サムスン電子 半導体事業に単年5000億円を投資する韓国の超巨大企業

戦略ケース
サムスン電子
半導体事業に単年5000億円を投資する韓国の超巨大企業
世界的なIT企業の業績不振が叫ばれる中、韓国サムスン電子の業績が好調である。2002
年4-6月決算では売上高9兆 9400 億ウォン(9940 億円、前年同期比 24%増)、純利益1
兆 9200 億ウォン(1920 億円、前年同期比 2.2 倍)であり、四半期ベースの過去最高益をあ
げた。今年に入り四半期決算で次々と過去最高益を更新している。本ケースではサムスン
電子の実力と競争優位について考察する。
1.プロフィール
(1)韓国経済における位置づけ
サムスン電子の売上高は 2001 年度単独決算で 32 兆ウォン(3兆 2000 億円)(図表1)。
韓国のGDPの7%、上場企業の時価総額の 17%、韓国の輸出の 16%を占める韓国経済を
担う超大企業である。
図表1
業績推移(単独、億円)
(億円)
40,000
34,284
30,000
20,000
売上 営業
利益
15,875
32,380
26,118
20,084
18,465
10,000
7,435
687
2,079
1,938
4,482
2,295
0
1996
1997
1998
1999
2000
2001
(年)
(2) 財閥企業
サムスン電子は三星財閥のグループ企業 63 社のうちの1企業である。設立は 1969 年で
ある。韓国の企業の特徴は財閥企業が経済の中枢を担っているということである。その中
で現代、三星、大宇、LG、SKが一般的に5大財閥と言われる。財閥の特長は
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1
戦略ケース
1) 家族・親族による封 鎖的な所 図表2 韓国の財閥企業
有・支配
1997年
2)高度に多角化された事業構造
財閥
順位
と言われる。しかし現在は 97 年の
2001年
系列
企業数
資産総額
(兆ウォン)
財閥
系列
企業数
資産総額
(兆ウォン)
1
現代
57
53.59
サムスン
64
69.87
2
サムスン
80
51.65
現代
26
53.63
体化・解体の方向に向かっている。
3
LG
49
38.37
LG
43
51.96
例えば大宇は事実的な経営破綻状態
4
大宇
30
35.45
SK
54
47.37
アジア通貨危機や経営権争い、金大
中による財閥(企業)改革により弱
に陥っている。そのような状況の中
出所:公正取引委員会
でサムスングループは急成長している(図表2)。その理由は通貨危機直後に財閥経営のふ
たつの特徴を、競争環境に合わせ柔軟に変革させてきたことにある。
また韓国の企業経済には政府による介入という側面がある。そのひとつはビッグディー
ルと呼ばれる事業交換である。企業の競争力の向上、財務体質改善のために多角化経営か
ら重点集中への転換を示唆する。例えば 1999 年にはLG半導体は現代電子に吸収された。
また 2001 年には政府はサムスン電子に対し、現代電子産業(現ハイニックス)の持ち分の
一部を買い入れる形で提携を提案した。DRAMの価格下落、現代電子の経営環境悪化を
背景に世界DRAM市場でそれぞれシェア 20%を占める両者が提携することにより、世界
市場の生産・販売高のコントロール、非メモリー市場への参入・技術開発などで大きなメ
リットが得られるというのがその根拠である。しかしながら現在サムスン内部ではこの提
案に対しては何の議論もされていないという。
(3)現在の事業領域と多角化の歴史
設立当初はテレビ(70 年製
造開始)などのAV機器、冷蔵
図表3
プロフィール
販売品目
【デジタルメディア製品】
マルチメディア・パソコン、ノートPC、PDA、DVDプレーヤー、
DVD‐ROM、HDD、HDTV、DBS、DCS、DBS、DSC、TV
【半導体】
DRAM、SRAM、FRAM、フラッシュメモリー、ASIC、アルファ
CPU、TFT-LCD、MDL、カラーフィルター
【情報通信】
HHP、ATM LAN/WAN、企業仕様電話
【家電】
電子レンジ、冷蔵庫、エアコン他
生産拠点
32拠点
【韓国】:6 【北米】:5 【南米】:3 【東南アジア】:8 【中国】:10
販売拠点
35拠点
【北米】:10 【南米】:12 【東南アジア】:5 【中国】:3
