町村が参加して一律に学習支援を享受できるようにしたい。
県は本年度から経済的理由で塾に通えない大学進学志望の高校生を対象にした無料塾を
始めた。事業費は沖縄振興交付金(一括交付金)を活用している。国が補助を減額する小
中学生の制度でも、県が減額分を一括交付金で補填(ほてん)することはできないか。知
恵を出してもらいたい。
「貧困の連鎖」で子どもたちの教育を受ける機会を奪うことは許されない。平等な教育
を保障するためにも事業を継続させたい。
社説:民法改正案
消費者保護の徹底図れ
京都新聞 2014 年 09 月 05 日
契約のルールなどを定めた民法の債権分野について、法務省は制定以来初めてとなる大
改正案を法制審議会に提示した。政府は来年の通常国会での成立を目指す。
携帯電話の普及やインターネット取引の拡大など、日常生活に関わる契約は多様化し、
トラブルも増えている。これまで個別の民事訴訟の判例を積み重ね、100年以上前に制
定された法律の不備を補ってきたが、限界は明らかだ。
改正項目が不動産賃貸借や債権の時効、約款、法定金利、企業融資の際の保証制度など
200項目にも及ぶことが、無理に無理を重ねてきた証拠である。改正はむしろ遅すぎる
と言えよう。
契約をめぐって消費者が不当に不利益を被らないよう、改正案は保護強化の方向を打ち
出す。例えば、賃貸住宅の入居時に支払う敷金について、退去時の返還ルールを明記した。
壁の画びょう跡や冷蔵庫やエアコンによる壁の黒ずみなど「通常の使用による劣化や損耗
は貸し手が負担」と規定。ペットによる傷やたばこの焦げ跡など「通常を超えた使用」に
よる損傷は敷金から差し引く対象となる。
京都には学生だけでなく、借家住まいの市民も多く、敷金をめぐるトラブルが頻発して
いる。民法に原則を書き込むことで、無用の争いが減ることを期待する。
また、保険加入時や携帯電話購入時に提示される「約款」を法的に定義する。消費者の
「利益を一方的に害すると認められるものは含まない」と、約款が無効とみなされる基準
も盛り込んだ。
企業側にとっては、すでにある約款に違法性がないか点検を迫られることになり、負担
が増す。しかし、企業側の都合による契約内容の一方的な変更などから消費者を守るには
必要な規定だろう。
認知症の高齢者など意思能力がない人の契約は無効とした。高額商品の売り付けや投資
勧誘の被害を防止する効果はあるだろう。
一方、気になる中身もある。個人が中小企業の連帯保証人になることを原則禁止すると
しつつ、公証人の前で自発的な意思と確認できれば認めるとした。全面禁止すれば中小零
細企業の資金繰りが圧迫されたり、ベンチャーの起業を妨げられたりす
るという経済界の声に配慮した形だ。
現実には、知人の依頼を断りきれず、保証人になって巨額の債務を背
負わされて苦しむケースが少なくない。できるだけ「抜け穴」を小さく
し、悲劇を招かないよう工夫してほしい。
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も
大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行