【中東】:3 【アフリカ】:2
庫(74 年製造開始)など家電
製品がその基盤となっていた。
74 年に半導体事業開始、83 年
には現在の主力製品であるD
RAMの生産を開始する。91
年にはTFT-LCD(液晶デ
ィスプレイ)事業を開始。携帯
電話に参入したのは 97 年であ
る。現在の事業領域は 1)半導
体
2)情報通信
出所:サムスン電子ホームページより作成
3)デジタルメディア 4)家電の四つとなっており、世界に 32 の生産拠点
と 35 の販売拠点をもつ(図表3)。
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2
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2.サムスンの実力
(1)世界シェア
図表4
サムスンはいくつかの製品で 2001 年に世界
サムスン製品の世界シェア(2001 年)
世界
シェア
順位
DRAM
27%
1位
SRAM
26%
1位
TFT-LCD
22%
1位
CDMA携帯電話
26%
1位
カラーモニター
22%
1位
電子レンジ
25%
1位
事業領域
製品
で大きなシェアを獲得している。特に半導体分
野で強く、DRAMでは世界シェア 27%(1
位)、SRAMでは 25.9%(1位)、半導体全
半導体
体では 4.2%(4位)となっている。DRAM、
SRAMなどのメモリー事業のシェアは 93 年
情報通信
ネットワーク
以降9年連続でトップである。またCDMA携
デジタル
メディア
帯電話 26%(1位)、TFT-LCD22%(1
位)、電子レンジやカラーモニターいずれも世
家電
界1位のシェアを誇っている(図表4)。
出所:日本サムスンホームページより
(2)株式時価総額
2002 年4月にはサムスンは株式時価総額でソニーを抜いた。サムスンの 2002 年4月2日
の時価総額は 65 兆 6800 億ウォン(6兆 5680 億円)、そのときソニーは6兆 3560 億円であ
った。
「世界のソニー」を初めて上回った。2001 年度の業績が投資家達の判断材料となった。
(3)日本企業との業績比較
サムスンの実力を測るた
め日本の総合家電メーカー
図表5
日本企業との業績比較
と業績比較をしてみる。図
売上
売上
営業利益
営業利益
表5は 2001 年度の単独決
算における売上高と営業利
益をみたものである。サム
スンの売上高は 32 兆ウォ
ン(3兆 2000 億円)。日本
企業と大きな違いはない。
営業利益をみると、世界的
なIT不況の余波をうけ日
本企業は軒並み営業赤字と
なっているのに対し、サム
スンは 2295 億円の利益を
出している。サムスンは日
32,380
サムスン
2,295
39,008
松下電器産業
26,442
ソニー
-530
35,223
日立製作所
31,969
東芝
35,624
NEC
30,344
富士通
24,094
三菱電機
0
20,000
-930
-847
-1,968
-778
-547
-626
40,000 -3,000 -1,500
(億円)
0
1,500 3,000
(億円)
出所:各社アニュアルレポートより
本企業より強力な経営基盤によってIT不況をうまく乗り切ったといえる(図表5)。
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3
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3. IT不況脱出の理由
IT不況を乗り切ったサムスンだが、その要因は同社の徹底した「選択と集中」にある。
(1) リストラクチャリング
多角化がすすんだ韓国の財閥企業の
中でサムスンはアジア通貨危機直後の
1998 年から財務体質の改善に努めてい
図表6
人員削減(従業員数)
(人)
100,000
84,100 86,900
80,000
た。98 年には将来性を望めない 34 事
業を整理した。2001 年には衛星放送受
信機やHDD用小型モーターなど 13
事業を整理した。これは当時の売上の
60,000 59,400 61,800 62,950
60,000
40,000
20,000
16%にあたり、非常に大胆なリストラ
0
を実行したことがわかる。
1996
1997
同時に人員削減にも取り組んだ。96
1998
1999
2000
2001 (年)
出所:サムスン電子アニュアルレポートより
年全世界の従業員は8万 4000 人いたが、2001 年には6万 3000 人までに削減している(図
表6)。
(2) 脱半導体製造業
図表7
セグメント別構成比
半導体市場は 2000 年に米国経済の
売上
売上
営業利益
営業利益
低迷や価格の下落により大きく縮小
2.5%
8.0%
した。世界ナンバー1のDRAM企業
家電
8.0%
7.1%
12.8%
サムスンは大きな痛手を受けるはず
デジタル
メディア
27.3%
情報通信
ネットワーク
22.2%
半導体
37.8%
9.6%
12.2%
29.1%
だった。しかしながら通期の実績では
企業全体として 2300 億円の営業黒字
59.9%
27.9%
を出している。その理由は脱半導体と
して携帯電話、TFT-LCDなどへ
集中分野のシフトを進めていたから
である。2000 年度のサムスンの半導
その他
81.5%
27.4%
4.7%
5.9%
2000
2001
体事業は売上の 37.8%、営業利益の
80%以上を占めていた(図表7)。
30.5%
-3.3%
-11.0%
2000
2001 (年)
出所:サムスン電子アニュアルレポートより
2001 年度は市場低迷の影響をうけ、半導体事業の売上・営業利益は大きくダウンしてい
るが、情報通信事業の売上・営業利益が大きく伸びている。これは主にアメリカ市場にお
ける中価格帯CDMA携帯電話の販売によるものである。半導体依存を減らし携帯電話に
もうひとつの重点をおいた投資が奏功したと言える(図表8)。
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4
戦略ケース
図表8
セグメント別実績動向(2000 年1Q~2002 年2Q)
売上
売上
(億円)
2,500
半導体
3,500
半導体
2,000
デジタル
メディア
3,000
2,500
1,500
2,000
1,500
1,000
500
営業利益
営業利益
(億円)
4,000
1,000
情報通信
ネットワーク
500
家電
0
家電
1Q
0
1Q
情報通信
ネットワーク
デジタル
メディア
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
00年
3Q
4Q
01年
1Q
2Q
-500
02年
2Q
3Q
4Q
1Q
00年
2Q
3Q
4Q
01年
1Q
2Q
02年
出所:サムスン電子アニュアルレポートより
また半導体事業においても価格変動の影響を大きくうけるDRAM、SRAMなどのメモ
リーから、より付加価値の高いシステムLSIへその重点を移そうとしている。
世界の半導体市場をみると、DRAM、SRAMなどのMOSメモリーといわれるカテ
ゴリーの半導体市場全体における構成比は 2000 年で 24.6%であり、95 年の 38.9%から 14.3
ポイント低下している。より付加価値の高いMOSマイクロ、MOSロジックなどへのシ
フトが見られ多様化が進んでいるといえる(図表9)。このような市場の変化に伴い、サム
スンはメモリー部門と非メモリー部門の比率を現在の 85 対 15 から、50 対 50 へ変更する方
針を打ち出している。非メモリーであるシステムLSIの主力製品LDI(LCD駆動チ
ップ)の売上が前年比 33%の増加、2002 年度世界1位の見込みであるという。重点分野の
シフトは着実に進んでいる。
図表9
世界の製品別半導体市場規模構成比の推移
13.7
16.9
MOSロジック
カテゴリー
23.1
30.1
38.9
24.6
MOSマイクロ
MOSメモリー
14.9
アナログ
3.0
5.2
オプト
9.7
8.3
ディスクリート
11.5
1995
2000 (年)
MOSロジック
スタンダードセル 特定用途ロジック
ディスプレイドライバ ゲートアレイ PLD
MOSマイクロ
MPU MCU MPR
MOSメモリー
DRAM SRAM EPROM
マスクROM フラッシュEEPROM
アナログ
スタンダードリニア
ASIC
オプト
レーザーダイオード CCD
LED
ディスクリート
ダイオード トランジスタ
出所:WSTS
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4. サムスンの競争優位
ここではサムスン電子の競合他社に対する競争優位について整理する。
(1) 大規模な設備投資が生むコスト優位
サムスンが多くの製品分野で高い世界シェアを獲得している理由の一つとして大規模な
設備投資があげられる。とくに半導体は生産設備の規模、生産規模が大きくなるほど生産
コストが飛躍的に下がる装置産業である。2001 年度のサムスンの半導体の設備投資額は5
兆 1000 ウォン(5100 億円)で日本の大手5社(東芝・日立製作所・富士通・NEC・三菱
電機)の設備投資額を合計したものにほぼ等しい。この圧倒的な設備投資額の差がサムス
ンと日本企業との半導体事業の収益性の格差につながっている。
設備投資の巨大さは半導体事業に限らない。サムスンはタイで大型冷蔵庫・電子レンジ
など家電製品の生産を強化させようとしている。タイのシラチャ工場の生産目標は年間冷
蔵庫 50 万台、洗濯機 100 万台、エアコン5万台、テレビ 60 万台だという。日本企業のタ
イ工場でそれほどの複数品種を大量生産した例はない。
このような巨額の投資を次々とつぎ込んだ生産工場での大量生産こそがサムスンのコス
ト優位の源泉となっている。
(2) タイミングを逃さない意志決定が生むスピード優位
設備投資の規模と同時にタイミングを見計らった設備投資にみられる施策の柔軟性も重
要である。例えば 2002 年のサムスンの半導体・LCDへの設備投資は、当初2兆 5000 億
ウォン(2500 億円)と計画していた。しかしながら2月には
「米景気の先行きなど不透明感は残るが、全体として当社製品への需要は強い。半導
体業界で事業統合や生産縮小も相次ぎ、供給も不足している」(「日本経済新聞」2002
年3月7日号)
として、4兆ウォン(4000 億円)にまで追加投資すると発表した。そもそもメモリー事業
の基盤を築いたのも、このように柔軟で果敢な投資が背景となっている。
85~86 年の半導体不況で米半導体大手がメモリー事業から撤退を決める中、創業者
の李秉喆会長が幹部の反対を押し切り1メガDRAM専用の第3ラインの着工を決断。
89 年の完成直後に市況が好転し、今日のメモリー事業の基盤を築く(
「エコノミスト」
2002 年7月 20 日号)。
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戦略ケース
このように市場の状況をみて投資規模を柔軟に変えている。このタイミングの見極めと
意志決定のスピードもサムスンの特徴であり強みである。これはオーナーや経営トップの
裁量が非常に大きい財閥企業独特の意志決定構造が可能にしている。
以上見てきたようにサムスンの今までの戦略の成功パターンは、半導体やTFT-LC
D、携帯電話など重点分野への集中投資と、それによる大規模な設備による中価格帯製品
など一般製品の量産にあった。
5. サムスンの今後の方向性
DRAMや一般家電・AV製品の大量生産を核として拡大を果たしてきたサムスンだが、
ここへきて変化が見られる。高付加価値戦略へのシフトである。
(1) 高付加価値製品へのシフト
あらたな高付加価値戦略の戦略商品の筆頭にあげられるのが、この6月から日本で発売
された 40 インチの大型液晶ディスプレイである。これまで日本市場ではシャープの 30 イ
ンチがもっとも大きいものだった。高付加価値商品は日本メーカーの独壇場であり、サム
スンの日本や米国などでの攻め方はつねに低価格ラインの導入であった。よって今回の 40
インチの液晶ディスプレイの日本導入は明らかな方向転換を物語っている。
サムスン電子の日本法人、日本サムスンの常務は次のように語る。
「確かに収益だけを考えればグループ内における日本市場の比重は高くない。しかし、
日本の消費者の商品を見る目は非常に厳しい、以前オーディオプレーヤーを販売した
ところ、購入者からヘッドホンから再生される音は元の音と左右の向きが違うと指摘
された。(中略)日本市場で通用する商品ならば、世界でも通用する」(日経産業新聞
2002.01.09)
今後日本市場向けにサムスンの戦略的高付加価値商品の導入が相次ぐことが予想される。
「低価格製品はシェアを増やし、一時的には成功する。しかし長くは続けられない。
価格競争力のある中国メーカーが猛スピードで追撃してきている。デザインや性能で
勝負しないと勝ち残れない」(同上)
中国メーカーの台頭が方向転換の背後にあることが確認できる。中国のエレクトロニク
スメーカーは安価な労働力を背景として低価格の商品を製造し、中国国内・アジア・米国
などでの販売を拡大している。台頭してきた中国メーカーへの対策としてサムスンが選ん
だ道が高付加価値製品へのシフトであった。
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戦略ケース
(2) 積極的なR&D投資
高 付加価値戦略への転換のためにR&D
図表 10
への積極投資が見られる。96 年の 1300 億ウ
(億円)
300
ォン(130 億円)から 01 年には 2400 億ウォ
R&D投資額の推移
240
ン(240 億円)まで拡大させている(図表 10)。
同時にR&D人員も大幅に増強している。
200
200
170
全従業 員に 占める R& D人員 の構 成比は
1996 年の 14.5%から 2001 年には 23.8%ま
160
130
100
で拡大させた(図表 11)。
サムスングループ全体としても同様の
0
96
傾向にある。現在修士・博士課程を修了した
ン、情報技術(IT)など各分野を合わせて
グループ全体で年 1000 人ずつ増強していく
方針を打ち出している。
98
99
2000 (年)
出所:サムスン電子アニュアルレポートより
人材はグループ内に1万 1000 人いるが、今
後はR&Dやマーケティング、金融、デザイ
97
図表 11
(%)
30.0
R&D人員比率(全従業員に占める
R&D人員の割合)の推移
員
23.8
25.0
2000 年からは中国やインド、ロシアなど
20.0
で発掘した人材を韓国に留学する制度を開
15.0
20.0
14.5
14.5
1996
1997
18.5
21.0
始しており、今後その人数枠を拡大していく。 10.0
また韓国内の人材については、海外大学への
5.0
留学を現在の年 350 人から年 1000 人程度ま
0.0
で拡大していく。このようにして高付加価値
戦略推進のための技術的な裏付けを与えて
1998
1999
2000
2001 (年)
出所:サムスン電子アニュアルレポートより
いる。
(3) ブランド価値の創造
製品技術における高付加価値化と同時にブランドを用いた高付加価値化の方向性も認め
られる。
2002 年7月に「サムスン」ブランドの家電製品の米国市場導入が発表された。2ドア冷
蔵庫、ドラム洗濯機、エアコンなどを現地デパートやベストバイなどの家電チェーンで直
販する計画がある。これまで米国では電子レンジなど一部の家電製品の自社ブランド販売
はあったが、冷蔵庫、洗濯機などの主力製品は大半がGEなどの現地メーカーへのOEM
供給だった。
米国での携帯電話のヒットによる認知率上昇、家電製品の量産体制の整備により世界最
大の家電市場である米国での自社ブランド展開を決めたという。
ビジネスウィーク(Business Week)誌が 2002 年8月に発表した「最も急成長を遂げてい
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8
戦略ケース
るハイテクブランド」では世界 42 位に選ばれており、同誌の指標では 22 ポイント、ブラン
ド価値を上昇させたことになる。ちなみにソニーは世界 20 位にランキングされているもの
の、9ポイント、ブランド価値を下げている。
サムスンは「デジタル融合革命を主導する会社」として、2010 年には世界3大総合エレ
クトロニクスメーカーへ飛躍するというビジョンを掲げている。一般製品(汎用性の高い
中低価格帯商品)の量産から高付加価値戦略への転換を見せたサムスン。今後も現在のよ
うな好業績をつづけ目標を果たすことができるであろうか。重点投資しているメモリー・
LCD・携帯電話の分野は日本企業が収益低迷を理由に撤退や縮小を決めてきた分野であ
る。技術力・ブランド力については未だ日本企業が優位にあると言える。また量産・低コ
ストの競争優位は中国メーカーに脅かされようとしている。今後両者に挟撃されて、道の
りはより厳しいものになると予想される。
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